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Re:deconstruction



 ――――また、こえがきこえる。

 ――――いつもとおなじ。みみからではなく、あたまのしんにひびいてくるこえ。おれは、あれからずっとねているはずなのに、あのこえはおかまいなしにかたりかけてくる。とじたまぶたのうらにひかりかがやく “なにか” がみえるのは、あのこえのぬしのすがた…なのか……?

 『やぁ、おはよう』
――またお前か。 いつも突然現れるな。
 『神出鬼没が ぼく のモットーだからね』
――大体、時間停止魔法でコールドスリープ状態なのになんで俺はお前と話せる? 「停止した時間」に干渉できる魔法でも使ってるのか?
 『魔法じゃない。 理《ことわり》だよ。 簡単に言うと、 ぼく は思念《ノイズ》みたいなものだからね。 そうだな、とりあえず宇宙の 【記憶】 だとでも云っておこうか』
――…? どういうことだ…?
 『 きみ はどうして「この世界」が存在すると思う? いや、この聞き方はフェアじゃないな。 なぜ 【世界樹】 が存在すると思う?』
――なぜって…… すでに存在してしまっているものの存在理由を、その起源にまで遡って決められるものなのか?
 『その通り。 【世界樹】 は理由なく現前し、「或る処」では恩恵をもたらし、「別の処」では災厄を招き寄せる。 きみ(たち) が 【すべて】 を知ることが出来ない以上、そういった類のものだと納得するしかない』

 ――――わざわい……か…。せかいじゅがかれはじめ、あらわれたおうごんのりゅうをたおすためにせかいじゅのちからをかりたことで、せかいじゅはついにかれはて、ふらんつとのせんそうをとめられなかった…。これも、せかいじゅのまねいたわざわい、といえるのか…?

 『 ぼく はその 【すべて】 さ、要は。 「世界」によっては ぼく のことを「神」や「真理」と呼んだりもするようだけど、一番しっくりくるのは 【記憶】 かな。 ぼく は きみ の「世界」をも含むすべての宇宙の 【記憶】 の集積体のようなもの。 他者と未分化の自我が曖昧な状態だから性別やらの観念すらないどろどろの意識でね、 ぼく からすれば、 ぼく は きみ であり きみ は ぼく なんだよ』
――何が言いたいのか掴めないな…。
 『話が少し面倒な方にいってしまったね。 何かの根源的な起源やら存在理由を問い出すと、同語反復的に「存在する」から「存在する」としか言えなくなる、そういうこともあるのさ。 ぼく が言いたいのは、 【世界】 は関係性の中でしか存在しない、ということ。 人間も他の生物もあらゆる物質も、それぞれの関係の中で存在している。 これは3次元的な話。 それなら 【時間】 は? 【時間】 は「他の時間」との関係性を持ち得ると思う?』
――それは、お前がよく話す「並行世界」同士の「時間」の問題のことか?
 『そうだね。 極限まで切り詰めた「一瞬」ごとに「世界」が並行的に存在して、同じようなキャラクターが無数に「ズレ」を生じさせている、という微分的世界観。 ぼく はこの世界理解には少々異論があるけどね』

 ――――いつものことだけれど、こえのぬしのはなしはようりょうをえない。

 『 【時間】 を相対化するのは賛成だ。 だけれど、相対化したはずの時間を「一瞬」の「世界」に凝縮してるようで ぼく は好きになれないんだ。 むしろ 【時間】 は生々流転する円環状の、「始まり」も「終わり」もないどろどろの 【混沌】 なんじゃないか? ぼく のようにさ。 現に ぼく は「どの時間」にも干渉できる。 だから時間の止まっている きみ にもこうして話し掛けられるし、「今」「或る時間世界」において何が起こっているのかも、知ることが出来る』
――? 何の話だ??
 『 きみ の友人、「彼女」がはるか未来世界から きみ を目醒めさせるつもりのようだよ』
――!? 「その世界」の世界樹が枯れたのか…!? いや、それよりも…! 世界樹が枯れたなら、帝国ごと閉じ込めたフランツ・ジークフリートの封印が解けたということか……!!?
 『「彼女」が来るというのは、そういうことだね』

 ――――まずい。そのためのそなえだったとはいえ、ほんとうならもうにどと、おれはおきないほうがよかったはずだ。せかいじゅのちからをつかうために、せかいじゅとまざりあってしまったおれは……。ふういんのかぎとして、いきつづけなければならないはずの、おれは………!

 『! 「彼女」は かれ も「ここ」に連れてくるつもりか。 ふふ… 実に面白い娘だよ。 何を考えているのかまったく読めない…! きみ と かれ が出逢うのは運命、いや宿命なのかもしれないね』
――どういう意味だ? 誰のことだ「かれ」って?
 『 【ユージロー】 だよ。 ふふふ。 「彼女」と一緒に向かって来てるよ』
――!? 黄金の竜を召喚したドラゴン崇拝の?? そんな馬鹿な…。
 『こんな嘘を吐いても、特に ぼく に利点はないよ』
――あいつは竜の出現直後に行方が知れなくなったはず…… 仮に生きていたとしても、なぜ未来世界の時間上に……!? 本当に「同一」人物なのか??
 『さぁ? 極限まで微分化された無数の存在のうちの「一人」の ユージロー か、円環時間の中の未分化状態の「どろどろ」した 【ユージロー】 が「偶然」に「未来世界時間」から「ここ」に向かっているのか。 ぼく にはわからない。 確実に言えるのは、 かれ は きみ に会いに来るということ、そしてどうやら、 かれ も「同化」状態にあるということ』
――同化…だって……?

 ――――そんなことがあるのか?せかいじゅとおなじになるには、せかいじゅにえらばれなければならない。あの、どらごんすうはいのゆーじろーが、はたしてせかいじゅにえらばれるということがありうるのだろうか?

 『どちらにしても ぼく にとっては面白くなってきた。あとは「彼女」のことさえわかれば万々歳だ』
――? 宇宙の 【記憶】 とかって豪語してたのに、わからないのか?

 ――――なぜだ……? なにかがひっかかる……。

 『例えば、バンノール地方に伝わる神話の伝説上の「古竜ギース」。 例えば、世界樹を枯らすとされている「黄金の竜」。 例えば、「かつて」暴虐の限りを尽くした「彼の統治者」。 これらが、もし「同一」のものだったとしたら………?』
――?
 『ふふ。 まぁ今の きみ にはあまり関係のないことかもしれないね。 ぼく は「彼女」に ぼく と「同類」の匂いを感じるんだ。 せいぜい気をつけるといいと思うよ。 ふふふ……!』



 『そろそろ「彼女」たちも着くし、 ぼく はここらでおいとましよう。 それじゃあね』

 ――――こえのぬしのさいごのことばが、あたまからはなれない。こりゅう…?おうごんのりゅう…?とうちしゃ………?こんらんするばかりだ。そんなことをかんがえているうちに、あおいひかりがまぶたのうらにまでとどくぐらい、かがやきだした。



「おまたせ。あなたに処理を施した魔法を解くときがきたわよ?」



 ――――そのひかりのなかにあらわれた、あたらしいこえのぬしは、そう、おれにつげた。


→ #07
→ #05


  • ふぅ…書き…終わた……。 -- りん (2012-07-07 05:25:39)
  • じゃあ7話オレが書くよ。 -- 荒廃者 (2012-07-07 10:21:06)
  • ↑本人認定 -- 兎角 (2012-07-07 12:45:32)
  • いや、俺の自演 -- 朱音さん (2012-07-07 14:54:18)
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最終更新:2012年07月07日 16:31