正体
——その正体は太古に悪魔と呼ばれた存在、ソロモン七十二祖が第五十七柱「オセ」に連なる者。
魔術な神秘に一切関与せずに過ごしてきた一般人だが、ある日突然血脈が先祖孵りを起こし、悪魔回帰者として覚醒した。
人物
強めの癖がついた赤っぽい茶髪の少女。同年代と比べてもかなり小柄だが、体系の割に立派なモノを持っている。
身体的異常として、悪魔回帰時に渦巻き状のツノが二本生えており、一目でそれと分かる容姿に変質してしまった。
その為普段は 第六席から借り受けた認識阻害の礼装を用い、頭部の異形を秘匿している。
これは一般人どころか魔術の心得がある者にも効果を有する強力なものであり、看破しようと思わなければまず発見不可能。
人見知りで消極的だが、誰に対しても優しく素直な性格。
他者の優れた点を見つける能力に長けており、悪魔の血族という生まれながら人間性が非常に高い。
真珠目で努力家でもあるものの、今までは天性の虚弱体質により十分に努力の為の時間を確保できなかった。
それに加え後述の理由もあり、他者と何かを比べる際には早々に引きさがってしまうなど意志の弱い一面がある。
事故で幼少期に母親を無くしており、銀行員の父親に男手一つで育てられた経歴を持つ。
昔から原因不明の病弱体質によって入退院を繰り返し、幼稚園から小学校生活の殆どは院内学級という体裁を取っていた。
特に小学校入学までが酷く、肉体・精神的負荷による抜毛や虚脱症状、呼吸器の異常など重篤な症状を患っていたらしい。
自分の医療費と通院に要する時間が父親の負担となる事を何よりも懸念しており、遠慮がちな性格はこの経験から来るもの。
父親自身は唯一の肉親である優花の快復を心から祝福していたが、その苦労を考えてはいつしか素直に喜べなくなったという。
心身の成長と共に体質も落ち着いて行ったが、中高に上がっても欠席や早退が他の子より多く、体育の授業は厳禁であった。
そんな折、ある月の綺麗な夜に「よく分からない白黒の世界で、遠くから鐘の音が鳴っていた」夢を見た。
その朝、目が覚めた優花は自分が何か別のモノに変質してしまったことに気付いく。
接触してきた"ベルンハルド"と名乗る青年から説明を受け、旧き悪魔の血を回帰させた者の組織—— 七十二列座へと招かれた。
現在、少女はその使命と今まで過ごしてきた日常に悩みながら、魔性の徒として神秘の世界に足を踏み入れている。
優花の虚弱体質は「生後すぐに回帰を始めた悪魔の血」が原因である。
本来、覚醒する可能性を秘めた血族は、その要因を満たした際に血脈の励起が起こり身を祖に近しいモノへと変じる。
優花は産まれた段階でその条件を満たしていたものの、実際に回帰を起こす現在まで長いラグがあった。
体内で燻る血脈は肉体に悪影響を及ぼし、現代医学では説明不能な、しかし顕著に重い症例が多数確認される結果となる。
原因は現在も不明であり、第六席曰く何らかの抑止が働いた可能性もあるという。
能力
魔術師どころか神秘に関与する人間でもないため、それらの知識は一般人に毛が生えた程度のもの。
頭部のツノには魔術回路に類似した器官が集約しており、それらを用いて魔術を行使する事が出来る。
その内容は悪魔オセに由来する礼装『愚慧の王冠』による暗示と、教えてもらった初歩的な強化を何とかこなせる程度。
悪魔回帰によりツノが生え、病弱だった身体が見違えるほど健康になったが、現状それ以外の変化は見られない。
生来の体質と運動神経、身体を動かす経験の乏しさにより、単純な身体能力は「最近の小学生女子以下」(友人談)。
少々の距離を走った程度で息切れし、体育の授業の次の日にはほぼ必ずと言っていいほど筋肉痛を起こす。
一方で学力や理解力は悪くなく、欠席や早退が多くマトモに授業を受けられなかったものの、成績は学年中位を維持している。
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能力詳細 |
能力詳細
・『愚慧の王冠』
「——え、っと……ど、"汝、己の欲の支配者と偽れ"っ!」
赤銅色の旧いサークレット状の冠。オリーブに似た植物を象り、豹の顔のような装飾を施されている。
桜棺家の押入れに仕舞ってあったのを優花が偶然掘り出し、丁度いいサイズ感からデスク横のタオル掛けにしていた。
神代に存在した血族が製作した上級の魔術礼装で、その神秘の質は英霊の宝具にも匹敵するほど。
起動することで周囲の対象に暗示をかける事が出来る。
近代の悪魔学書では「誇大妄想を伴う暗示」と記されるが、実際は術者の任意の内容を設定することが可能。
オセの血脈に反応して効果を発揮するため、オセ本人かその血族にしか扱えないとされる。
またその血の濃さにより効果・範囲の程度が決定し、祖に近い性質を備えた者ならば高ランクの対魔力すら貫通する。
加えて、この礼装で付与された暗示は、使用者に関係なく一時間で効果を完全に失う。
被術者は「暗示に掛けられていた」事実にすら気づけないため、隠匿性と汎用性が極めて高い。
祖への回帰が薄い優花が使用した場合、暗示を掛けられるのは一度につき一人だけ、ごく軽い内容のものに留まる。
対象も抗魔術の手段を持たない一般人が精々で、精神干渉に耐性を持つ魔術師や英霊、他の回帰者には効果を発揮しない。
使用後は激しい頭痛に襲われるらしく、「かき氷を一気に食べたときに来るやつ」とは本人の弁。
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関連人物
七十二列座・第十五席に位置する少年。同じ組織の上司。
席次が離れているにも関わらず目を掛けられており、優花の方も仕事に真珠目なエリゼに対し好感を抱いている。
但し年齢では優花が上の為、少々複雑な思いを抱えつつ、悩みは素直に話して欲しいと思っている。
汐江市で行われた亜種聖杯戦争では、巡り合わせから敵陣営として対決。この時の敗北が、彼女の意識の変化を齎した。
亜種聖杯戦争にて召喚したサーヴァント。西洋の伝承に語られる伝説上の植物、狭義には妖精の一種。
幻霊にも満たない霊基を複数の伝承で補っているため、サーヴァントとしての能力は完全に「ハズレ」とされる。
しかし優花は彼女(?)と一緒に、過去二回の聖杯戦争をあと一歩のところまで戦っており、その相性は非常に良好。
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