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魔法戦争24

最終更新:2017年07月20日 23:49

jelly

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Chapter24「ちびっこ戦記1:ぬいぐるみの魔女」



 世の中には魔女と呼ばれる者がいる。

 わたしには到底信じられないが、なんでもニンゲンの中でも魔法を極めて竜に並ぶほどの力を持ったやつがいるらしい。それをニンゲンは「賢者」と呼ぶ。

 しかし中には偏った極め方をしてしまうやつがいるようで、愛に飢えた結果、相手の精神を操ってハーレムを作るやつがいたり、自分が長生きするために他人の命を奪う魔法に特化してしまった危険なやつがいたりするという。
 そういった異端の魔道士をニンゲンたちは「はぐれ魔道士」と呼んでおり、その中でも賢者クラスの実力を持つ者を「魔女」と呼ぶのだ。

 え? 男の場合はなんて呼ぶのかって?
 まずそういう異端のやつらは学会とやらに所属せず、独学で我流の魔法研究をやっていて、極めきる前にほとんどが挫折してしまう。それにニンゲンは男より女のほうが魔力限界が高いらしいので、極めてしまった稀な存在もほとんど女だけだ。
 だから男で賢者クラスのはぐれ魔道士はいるのかどうかもわからない。どうしても呼び名をつけたいなら……変態とでも呼んでおけ。

 それでセッテは、その魔女の一人の噂を聞いたことがあるから、そいつに会いに行って仲間にしようとわたしを誘った。
 こいつはわたしを子ども扱いするのでちょっと腹が立つが、魔女を相手するのにこのわたしを選ぶあたりはよくわかっている。なんたって、わたしはニヴルの中でもバリバリさいっきょーの竜だからな! 頼りたくなるのも当然なのだ。

 今、わたしはすごく気分がいい。
 アルヴの神竜さまがわたしの姿をもとに戻してくれたからだ。やっぱりニンゲンなんかの弱っちい姿よりも、この美しいマリンブルーの水竜姿のほうがいい。
 そのおかげでちゃんと空が飛べるようになったので、今はセッテを背中に乗せてその魔女がいるという場所に向かっているというわけだ。

「あ、クエリア。あそこに見えてる浮島を左に曲がるっす」

 背中の上で地図を広げながらセッテが道案内をしてくれている。
 ここは北のニヴル、西のムスペ、南のユミル……その三国が描く三角形の内側の無人島がたくさんある空域で、わたしがあの変態科学者に捕まっていた島からユミル寄りの場所だ。

「それでこれから会うのは、どんなやつなんだ?」

 わたしはずっと気になっていたことをセッテに聞いてみた。魔女だか賢者だか知らないが、所詮ニンゲンはニンゲンだ。このわたしに敵うわけがない。どんなやつが出てこようともこてんぱんのこっぺぱんにしてやる。

「えーっとっすねぇ。ユミルを出発するときにおれが港で聞いた噂だと、大樹の北のバウムヴァルという島にぬいぐるみの魔女がいるって話なんすよ」
「ぬいぐるみを極めた魔女? なんだそれ、魔法を馬鹿にしてるのか」
「魔女といってもまだ子どもらしいっすよ。そのトシで魔女と呼ばれてるなんて、まさに天才っすよね。きっとすごい魔法の使い手に違いないっす!」

 そんな魔女っ子が無人島に一人で暮らしているなんて、たしかに普通じゃない。その年で自由気ままにできるなんてうらやま……じゃなかった。あぶなっかしいからな。ここはこのクエリアお姉さんが力ずくでも保護してやる。

「で、そのぬいぐるみの魔女は強いのか?」
「まあ言ってもまだちびっこっすからねぇ。魔力はすごいかもしれないっすけど、きっと話せばすぐにわかってくれるはずっすよ」
「ふーん。じゃあわたしの出る幕はないかもな。ざんねんざんねん」
「いや、クエリアには期待してるっすよ。ちびっこを説得するならちびっこどうしのほうが話が合うと思って」
「なるほど……ってだから! わたしを子ども扱いするなーっ!!」




 しばらく進んでわたしたちは、ぬいぐるみの魔女がいるという島に降り立った。
 たしかバウムヴァルとかいったっけ? 無人島のくせに名前がついてるなんて、ちょっと生意気だな。それだけ噂に有名な場所なんだろう。

 バウムヴァルはすごく小さな島だった。
 中央にピンクの壁と紫の屋根がついたかわいい家がひとつと、その隣にカボチャ畑がひとつ。そして小さな池がひとつあるだけだ。
 畑にはかかしが立っていて、カボチャをくり抜いたものが頭になっている。そのカボチャのかかしが、もうすぐ熟しそうなカボチャたちを守っている。
 池を覗き込んでみると中には赤に緑、オレンジにピンクといったカラフルなカエルがたくさん泳いでいる。残念ながら青いのはいないようだ。
 そして家のまわりには色とりどりの花が咲き乱れてお花畑のようになっている。
 なんともメルヘンちっくな島だ。

「いかにも女の子が住んでそうな場所だな。ブルーがないのが気に入らないけど」
「とりあえずあいさつしてみるっす。びっくりさせるといけないっすから、クエリアはちびっこの姿に変身しておくんすよ」
「ちぇっ。あの姿は好きじゃないんだけど、しかたないなぁ」

 セッテが家まで歩いていってドアをノックしている間に、わたしは以前にクルスに教えてもらったやり方を思い出しながら、フリードが「お譲ちゃんお譲ちゃん」と呼ぶ姿に変身した。
 むむ。やっぱりちょっと難しいな。今回は耳とツノがそのまま残ってしまった。まあ、このくらいはアクセサリーですってことにしてごまかしておこう。

 セッテがドアをノックすると、その向こうからかわいい声が聞こえてきた。

「は~い。どちらさま?」

 そしてドアを開けて出てきたのは、きっとフリードが見たら変な声を上げて悦びそうな小さな少女だった。たぶんニンゲンに化けたわたしよりもっと幼い姿だ。

「あれまあ。これまたかなりちびっこいのが出てきちゃったっすね! どうも、はじめまして。おれは炎の魔法使いのセッテです。あっちはクエリア」
「そうなんだ。あたしはプラッシュですっ! よろしくね」

 魔女っ子がこっちを見たので、とりあえずわたしは会釈を返した。
 むむむ。ニンゲンなんかに頭を下げることになるなんて。いやいや落ち着け、あれはまだ子ども所詮は子ども……。ここはオトナのたいおーってやつで……。

「おじちゃんたち、あたしに何かご用?」
「ははは、おじちゃんはひどいっすねー。まあいいや。おれたち、君の噂を聞いて会いに来たんすよ。まだ小さいのにすごい魔法使いなんだって?」

 すると魔女っ子は得意そうに胸を張ってみせた。

「えっへん! そうよ。あたし、すごいのよ。それじゃあ、二人はあたしに会いに来てくれたお客さんなのね。やったぁ! お客さんなんてひさしぶり!」

 魔女っ子はぴょんぴょん跳ねて喜びを表現している。……あざといやつめ。
 一方セッテは笑顔でその様子を眺めている。なんだあの顔、わかりやすくデレデレしちゃって。男なんて竜でもニンゲンでも結局いっしょなんだな。

「えーっと、それでっすねぇ。プラッシュちゃんのすごい魔法の力を見込んで、ちょっとお願いしたいことが――」
「待って! せっかくのお客さんだもの。おもてなししなくっちゃ!」

 セッテが魔女っ子に会いに来た理由を話そうとしたが、あざとい魔女っ子の媚びたような黄色い声がそれをかき消した。

「ちょっと待っててね。ちらかってるから、ぱぱっとかたづけちゃうね」

 そう言ってあざとい魔女っ子は家の中に顔をひっこめた。
 そして魔法で部屋を片付け始めたのだろう。窓からは淡い光があふれ始めた。

「ふん、話を聞かない強引なやつだな。わたしはおもてなしなんてどうでもいい。適当に切り上げて、さっさと説得して、ぱっと帰るんだからな!」
「あれあれぇ? クエリア、なんでそんなに機嫌悪いんすか?」

 まだデレデレしたような表情でセッテがわたしの顔を覗き込んでくる。

「あっ、もしかしてヤキモチっすか? おれがあの子に取られるとか思ったりしてるんすね? 大丈夫っすよ。おれはちびっこみんなの味方っすから」
「ちょ、な。そ、そんなんじゃないっ! なんかわからないけど、なぜかちょっと腹が立っただけだ! そ、そうだ。きっとこれは罠だぞ! あの魔女っ子、きっと猫を被ってるに違いない。入ったところで襲ってくるに違いないっ!!」
「はいはい。落ち着くっすよ。ほら、アメちゃんやるから」
「うううう。なんかわからないけど、なんか悔しい」

 セッテにもらった飴玉を口の中に放り込んだら少し落ち着いた。
 あっ、メロン味だ。いちごは? いちご味はないのか?

 それから少し待つと、再び魔女っ子が顔を出してわたしたちを家の中へと招き入れた。よーし、見てろ。今にその化けの皮をはがしてやるんだから。

「いらっしゃいませ~。ようこそ、ぬいぐるみの館へ~」

 家の中は、外と同様にピンクでメルヘンな世界だった。
 ふわっふわの絨毯。ふっかふかのソファ。部屋の中にはところ狭しとぬいぐるみが並べられていて、さらにもっふもふの黒猫がわたしたちを出迎えた。

「わぁ……。思ったよりすごい……」

 あらゆるものがふわふわでもふもふしている。ソファはもちろんのこと、机やタンス、棚までもが毛皮のようなもので加工されている。世界観がもふもふだ。
 歩くたびにふわふわの絨毯が足の裏をなでて心地よい。

「さあ、どうぞおかけになって」

 魔女っ子はわたしたちをソファに促した。
 ふかふかのソファに腰を落とすと、これがまたかなり心地いい。ただ座っただけで身体中の疲れがどこかへと吹き飛んでしまうかのようだ。身体がソファへと深く沈みこんでいき、あまりの心地よさに思わず口からはため息が漏れる。
 わたしはさっきまで何をそんなにイライラしていたのだろう。緊張の糸が切れてすっかりリラックスしてしまった。力の入っていたしっぽも今はすっかりぐでんとなってしまっている。

(ちょ、クエリア! 尻尾出てるっす! 早くしまうっすよ!!)
(んぅー、わかってる。でも気持ちよくて……あと五分だけぇ……あふぅ)

「クエリアちゃんは竜なの?」

 めざとくそれを見つけた魔女っ子がど直球に聞いてきた。
 隣でセッテが慌てて言い訳をしているようだが、もはやわたしにはそんなことはどうでもよかった。
 ああ、いいなぁ。このソファってやつ。本で読んだことしかなかったけど、すっごく気持ちいい。硬い氷ばっかりだったニヴルとはまるでちがう。しあわせ。

「いいよ、かくさなくても。さいしょから気配でそんなかんじはしてたし、あたしは竜とか人とかでさべつはしないの。だから気にしないで、おともだちになろ?」
「そ、そっすか。それはよかった。大丈夫っすよ、クエリアはちょっぴりおてんばだけど、いい竜っすから。それはおれが保証するっす」

 ふむふむ。どうやら魔女っ子には初めからわたしの正体はわかっていたみたいだな。さすがは魔女を名乗るだけのことはあるか。どうやら先にわたしの化けの皮がはがされてしまったらしい。でもいい。許しちゃう。だってソファ柔らかいもん。

「ねえねえ。セッテちゃんはどこから来たの? やっぱりユミルから? クエリアちゃんは竜だからムスペかニヴル?」

 この魔女っ子はこの島からあまり出たことがないらしく、次々と外の世界について質問してきた。それを夢心地のわたしに代わってセッテが答えていく。
 その外の世界が気になってしょうがない気持ち、わたしにはよくわかる。少し前まではわたしもニヴルから出たことがなかったから、外の世界というのはすごく新鮮で面白い。何もかもが雪と氷でできていたニヴルとはまるでちがう。
 本でしか読んだことがなかったものがこうして実在して触れるのがいい。それが本当に楽しい。とくにこのソファは今までで最高だ。もって帰りたいぐらい。

「クエリアちゃん水竜なのね。すっごーい、あたし初めてみた。からだながーい」

 あまりの心地よさに魔法が解けてしまったらしい。いつの間にかわたしは元の竜の姿に戻っていた。そして今はセッテを押しのけてひとりでこの気持ちいいソファを占領してしまっている。
 水竜の細長い身体にはこのソファはちょうどいい。だって身体を丸めると全身がすっぽりとソファに収まってしまう完璧な大きさなのだから。まるでわたし専用にあつらえたかのように最高にパーフェクト。ああ好(い)い。

「ちょっとクエリア。さすがにリラックスしすぎっすよ。一応、おれたちはお客さんとして招かれてるんだから、それなりに行儀ってもんをっすね……」

 セッテが何か言ってる。でも聞こえな~い。
 もはやわたしはこのふかふかソファの虜なのだ。もう何があっても絶対にわたしはここから動かないぞ。わたしはここが気に入った!

 ふわふわでもふもふであたたかい。ぬくぬくでぽかぽかできもちいい。
 ニヴルでは絶対にあり得なかったこのヌクモリティ。寒さと厳しさとはまるで正反対なこの世の楽園。このソファは優しさ100パーセントでできています!

 ごろんと寝返り。柔らかい毛が背中をなでる。
 ああぁあぁぁ~~~っ! これはすごくいい!
 声にならない声が心の底から湧き出てくる。さらにすごいのはお腹を上にして寝ても寒くない! なるほど、これはニンゲン最高の発明に違いない。認めてやる。
 ああ、ここがわたしの天国か。しあわせすぎてもう死んでもいい。

「クエリア……。さすがにそれはお行儀が悪すぎっす」

 むふーん。さてはセッテめ、うらやましがっているな。
 お行儀だかなんだか知らないが、それはニンゲンが作り上げた文化だ。竜のわたしにはそんなもの関係ないのだ。だからもっとやっちゃうもんね。
 そ~れ、ごーろごろごーろごろ。あふぅぅぅん、きゅぅぅぅん。

「ふぅ。よし、セッテ。あの魔女っ子は絶対に仲間にしよう。わたしはこのソファが欲しい。あいつが仲間になったら、わたしはこれをもらう」
「そ、そっすね……。それじゃそろそろ本題に入るっすよ。プラッシュちゃん、実はおれたちはお願いがあってここに来たんすよ」

 セッテがこんどこそ、ここへ来た目的を説明した。
 トロウという悪い魔法使いをやっつけるために、君のすごい魔法の力を貸してほしいんだ、とかそんな感じ。うん、もっと細かく説明してもいいよ。長ければ長いほど、わたしはソファの気持ちよさをたっぷりと堪能できるんだから。
 あ、黒猫がわたしの上に飛び乗って眠り始めたぞ。
 ふゎぁ……。ああ、なんだかわたしまで眠くなってきた……。

 魔女っ子は素直にセッテの話を聞いていた。
 子どもに難しい話がわかるだろうかと思ったが、とりあえずは伝わったらしい。

「そのトロウちゃんがいじわるするのね? じゃあ、そんなのダメって教えてあげないとね」
「そうそう。悪い子にはおしおきが必要なんすよ」
「えー。おしおきやだ。あたしはおしおききらい。トロウちゃんがいじわるするのはきっとさみしいからだと思うの。だからあたしは、おともだちにしてあげるの」
「そ、そっすか。そういう考え方もあるっすねぇ……。まあ、方法はおいおい考えていくっすよ。だから君もおれたちを手伝ってくれると嬉しいんすけど」

 すると魔女っ子は笑顔で答えた。

「うん。それじゃあ、あたしたちもおともだちになりましょ」
「ありがとう! 感謝するっすよ」

 それじゃあお友達の印に、と魔女っ子は飲み物を持ってきた。かわいいティーセットがテーブルの上に置かれる。そして魔女っ子が呪文を唱えると、まるでペンキのように濃いピンクの液体がカップに湧き出てくる。

(う……。な、なんかすごい色っすね。これ飲めるのかな)

「さ、どうぞ? あたしとくせいのスペシャルドリンクよ。おともだちになるならこれを飲んで。とってもおいしいのよ」
「あ、ありがとっす。おいしそうだなー。でもおれ、今は喉かわいてないから、気持ちだけありがたくちょうだいしておくっすかねー、ははは……」

 セッテがやんわりと断ろうとすると、魔女っ子は顔を真っ赤にして怒った。

「そんなのダメよ! おともだちになるなら、これがルールなのっ! こう見えてもあたしは魔女なのよ。魔女っていうのはね、儀式をだいじにするの。だからこれはおともだちをつくる魔法の儀式なの。ないがしろにしちゃダメなんだからっ!」
「わ、わかったわかった。おれが悪かったっすよ。そ、それじゃいただきま~す」

 恐る恐るセッテがカップに口をつける。その表情は最初はおっかなびっくりといった様子だったが、すぐにそれは明るいものに変わった。

「あれっ! 本当にすごくおいしいっす! 甘すぎず酸っぱすぎず、このほのかに漂ってくるリンゴのような香りはカモミール? それに桃の香りもするっすねぇ」
「うふふ。そうでしょ? あたしの自慢の一杯なんだから。さあ……クエリアちゃんもどうぞ飲んで? すごく……おいしいんだから……」

 にんまりと笑いながら魔女っ子はわたしにもカップを手渡してくれた。
 では寝転がりながらの体勢だけど失礼して、一口。
 すぐに甘い香りが口の中に広がった。たしかにセッテの言うように甘すぎることはないし、とても濃厚なのにしつこくもない。とろんとしていて、いわゆるハーブティーとは少し違う飲み物のようだけど、これはこれでなかなか良い。
 そして心を落ち着かせる香りが、からみつくように嗅覚を刺激する。すると身体が軽くなったような、とてもうっとりとしたような心地になってくる。
 ソファの気持ちよさと相まって、なんだかすごくふわふわしたような感じになってきた。まるで芯から身体がとろけて柔らかくなっていくかのように……。

 ああ、まぶたが重い――

 まるで夢のような感覚――




 そこでわたしは奇妙な夢を見た。
 わたしは変わらずソファの快感に身をうずめているのだが、その前に一人のニンゲンが立ち塞がっている。それはあの魔女っ子プラッシュだったが、どうも雰囲気がそれまでのものとはまるで違う。
 プラッシュは表情を歪めてにやりと笑うとこう言った。

「うふふ……。水竜は初めてなのよね。ニヴルの竜は滅多に外に出てこないから。だからあたしはあなたに会えて嬉しいのよ、クエリアちゃん?」

 なんだこいつ。本当にさっきのあの子どもと同一人物なのか?
 目の前のプラッシュには子どものようなあどけなさもなければ、狙ったかのようなあざとささえもない。むしろ子どもらしからぬ妖艶な雰囲気が感じられる。

「きっとみんなもあなたのことを気に入ると思うわ。心配はいらないわよ。ここにはあなたと同じ竜の子もいるから。さあ、『おともだち』になりましょう?」

 呪文を唱えながらプラッシュはわたしの頭に向かって手をかざす。
 すると、その手から眩しい光が放たれてわたしの身体を包み込んだ。

(魔法!? い、いきなり何をするんだ。その手をこっちに向けるな!)

 しかしわたしの身体はまるで石になったかのように動かなかった。
 いや、石になったという表現は少し違うか。縛り付けられているとか、固まってしまっているというような感覚ではなかった。身体はすごく軽い。まるで綿のように軽く感じられる。それなのにまるで力が入らないという感じだ。

「うふふ。かわいい子……。さぁて、あっちの赤い男の子も『おともだち』にしてあげないと。コレクションがふたつも増えるなんて今日はいい日ね」

 そう言いながらプラッシュは視界から消えた。
 後ろ姿を目で追おうと思ったが、相変わらず身体が動かない。感覚はちゃんとあるが、ただただ脱力しきってしまって身動きが取れない。

 そのとき身体に異変が起きた。
 左腕が急に温かくなってきたかと思うと、腕の内側から何か膨張感が広がり始めたのだ。視界の外に腕があるので何が起こっているのかは見えないが、感覚としては腕が風船になって膨らんでいくような感じがする。
 しだいに膨張感は左腕全体に広がっていって、指先までがぽんぽんに膨れ上がった。すると左腕はつっぱってぴんと前に腕を伸ばした状態になった。
 そこでやっと視界に入った左腕はぽっこりと膨れ上がって、しかも少し小さくなっているような気がする。さらにその表面は見慣れたマリンブルーの鱗ではなく、色こそ同じではあるが、ソファと同じもふもふの毛皮のように変わっている。

(な、なんだこれ!? 何が起きてるんだ!!)

 左腕はぷらぷらと揺れている。だがその腕にはもう感覚はなかった。軽い感覚もなければ、膨張感ももう感じられない。
 よく見ると、指先の鉤爪は薄っぺらくてぺらぺらになっている。鉤爪はもふもふしていなかったが、まるでただの布切れのように変わってしまった。
 もはやその左腕はわたしの身体から生えている、ただの物体だ。

(う、腕が……どうしてこんな……ひぁッ!?)

 続いて同様の現象が右腕、両脚にも起こった。こうしてわたしの手足のすべての感覚が消えた。
 手足が感じられなくなり、長い胴体を蛇のようにくねらせてこのわけのわからない状況から逃げ出したかったが、動かせない身体がそれさえも許してくれない。

 追い討ちをかけるように、こんどは胴体やしっぽが膨らみ始めた。
 ちょうど目に見える位置にお腹があるので、こんどは身体が変化していくようすがよく見えてしまう。
 どんどんお腹が膨らんでいくと、それに反比例して胴体がどんどん小さく、そして丸っこくなっていく。まるでお腹の中に何かをこれでもかと言わんばかりに詰め込まれていくような感覚。
 胸が苦しくなり呼吸も荒くなる。しかし身体の膨張が進むと、胴体からの感覚もしだいになくなっていき、胸の苦しさも呼吸の荒さも消えた。
 しっぽもずいぶんと短くなってしまい、勝手に背中の側へとくるんと曲がった。

 今のわたしは両手両脚を前にぴんと伸ばして、お尻をぺたんと下につけて座っているような体勢をしている。全身がずいぶん丸っこくなってしまって、もう水竜の細長い身体の面影はどこにもない。

(なんで……こんな……。んむッ!? 口のなかに……んむむむーッ!?!?)

 休む間もなく変化は顔にも表れた。
 突然、口の中に何かが湧き出し始めた。一瞬にして口いっぱいに広がったそれが口の端から少し漏れ出すのが目に入った。白くふわふわしたそれは――

 綿だ。

 わたしの身体の中に湧き出して、こんなにも膨張してぽんぽんにしてしまったのはこの綿だった。今のわたしの身体には綿がいっぱいに詰まっているのだ。

(い……やだ……こ…んな……。もと…………もどし……て……………………)

 最後にわたしが見たのは、目の前にちょこんと座り首を傾げる黒猫の姿だった。
 しかしそれもほんの少しの間だけのこと。とうとう目がただのガラス玉のように変わってしまい、視覚を含むすべての感覚がわたしから奪われた。
 その最後の瞬間に、黒猫の目が妖しく光ったような気がした。

 やがて綿はわたしの頭の中まで埋め尽くしてしまい、それに伴ってわたしの意識も徐々に薄れていった――




『ニヒヒヒ……。ハロー、おともだち。ようこそ、ぬいぐるみの世界へ……』


Chapter24 END

魔法戦争25
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