LingBooks紹介書籍一覧2(順不同)
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マーク・ピーターセン (1988) 『日本人の英語』 岩波新書。日本語母語話者が間違えがちな表現や、日本語と英語の原理の違いを、平易ながら詳しく紹介。続編 『続・日本人の英語』 と合わせて。
ASALE (2009) Nueva gramática de la lengua española. スペインとラテンアメリカ諸国のアカデミーが協力して編纂した最新の包括的スペイン語文法書。全2巻+別冊。
服部四郎 (1959) 『日本語の系統』日本語の起源について、比較言語学の観点から多面的に論じた古典。現在は岩波文庫で読める。
【定期刊行物】 Linguistic Bibliography. Brill・Kluwerが出している年刊の言語学文献目録。分野・言語別になっているので興味のある分野は毎年チェックしておこう。
Jackendoff, R. (2002) Foundations of Language. モジュール的な言語観に立ち、心理・文法(形式)・認知(意味)それぞれの側面から言語の本質に迫る好著。邦訳『言語の基盤』。
宮本徹・大西克也 (eds.) (2009) 『アジアと漢字文化』 放送大学の同名の講座の教科書。最新の知見が盛り込まれ、漢字に対する視野が広がる一冊。中国語の重要文献が紹介されていないのが惜しい。
木村晴美・市田泰弘 (1995) 『はじめての手話』 聴者向けに作られた日本手話の代表的な教科書。日本手話と対応手話を明確に区別し、例文のイラストにはNMSまで載せている。ろう文化コラムつき。
岡典栄・赤堀仁美 (2011) 『文法が基礎からわかる日本手話のしくみ』 日本手話と対応手話を明確に区別し、言語学の枠組みを採用しながら予備知識なしで読めるように工夫された、画期的な日本手話文法の入門書。ネットで例文の動画が見られる。
Van Valin, R. & LaPolla, R. (1997) Syntax. Role & Reference Grammarを採用した統語論の教科書…のはずだが、実際はRRGの入門書。84年の本と比べ枠組みが洗練されている。
Frawley, W. et al. (2002) Making Dictionaries. アメリカ先住民語の辞書作成をテーマにした論文集。言語保存や教育、複統合的言語の扱い、電子化など、実践的なテーマの論文を数多く収める。
Dik, S. (1989) The Theory of Functional Grammar. 二巻構成の包括的な機能文法の教科書。大部だが、主要な概念と構文をひととおり学べる。最新の97年版はHengeveldとの共著。
Zúñiga, F. (2006) Mapudungun. アメリカニストの類型論者が書いた「マプーチェ語のしくみ」。説明もしっかりしており、力のこもった「対照言語学的メモ」は世界の言語と類型論への入門。組版も美しく安価でCD付。
Dixon, R. (2002) Australian Languages. オーストラリアを1つの言語地域と考え、オーストラリア原住民語特有のさまざまな言語特徴を通言語的に考察。
三谷惠子 (2011) 『スラヴ語入門』 スラヴ語派の成り立ちや歴史、主要な言語の解説、また言語を取り巻く現代の諸問題にまで及ぶ広い範囲をカバーした、日本語としては貴重な「スラヴ語」の本。
チョムスキー (2003) 『生成文法の企て』 20年を隔てた2回のインタビューを収録したThe Generative Enterprise Revisitedの翻訳。彼の「企て」の正体に迫れる。訳と解説の評価も上々。
Tallerman, M. (2011) Understanding Syntax. (3rd ed.) 様々な言語に例をとり、記述的統語論の用語や概念をひととおり解説した貴重な教科書。理論にアレルギーのある人でも平気。
久野暲・高見健一 (2007) 『英語の構文とその意味: 生成文法と機能的構文論』 古典的な生成文法の研究成果を継承しつつ、そこで論じられてきた構文や操作を再検討した本。機能的構文論の1冊目に。
Hengeveld, K. & Mackenzie, J. (2008) Functional Discourse Grammar. 談話、語用論、意図といった要素を主軸にする新しい機能文法理論、FDGの初の教科書。
窪薗晴夫 (2011) 『数字とことばの不思議な話』 数詞、数え方、計算など、数に関するさまざまな言語現象を一線の音韻論研究者が解説。岩波ジュニア新書ながら大学院生でも楽しめるレベル。
酒井邦嘉 (2009) 『脳の言語地図』 類人猿と人間の脳の違いから英語学習まで、言語と言語獲得に関する脳科学の最新の知見を紹介。名著『言語の脳科学』とあわせて読みたい。
Corbett, G. (2006) Agreement. 言語における様々な一致現象を記述的な観点から通言語的に分類・概観。"Canonical agreement" の概念は近年言語類型論の分野でよく引用される。
郡司隆男・西垣内泰介 (2004) 『ことばの科学ハンドブック』 言語学の考え方や方法論に特化しながら音韻論から社会言語学まで一通りカバーした、数少ない良質の和書入門書。生成よりだが、初学者にもおすすめ。
東京大学言語情報科学専攻 (2011) 『言語科学の世界へ: ことばの不思議を体験する45題』 キャッチーな話題からハードな言語分析まで、言語の面白さを実感できる入門書。無味乾燥な類書が多い中で極めて画期的。
Matthews, P. (1972) Inflectional Morphology. ラテン語の語形変化を軸に屈折形態論の理論的諸問題を考察した形態理論の古典。多少ラテン語の知識があると理解しやすい。
Rix, H. (2001) Lexikon der indogermanischen Verben. 2 Aufl. 最新の知見を盛り込んだ印欧祖語の動詞語根集。印欧語学の必携資料のひとつ。通称LIV。
Levin, B. & Rappaport Hovav, M. (2005) Argument Realization. ミニマリスト理論にもとづいた項構造に関する概説書。現在の分析の概要と問題点を統語・意味両方の観点から概観できる。
Langacker, R. (2008) Cognitive Grammar: A Basic Introduction. ラネカーの認知文法の原理と記述の実例が学べる。『認知文法論序説』のタイトルで翻訳本あり。
【シリーズ】 John Benjamins Typological Studies in Language. オレンジ色の表紙が目印の言語類型論系論集シリーズ。興味のある言語現象に関係する巻が出ていないか、まずはチェック。
荻野綱男・田野村忠温 (eds.) (2011) 『講座 ITと日本語研究5 コーパスの作成と活用』 印刷された文字をテキストデータ化する方法を具体的に紹介。言語分析のために、コンピュータ処理可能な状態のテキストデータは必須。
Li, W. (ed.) (2000) The Bilingualism Reader. 各分野から二言語使用・コードスイッチングの古典的論文を集め、イントロ等をつけた良質の教科書。初学者、他分野の人にもわかりやすい二言語使用研究案内。
呉人恵 (ed.) (2011) 『日本の危機言語: 言語・方言の多様性と独自性』 アイヌ語・琉球語のほか、各地の危機方言にまで言及した、ありそうでなかった日本語で読める概説書。
岡典栄 & 赤堀仁美 (2011) 『文法が基礎からわかる日本手話のしくみ』 日本手話と対応手話を明確に区別し、言語学の枠組みを採用しながら予備知識なしで読めるように工夫された、画期的な日本手話文法の入門書。ネットで例文の動画が見られる。
邵荣芬 (2008) 《切韵研究 校订本》 切韻の声母、韻母、反切上字下字、重紐、重韻、唇音の反切などを解説した、切韻を理解するための基本書籍。切韻を横において読むと時間を忘れる。入手困難だったが、中華書局からコンパクトな装丁で再版。
梶茂樹 (1993) 『アフリカでフィールドワークする: ことばを訪ねて』 フィールドワークの話に交えて、言語使用をめぐる政治的文化的背景のみならずバントゥー諸語の音韻論や歴史言語学にも踏み込んだ、バントゥー諸語に親しめるエッセイ集。
Sag, I. et al. (2003) Syntactic Theory: A Formal Introduction. (2nd ed.) HPSG (主辞駆動句構造文法)の入門書。初心者にもわかりやすい解説。和訳もあり。
丁聲樹 (1958) 《古今字音對照手冊》 漢字の現代音から『広韻』の反切を参照することができる。摂、開口合口、等、声調、韻目、声母も掲載されている。『広韻』『韻鏡』を開かなくても中古音の基本情報が見られるので非常に便利。
Lipiński, E. (1997) Semitic Languages: Outline of a Comparative Grammar. セム諸語比較言語学の包括的概説書。アフロアジア語族についての概説も。
Kayne, R. (2000) Parameters and Universals. Kayneの論文集。大胆な仮説と抽象的な分析には賛否両論あるが、収録されているのはいずれも観察・理論の両面から生成統語論を引っぱった重要な研究。
Kayne, R. (1975) French Syntax: The Transformational Cycle. 生成フランス語統語論の古典中の古典。仏訳もあり。観察的にも理論的にもその後の研究の基礎を築いた非英語生成文法の金字塔。
Young, R. & Morgan, W. (1987) The Navajo Language. 理論言語学でも引用されるナバホ語の包括的文法書兼辞書。ナバホ語を学習・研究するなら第一に開くべき基本文献。
Lasnik et al. (2005) A Course in Minimalist Syntax. ミニマリスト理論の基本的発想、目的と展望、GB理論との違いなどを押さえたミニマリスト統語論の入門書。
Bošković, Ž. & Lasnik, H. (2007) Minimalist Syntax: The Essential Readings. ミニマリスト統語論の入門論文集。GBからミニマリストへの流れが追える構成。
Speas, M. (1990) Phrase Structure in Natural Language. 生成統語論の立場から、ワルピリ語やナバホ語など様々な言語の統語現象を分析。句構造や構成素の問題を実証的に考える上で重要。
Szemerényi, O. (1991) Einführung in die vergleichende Sprachwissenschaft. (4 Aufl.) 比較言語学の主要教科書のひとつ。音韻・形態論が特に詳しい。英訳もあり。
相原茂 et al. (eds.)(1995) 『中国語 類義語のニュアンス』 知っているけれど、どの場面でどう使い分けるか迷ってしまう類義語を、用例、形態素の違い、使われるフレーズの違いなど多方面から解説。
Hock, H. and Joseph, B. (1996) Language History, Language Change, and Language Relationship. 印欧語学の概要と一般的な歴史言語学をまとめて学べる。
木村英樹 (1996) 『中国語はじめの一歩』 中国語という言語の概要から、音、文法までを著者の明晰な解説で読める。「はじめの一歩」と題してあるが、中級以上の学習者にもお薦め。
飯田隆 (1987--2002) 『言語哲学大全』 全4巻。分析哲学の必読文献。日本語で読める概説書としては量・内容ともに類書がない。意味論を研究する際にも役に立つ。
沈家煊 (trans.) 2000 《现代语言学词典》 CrystalのA Dictionary of Linguistics and Phonetics第4版の中国語訳。言語学用語の中国語訳を調べるのに便利。
Fauconnier, G. & Turner, M. (2002) The Way We Think. 人間の思考においてブレンディングが果たす役割を詳細に解説。メンタルスペースやブレンディングに関心のある認知言語学初学者は必読。
朱徳煕 (1982) 《语法讲义》 中国語の包括的文法書。中国語学関係で一番よく引かれる書籍の1つ。この本なしでは中国語の研究は始まらないといっても過言ではない。邦訳 『文法講義:朱徳煕教授の中国語文法要説』。
中村捷 et al. (2001) 『生成文法の新展開』 生成文法の包括的な解説書。生成初期の理論から統率束縛理論、最近のミニマリスト・プログラムまでを解説。専門的で初心者向けではないが非常に有用な一冊。
福井直樹 (2001) 『自然科学としての言語学: 生成文法とは何か』 チョムスキーの提唱する生成文法理論が言語をどう捉えているのか、その研究目的とは何かを解説。生成文法の近年の展開・チョムスキーの伝記・日米の理論言語学教育にも言及。
Grevisse, M. & Goosse, A. (2007) Le bon usage. (14e éd.) 伝統文法の視点で書かれたフランス語の包括的大文法書。規範文法書だが記述的な研究にも向く。通称Le Grevisse。
野田尚史 (1996) 『「は」と「が」』 主に日本語教育の観点から書かれた「は」と「が」の使い分けに関する記述的著作。用例とその分類が主だが、かなり特殊な用例まで過度に一般化することなく記述しており、研究にも役立つ。
Rizzi, L. (1990) Relativized Minimality. 生成統語論でたびたび定式化されてきた局所性やECPを新たな形で定義し、wh移動など各種の統語現象を統一的に説明。かなり専門的だが、さまざまな分野で引用される。
益岡隆志 (2003) 『三上文法から寺村文法へ: 日本語記述文法の世界』 三上章と寺村秀夫の研究を中心に現代日本語学の研究史を概観し、両者の理論を再評価する。この本の執筆課程で三上の博論が出版された。
Katamba, F. (1994) English Words. 語という概念を軸に、形態論をはじめさまざまな分野を平易に解説した読み物。言語学の予備知識がなくても、語彙音韻論など言語学のコアな分野の面白さを味わえる。
Rizzi, L. (1982) Issues in Italian Syntax. イタリア語生成統語論の基本文献であると同時に、pro-dropやwh移動に関する論文で今なお盛んに引用される比較統語論の主要文献。
Carnie, A. & Gulifoyle, E. (2000) The Syntax of Verb Initial Languages. ケルト諸語からヘブライ語、サポテク語まで、動詞初頭言語を生成統語論の枠組みで分析した論文集。
Kayne, R. (1994) The Antisymmetry of Syntax. LCAを提唱し、統語論を一段抽象的なレベルに押し上げた画期的研究。形式的で専門的だが、生成文法で語順や線形的順序に関わる統語現象を扱う際の基本文献。
Grimshaw, J. (1990) Argument Structure. 項構造研究の基本文献。受動化や名詞化など各種の形態統語論的現象を通して、項構造のバリエーションや規則性を分析。
Göksel A. & Kerslake, C. (2005) Turkish: A Comprehensive Grammar. 英語で読めるトルコ語の参照文法。記述の守備範囲が広い。トルコ語の研究の際にはぜひ手元に置いておきたい。
Hudson, R. A. (2007) Language Networks: A new Word Grammar. Hudson (2010)より若干高度な内容ながら、やはり最近のWord Grammarの枠組みを紹介。
Hudson, R. A. (2010) An Introduction to Word Grammar. 最新のWord Grammarの入門書。「一般認知構造編」「理論編」「英文法編」の3部構成、英語も平易で読みやすい。
Norman, J. (1988) Chinese. 中国語の包括的概説書。普通話の共時的記述から、方言、言語史、漢字、社会言語学的事実までカバー。
Brentari, D. (ed.) (2010) Sign Languages. 音韻論から文法、社会言語学まで、手話に関する様々な論文を収めた貴重な論文集。
【シリーズ】 「漢字講座」 全12巻。佐藤喜代治の編で1987年から89年にかけて明治書院から刊行された漢字に関する全集的講座シリーズ。80年代までの漢字研究のよいまとめ。入手は難しいので図書館で。
金水敏 & 今仁生美 (2000) 『現代言語学入門4: 意味と文脈』 日本語で読める本格的な意味論の入門書。ハードな形式意味論から語用論、認知意味論までカバー。
【シリーズ】 Glossaries in Linguistics. 音声学・形態論から認知・コーパス・応用言語学まで、言語学の各分野に関する語彙集。Edinburgh UP。
Bhat, D. N. S. (1994) Adjectival Category. 形容詞の統語カテゴリー上の扱いに関する通言語的考察。形態だけでなく統語現象も視野に。
Baltin, M. & Collins, C. (eds.) (2001) The Handbook of Contemporary Syntactic Theory. 生成統語論の各種の比較的古典的なトピックを概観できる論文集。
Crystal, D. (2008) Dictionary of Linguistics and Phonetics. 現在第6版。包括的な言語学・音声学の用語辞典。
唐作藩 (2002) 《音韵学教程》 第三版 北京大学の一般教養の教科書。漢語音韻学の術語や、『広韻』とその音系、反切などを平易に解説。初心者でも音韻学の基礎知識が身につく。『漢語音韻学入門』の題で旧版の邦訳がある模様。
Smith, N. (2005) Language, Frogs and Savants. 言語にまつわる様々な謎を一般向けに紹介した前著Language, Bananas and Bonobosの続編。
Smith, N. (2002) Language, Bananas and Bonobos. 言語獲得、ボノボのコミュニケーション、イディオサヴァンなど、多彩なテーマで言語の面白さを紹介。
Croft, W. & Cruse, D. A. (2004) Cognitive Linguistics. 認知言語学の定番教科書のひとつ。特定のアプローチによらず、「認知言語学」という分野全体をバランスよく紹介する構成。
Cruse, A. (2004) Meaning in Language. (2nd ed.) 意味論の教科書。認知意味論の知見も盛り込まれているが、全体的に理論中立的で、他書よりも幅広い概念・アプローチを扱っている。
Cruse, D. A. (1986) Lexical Semantics. 語彙意味論の教科書。トピックは伝統的・形式的なもので、飽きずに通読するのは大変だが、認知意味論や言語人類学で語彙カテゴリーを扱う際の出発点として最適。
Buck, C. (1949) A Dictionary of Selected Synonyms in the Principal Indo-European Languages. 1000項目以上の印欧諸語の語形を比較し、語史を解説。
Traugott, E. & B. Heine (eds.) (1991) Approaches to Grammaticalization. 今でも度々言及される文法化研究の記念碑的論文集。理論や手法から事例研究までカバー。
Aarts, B. et al. (2004) Fuzzy Grammar: A Reader. アリストテレスやフレーゲからチョムスキー・ラネカーまで、様々な時代・分野の言語や文法に関する論文を一冊に凝縮したアンソロジー。
Deacon, T. (1997) The Symbolic Species. 「脳が先か、言語が先か」。言語の起源の謎について、言語と脳の両面から縦横無尽に語る好著。邦訳『ヒトはいかにして人となったか』。
Baker, M. (1988) Incorporation. 複統合的言語の抱合現象を手がかりに、ボイス交替や与格交替など様々な形態統語論的交替を統語的観点から分析したBakerの博論。
Guasti, M. (2002) Language Acquisition: The Growth of Grammar. 言語獲得研究の入門書。文法の獲得に関する解説が主で、特に幼児の発話の統語構造について詳しい。
Ross, J. (1986) Infinite Syntax! 生成文法界に衝撃を与えたRossの博論。各種の島の制約をはじめ多くの統語現象を観察・分析、その後の生成統語論の発展の方向を決めた。盛り込まれた観察事実は今なお有効。
Berlin, B. & Kay, P. (1969) Basic Color Terms. 言語による色彩の切り分け方に普遍的傾向があることを発見した画期的な研究。追加研究がThe World Color Surveyの題で出版されている。
宮岡伯人 (ed.) (1996) 『言語人類学を学ぶ人のために』 音声学からジェンダーまで幅広いテーマを概説。月並みな相対主義プロパガンダから距離を置き、実証的で公平な記述に徹した、非常にバランスのいい入門書。
畠山雄二 (ed.) (2009) 『日本語の教科書』 「サラリーマンが通勤電車で読める」がコンセプト。興味深い現象を柔らかい文章とかわいいイラストで解説している。各分野第一線の研究者が執筆。日本語教育のコーナーに並んでいることが多い。
Dixon, R. & Aikhenvald, A. (eds.) (2004) Adjective Classes. 様々な言語における形容詞の分布や位置づけを考察した論文集。記述的観点から個別言語の形容詞を考える際には必読。
Seeley, C. (1991) A History of Writing in Japan. 日本の文字の歴史を学ぶ際、1冊にまとまったものでは和書を含めてもっとも便利な資料。
「講座国語史」シリーズ 全6巻、大修館書店。国学の時代から続く日本語研究のひとつの到達点。分量も和書ではなかなかない重み。
「岩波講座 日本語」シリーズ 全13巻。日本語・日本語学に関する集大成的なシリーズ。著者は各分野の第一線の研究者。この講座以降ほとんど進んでいない研究分野もある。
Baxter, W. (1992) A Handbook of Old Chinese Phonology. 中国語上古音のハンドブック。漢語音韻学の必携資料。
小川環樹 (1958) 『唐詩概説』 文学研究者による唐詩の入門書だが、二部構成になっており、後半で漢字音と唐詩の関係を明快に解説している。岩波文庫で復刊された。
Pulleyblank, E. (1984) Middle Chinese: A Study in Historical Phonology. 漢語音韻学による中古音の研究。音韻学の必携資料のひとつ。
Stump, G. (2001) Inflectional Morphology. Paradigm Function Morphologyの基本図書。語形変化を、統語ではなく機能とパラダイムによる形態論的な体系で説明。
Aronoff, M. (1994) Morphology by Itself. 活用を中心に様々な言語の形態現象を観察し、形態論は音韻や統語から独立した純粋に形式的な側面をもつと主張。
Anderson, S. (1992) A-morphous Morphology. 形態論は独立のコンポーネントではなく、音韻や統語の相互作用によって機能すると主張。Aronoff (1994) と合わせて。
Aitchison, J. (2000) The Seeds of Speech. なぜ人間は言語を獲得できたのか。脳が先か言語が先か。言語の起源の謎についてわかりやすく解説した一般書。邦訳『ことば 始まりと進化の謎を解く』は入手困難。
Halliday, M. & Hasan, R. (1976) Cohesion in English. 文をまたいだ意味関係について考察した、機能文法と談話研究の古典中の古典。
三根谷徹 (1993) 『中古漢語と越南漢字音』 ベトナム漢字音研究の必読書。第1部の中国語中古音の音韻的解釈も重要。
秋永一枝 (2010) 『新明解日本語アクセント辞典(CD付き)』 日本語アクセントの一般法則をやさしく書いた辞典。音声資料として東京方言母語話者である著者の声が入ったCDがついた。
Wayne, C. (1997) Experimental Syntax: Applying Objective Methods to Sentence Judgments. 文法研究のための客観的な容認性判断を得るための方法論の概説書。
Schütze, C. (1996) The Empirical Base of Linguistics. 文法研究に不可欠の一次データであり、しばしば批判の的にもなる容認性・文法性判断の危険性を客観的に評価し、実践的方法論を例示。
Marantz, A. (1984) On the Nature of Grammatical Relations. GB理論の立場から述語の項構造を統語的に分析。項構造、ボイス、他動性を考える上での基本文献。
Pylkkänen, L. (2008) Introducing Arguments. Applicativeと使役形の通言語的分析から、英語の受益者目的語、日本語の迷惑受身など各種の言語現象を統語的に分析。形式意味論の初歩的知識が必要。
Torrego, E. (1998) The Dependencies of Objects. スペイン語の与格と対格の分布や代名詞目的語の二重マーキングの条件を詳細に検討し、格理論と経済性から目的語の格マーキングを統一的に分析。
Cinque, G. (1999) Adverbials and Functional Heads. KayneのLCAを付加詞に厳密に適用、多くの言語に共通する機能範疇階層を提示。Rizziとともにcartographicな研究の先駆。
益岡隆志 et al. (1997) 『岩波講座 言語の科学 5: 文法』 文法論の基本、さまざまな文法理論・国文法についての見通しのよい解説。日本語学寄りではあるが、言語理論と国文法が通底していることがよくわかる。
説文会 (ed.) (1983) 『説文入門』 頼惟勤の監修による『説文解字』『説文解字注』を読むための最良の解説書。内容は高度だが、何度でも読み返す価値あり。
Ortega, L. (2009) Understanding Second Language Acquisition. 第二言語習得論の1冊目におすすめの入門書。
Lightbown, P. and Spada, N. (2006) How Languages are Learned. (3rd ed.) 第二言語習得理論のごく易しい入門書の定番のひとつ。
Partee, B. et al. (1990) Mathematical Methods in Linguistics. 集合論・論理学・代数・形式意味論・オートマトン等を言語学徒向けに紹介。意味論を勉強する前に読んでおくとよい。
Manning, C. & Schütze, H. (1999) Foundations of Statistical Natural Language Processing. 統計に基づく自然言語処理の入門書の定番。
Trask, R. (1996) Historical Linguistics. 言語変化・歴史言語学の入門書。語彙・音韻・文法変化のの紹介から入る。伝統的な比較言語学の手法のほか、比較的新しい手法も紹介。練習問題豊富。
Hawkins (1978) Definiteness and Indefiniteness. Definiteness研究の基本文献。英語の名詞句における冠詞の有無を軸に、definite/indefiniteの意味論的定義を試みる。
Lyons, J. (1977) Semantics. 意味論の古典。指示や量化から語用論までカバー。40年以上前の本だが、今なおマイルストーンとして引用される。教科書用のLinguistics Semanticsという簡易版がある。
Lyons, C. (1999) Definiteness. Hawkins (1978) に次ぐdefiniteness研究の基本文献。類型論的事実、統語的・意味論的解釈、文法化など様々なテーマを網羅している。関連現象を研究するなら必読。
Kent, R. & Read, C. (2002) Acoustic Analysis of Speech. (2nd ed.) 音響音声学に関する基本的な概念が学べる本。数学が苦手な人にも苦にならない。邦訳『音声の音響分析』。
金水敏 & 田窪行則 (eds.) 『指示詞』 日本語の指示詞研究における重要文献を集めた本。さらに編者による解説を兼ねた論文も掲載されている。日本語に限らず、指示詞研究を始める人は一読しておくべきもの。
Ashby, M. & Maidment, J. (2005) Introducing Phonetic Sciences. 調音、音響、聴覚をバランス良く解説している入門書。英語もかなり読みやすく書かれているので、一人で読み進められる。
中村雅之 (2007) 『中古音のはなし: 概説と論考』 中国語歴史音韻論の基本的な用語と資料を押さえられる。練習問題つき。
窪薗晴夫 (2006) 『アクセントの法則』 標準語と鹿児島方言のアクセント現象を中心に、どういった規則性があるのか、それが何を意味するのかについて解説している。
Woods, A. et al. (1986) Statistics in Language Studies. 言語研究での統計の入門書。古いので、統計計算する時のコンピュータパッケージは別書にあたる必要あり。
Peccei, J. (1999) Pragmatics. (Language Workbooks) 語用論の初心者向けの問題集。語用論のかなりの範囲がこの1冊でカバーできるはず。
Chafe, W. (1994) Discourse, Consciousness, and Time. イントネーション、情報構造、定・不定などの言語現象を、談話やテクストのレベルから分析。談話と文法の関係に興味があるなら必読。
Burzio, L. (1994) Principles of English Stress. 英語ストレス研究の基本図書のひとつ。生成音韻論の立場からストレスの複雑なルールに迫る。通称BurzioのPES。
Comrie, B. (2009) The World's Major Languages. (2nd ed.) ユーラシア・アフリカ・太平洋地域から約50の言語・語族を紹介する言語ガイド。収録言語数が少ない分詳しく、読書案内も充実。
Sihler, A. (1995) New Comparative Grammar of Greek and Latin. 古代ギリシア語とラテン語に特化した比較言語学の解説書。音韻、語幹、語形変化などを詳説。
Beckman, M. (1986) Stress and Non-Stress Accent. アクセント研究でしばしば引かれるBeckmanの博論。様々なアクセントパターンを類型論的に分析している。日本語に関する考察もあり。
Fox, A. (2000) Prosodic Features and Prosodic Structure. アクセント、トーン、イントネーションなど、様々な言語に見られる音調現象を包括的に記述・分析した研究書。
最終更新:2012年01月05日 18:17