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【宮田司郎】 クロックタウン 北側門境
 00時34分58秒


【宮田司郎】 クロックタウン 北側門境
 00時34分59秒


【宮田司郎】 クロックタウン 北側門境
 00時35分00秒









────────ザッ……ザザッ……

(なかなか、順調な方といったところか。
 ここからなら右手の山々も、左手の都市部まで、よく見える。目の前には雪山が見える事から、恐らくここは中央部。
 地図でいうところの3─C辺りだろう。
 森の中の様な判断に困る場所に飛ばされて現在地の判らない人間もいる事を考えれば、もしかすると最高に近いスタートを切れたかもしれない…………)

「オマエ、オレの話聞いてるか?」
「ええ、もちろん。私にとって興味深い話ですから」

 目の前のカカシのような珍妙な小鬼、スタルキッドの話を聞きつつ宮田司郎は考えていた。厳密に言えば
『どうやって未知の怪物共を避けつつ事態を収拾するか』という事と、平行世界について整理していたという方が正確である。
幻視で補足、先に声を掛けてお互いに敵意の無い事を確認し姿を見せあうまではよかった。
まず驚愕したのは、今まで会話していたのが人間ではなかったこと。これについては、ついさっきまで目から血の涙を流しながら
ケタケタと笑い声をあげる話の通じない化け物に遭遇していた為そこまで気にすることではなかった。

 だが、目の前の存在が語る世界と自分が今まで生きてきた世界との途方もない食い違いには、流石に頭を痛める事となる。
ゾーラ、ゴロン、そしてデクナッツ。聞いた事もない町に地図にない大陸。
この現象は故郷で起こっていた『現実世界とは異なる世界へのワープ』と類似する点が多くある。この殺し合いには少なくとも
あの透明な蜂の化け物のような眞魚教の神と同等か、それ以上の力を持つ存在が関わっているのだろう事は想像に難くない。
宮田史郎は淡々と現実味のない話を聞きながら必要事項を拾ってゆく。

「それで緑の子は月に行って、ムジュラのヤツをやっつけて世界を救ったのサ!」
「今出ているような月にですか?」
 とすると、ここはどういう世界であるかということが重要である。確認のためにこの月については聞いておくべきだった。
「そうさ!きっとまたあの緑の子が助けに来てくれるって、オイラ信じてるんだ」
「……まったく同じ、顔のある月ということでいいんですね?」

 やはり帰ってきた答えは「YES」。顔のある月など、『こちらの世界』では聞いたこともなかった。
喋っている当人は気付いて無いらしいがどうやらここは『彼等の世界』らしい。モンスターがいて、兵士に守られた城塞都市が健在の……。
 脱出困難、詳細不明の化け物や人間兵器相手に優勝は望めず、主賓を消して解決しようにも違う世界に居るのならどうしようもない。
せめて首輪さえ外せれば多少逃げられる確率は上がるかもしれない。しかし、この首輪も話に出てきた仮面と似たような
フシギな魔法とやらで出来ている可能性すら出てきた。


────────ザザッ……ザッ…………


「……やっぱりオマエ聞いてないだろ!さっきから目、押さえてばっかだし」
「すいません、少し疲れているんですよ。そうですね、お詫びに隠れん坊でもしましょうか」
 (状況は総合的に見て悪い。しかし、どう悪いのかを知れただけでもましだ。要はコレより魔法に詳しい者に取り入ればいい。何より、周囲の状況だけならコレのお陰でどうにかなりそうだ)

 口角を無理矢理吊り上げたような、邪悪な作り笑いにスタルキッドは気付かない。
「オイラと遊んでくれるのか?じゃあオイラ達は友達だよな!」
 例え今から見捨てようとしている対象に無邪気な言葉を掛けられても、宮田司郎は動かない。
「ええ、勿論ですよ。では先ずは鬼を決めましょうか」
宮田司郎は虎視眈々と解決の糸口を手繰って往く、例え自分以外のすべてを犠牲にしても……





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「オーイ!ドコだ!ココか?」

 スタルキッドは鬼になった。見知っているはずの見知らぬ場所で取り残されて、既に見限られた事も解らず、出口を探している。
昔、彼が本物の鬼となった時と似ていた。森深くで迷子になり、捜索も断念される────そんな状況。別の世界なら本来、そのまま死んでいただろう。
「ン?なんだコレ?」
 小鬼は彼の故郷にはないソレを、物珍しげに見つめていた。それは昔とは似て非なる物だった、確実に終わりを与えるという点で────────

 「待てッ!ソレに触るんじゃあないッ」

 突然焦っているが冷静沈着。声を荒げているが周囲に配慮した小声と表現すればいいのか……
ともかく矛盾した印象を受ける男の声が後ろから聞こえる。驚いて小鬼が振り返るとそこにいたのは金と黒の入り交じった葉と
趣味の悪い、髑髏の付いたピンク手袋が特徴的なデクナッツだった。

「なんだ。オマエデクナッツか。脅かすなよな!」
「ああ、すまないね。ただ爆弾に触ろうとするのを止めてやったのに、悪態をつく態度は良くないな」

 もう一度見直してみても自らの知る爆弾ではなかった為、驚きながらも小鬼は謝った。彼の中では爆弾というのは黒丸に導火線か、樽に綱しかなかったのだ。

「何時の時代の爆弾だそれは?まぁいい、私は此処に来る前の記憶が曖昧でね、記憶喪失というやつらしい。
 どうやら君は私の種族の事を知っているようだし、少し話を聞かせてくれないか?」
「しょうがないヤツだなぁ、オマエもアイツも」

 話を聞かない割に質問の多かった同行者を思い、ため息をつく。助けてくれた人間だし信用はできそうだ。なので話をするのはいいが
あまり頭のいい方とは言えないスタルキッドにとって順序だてて何度も別々の事を説明するのは骨の折れる作業なのだ。
ヤレヤレと首を振るスタルキッド、キョロキョロと見渡すデクナッツ。

「同行者がいるのか?姿は見えないようだが……」
「あっ!そうだ、アイツとカクレンボしてたんだった!オマエもカクレンボするか?」
「か、『隠れん坊』?『隠れん坊』と言ったのか……この場所、この環境で?」

 妙なヤツ等だ。と、スタルキッドは思った。
さっきから皆話をする度大袈裟に驚くし、まるでこっちが悪い冗談でも口走ったような顔をする。
理屈の解らない疎外感を感じ、腕を組んで何か深刻に考えているデクナッツに問いただそうとした。
 が、次の瞬間、息が詰まって喋るどころではなくなっていた。目の前のデクナッツから伸びた、身の丈に合わない逞しいピンク色の腕が首を締め上げているのだ。

「グ…………ッ!オマエ……まさか…………!」
 スタルキッドは思い出す!今いるここは殺し合いの場ッ!助けたのは善意なんかじゃなく、他人の仕掛けた爆弾で中途半端にケガをされるよりも
 自分で始末を付けた方が確実だからという可能性もあるということをッ!

「いいや、こんな下らないゲームに乗ってやる気は全くないな。
 ただ知っているかい?この町はもうトラップだらけで足の踏み場もないんだ(爆弾とか落とし穴とかな)」
 辛うじて稼働できる首を横に振る。何の為にそんな質問をするのかは解らなかったが、しかし得たいの知れない不気味さを感じることだけは確かだった。
「運良く仕掛けている所を発見しなければ私も危なかったかもしれない。
 この吉良吉影、常に感じるんだがこういう窮地に立たされた時程幸運に守られている気がする」

 幸運がどうとか言っている割に何を思い出したのか苦々しい事を思い出したかのように歯軋りをしている。

「さて、本題に入ろうか。もしかして君、町に誘導されたりはしなかったか?
 えぇ、どうなんだ?そこの所を聞いておきたい」

 初めは何を言っているのか理解に苦しむ話だった。昔ならともかく、トモダチを疑うだなんて、そんな事は、論外、なのだ。
(私は町の中に隠れます、その方があなたも見つけやすいでしょう)
 裏切り、それは彼の決して浅くはないトラウマを想起させるのに十分な言葉だった。
 小鬼の顔は青みが増し、瞳には影が射した。話を聞くためか拘束が弛んでも体は微動だにしない。戦意も気力も喪失してしまったのだ。

「……そうか、君自身の話を聞くのも面白そうなんだが、もうゆっくりと話し込んでいる時間は無さそうなんでね。要点だけかいつまんで話してくれないか?」

 やはり最初に感じた違和感は的中していた。殺意はあるが覚悟なく、行儀良く頼みながら荒々しく脅し、見上げるように見下している。外身と中身が一致しない、矛盾の塊がそこにいた。




 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「こ、コレだけ話したんだ、助けてくれるよな……?」

 暗い門の陰で許しを乞う声がする。

「ああ、もちろんだッピ、私達は友達じゃあないッピか」

 それに答える影がある。

「ト……トモダチ…………」
「その印に今手を離してやろう、解放してやるッピ」

 言葉すら発せずただただこの場から逃げようと走る後ろ姿を見て、影はニタリと笑う。

「ああ、喋らない君は私の友達だよ」

 悲痛な声は夜の闇に溶けるように消え、ハムのようになった首輪の落ちる音と、下手人である影だけがそこに残った。影は独り呟く。
 (名前はわからなかったが、既に決断を済ませた者がいたようだな。遠隔操作型のスタンドか、それとも単純に2人いるのか……どちらにせよさっきの奴を『地雷原のような地帯』に送り込んだ奴がいるということは確実だな)

 風変わりなデクナッツ、彼の名は吉良吉影。
かつて森王町を深く傷つけた割に植物の心のような平穏な人生を送ることを夢見ている、暴力は嫌いだが躊躇い無く殺すという恐ろしく矛盾を孕んだ殺人鬼。
「フ~~~~~~、とりあえず私が『故郷』の事を全く知らなかった事実は消えたな。
 ま、いざとなれば我が『バイツァ・ダスト』を発動させ逃げ切ってやればいいがね。それにしてもさっき、『何か』
 向こうの屋根の上を跳ねていたようだッピが…………」
 豹のような獰猛な瞳で冷静に屋根の上を睨む。殺人の証拠を見られた可能性もあるのだ、消すべきか消さざるべきかは慎重に考えねばならない。

「…………いや、いいか。これ程あからさまに乗っているヤツが他人に取り入る訳はないからな。さて、問題は『どう切り抜けるか』だ……ッピ」

 さっきのようなのでもない限り『無力なサラリーマン』を装っておいた方が取り入りやすいだろう。
 しかし、最初スタンドかと見間違えるような珍妙な生き物も参加しているのだ。より完全に素性を隠し、リスクを減らし、うまくやっていくには
この『デクナッツ』に成りすます必要も少なからずある。
その為には地図を確認すると見つかった、さっきのヤツがチラッと溢していた町の南にあるとかいう『デクナッツの住処』ッ!此処に向かわなければならないッ!
 何よりもこんな所では安心して眠れない為に外に出ることは確定事項なのだ。
ここまで無事に来られたということはまだ仕掛けきって無いようだが、恐らく既に入り口は封鎖されているに違いない。と、吉良吉影は推理している。
ならば出るなら上か下。身軽な様子だったし跳んで仕掛けに行っているであろう上のリスクは高い(密閉された空間でないだけマシといったところか)。
しかし爆破で穴を開け、下を進んで行ってこの『仮面』を外した時、お気に入りのスーツに泥でも付いていたら気分を害する。
さて、どうするか?



【4-Dクロックタウン南側内部/1日目/深夜】
 【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険
 [状態]:デクナッツ、健康、厄介事に巻き込んでくれた主催者への怒り
 [装備]:デクナッツの仮面セット@ゼルダの伝説ムジュラの仮面
 [道具]:ランダム支給品(0~2)基本支給品
 [思考・状況]基本行動方針:トラブルに巻き込まれないよう立ち回る。
1:上か下か、迷うな。
2:『デクナッツの住処』へ向かう
3:とりあえずはこの忌々しい首輪を何とかしたい。

※ムジュラの存在を朧気ながら感じました。
※参戦時期は少なくとも『バイツァ・ダスト』修得後です。
※スタルキッドの首付き首輪とデイバックをどうするか、どうしたかは後の書き手にお任せします


【スタルキッド@ゼルダの伝説ムジュラの仮面:死亡確認】




名前:宮田司郎
出典:『SIREN』
年齢/性別:27歳/男性
外見:黒髪黒目、牧野啓と同じ顔だがこちらは髪が跳ねている。
   ブルーのYシャツの上から白衣を羽織っている。
環境:
羽生蛇村で医院を営んでいる、というのは表の顔で、実際は代々宮田家は村の暗部を
求道師(村の宗教の中心で、儀式の進行役)らに代わって一手に担う存在であり、
儀式の障害となる者を秘密裏に処理している。
実は養子で、本名は吉村克昭(よしむら かつあき)。
求道師の牧野慶?こと吉村孝昭(よしむら たかあき)の双子の弟である。
性格:
義理の母親に歪んだ愛情を注がれながら育てられ、汚れ仕事をこなし続け、
また求導師として村からの期待を一心に受けている兄に対し、強いコンプレックスを抱いているため、
かなり鬱屈、屈折した性格。
目的のためには手段を選ばず、屍人の謎を解明するためとはいえ、化物となった恋人とその妹を生きながら解剖するほど。
判断力、適応力は高く、常に冷静である。
能力:
裏の仕事柄、殺人に対する忌避感が麻痺している模様。
また、幼少時から自分に呼びかける「声」を聞いていたため、霊的な事象に耐性、適応性がある可能性あり。
ゲーム本編では銃を使うシーンもあり。ただし、特に扱いに慣れているわけではないようだ。
口調: 一人称は「俺」、他人は苗字や名前にさん付けなどだが、
基本的には人の名前をあまり呼ばず、「お前」「あなた」などと呼ぶ場合も多い。
平坦で感情のこもらない喋り方。
交友: 恋人の恩田美奈以外との関わりは浅かった模様。羨望・憎悪対象の牧野慶?は別格。
備考:
原作OP前、恋人・美奈にコンプレックスに触れられ、激昂して衝動的に絞殺してしまった。
人通りのない森の中に彼女を埋めようとしていた時、異変に巻き込まれる。






【宮田司郎】 クロックタウン 東門周辺南門寄り
 00時46分48秒

【宮田司郎】 クロックタウン 東門周辺南門寄り
 00時46分49秒

【宮田司郎】 クロックタウン 東門周辺南門寄り
 00時46分50秒




────────ザッ……サザッ問題は、どう切り抜けるかだ  ザッ………サザッ………


「デクナッツ、吉良吉影。彼の存在は危険ですね」

 門の外、宮田司郎は冷静に今「視た」映像を反芻する。勿論、南門側から離れながら。
 彼の能力、幻視(別名視界ジャック)。自分を中心に周囲の生物の視覚、聴覚を自分の物の如くジャック(正しくはハイジャック)、つまり乗っ取り盗み視る事ができる。
 距離がある程度近くなければ「視れない」(とはいっても軽く半径50メートル範囲位なら捉えきれるが)事と
 意識を向けた方向に誰も居なければ耳障りなノイズが走る点が不満といえば不満。
 だが使いこなせれば、相手が飛んでいたり天井を移動していようが猟銃を持っていようが、その両方だろうとも殺しきれるし逃げ切れる応用力がある。
 わざわざ北門からこんな所まで来たのは、北側では視辛かったこの町の中にいる3人全ての情報を手中に納める為である。
 用意周到で優秀な宮田司郎ならそうするだろう。
 それにしてもスタルキッドは存外役立ってくれた。何者かが空中を飛び回っている視点では把握しかねていた部分を埋めてくれた上に気にかかっていた三人目の参加者の危険性を発見してくれたのだ、尊い命を犠牲にしてしまったがこれで他の多くの命が救えると思えば仕方がない。
狂気的に見える程の探求心を持つ宮田司郎ならそうしただろう。冷静で冷徹な宮田司郎なら。単独行動を好む癖に、変に人を助けたがる優しい兄なら!!

 背を壁から離し、元に戻ろうとする髪型を乱れさせた。風に翻る所々焦げた白衣の内側からは、底の抜けた内ポケットに納められた白と青の美しい銃身が覗いている。

(不思議だ、なんだか勇気がわいてくる。道路を歩いていた時とは大違いだ)
 いや、恐怖が消失しているのだ。罪悪感も、幾らかの負の感情も。
(これなら、私の成すべき事を成せる。【私】では出来なかった事を)
 果たして彼はやれるだろうか?
(裏から皆を助け、邪魔者は始末する。もちろん決断が必要な時は切り捨てるものは切り捨てなきゃいけない)
 目前敵に鉄パイプを振るう事すら出来なかった彼は、役目を全う出来るのだろうか?それは誰にもわからない。
「俺は……」
 彼の名は
「宮田司郎だ」
 牧野啓である。




【4-Dクロックタウン 東門出口周辺/1日目/深夜】
 【牧野啓@SIREN】
 [状態]:健康、恐怖その他感情欠落
 [装備]:焦げ目のある白衣とYシャツ@SIREN
    ベルウェルク@BLAZBLUE
 [道具]:コスチュームセット@METAL GEAR SOLID3+α、ランダム支給品(0~1)、基本支給品
 [思考・状況]基本行動方針:宮田司郎として務めを果たす。
1:まずは幻視で情報収集、無害な者には近付いて会話。
2:襲われているものがいれば慎重に逃げ道を確保しつつ助ける。
3:とりあえずは首輪を解除する方法、それと脱出方法を模索。

※吉良とスタルキッドの会話を聞いていました。
北条沙都子の視界から町に仕掛けられた爆弾の位置を大まかに知りました。
※参戦時期は最後に宮田に会う直前です。


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最終更新:2014年08月26日 22:32