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  • 真実の……バトルロワイアル @ ウィキ
  • 最初の試験が神州無敵の場合/最初の試験が現人鬼の場合

真実の……バトルロワイアル @ ウィキ

最初の試験が神州無敵の場合/最初の試験が現人鬼の場合

最終更新:2019年06月06日 21:56

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最初の試験が神州無敵の場合/最初の試験が現人鬼の場合 ◆hqLsjDR84w



 ◇ ◇ ◇



【零】

◯吉備津彦命/◯猛丸/◯犬飼幻ノ介/◯宮本武蔵/◯沖田総司



 ◇ ◇ ◇


【壱】

 山本勝次は、星を見ていた。
 壁に背中を預けて座り込みながら、ただぼんやりと星を見ていた。

 ここが地図でいうところのどの地点であるのか、小学四年生の彼にはよくわからない。もたれかかっているやけに巨大な建造物の正体もわからない。
 ただ、海が近いことだけは明らかだ。
 なんてことはない。すぐそこに海が見えているし、波の音も絶えず聞こえているのだ。誰でもわかる。
 海のほうへと吹く陸風がやけにうるさく、建物が壁になって実際には風を受けていないのに反射的に少し震えてから、逆向きのキャップを深くかぶり直して上着の袖を掴む。

「(あのお姉ちゃん、殺されちゃったんだよな……)」

 いかなる技術によってか先ほど強制的に見させられた映像自体は、頭にこびりついて離れていない。
 にもかかわらず震えたきっかけが恐怖や嫌悪感ではなく、音を立てて吹いている陸風だという事実が、勝次に妙に深く突き刺さっていた。

 人が死んだ。呆気なく殺された。
 決して許されることではないが、それでもあっさり殺されるだけマシかもしれない。
 そんな風に思ってしまった自分自身に、勝次はショックを受けていた。そんな自分になっている自覚はなかった。
 けれど、辺りを我が物顔で歩く吸血鬼に怯えることもなく、また死臭があらゆる場所に漂ってもいない。そんな現状が懐かしくて、どこか安心してしまっているのも本当だ。

「(母ちゃん……)」

 自己嫌悪に陥ったとき、いつも蘇ってくるのは母の最期だ。
 頑張ると、強く生きると、寂しくなったら星を見ると、そう伝えたのは他ならぬ勝次である。
 自我を失いつつありながらも、残った理性で見せてくれた母の笑顔が浮かぶと、勝次は自然に拳を握っていた。
 ゆっくりと立ち上がって、ズボンについた汚れをはたく。いつだって力をくれるのは、あの日の母の笑顔とあの日の自分だ。

「まずは明やハゲを探さないとな!」

 宮本明に鮫島。
 吸血鬼の国と化した日本本土にて救世主と称される二人の名は、名簿に並んで記されていた。
 ひとまず頼れる二人と合流しようと、大きさの割に異様に軽いリュックサックを背負ったとき、勝次は――見る。

 星よりも眩い輝きを。

 それは男であった。
 鍛え抜かれた肉体に、ところどころに桃の意匠が施された鮮やかな和服を纏った男だった。
 頭頂部はきれいに剃り上げ、残った側頭部と後頭部の髪をまとめて後ろに髷を結っている。
 間違いなく初対面であるというのに、男が腰に刀を携えていないのがあまりにも不自然だ。

 その男を勝次は知っていた。
 その男が救世主であることを、勝次はよく知っていた。
 その男が救世主であることを、老若男女が知っているということを――勝次はとうに知っていた。

「も、桃太郎……!」

 思わず漏れた呟きを肯定するように、男は深く、重く、大きく頷いた。

 桃太郎――孝霊天皇皇子・吉備津彦命。

 日本本土を吸血鬼が支配する遥かにむかしより、幼いころから誰もがよく知り、我が子へと語り継いできた――鬼退治を成し遂げた救世主であった。


 ◇ ◇ ◇


【弐】

 吉備津彦命は歩みを止めると、勝次が先ほどまでもたれかかっていた壁を睨み、考え込むように眉間にしわを寄せた。

「あっ! あの! 桃太郎! これなんだけどよ……」

 勝次がリュックサックから慌てて取り出したのは、自身に支給されていた奇妙な日本刀である。
 薄刀『針』というらしいそれは気味が悪いほどに軽く、小学四年生の身体でも容易に持ち上げられるほどだ。
 それゆえに扱いが難しいことなど、勝次でさえ付属していた説明書を読まずとも簡単に想像がつく。

「――ふむ」

 吉備津彦命は薄刀を鞘から抜いて、そのまま流れるように刀を掲げる。
 ただ抜刀して掲げただけにもかかわらず、剣術について露ほどの知識もない勝次が見とれるほどに淀みなく滑らかな動作だ。たった一つの挙動に珠玉の技が宿っている。
 薄刀の刀身はあまりにも薄く、空の星が透けて見えるほどだ。角度によっては鍔から先が存在しないのではないかと、あり得ぬ錯覚を起こすほどである。
 しばし刃越しに夜空を見上げたのち、なにかをたしかめるように薄刀を持つ手を上下左右に微かに動かす。

「成る程。不思議な代物を打つ刀鍛冶もいるものよ」

 小さく呟いて、吉備津彦命は刀を数回振るった。
 数回振るったのだと、勝次が理解したのは遅れて壁に切れ目が入ったからだ。断じて動作自体を目で追えてはない。
 壁そのものが斬られたことをあとから自覚したかのように、ややあってから刻まれた切れ目に従って大きな穴が開く。
 そのなかを見て、勝次はようやくこの建物が地図に『研究施設』と書かれているものらしいと気づいた。

 人が通るのには大きすぎるほどの入口を通って、吉備津彦命はそのなかに入っていく。
 侵入者である負い目など欠片も見せず、当然のように進んでいく彼を追いかけ、勝次は鍛え抜かれたその背中に声をかける。

「あっ、あのさ! 桃太郎、あの、別にお礼がほしいってワケじゃないんだけど、その、吉備団子を」
「やめておけ」

 桃太郎から、その腰につけた吉備団子を授かる。
 すべての男児の夢であろう。我慢できずに口にした勝次をはたして誰が責められよう。
 希望をぴしゃりと切り捨てられ、見てわかるほど露骨に落胆する勝次に、吉備津彦命は続ける。

「麻呂の吉備団子を受け取るとは、すなわち衛府との戦いに身を捧ぐ覚悟の証明ぞ」

 民草の子には荷が重かろう――そう言い切って、吉備津彦命は懐に忍ばせていた大きな握り飯を取り出す。
 言葉の意味はわからずとも、勝次にとっては桃太郎からものをもらったという、その事実がただただ嬉しかった。


 ◇ ◇ ◇


【伍拾】

 逢う魔が時。
 陽は沈みかけ、一度は晴れた闇がまた広がろうとしている。
 もうじきに、この殺し合いの舞台における二度目の夜がやってくる。

 飢えた鬼の吐息が四方から届く。静かな夜には程遠い。
 生々しい血肉の匂いが鼻を衝く。穏やかな夜には程遠い。

「どう見る」
「多いな。少なくはない」

 吉備津彦命が尋ねると、背後の男は短く答える。
 そのあまりにもあるがままの内容に、吉備津彦命もまた短く頷きを返す。
 他の連中にも訊いてみたところ、どうやら彼も彼女も特に変わらぬ意見であるらしい。
 簡潔が過ぎる返答ではあるものの、それをむしろ頼もしいと判断することにした。

 この殺し合いの舞台にて、ふさわしい魔剣士を集めて作り上げた鬼哭隊。
 なかには「鬼を哭かせるつもりはない、殺すだけだ」と鬼殺隊という名を譲ろうとしないものもいるが、なかなかの逸材が集まったと言えよう。

「『屠蘇』とは悪鬼を屠る、という意味じゃ」

 真っ赤な漆器製の銚子から、同じく真っ赤な盃に順番に屠蘇酒を注ぐ。
 集った魔剣士たちの反応は薄かったが、意図自体は伝わっているらしい。
 各々が順番に盃を煽っていき、最後に吉備津彦命が残った屠蘇酒を飲み干す。
 飛鳥の世より千年を生きる軍神は、確認するまでもなくこの場における最年長者であった。


 ◇ ◇ ◇


【佰】

 きりきりと音を立てて引き絞られた弦から放たれた矢は、一条の光となりて殺し合いを命じた少女を貫く。
 反射的に声をあげることも、驚愕に目を見開くことさえも許されず、一瞬にして少女は物言わぬ石と成り果てた。

「女狐、討ち取ったり」

 これにて、此度の鬼退治伝説は終幕と相成る。
 めでたしめでたし。
 そんなお決まりの文句がつけられ、神州無敵・桃太郎の物語はまた語り継がれていくことだろう。

 これでよい。
 これでよいのだ。
 絶対的な悪(おに)がいて、たった一人の英雄が立ち向かう。
 悪(おに)を倒せばすべてが上手く片付き、人々の笑顔が戻ってくる。
 絶対的な強者たる無敵の英雄は率いる戦力を必要としても、ともに肩を並べる存在など必要としない。
 これ以上ないほどに、これでよい。


 ◇ ◇ ◇


【0】

 ――以上で、シミュレーションは終了。

 もしも彼が殺し合いの参加者であったのなら、もしも彼にとってすべて思惑通りに盤面が動いたとしたら、はたしてなにが起こるのか。
 どのような揺らぎが生み出され、どのような過程を経てどのような変化を遂げた末に、最終的にどのような結果がもたらされるというのか。
 幾度目かになる予測が――終わった。

「…………いくらこれでよくても、これじゃあよくないですよねえ?」

 響くのは、冷え切った声。
 飽き飽きとしたような、そんな声。
 その尋常ならざる演算機能からもたらされた結論は、望んでいたものとは完全に異なっていた。

 もとより、程遠い存在ではあった。
 たった一人で完成し、戦力として以外に他者を求めない。
 ついには妻さえ必要とせず、単独にて子を拵える――覇府の刃。
 永遠に続く凪を当たり前のように守ることのできる存在であれば、嵐を起こし得る可能性なぞ欠片も観測されないのは当然であろう。
 その実力や鬼殺しという属性、また千年を生きるという点が、他の参加者との繋がりによって盤面を加速させ得ると、そんな期待を抱いただけに過ぎない。

 その結果がこれである。
 何度繰り返したところで、彼はまったく変わらない。
 いかなる状況であろうと、なにも変わらない。変化をしない。揺らがない。
 ただ鬼殺しの英雄として他者の影響なぞ一つも受けることなく、半ばで倒れるか、あるいは目的を成し遂げる。
 他の可能性自体が存在しないのだ。揺らがぬ以上、実際に試す価値などない。わかりきっている以上、もはやオファーをかけないだけの話である。

 ならばと、次のシミュレーションを開始する。
 決して揺らがぬ覇府の刃の対極だとすれば、いったいどうなるのであろうか。
 同じくたった一人で完成された強さを持ちながら、永遠を否定する決して安定しない放蕩な現人鬼(あらひとおに)であれば、揺らぎは――



【吉備津彦命@衛府の七忍 不参加】



 ◇ ◇ ◇


【1】

 山本勝次は、星を見ていた。
 壁に背中を預けて座り込みながら、ただぼんやりと星を見ていた。

「まずは明やハゲを探さないとな!」

 しばらく星を眺めてから、勝次は立ち上がってズボンについた汚れをはたく。
 どうしていいのかわからなくなったとき、いつだって力をくれるのはあの日の母の笑顔とあの日の自分だ。
 ひとまず頼れる二人と合流しようと、大きさの割に異様に軽いリュックサックを背負ったとき、勝次は――見る。

 夜空よりも暗い闇を。

 それは男であった。
 そして、女であった。
 獣の皮を継ぎ接ぎにしたような派手な袴から覗き見える脚も、襟だけに真紅の薔薇が描かれた白い羽織から見える上半身も、紛れもない男のものである。
 その身体は彫刻のように均整が取れていて美しく、一目で積み重ねられた鍛錬が伺えるほどであり、余計な脂肪など一切ついていない。
 ただ一つ――いや、たった二つ。
 両の胸についている豊かな乳房を除いては。

 異形の存在を勝次は知っていた。
 人間の部位同士を、あるいは人間に動物の部位を繋ぎ合わせたような異形を、勝次はよく知っていた。

「オ、邪鬼(オニ)……!」

 つい口走ってしまったものの、勝次のなかにたしかな疑問があった。
 彼の知る邪鬼や亡者が醸し出す、この世にいること自体への違和感がないのだ。
 さながら当然であるかのように、もとよりそういう生物であるかのように、彼/彼女は存在している。
 断じて理性を失ってなどおらず、ましてや出来損ないなどではない。まるで、そう主張しているかのように。
 だがしばし間を置いてから、哄笑とともに返ってきたのは思わぬ答えであった。

「ほう。この現人鬼・波裸羅を知っておるか。
 もしや志摩の童(わらし)か? はたまた志摩の近隣の藩か? どれ。毛が生え揃っておるか、手ずから確かめてくれようか」

 勝次から思わず漏れた呟きを肯定するように、彼/彼女はその口角を吊り上げた。


 ◇ ◇ ◇


【2】

 志摩の現人鬼にして、第四の怨身忍者・霞鬼(げき)たる波裸羅は、この殺し合いにさほど乗り気ではなかった。

 殺すのはよい。
 七十人程度殺すのは別によい。
 別によいというか、どうでもよい。思うところなどない。
 人であろうと、人ならざるものであろうと、波裸羅にとっては熟した瓜と大差なし。
 力を籠めずとも、いつでもたやすく潰せてしまえるのだ。そこに感傷など生まれようはずもない。
 知らぬ間に首輪をつけた技量は心から賞賛したいし、狂おしいほど愉快な催し物ならば望むところである。
 ただ小娘一人殺して見せて殺しを強制する戯れに、単純にあくびが出ただけである。
 ひとえに、愉快ではなかった。狂おしくもなかった。なにも惹かれなかった。

 時機が悪かったとも言えよう。
 桃太郎卿に、真田幸村の隠し姫。
 それぞれから誘いを受け、より愉快なほうを選んだ直後である。
 よもや、最もそそられぬ第三の選択肢を強制的に選ばされるとは。乗った興も冷えるというものだ。

「挙句、近くに配置したのがこのような!」

 叫ぶ。胸の内で思うのではなく、わざと苛立たしさを口に出す。
 なにやら尻尾を巻いて逃げ出した勝次に向けたものではなく、興が冷めたことへの怒りだ。
 たった一度地面を蹴るだけで追いついてみせ、あっさりと驚く勝次の首を掴んで組み伏せる。

「小僧、なぜ逃げる。波裸羅に言うてみよ。その本心、包み隠さず訊かせてみい」

 意味のない問いかけであった。
 波裸羅を知っていようと知っていなかろうと、誰もが逃げ出すような言葉を狙って投げつけたのだ。
 もしも本当に引き止めたかったのであれば、軽くひと睨みしてやれば足が竦んで動けなくなったことであろう。
 あくまで鬱憤を晴らしているだけに過ぎない。それもタチの悪いことに、到底晴れようがないと重々承知の上で、だ。

 ゆえにこそ、波裸羅にとって、次に勝次が取った行動は許し難いものであった。
 両腕が動く程度の自由を許してやっていたばかりに、勝次は上着の胸元に手を伸ばして、紐で結ばれた六連の銭貨を取り出したのだ。

 ――真田の六文銭! 六文銭とは三途の川の渡し賃! その意味は命を顧みぬ共闘の要請!

「貴様ッ!」

 怒りを露わに、波裸羅は首を掴む力を微かに強くする。
 力加減には気を付けている。ほんの僅かでも力を籠めすぎてしまえば、晩秋まで収穫を逃れたアケビの如く弾けて終いだ。
 それこそ許し難い。ともに地獄に行く覚悟もなく、ただ怯えから許しを請うて六文銭を差し出したのだ。ましてや、他ならぬ波裸羅に。
 その意味を多少なりともわからせる必要があった。
 あえて口を利けるようにと、しばらく力を強くしたのちに今度は力を緩めてやる。
 はたしてどのように許しを請うのか、困惑を口にするのか、そんな波裸羅の予想は覆されることになる。

「……母ちゃん、俺、オニなんかに負けないよ…………」

 首にかかる力を緩めたと同時に、勝次は顔を上げて笑ったのである。
 さらにはその瞳が映しているのは、己を組み伏せる波裸羅ではなく、さらにその上空にある星であった。
 再び波裸羅の口角が吊り上がる。ただし先ほどのものとは異なり、意図したものではない。
 作らされてしまったのだ。波裸羅が! この、なんの力も持たぬただの小僧に! 意図せぬ笑みを!

「名乗るがよい、小僧。呑むぞ」

 波裸羅は勝次の拘束を解くと、自身に支給されていた漆器製の真紅の銚子を取り出す。
 困惑を隠せぬ勝次の前に盃を置き、溢れんばかりの勢いで注いでゆく。いや、とっくに溢れている。
 邪気を払う縁起物とされる屠蘇酒らしからぬ振る舞われ方だが、振る舞っているのがまさしく鬼であるのだ。式法など踏襲されるはずもない。


 ◇ ◇ ◇


【3】

 思っていたよりもよく喋るというのが、波裸羅が勝次に改めて抱いた印象であった。
 たしかに切り出したのは波裸羅のほうとはいえ、問答無用で組み伏せてきた相手に対してとは思えぬほどに饒舌だ。
 無論、なにか隠して言い淀むそぶりなど見つけようものなら、意地悪く突いてやるつもりであったので正しい動きではあるのだが。

「えっ、まあ、明やハゲとの出会いも最悪だったしなァ……。
 それにオニみたいに強いヤツがいても、いまさら驚くことじゃないし……」

 波裸羅がついに指摘してやると、勝次はバツが悪そうに頭をかく。
 明やハゲとは、名簿にそれぞれ『宮本明』『鮫島』と書かれている人物であるという。
 国を埋め尽くす吸血鬼から人々を守る救世主として、周囲からは称えられているとのことだ。
 吸血鬼と呼ばれる化物が国を埋め尽くすというのは俄かに信じ難いが、ありもしない出まかせを吐いている気配はない。

「(美味そうじゃの)」

 言葉には出さず、波裸羅は内心で舌なめずりをする。
 おぞましき民草が吸血鬼とやらに蹂躙されようと知ったことではないが、踏み躙られる民草を支配者と化した吸血鬼から守る救世主のほうは、どうにも興味深い。
 また、民草どもを蹂躙した吸血鬼の支配者・雅のほうも同じくだ。はたしてなにを求めてそのような行為に及んだのか、勝次に聞いたところではっきりとしたことは定かではない。

「して、勝次よ」

 勝次の事情をあらかた把握したところで、ゆっくりと切り出す。
 波裸羅の瞳の中で、波裸羅自身にしか見えぬ龍神が業火を纏って身を焦がす。

「話を聞いて笑うたわ。貴様、明とやらに出逢って以降、助けられるばかりではないか。
 己より強い男に頼り切るばかりで、一人で生きていけるなどとよく胸を張って大言吐いたものだ」
「…………っ、そ、そりゃあ……」
「鉄の鎚たった一つで吸血鬼を相手取ろうとした貴様は、いったいどこに行ったというのだ」
「う、ぐ……だけど…………」
「わからんな。波裸羅は産まれし日より強い」

 勝次より反論はない。
 目を背けていただけで、とっくに自覚をしていたのだろう。
 予想していた通りの反応を受けて、波裸羅は二種類の支給品を取り出す。

「波裸羅には不要なものよ。片方をくれてやるから選ぶがよい。俸禄とでも思うて構わんぞ」

 道具とともに渡した二つの手引書に目を通していくにつれて、勝次の息が荒くなっていく。
 ハァハァ――と、そんな熱を帯びた音が波裸羅の耳に届くほどだ。

「なっ、なァ! これがあれば、俺も明やハゲみたいに……」
「運がよければの。運が悪ければ、派手に死に花を咲かせることになるだけじゃ」
「…………っ。明、ハゲ、俺は……」
「はっ! 恐れをなしたのならもう片方を選べばよいわ。たとえ虚構であろうと、なにも恐れるもののない世界を生きられよう」

 端麗(きらぎら)とな――と続けた波裸羅が歯を軋ませたことに、勝次が気づくそぶりはない。
 急に差し出された二つの道具を順番に片方ずつ見ては、頭を抱えるばかりである。

 迷っているのは、波裸羅にも見て取れた。
 それでよい、それでこそよい、と思うだけであった。
 話を聞いた限りでは、明と鮫島という二人がいればきっと止めるのだろう。
 そういう類の輩であるのだろうということくらい、実際に会ったことがなくとも容易に推測できる。

 だが、波裸羅は違った。
 力がないがゆえに母を失う口惜しさを知っているのは、断じて勝次だけではないのだ。
 波裸羅は産まれし日より強いが――産まれる以前は、あまりに脆弱で、誰よりも腑甲斐なかった。
 誰よりも。
 そう、誰よりも。
 身分のある誰よりも、ずっと。

「さぁ、選ぶがよい。
 苦しみのない常世国(とこよのくに)にて、菩薩の慈愛に包まれるか。あるいは――」

 屠蘇酒なんぞでは抑え切れぬとばかりに、鬼が微かに外界へと漏れ出す。瞳の中の龍神が纏う炎が強くなる。
 勝次の回答を見守る瞳に力が宿り、その赤い髪が蝶の群れのようにうごめき、身体の輪郭がゆらめいて曖昧になっていく。
 そうして周囲を包み込みかけた目に見えぬ圧力は、波裸羅自身によって払われることになる。

「――――ふふふ」

 勝次が再び六文銭を差し出してきたので、またしても意図せぬ笑みを作らされることになってしまったのだ。
 つい先ほど、波裸羅自らその意味を教えてやった六文銭である。
 今度は意味を知った上で、理解した上で、再び差し出してきたのだ。

「俺、やるよ。一人でも強く生きていける俺になるんだ」

 勝次は宣言して、選ばなかったほうの道具、虚構の世界を作り出す道具『ホログラム』を波裸羅に返す。
 はたして鬼の気配にあてられた影響があるのかは定かではないが、たしかに自ら選択をした。
 それにこそ意味があり、他に意味などありえない。
 確信して頷く波裸羅の前で、勝次は注射器を腕に突き刺し――程なくして、そのまま頭が爆ぜた。
 宿主として適合をしなかったのだと、『ナノロボ入り注射器』を支給された張本人である波裸羅にはわかる。
 一拍ののち、支えを失った身体はゆっくりと力なく倒れ込む。
 まだぴくぴくと末端が震えるように動いているが、もはや死体であることは明白であった。

「ハハハハハ! 掴めずとも最後に一花咲かせたな、勝次よ!」

 波裸羅は大きく声をあげて笑いながら、手刀を作って自身の胸を貫く。
 溢れ出る血を亡骸に浴びせると、血は青白い炎となって瞬く間に全身を包み込む。
 怨身忍法『伐斬羅閃血』――怨身忍者の血・伐斬羅(ばざら)を燃焼させる技である。
 波裸羅の技ではなく一度見たきりの零鬼の技であるが、やむを得ぬ事情により借りねばならなくなってしまった。

 炎が収まってみると、そこに残っているものはなにもない。
 炭化した肉体はおろか骨一つ、さらにはその身を縛り付けていた首輪さえ存在しない。

「波裸羅は、その選択を決して忘れぬぞ」

 もうこの場にいない少年に声をかけて、波裸羅は一振りの刀を取り出す。
 薄刀『針』という奇妙な日本刀は、勝次に支給されていた逸品だ。
 どう使えばいいのかわからないなどとボヤいていた。どちらかといえばもっと武骨で強固な刃物に憧れると、聞いてもいないことを話していた。

 鞘から抜いた薄刀を放り投げる。その薄い刀身は闇夜に溶け込んでしまい、まるで鍔から先だけが宙を舞っているようだ。
 自らが投げた刀に遅れて跳躍してみせると、波裸羅はあっさりと宙を舞う硝子細工じみた刀に追いついて、そのまま黙視するのも難しい刀身を蹴り砕く。
 きらきらと地上に舞い散る破片は、さながら夜空に散りばめられた星が僅かな時間だけ地上に降り注いでいるかのようだ。

「アハハハ――!」

 とても抑え切れぬ哄笑を響かせながら、波裸羅は再び夜の街を歩みだす。
 勝次のリュックサックに手を付けることはしない。彼から受け取るものなど、六文銭だけで充分であった。



【山本勝次@彼岸島 48日後…… 死亡】



【A-3・研究所周辺/1日目・深夜】

【波裸羅@衛府の七忍】
[状態]:健康、胸に傷
[装備]:派手な和服
[道具]:基本支給品一式、真田の六文銭@衛府の七忍、ナノロボ入り注射器×2@ナノハザード、ホログラム@ラブデスター
[思考・状況]
基本方針:びぃびぃの企画には現状惹かれていないが、少し愉快になってきた。
1:勝次のことは忘れぬぞ。
2:彼岸島勢に興味。
[備考]
※第十四話以降からの参戦。



【支給品紹介】

【薄刀「針」@刀語】
山本勝次に支給された。
刀鍛冶・四季崎記紀が作成した十二本の完成形変体刀のうちの一振り。
日本刀。日本で作られた武器である以上、たとえどんな代物であろうと日本刀であろう――的な意味ではなく、きちんと日本刀。
薄く、軽く、脆い。

【真田の六文銭@衛府の七忍】
山本勝次に支給された。
中心の穴に紐を通した六連の永楽銭。
六文銭とは三途の川の渡し賃! その意味は命を顧みぬ共闘の要請!

【屠蘇酒@衛府の七忍】
波裸羅に支給された。
屠蘇とは鬼を屠るという意味である。

【ナノロボ入り注射器×3@ナノハザード】
波裸羅に支給された。
注射器に入った状態で支給された微小なナノロボット。
もともと開発段階では医療用だったらしい。そうなんだ。
適合したら人間の域を超えた能力を持つ『脳力者』となる。適合しなかったら死ぬ。
目覚める能力は適合者の資質次第であり、適合するまでどのような能力に目覚めるかはわからない。適合しなかったら死ぬ。
繰り返すが、医療用ナノロボットを開発しようとしていたらできたらしい。そうなんだ。

【ホログラム@ラブデスター】
波裸羅に支給された。
ホログラムではなく、使い手の理想の仮想空間を作り出し、対象に選んだ相手を巻き込む道具。
仮想空間と現実は時の流れが違うため、仮想空間で何年を過ごそうとも現実では大した時間は経過していない。
使えるのは一人一回きりで、使い手が死ねば仮想空間は解除される。
制限とかがあるかは不明。後続の書き手に任せます。
ホログラムではない。



[備考]
※山本勝次の死体は、一片たりとも残すところなく焼かれました。首輪も残っていません。
※A-3研究所周辺に、山本勝次のリュックサック(基本支給品一式、ランダム支給品0~1)、『屠蘇酒@衛府の七忍』の銚子と盃が放置されています。
※『薄刀「針」@刀語』の刀身は粉砕されましたが、刀身以外は残って山本勝次のリュックサックとともに放置されています。

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