空腹の音 ◆7WJp/yel/Y
どうすればいいと言うんだ。
誰も。
誰も、千翼の将来を夢見てくれない。
誰かと一緒になって幸せになったり、何かを成し遂げて世界に貢献したりするような。
誰かの役に立ったり、一生に一人でいいから誰かを守り抜いて幸せにするような
そんな当たり前のことを、誰も望んではくれない。
生まれてきたことが誤りだったと、過去も、現在も、未来も、否定される。
なんのために生まれてきたのかわからなくなる。
だから、拉致をされて殺し合いなどと言われて行動を強制されても、それは普段の日常となんら変わらない。
千翼は生きているだけで人間の生命と尊厳を害する存在であり、人間は生きているだけで千翼を殺そうとする存在だからだ。
殺したり殺されたりするのは、普段の延長線上にしかない。
だからこそ。
千翼は自分の立ち位置を見失っていた。
人を害するために処分されることが運命づけられた自分と、その運命を理解しながらも抗いがたい生への執着、いや、願望。
そして、自らの食欲を刺激しなかった唯一の少女、イユの存在。
自らは人間だという気持ちが強くあり、そのままに生きることを許してくれるような存在。
イユが生きている限り、人間らしく生きられるのではないだろうか。
誰も、千翼の将来を夢見てくれない。
誰かと一緒になって幸せになったり、何かを成し遂げて世界に貢献したりするような。
誰かの役に立ったり、一生に一人でいいから誰かを守り抜いて幸せにするような
そんな当たり前のことを、誰も望んではくれない。
生まれてきたことが誤りだったと、過去も、現在も、未来も、否定される。
なんのために生まれてきたのかわからなくなる。
だから、拉致をされて殺し合いなどと言われて行動を強制されても、それは普段の日常となんら変わらない。
千翼は生きているだけで人間の生命と尊厳を害する存在であり、人間は生きているだけで千翼を殺そうとする存在だからだ。
殺したり殺されたりするのは、普段の延長線上にしかない。
だからこそ。
千翼は自分の立ち位置を見失っていた。
人を害するために処分されることが運命づけられた自分と、その運命を理解しながらも抗いがたい生への執着、いや、願望。
そして、自らの食欲を刺激しなかった唯一の少女、イユの存在。
自らは人間だという気持ちが強くあり、そのままに生きることを許してくれるような存在。
イユが生きている限り、人間らしく生きられるのではないだろうか。
(だけど、イユも死んでしまうかもしれない……)
そんな自分勝手な想いと同時に、単純にイユの身を案じる自分もいる。
共に行きたい。
だが、それが叶わないのならば、一人だけでしか生きられないならば。
その時は。
共に行きたい。
だが、それが叶わないのならば、一人だけでしか生きられないならば。
その時は。
(……っ!)
その瞬間、千翼の脳裏によぎるのは一人の女性の姿。
誰よりも愛していた、自身の母親の存在。
そして、その母親を食い殺してしまったかもしれないと感じていた恐怖。
だからこそ、千翼の心に芽生えるはずのない、自己犠牲の心も浮かび上がる。
自分が生きられないならば、せめてイユだけでも。
自分だけが生きたいと思う心も、自分を犠牲にしてイユを生かしたいと思う心も、同時に湧いてくるのも確かだった。
この体に流れる血は揺蕩う炎のようで、鮮やかにこの身を焦がしていくのを感じる。
誰よりも愛していた、自身の母親の存在。
そして、その母親を食い殺してしまったかもしれないと感じていた恐怖。
だからこそ、千翼の心に芽生えるはずのない、自己犠牲の心も浮かび上がる。
自分が生きられないならば、せめてイユだけでも。
自分だけが生きたいと思う心も、自分を犠牲にしてイユを生かしたいと思う心も、同時に湧いてくるのも確かだった。
この体に流れる血は揺蕩う炎のようで、鮮やかにこの身を焦がしていくのを感じる。
「……よっ! ………っ!」
「だから……っ!」
「だから……っ!」
そんな千翼の思考に、大声が割って入る。
千翼は自身が思考に意識を割きすぎて油断していた事実に気づき、ハッとする。
ゆっくりと、その声の方角へと向かっていく。
それは肉食動物のような捕食者の動きではなく、草食動物のような被食者の動きだった。
果たして、果たして。
その先に居たのは、なんと。
千翼は自身が思考に意識を割きすぎて油断していた事実に気づき、ハッとする。
ゆっくりと、その声の方角へと向かっていく。
それは肉食動物のような捕食者の動きではなく、草食動物のような被食者の動きだった。
果たして、果たして。
その先に居たのは、なんと。
「頼むよ、頼む! 一生のお願いだ! 俺と結婚してくれ!
死ぬ前に誰かと一緒になりたいんだ!」
「だから、離してください!」
死ぬ前に誰かと一緒になりたいんだ!」
「だから、離してください!」
ピンと一本だけ毛先が跳ねた長髪の可愛らしい女の子の足にしがみつく、派手派手しい雷のように金色に光った髪の男だった。
派手な金髪とは裏腹に、女の子を襲いかかっているのかと勘違いすることも出来ないような情けのない男だった。
あっけに取られる千翼。
その隠れている千翼に気づかずに、金髪の男はアホ毛の女の子に縋り付くことをやめない。
派手な金髪とは裏腹に、女の子を襲いかかっているのかと勘違いすることも出来ないような情けのない男だった。
あっけに取られる千翼。
その隠れている千翼に気づかずに、金髪の男はアホ毛の女の子に縋り付くことをやめない。
「だって君は俺のことを心配してくれたじゃないか!」
「男の人を心配しただけで結婚しなきゃいけないなら、私は人生で何回結婚をしなきゃいけないんですか!」
「男の人を心配しただけで結婚しなきゃいけないなら、私は人生で何回結婚をしなきゃいけないんですか!」
信じられない。
どうやら、この状況で金髪の男はアホ毛の女の子に結婚を申し込んでいるようだ。
頭がおかしいのか?
どうやら、この状況で金髪の男はアホ毛の女の子に結婚を申し込んでいるようだ。
頭がおかしいのか?
「死ぬ前に結婚してくれよ、俺は死んじゃうんだぜ!
君が俺と結婚してくれれば俺は少しだけ救われるんだよ!
だから、頼む!
俺と夫婦になってください!」
「返してください!
私の初めてのプロポーズをこんなことで消費した私のロマンスの夢を返してください!」
君が俺と結婚してくれれば俺は少しだけ救われるんだよ!
だから、頼む!
俺と夫婦になってください!」
「返してください!
私の初めてのプロポーズをこんなことで消費した私のロマンスの夢を返してください!」
しかも、二人は初対面のようだ。
死ぬのが怖いから結婚してくれと、みっともなく求婚しているのだ。
それがどうしようもなくみっともなくて。
あるいは、自分はそんなみっともなさをさらけ出せないのに簡単に見せている男が恨めしくて。
千翼は気づけば無音で、男女にとって死角から男の側に立っていた。
死ぬのが怖いから結婚してくれと、みっともなく求婚しているのだ。
それがどうしようもなくみっともなくて。
あるいは、自分はそんなみっともなさをさらけ出せないのに簡単に見せている男が恨めしくて。
千翼は気づけば無音で、男女にとって死角から男の側に立っていた。
「やめろよ」
ぐっと首元を引っ張って、女の子の細い足にすがりつく金髪の男を引き離す。
突然現れた千翼にビクリと女の子は体を震わせる。
対象的に金髪の男はそれほど驚いたようにもせず、恨めしそうに千翼を睨みつけて、枯れきった叫びをあげる。
突然現れた千翼にビクリと女の子は体を震わせる。
対象的に金髪の男はそれほど驚いたようにもせず、恨めしそうに千翼を睨みつけて、枯れきった叫びをあげる。
「いきなり現れていきなり口を挟むなよ! なんなんだよ、お前!」
「俺は千翼だ」
「そうかい、千翼! 俺は善逸だよ、よろしくね! そして、じゃあね!」
「そっちは?」
「あ、私は中野五月です」
「無視すんなよっ!!!!」
「俺は千翼だ」
「そうかい、千翼! 俺は善逸だよ、よろしくね! そして、じゃあね!」
「そっちは?」
「あ、私は中野五月です」
「無視すんなよっ!!!!」
善逸の訴えを無視してと五月の名前を聞き出した千翼。
その千翼へとやはり耳障りとも言えるほどの大きな声で自身の存在を訴えかける。
いちいち気に障る性格をしており、千翼の短すぎる人生でここまでみっともなさすぎる人物は見たことがない。
その千翼へとやはり耳障りとも言えるほどの大きな声で自身の存在を訴えかける。
いちいち気に障る性格をしており、千翼の短すぎる人生でここまでみっともなさすぎる人物は見たことがない。
「こんなことやるなよ、善逸」
「こんなこと!? こんなことだって!?」
「五月は嫌がってるだろ、なんでこんなみっともないことしてるんだよ。
生きていて恥ずかしくないのか?
そもそも、生きていて恥ずかしい善逸はなんで生きてるんだ?」
「言い方がひどくない!?」
「こんなこと!? こんなことだって!?」
「五月は嫌がってるだろ、なんでこんなみっともないことしてるんだよ。
生きていて恥ずかしくないのか?
そもそも、生きていて恥ずかしい善逸はなんで生きてるんだ?」
「言い方がひどくない!?」
千翼の侮蔑を多くに含んだ言葉に涙を流しながら叫びを上げる善逸。
そして、なぜか胸を張って情けないことを語りだした。
そして、なぜか胸を張って情けないことを語りだした。
「はっ、お前を俺を買いかぶってるんだよ!
舐めるなよ、俺は弱いんだ!
千翼に五月ちゃん、お前と君が今想像したその倍は弱いんだぜ!」
舐めるなよ、俺は弱いんだ!
千翼に五月ちゃん、お前と君が今想像したその倍は弱いんだぜ!」
本当に胸を張るようなことではなかった。
そして、善逸は眼球を飛び出さんばかりに目を見開いて、虚空へと向かって指さした。
そして、善逸は眼球を飛び出さんばかりに目を見開いて、虚空へと向かって指さした。
「あっ!!!」
思わずといった様子で千翼と五月は指さされた方向へと視線をやった。
だが、そこには何もないとわかり、訝しげに善逸へと視線を戻した。
そこにはなぜか『してやったり』と誇らしげに顔を笑みに浮かべた善逸がいる。
だが、そこには何もないとわかり、訝しげに善逸へと視線を戻した。
そこにはなぜか『してやったり』と誇らしげに顔を笑みに浮かべた善逸がいる。
「いいか、今、お前が視線を離して視線を戻した瞬間だ!
俺はその一瞬の間に死んでる自信があるぐらいだぜ!
むしろ今生きているのが奇跡なぐらいなんだ!
だから、俺は五月ちゃんと結婚しなきゃいけないんだよ!」
「何が『だから』なんですか!」
俺はその一瞬の間に死んでる自信があるぐらいだぜ!
むしろ今生きているのが奇跡なぐらいなんだ!
だから、俺は五月ちゃんと結婚しなきゃいけないんだよ!」
「何が『だから』なんですか!」
我慢が出来ずに、五月が大きな声で言葉を挟む。
その言葉に対して、五月よりもさらに大きな声、いや、叫びで善逸は答える。
その言葉に対して、五月よりもさらに大きな声、いや、叫びで善逸は答える。
「死ぬの怖いんだよおおおおおおおおお!!!
いや、生きてるのも怖いこといっぱいだから怖いんだけど、死ぬのもそれはそれで怖いんだよねっ!
だからさ、死ぬならその前に一度ぐらい幸せな気持ちになりたいじゃないっ!」
いや、生きてるのも怖いこといっぱいだから怖いんだけど、死ぬのもそれはそれで怖いんだよねっ!
だからさ、死ぬならその前に一度ぐらい幸せな気持ちになりたいじゃないっ!」
完全に錯乱していた。
千翼は戸惑っていた。
千翼は確かに若すぎると言ってもいいほどの年齢だが、善逸ほどのおかしな人間は見たことがなかった。
千翼は戸惑っていた。
千翼は確かに若すぎると言ってもいいほどの年齢だが、善逸ほどのおかしな人間は見たことがなかった。
「死ぬ前に一回でいいから女の子と結婚したいんだよ!
独身のまま一人で死ぬなんて絶対に嫌だね!」
独身のまま一人で死ぬなんて絶対に嫌だね!」
そしてまた、千翼の影で五月も驚いていた。
五月は、丁寧な言葉づかいから勘違いされることもあるが、あまり頭が良くない。
嘘をついた。
五月は頭がすごく良くない。
それでも、善逸のような自分の倍は頭が悪いであろう人間には出会ったことがなかった。
五月は、丁寧な言葉づかいから勘違いされることもあるが、あまり頭が良くない。
嘘をついた。
五月は頭がすごく良くない。
それでも、善逸のような自分の倍は頭が悪いであろう人間には出会ったことがなかった。
「俺には見えるぜ!
あの桃色の髪をしたかわいい女の子みたいに、俺は首と胴体がお別れして死ぬんだ!
やだ、鬼殺の剣士なのに鬼みたいに死んじゃう!
いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「うるさいっ!」
あの桃色の髪をしたかわいい女の子みたいに、俺は首と胴体がお別れして死ぬんだ!
やだ、鬼殺の剣士なのに鬼みたいに死んじゃう!
いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「うるさいっ!」
甲高く汚い叫びを上げる善逸の腹部を、ドンッ、と軽く叩く千翼。
うぇぇっ、と呻きながら、ドスン、と善逸は地面に倒れ込む。
その体を抱えあげながら、五月へと顔を向ける。
うぇぇっ、と呻きながら、ドスン、と善逸は地面に倒れ込む。
その体を抱えあげながら、五月へと顔を向ける。
「とりあえず、ここから離れよう」
「あっ、はい」
「あっ、はい」
馬鹿騒ぎをしすぎた、悪意が近づいてくるかもしれない。
なんだか、馬鹿を見ていると馬鹿らしくなってきた。
なんだか、馬鹿を見ていると馬鹿らしくなってきた。
◆
うん、俺ちょっと動揺しすぎてたわ。
善逸は千翼から差し出された饅頭を頬張りながら、自己反省を行っていた。
動揺しすぎていたとはいえ、初対面の女の子に求婚する。
罪悪感を覚える。
それは五月に対してではなく、『竈門禰豆子』に対してだ。
禰豆子と出会い、心を奪われてからそんなことはなくなったというのに。
断っておくが、禰豆子は『とある事情』で知能を大きく退化させており、善逸の想いに気づくどころか会話すらも叶わない存在。
決して善逸と禰豆子の関係は恋人といったようなものではない。
一方的に善逸が禰豆子へと想いを寄せているだけだ。
なのに、五月へと求婚をしたことに禰豆子を裏切ったようで善逸の小さな良心がギスギスと痛む。
五月に対しては無自覚に迷惑をかけたなどと思っていない辺り、善逸の性格の問題点が伺える。
動揺しすぎていたとはいえ、初対面の女の子に求婚する。
罪悪感を覚える。
それは五月に対してではなく、『竈門禰豆子』に対してだ。
禰豆子と出会い、心を奪われてからそんなことはなくなったというのに。
断っておくが、禰豆子は『とある事情』で知能を大きく退化させており、善逸の想いに気づくどころか会話すらも叶わない存在。
決して善逸と禰豆子の関係は恋人といったようなものではない。
一方的に善逸が禰豆子へと想いを寄せているだけだ。
なのに、五月へと求婚をしたことに禰豆子を裏切ったようで善逸の小さな良心がギスギスと痛む。
五月に対しては無自覚に迷惑をかけたなどと思っていない辺り、善逸の性格の問題点が伺える。
「へー、五月ちゃんは姉妹がいて、その末っ子なんだ」
「はい、世界で五人だけの姉妹です」
「大家族だね、話に聞く炭治郎んとこみたいだ。
五月ちゃんの姉妹ならみんな美人なんだろうなぁ」
「はい、世界で五人だけの姉妹です」
「大家族だね、話に聞く炭治郎んとこみたいだ。
五月ちゃんの姉妹ならみんな美人なんだろうなぁ」
五月もまた千翼から受け取った饅頭を頬張っている。
ただ、ペースは善逸の倍は早い。
善逸はそれを見て女性らしくないと蔑むことはしない。
よく食べることは良いことだと思うし、幸せそうに物を食べる女の子は可愛らしい。
しかし、五月は千翼から差し出されたこの饅頭が毒入りだとは思わなかったのだろうか。
ただ、ペースは善逸の倍は早い。
善逸はそれを見て女性らしくないと蔑むことはしない。
よく食べることは良いことだと思うし、幸せそうに物を食べる女の子は可愛らしい。
しかし、五月は千翼から差し出されたこの饅頭が毒入りだとは思わなかったのだろうか。
(千翼から『殺意の音』は聞こえないから俺は食べたけど、五月ちゃんもなにか根拠があるのかな?)
千翼はひどくぶっきらぼうで、無愛想で、言葉もきつくて、いきなり殴りかかってくるやつだ。
そんな粗暴者の千翼だが、泣きわめく善逸と不安がる五月に食料を分けてくれた。
腹が満たされれば人間は落ち着く。
事実、善逸は先程の恐怖がわずかに収まり、こうしてまともな思考が働いていた。
そんな粗暴者の千翼だが、泣きわめく善逸と不安がる五月に食料を分けてくれた。
腹が満たされれば人間は落ち着く。
事実、善逸は先程の恐怖がわずかに収まり、こうしてまともな思考が働いていた。
(ああ、そうか。そういうことなのか)
千翼がぶっきらぼうで、無愛想で言葉もきつくて、いきなり殴りかかる理由が善逸はストンと腑に落ちた。
千翼は『腹が減っている』のだ。
だから、ずっとイライラしているのだ。
しかし、善逸の理屈はおかしい。
腹を減っている千翼がなぜ饅頭をよこしてきたというのだろうか。
それに対しても善逸は自分なりの根拠があった。
千翼は『腹が減っている』のだ。
だから、ずっとイライラしているのだ。
しかし、善逸の理屈はおかしい。
腹を減っている千翼がなぜ饅頭をよこしてきたというのだろうか。
それに対しても善逸は自分なりの根拠があった。
(こいつ、不思議な音なんだよな。
『鬼』とよく似てるけど、ちょっとだけ違う。
怖い音なのは間違いないけど)
『鬼』とよく似てるけど、ちょっとだけ違う。
怖い音なのは間違いないけど)
生き物には、それぞれ独特の音がある。
たくさんの音があって、それはそれはたくさんの音がある。
善逸は耳がすごく良いから、それを注意深く聞けば、いろんな事がわかる。
例えば、千翼が『人間』じゃないことも。
たくさんの音があって、それはそれはたくさんの音がある。
善逸は耳がすごく良いから、それを注意深く聞けば、いろんな事がわかる。
例えば、千翼が『人間』じゃないことも。
(人間じゃないのは間違いないけど、でも、人間でも鬼でもないってどんなんだ?
でも、どちらかというと『鬼』に近いのは間違いないな)
でも、どちらかというと『鬼』に近いのは間違いないな)
千翼は『人』を食う。
それは確信に近い想いで善逸は感じ取っていた。
だけど、善逸は千翼を恐れず、むしろ、その事実こそを信用の一因にしていた。
それは確信に近い想いで善逸は感じ取っていた。
だけど、善逸は千翼を恐れず、むしろ、その事実こそを信用の一因にしていた。
(禰豆子ちゃんと同じだ。
人を食いたくてたまらないのに、人を食わない。
千翼はきっと我慢強くて、優しいんだ。
本当はもっと優しい奴なんだろうけど、お腹が空いてるからずっと優しくいられないんだろうな)
人を食いたくてたまらないのに、人を食わない。
千翼はきっと我慢強くて、優しいんだ。
本当はもっと優しい奴なんだろうけど、お腹が空いてるからずっと優しくいられないんだろうな)
善逸は、信じたい人間を信じる。
例えそれが人間でなくとも。
例えそれが人間でなくとも。
(それに、哀しい音がするんだよな……こんなことを言うと怒られるかもしれないけど)
なんだか、自分によく似てる。
孤独に苦しむ音だ。
誰も自分に思いを寄せてくれないと悲しんでいる音だ。
善逸が四六時中自分の中から聞いていた、そんな音だ。
夢を見るにも栄養が必要なんだ。
それが満タンになる人が幸せになれる人で、そして、それを満タンにしてくれる人が運命の相手なんだ。
でも、みんながみんなその栄養を取れるわけじゃない。
だから、千翼や善逸の心から響く音は。
幸せという栄養を取りたくて鳴いている、心の空腹に苦しむ音なんだ。
孤独に苦しむ音だ。
誰も自分に思いを寄せてくれないと悲しんでいる音だ。
善逸が四六時中自分の中から聞いていた、そんな音だ。
夢を見るにも栄養が必要なんだ。
それが満タンになる人が幸せになれる人で、そして、それを満タンにしてくれる人が運命の相手なんだ。
でも、みんながみんなその栄養を取れるわけじゃない。
だから、千翼や善逸の心から響く音は。
幸せという栄養を取りたくて鳴いている、心の空腹に苦しむ音なんだ。
◆
困りました。
中野五月の脳裏にはその言葉しか浮かばなかった。
これほどに困ったことは人生で一切ないと言っても良い。
考えれば考えるほど泥沼に沈み込んでしまうような、そんな状況だった。
そんな状況だったからだからこそ、善逸の常軌を逸した突然の初対面プロポーズにも救われたかもしれない。
ひたすらに善逸への不快感が勝り、その困惑も吹き飛んでしまったのだから。
自分を助けてくれた優しい少年にも出会えたし、落ち着いた善逸からも『さっきのことは忘れて欲しい』と謝られたこともプラスになっている。
無愛想な少年と情けのない少年に挟まれたこの状況。
女性ならば貞操の安全を覚えるべきだろうが、しかし、そんな心配をすることが馬鹿らしいような状況だ。
人が死んでいる。
ぶるり、と体が震えていた。
グロテスクな映像が流れ出して、自分はどこともしれぬ場所をフラフラとさまよっている。
それを悪い夢と考えることもできるが、五月は確かな恐怖によってそんな現実逃避すらも出来なかった。
これほどに困ったことは人生で一切ないと言っても良い。
考えれば考えるほど泥沼に沈み込んでしまうような、そんな状況だった。
そんな状況だったからだからこそ、善逸の常軌を逸した突然の初対面プロポーズにも救われたかもしれない。
ひたすらに善逸への不快感が勝り、その困惑も吹き飛んでしまったのだから。
自分を助けてくれた優しい少年にも出会えたし、落ち着いた善逸からも『さっきのことは忘れて欲しい』と謝られたこともプラスになっている。
無愛想な少年と情けのない少年に挟まれたこの状況。
女性ならば貞操の安全を覚えるべきだろうが、しかし、そんな心配をすることが馬鹿らしいような状況だ。
人が死んでいる。
ぶるり、と体が震えていた。
グロテスクな映像が流れ出して、自分はどこともしれぬ場所をフラフラとさまよっている。
それを悪い夢と考えることもできるが、五月は確かな恐怖によってそんな現実逃避すらも出来なかった。
(ああ、しかし、どうしましょう。なにをすれば良いのか……)
四個目の饅頭に手を伸ばしながら、五月は脳の大半をこれからのことに対する思考に割いていく。
しかし、わからない。
わからない。
わからない。
わからない。
わからない。
わからないことだらけの中で、五月はひとつだけわかることがあった。
しかし、わからない。
わからない。
わからない。
わからない。
わからない。
わからないことだらけの中で、五月はひとつだけわかることがあった。
「提案なんですが……」
横を歩く善逸は五月に視線を移し、先を歩く千翼は立ち止まってこちらを振り返った。
五月は一つ提案を行った。
一つだけわかった、確かな事実を伝えるために。
五月は一つ提案を行った。
一つだけわかった、確かな事実を伝えるために。
「ゴハンを食べに行きませんか?」
五月のお腹は満たされていなかった。
【D-6/1日目・深夜】
【千翼@仮面ライダーアマゾンズ】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:未定。
1:まだ食うつもりなのか。
2:五月に対して僅かな苛立ち、善逸に対して侮蔑に近い感情。
[備考]
※参戦時期、未定。後続に任せます。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:未定。
1:まだ食うつもりなのか。
2:五月に対して僅かな苛立ち、善逸に対して侮蔑に近い感情。
[備考]
※参戦時期、未定。後続に任せます。
【吾妻善逸@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、マンジュウでわかるFGO@Fate/Grand Order
[思考・状況]
基本方針:未定。
1:よく食べる五月ちゃんも可愛いな。
[備考]
※禰豆子との出会い以降からの参戦。
※千翼が人間でないことに『音』で気づいています。
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、マンジュウでわかるFGO@Fate/Grand Order
[思考・状況]
基本方針:未定。
1:よく食べる五月ちゃんも可愛いな。
[備考]
※禰豆子との出会い以降からの参戦。
※千翼が人間でないことに『音』で気づいています。
【中野五月@五等分の花嫁】
[状態]:健康、空腹
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、マンジュウでわかるFGO@Fate/Grand Order
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくない。
1:お腹が空きました。
[備考]
※参戦時期、未定。後続に任せます。
[状態]:健康、空腹
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、マンジュウでわかるFGO@Fate/Grand Order
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくない。
1:お腹が空きました。
[備考]
※参戦時期、未定。後続に任せます。
【支給品紹介】
【マンジュウでわかるFGO@Fate/Grand Order】
千翼に支給された。
キャラクター饅頭。
デフォルメした英雄、偉人、人類最後のマスターの絵が描かれている。
千翼に支給された。
キャラクター饅頭。
デフォルメした英雄、偉人、人類最後のマスターの絵が描かれている。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| Debut | 千翼 | どうにもならない事があっても幸福な君を守ってあげる |
| Debut | 吾妻善逸 | |
| Debut | 中野五月 |