昼と夜の伝説
この世界はなぜ昼と夜の時間があるのでしょう?
こんな神話があります、
かつて世界は昼しか無かったそうな。
しかし、一人の人間が身をかがめた時に生じた影…、彼は影に魅入られ、いつしか太陽と影に世界は別れました。
やがて彼は次第に力をつけ、影は地べたから空へと勢力を伸ばし、太陽と互角の力を持つようになりました。これが夜の始まりです。
影は自らを夜の帝王と称し、夜の世界に足を踏み入れた人の
人間性を吸い取り、光さえ差し込まない闇を作ったのです。
自らの世界を脅かされる事に恐怖した太陽は一人の若者を遣わしました。
彼こそ、この街の「太陽の誓い」の象徴とされている太陽王グウィンです。
グウィンと帝王はお互い世界を譲る気はありませんでした。
いつしか世界は太陽と夜の2大戦争へと発展し、終わりの無い戦いが何百年も続きました・・・
グウィンの光の槍は屍竜の鱗を貫き、帝王の闇の瘴気は天使を堕落させ、
光と夜の戦いの跡には、無残な灰色の光景が残るばかりでした。しかし、この灰色の世界こそ光と夜を分かつ切掛になったのです。グウィンは灰色の世界に王を据えることで夜との境界線を作りました。
灰色の王は強大な力を持つ古龍ギース…ギースは盲目だったので光も夜も見ることが出来ず、グウィンが目蓋を貫通するほどの暁の光を見せた瞬間、彼はグウィンに忠誠を誓ったと言われています。夕方の始まりです。
こうして光と夜の戦争は暁の世界の誕生により半ば強引に終結しましたが、帝王の闇はグウィンに毒をもたらしました…
グウィンは毒により苦しむようになり、その間は世界を帝王が支配するようになったのです・・・
これが昼と夜の誕生神話と呼ばれており、果たしてこれらのことが本当にあったのかは窺い知るとこではありません。
しかし夜の外出をこの街が禁じているのは、帝王の呪いを恐れているからだと、噂されています…
「そこ、寝ない!!」
「あ痛っ!」
「はぁ・・・皆今までにないほど真剣に聞いてたのに、あなただけですよ寝てたのは・・・」
「いやすみません先生…寝不足なもので」
クスクスと笑い声が教室に広がるが、寝ぼけていてそれどころではない。
「先生、質問です」
クラスの質問係として定評のあるシアが、もう終了の鐘がなりそうなのに手を挙げている。
休み時間が短くなるから勘弁して欲しい…
「先生、太陽王と灰色の王には名がついているのに、帝王には名前が無いんですか?」
先生はちょっと困ったように
「確かに…どの書物を見ても、帝王だけは名前がありません。一説では、帝王は神の子でも天使の子でもない無名の人間がなったからと言われていますが…」
「先生、それならば帝王とギースはまだこの世界にいるのではないですか?グウィンは天界から来ましたが、
二人は地上にいた人なのでしょう?」
確かに…クラスのざわざわが大きくなり、いる、いないの議論が勃発しはじめた
もし、いるとしたら…?
ちょうどその議論を終わらせるかのように終了の鐘がなる。
「はい!授業は終わりです!所詮これは神話です!鵜呑みにしないように!夜の外出が危険なのは魔物がいるせいです!
街に篭るのは理に叶ったことです!」
「ノア、あなたはどう思う?」
「いやあ・・・神話を信じてもなあ・・・」
シアとは登下校が同じだ。ほっそりとした体に肩まで伸ばした長髪の容姿はクラスの中でもいわゆる美少女の立ち位置で、
そんな人気者と登下校を同じにする僕は周りから「爆発しろ」「
垢消せ」とよく言われている…
「本当にいたらなあ…何だかワクワクしない?」
「え、えっ?そ、そそうだなあ・・確かに竜って見たことないからなあ・・・」
形よく綺麗な唇に人差し指を当てる姿はとても可愛らしく、情けなく見つめてたらいきなり質問されたのでどもりつつも答える
「そうそう!街に引き篭もってたらそれはそれでつまらないし・・・王都へは定期的に行けても結局このバンノールと王都の世界で完結しちゃうでしょ?私はもっと広い世界を見てみたいなあ・・・」
やがて噴水広場に辿り着く。
ここは街の中央であり、何かと屋台があったり、集会があったりと何も無い事が無いといってもいいくらい賑やかな場所である。
聞け!皆の衆よ!星が黄金竜の復活を予言したぞ!!
間もなく世界樹の元に全ての闇を振り払う黄金の竜が降臨し、世界から夜が無くなるだろう!
「はぁ…今日は宗教家か」
この手の宗教家はごまんといる。すなわち今日はハズレだ
「黄金の竜?」
「あいつはドラゴン崇拝の
ユージロー。妻を魔物に殺されてさ、それからかな…竜の救済を望むようになったのは」
「ふーん…あれ?そんな強大な力を持っておきながら、何故先生が話した神話には出て来なかったのかな?」
「神話を作ってるのが人だからじゃないか。つくりものってことさ」
「そんなものかなあ・・・」
「そんなものさ。じゃあ、また明日」
「あ、うん。また明日ね!」
帰路を歩きながらノアはシアの言ったことを思い出す。
(もっと広い世界を見てみたいなあ…)
「世界か…」
世界の中央にある世界樹になら、行ってみたいと思うのであった
- 一気に本来の趣旨に近づいたな! -- 朱音さん (2012-07-04 01:41:41)
- 四話はよ -- 朱音さん (2012-07-04 01:41:58)
- じゃあ俺が四話書くよ -- りん (2012-07-04 01:52:24)
- 書いた覚えのないコメントががが。 -- りん (2012-07-04 02:12:41)
- 犯人は朱音 -- 兎角 (2012-07-04 14:45:07)
- 犯人はヤス -- 能島 (2012-07-04 14:51:28)
- 犯人はヤス -- 朱音さん (2012-07-04 15:38:32)
- もう責任とって朱音さんが書くべき -- 兎角 (2012-07-04 23:56:42)
- じゃあ俺が四話書くよ -- 朱音さん (2012-07-04 23:57:22)
最終更新:2012年07月07日 16:22