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魔法戦争48

最終更新:2017年11月04日 21:20

jelly

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Chapter48「鉄のゴーレム4:意志の力」



「もしよければ、グリム。お主のその機械技師としての力、私たちのために貸してはくれんか」

 この老人には私たちにはない力がある。
 太古の技術、機械を作り出せるという点もそうだが、彼には執念めいた強い意志がある。竜族にはない、人間だけが持っている強い意志の力。

 意思の力、それは奇跡の力だ。
 筋力にしても体力にしても魔力にしても、人間は竜に比べればどれもが劣っており、そして貧弱な生き物だ。わずかな傷やちょっとした病で簡単に死んでしまう。
 しかし、そんな弱い存在でありながら、時として人間は竜をも凌駕するとんでもない力を発揮してみせる。

 例えば賢者や魔女の存在は、人間の本来の魔力から考えるとあり得ない。
 それに物理的な力では竜に敵わないはずなのに、人間の英雄が竜を倒したというような伝説は、探せばいくらでも出てくるほどだ。

 決して諦めない、絶対にやり遂げてやる。
 そういう半ば狂気ともとれる『意志の力』……それが人間の強さだ。

 この老人はとくにその強い意志の力を持っている。
 大樹をトロウの支配から取り戻すためには、そして祖国の仇を討つためには、我々地竜族にとって、この男の力は絶対に必要だ。そう思った。
 だから私はこの老人、グリムに仲間になってほしいと勧誘した。

「お主はこんな辺鄙な場所で一人で暮らしておるのか? だとしたら、何かと不便も多かろう。もし力を貸してくれるなら、お主もアルヴで暮らせるようアルバスにかけあってやる。悪い話ではないと思うが」

 グリムは黙っていた。その沈黙が肯定なのか反対なのかは、彼の被っている銀の仮面のせいで表情から読み取ることはできなかった。
 返答を待っていると、グリムはくるりと背を向けて歩き出した。

「ま、待つんじゃ! それは私には力を貸せないという意味か!?」

 背中に向かって叫びかけると、グリムは足を止めて振り返ることなく言った。

「ワタシははぐれ者だ。今や機械弄りなど、この魔法の時代においては誰も見向きはしない。ワタシは時代を逆行する……いや、時代に取り残された存在なのだ。しかし、機械技師としての生き方は我がスヴェン家のルーツであり、そしてそれがワタシの選んだ生き方だ。今さらどうして人の輪の中になど戻れようか」
「自分の生き方は人々に受け入れられない、と?」
「……それもあるかもしれないが、それ以前にワタシは他人には興味がない。さっきも言ったがワタシには時間がないのだ。ワタシの研究を完成させるためには、いくらあっても足りない。だから他人を気にかけている暇など一切ないと言えよう」

 なるほど、この老人は自分の人生をその研究とやらにすべて捧げる覚悟らしい。そのために不要なものは一切を切り捨てている。他者との関わりも含めて全て。

 しかし、本当にそうなのだろうか。もしそうなのだとすれば、それならばあの金属の竜は何なのか。何のためにあれを使ってアルヴを偵察していたのか。

「ならば一旦話を変えさせてもらうぞ。そもそも私は最近アルヴの周辺を嗅ぎ回っている金属の竜を調査するためにアルヴから来ておってのう……。単刀直入に聞かせてもらうが、お主の目的は何じゃ? 本当に他人に興味がないなら、なぜ偵察のような行為を繰り返す?」

 私の予想はこうだ。おそらくこの老人、口ではああ言っておきながら、やはり本当は寂しいに違いない。人恋しさから、あの金属の竜を使って近くの集落を眺めていたのではないだろうか。
 アルヴ側から見れば、その位置が一定でない特性上、何度も追跡されているような印象を受けるが、もしかすればグリムは近くの集落を手当たり次第に観察していたのだ。つまり、アルヴ以外の街にもあの金属の竜は現れているはず。
 どうやってアルヴの位置を特定してきたのかはさすがにわからないが、おそらく古代の機械技術というのは何かこう、そういうすごい秘められた特殊能力みたいなものがあるのだろう。

 人恋しさから偵察の真似事をしていたのなら、それが突破口になる。あの老人は自分は一人で生きていく、それが生き方だ、と意地を張っているだけに違いない。

「隠しても私にはわかるぞ。お主、本当は寂しいんじゃろう? だからこの浮島で一人研究を続けながらも、あの金属の竜を飛ばして付近の街の様子を探っておる。それにセッテたちをここに招いているのも、その何よりの証拠じゃな」
「ほう……。なかなかの推理力である」

 よし、一歩前進したか。
 そう思ったのも束の間、予想は外れていたことを私はすぐに思い知った。

「しかしな。あの若者三人組はワタシが招いたわけではないのだ。あの金属竜……ワタシはあれをゴライアスと呼んでいるのだが、飛行テストのために自動操縦であれを巡廻させていたところ、あの三人組が勝手に乗り込んでここまでやってきてしまってな。どうしてもゴライアスに乗って空を飛びたいというので、研究の邪魔をしないことを条件に好きにさせている」
「そ、そうだったか。私はあやつらの保護者のようなもんじゃ。もし迷惑をかけていたのなら申し訳ない」
「問題ない。おかげで背中に人を乗せての飛行データが取れる。それによる燃料消費への影響を確認するのと、重心調整の精度を向上させるために必要なデータだ」
「そ、そうか。だがそれだけではまだ話は終わっておらんぞ。アルヴや周囲の街を観察していたのが何よりの証拠。人が恋しいのならこそ、私たちの仲間になってほしい。誰も研究の邪魔はしないと約束するし、そのための場所も提供しよう」
「……いつワタシが周囲の街を観察していると言った?」
「え?」
「たしかにワタシはゴライアスにアルヴのデータを集めさせていた。あれには高精度のカメラが搭載されている。分厚い雲の層を突き抜けて、その内部の様子を観察できる特殊なカメラだ。そしてアルヴにはマーカーを設定してあるので、位置が変わってもゴライアスにはすぐにわかる。マーカーの発する特殊な電波のおかげだ」

 カメラ? マーカー? デンパ?
 おそらく機械に関する専門用語なのだろうが、私にはよく理解できなかった。
 その後も専門用語満載の難しい話をグリムは続けた。

 とりあえず理解できた範囲で話を総合すると、グリムが観察していたのはアルヴだけらしい。では何のためにアルヴを観察していたのかというと、そこに暮らす竜人が目当てだったらしく、竜人を観察することが研究に必要なのだそうだ。

「あそこはいい。竜人がたくさん集まっている。まさに資料の宝庫なのだ」
「資料? そもそもお主は時間がないというが、一体何の研究をしておるのだ?」
「ほう。聞きたいかね? ワタシの人生を賭けた情熱の一端を。そう、あれはまだワタシが青春の一途にあった頃――」
「……手短に頼むぞ」

 この老人は無駄に長話を披露したがる傾向があるらしい。話の九割がたは結局のところあまり関係ない話だったのでばっさりと切り落とすとして、重要そうなところだけまとめると、つまりこういうことだ。

 グリムは若い頃、機械に興味を持って最初にやろうとしたことが空を飛ぶことだった。彼の祖先が開発したという飛行艇は、現在の魔導船の原型にあたる機械であり、それは魔法の力に頼らず燃料と機械の力で空を飛んでいた。
 それに感銘を受けたグリムは、まずは小型の飛行艇模型を作ることにした。スヴェン家には家宝として代々飛行艇の設計図が受け継がれていたらしいが、かなり古い時代のもののためか、紙はぼろぼろになり、そこに描かれた図もかすれてほとんど判別できなくなっていた。それに当時はありふれていた材料も今では希少だ。
 そんな状態からグリムは、数十年かけてようやく実際に飛ばせる飛行艇模型を完成させることに成功した。

 あとは同じものを大きさを変えて作ることができれば、古の飛行艇を今の時代に復活させることができただろう。しかし、魔導船が主流になっている現在にわざわざ飛行艇を復活させたところで、見向きもされないのは目に見えている。
 そこでグリムは大型の機械に頼らず、小型の機械でなおかつ人間一人の力で空を飛べるものを開発しようと考えた。飛行艇は大型で大量の燃料を必要とするし、操縦には特別な技術が必要で、メンテナンスも大掛かりなものとなる。
 そうではなくて、例えば小さな機械ひとつを背負うだけで手軽に誰もが空の旅を楽しめるようなそんな夢のような機械。そういうものをグリムは目指していた。
 いわゆるジェットパック構想。過去の時代、機械技師たちが幾度と挑戦し、そしてとうとう成し遂げられなかったものだ。

 まず背中に背負う形をしているので、機械そのものが身体にかなり近い位置にある。ジェット噴射の力で空を飛ぶというのが基本構想だが、火が身体に近すぎてそのままでは火傷をしてしまう。それに燃料タンクを直接背負っているようなものなので、万が一事故が起これば非常に危険だった。

 そこでグリムはジェットパックに翼をつけて、その翼からジェット噴射を行うことで火を身体から遠ざけた。翼の形を工夫して空気抵抗を制御し、さらに浮力を生んで飛行を助ける設計。素材も試行錯誤の末に、十分な耐久性を備えるものを選んだ。
 そして完成した試作品第一号、それをもってグリムは初のテスト飛行に挑んだ。

 ――しかし、結果は失敗だった。

 これがもし地上の実験なら成功していたかもしれない。しかしここは空の世界。
 地上から飛び立った場合よりも、開始時点からすでに高度がかなり高い。そして高度が高くなればなるほど気温は低くなる。
 結果、ほんの少し上昇しただけで燃料が凍結してしまい、グリムはそのまま空の底へと真っ逆さまに落ちていった。

 死を覚悟したそのとき、彼を救ったのは名も知らない風竜だったという。
 風竜はそれほど人間に対して友好的な態度ではなかったが、翼を持たない身でありながら空を飛ぼうとするその心意気だけは気に入った、と彼を称賛した。

 これをきっかけに、グリムは竜に強くあこがれるようになっていった。

 そして彼は空を飛ぶ研究に竜を取り入れることにした。かつての機械技師たちは地上で暮らしていた。だから竜という存在を知らなかった。彼らの知らなかった竜というものを取り入れれば、彼らの成し遂げられなかった研究を自分が達成させられるのではないか。そうグリムは考えたのだ。

 まずは最初に、飛行艇の設計を応用して機械で竜を再現しようとした。竜を研究に取り入れるならば、まずは竜の構造を理解し、そしてそれを機械的な構造に落とし込む必要があったからだ。
 その再現にまた長い年月を費やすことになるのだが、その結果としてできたのが例の機械の竜ゴライアスだった。

 次はそれを小型化する番だ。模型から大型の飛行艇を作ったときの逆をすればいい。人ひとりが搭乗するサイズの機械の竜を作り出す。
 だが実際に完成させてみると、それはグリムの思い描いていたようなものとは違っていた。

「やはりこれはあくまで乗り物だ。ジェットパック構想は、機械で補助はしながらも基本的には人ひとりの力で飛ぶイメージ。これには自分の力で飛んでいるという感覚が足りない。そう、風を感じられないのだ」

 そこでグリムは、機械の竜を分解して鎧のように身体に装着できる形にしようと考えた。鎧が身体を護るので、火傷や事故の危険性も軽減できるはずだ。

 しかし、これもうまくはいかなかった。まず全身を護る鎧では重過ぎて宙に浮かぶことすらできなかった。なんとか軽量化してみると浮かぶことはできたが、まったくバランスを取ることができずに振り回されたあげく、地面に激突した。

 機械の竜はバランスが取れていた。竜の首や尾が長いのはちゃんと意味があったのだ。翼をブースターとした場合、大きくずっしりとした身体が中心に来るのは重心を支える上で非常に重要だ。そして前後に伸びる長い首や尾が細かいバランスを調整するのに一役買っている。
 一方で人間の身体は細長い棒状だ。そして中心よりもむしろ頭が重いので、頭のほうにバランスを崩しやすい。人間は飛行に適した身体をしていない。

 翼の大きさを調整したり、竜の尾を模した部品をつけてみたりと試行錯誤を繰り返したが、ここで彼の研究は行き詰ってしまった。

「先人たちが成し遂げられなかった研究。やはり人ひとりの力で空を飛ぶというのは、しょせんは夢物語なのだろうか……」

 そんなときにグリムは竜人という種族の存在を知った。
 竜人とは人間と竜族の間に生まれた存在。その姿は様々だが、中には翼を持ち、自由に空を舞うことができる者もいる。これだ、とグリムは思った。

 当時迫害を受けていた竜人たちは身を隠して各地に散っており、彼らを探してグリムは空の世界中を旅して回った。
 そしてついにアルヴという竜人たちの隠れ里の存在を嗅ぎ付けたのだった。

「……長すぎるわ!」

 言っておくが、これで話の一割だ。ここにあと九割の無駄な話が加わるというのだから、本当にもう聞かされる身としてはたまったものではない。

「まったく。お主はまず結論を先に話すことを覚えるべきじゃぞ。ええと、つまりアルヴを観察しているのは、翼を持つ竜人を参考にするためなのか」
「左様ッ! 竜人のあの絶妙なバランス。あれこそまさに自然の生んだ奇跡のバランスだ! 人のように細長い体形でありながら、しかしわずかに長い首と体格にたいして不自然なほど長いと思われていたあの尾。だが翼を持ち空を飛ぶことを考えるとむしろあの長い尾は必然! あれこそ人が空を飛ぶために必要な究極にして完璧な形であり、あれを取り入れることによってワタシの研究は……」
「わかったわかった。頼むから落ち着いてくれんか」

 つまりまとめると、グリムはアルヴの竜人を参考にして、空を飛べる翼のような機械を作ろうとしている。そういうことだ。
 あの長い話がたった二行で終わってしまった。これだから、話の脱線の多い人間は困る。さっさと結論を言え。

 ともかく、グリムがアルヴに関心があるということはわかった。これはこんどこそ突破口になるはずだ。

「時にグリム。ゴライアスを使ってわざわざ遠くから観察しておるようじゃが、それなら実際にアルヴへ行って竜人を観察したほうが良いのではないか? カメラ越しではなく直接その目で見ることで、より詳細がわかるやも知れんぞ」
「それはその通りだな」
「ならばそうすれば良いではないか。お主の目の前にそのチャンスが転がっておるのだぞ? なぜそれをつかもうとしない」
「今、努力をしているところだ。先程、ワタシは身体をいずれ脳以外すべて機械に置き換えるという話をしたな」

 先程、というにはあの長い話のせいで違和感を覚えるが、たしかにそうだった。この老齢の男はすでに人間の寿命を遥かに超えて生きている。それは老化によって衰えた器官を機械で代用しているおかげだという話だったが。

「ワタシはいずれ身体の外部も機械に置き換える。そしてそのときは、竜人に模した姿で設計しようと考えている。アルヴは竜人の国なのだ。竜人の国に入るには、竜人にならなくてはな。それが礼儀というものだろう」
「何? ではお主は自らを改造して竜人になろうというのか」
「あくまで一時的な話だ。ワタシが真にあこがれるのは竜である。ゆえに竜人をモチーフにした飛行装置の研究が終わったら、ワタシは自分のための研究を始めたいと思っている。すなわち、ワタシ自身が機械の竜になるのだ」
「…………???」
「何を驚いた顔をしている。そもそも人間の身体は飛行に適していない。竜の身体こそが飛行に最も適している。ならば竜になればワタシは自由に空が飛べる。そうだろう?」

 竜人になればアルヴに入れる。そして竜になれば空が飛べる。
 そんなことを真面目な顔をして言い放つこの男の考えていることが、私にはよくわからなくなった。竜人とか竜になると言っている話のことではない。あくまで機械にこだわって、自分の身体を改造しようとしている点についてだ。

 一時的に姿を変えるだけなら変性魔法を使えばいい。私やクエリアがよく人間の少女に変身しているように、あるいはオットーがフレイヤの魔法で竜と化していたように、どちらも魔法で簡単に解決することができる。
 そもそも浮遊魔法が存在するこの世の中で、わざわざ機械のジェットパックとやらで飛ぶことにこだわるのはなぜなのだろうか。
 そのことを直接聞いてみると、グリムはそれをばっさりと否定した。

「魔法など邪道である。そんなものはズルだ。ワタシは人間の力だけで空を飛びたいと考えている。魔法は人間が生み出したものではないのだからな」

 私にはわからない。それを言うなら機械を作るための金属も大地が生み出したものだし、自分の魔力を使って魔法を使えば自分の力ということになるはずだが。

 時に人間とは頑固である。一歩はなれて客観的に見てみれば、すごく効率の悪いことをやっているというのに本人はそれに気がつかない。そして時にはそれを最後までやり通してしまう。
 無理も通れば道理になるとは言うが、私にはとても真似できない道理だ。

 しかしそれをやり通してしまうその道理は、強い意志の力なくしては為しえないこと。その力は称賛すべきものだし、私が期待している奇跡の力だ。

「ふむ。なんて頭の固いやつじゃ。しかし、ますます気に入ったぞ。ならば私もその強い意志の力をいうのを真似してみようと思う。私は絶対にお主を仲間として連れて帰ると決めたぞ。さあ、私と一緒にアルヴへ来てもらおうか」

 まだ私はその『強い意志』というものを完全に理解したわけではない。ここで力ずくでグリムを連れ帰ることもできるが、それは強い意志の道理に適った行為なのだろうか。それともあきらめずに説得を続けることこそが、強い意志らしい手段なのだろうか。

 とにかくあきらめない。絶対にやってみせる。
 その意気が大事に違いないと心に言い聞かせて、どんな長期戦になろうとも、なんとしてもこの男を仲間に引き入れてみせるぞ、と私は身構えた。
 すると、

「よし。ではそろそろアルヴへ向かうとするか」

 グリムはあっさりと承諾してみせたではないか。

「な、なんじゃと!? あれほど反対していたのに、どうしてそんな急に」
「何を驚いている。いつワタシが反対だと言った?」
「今さら人の輪には戻れないとか何とか言っておったじゃろうが」
「言ったな。しかし反対だと言った覚えは少しもないぞ」
「え?」
「あのフレイという青年から事情は聞いている。貴女が案内してくれるのだろう? さあ、早くワタシをアルヴへと連れて行ってくれ」

 くそう。だから結論から言えと言ってるだろう!
 どうやらすでにフレイが説得して話がついていたらしい。
 人の輪に戻るつもりはないし、まだ身体を竜人に改造していないので、アルヴァニアの街に住むつもりもない。
 しかし観察を重ねたおかげでアルヴの地理にはけっこう詳しいらしく、街はずれの雲の森にすでに目星をつけていたらしい。そこに拠点を設けて研究を続けることを条件に彼はフレイの話に乗ったそうだ。

 せっかく身構えていたというのに肩透かしを食らってしまった。
 強い意志の力を持つグリムが仲間になってくれるのはありがたい。願ったり叶ったりだ。しかしせっかく絶対にあきらめないと心に言い聞かせた私の誓いは?
 このもやもやしたすっきりしない気持ちは一体どうすればいいのか。
 私が意志の力を理解できるようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

 やがて機械竜(ゴライアス)に乗って戻ってきたセッテたちとともに、私はグリムを連れてアルヴへと帰った。フレイはまだいいが、セッテとゲルダは一体何をしについてきたのだろうか。

 帰りはグリムの操縦するゴライアスに三人を乗せてもらったので来るときほどは疲れなかったが、精神的にはどっと疲れる一日になった。
 この疲れも意志の力で吹き飛ばすことができればいいのに。


Chapter48 END

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