―1948年12月 日本近海
私は日本海軍の攻撃に備え、艦隊の外縁で対空警戒をしていた。
ウヒョークラス・キラーとして名高いコーンフィールド級。
私もその一隻だけど、特殊装備な私は専ら防空艦として働いていた。
兄貴たちの中にはウヒョークラスを撃沈することへの執着が強いのも居るけど……私はそんなことない。
正直、ウヒョークラスを見たこともないし……だからって別に引け目もない。
私は私だ。ウヒョークラスを沈めるだけがコーンフィールド級の能じゃない。
自分に言い聞かせるようにそのことを考え続ける。妹たちだって、私より武勲があったり、強かったりするけど。
私の領分は、艦隊防空……地味だって良いんだって。うん。対艦戦闘よりよっぽど気楽だし。
いつものようにそんなことを考えていたら、何か凄まじい音が頭上から響いてくる。
敵襲かと思って見上げた瞬間、艦隊の中央は真っ白な光に包まれて。
その光は凄まじい熱を伴って私のところへやってきた。
………
……
…
ピピピピ…ピピピピ…
すごく頭が痛い。何?この音。
目を開ける。白い天井。知らない天井。ここはどこ?
海の上に、それも友軍と一緒に居たはずなのに。
起き上がってみる。ベッドの上だ。寝ていたみたい。
見回すと、本土の自室に似てるけど、どこか違う部屋……少し、狭い気がする。
音の主に目をやる。何かが映った端末。
『アラーム 7:00 初登校日』
えっと…………登校………って……?
端末を手に取る。触ることで動くようだ……そうだ、これは…スマホだ……。
うん、今日は転校初日で…………待って、知らない記憶が浮かんでくる。
私は……高校生……?
ウヒョークラス・キラーとして名高いコーンフィールド級。
私もその一隻だけど、特殊装備な私は専ら防空艦として働いていた。
兄貴たちの中にはウヒョークラスを撃沈することへの執着が強いのも居るけど……私はそんなことない。
正直、ウヒョークラスを見たこともないし……だからって別に引け目もない。
私は私だ。ウヒョークラスを沈めるだけがコーンフィールド級の能じゃない。
自分に言い聞かせるようにそのことを考え続ける。妹たちだって、私より武勲があったり、強かったりするけど。
私の領分は、艦隊防空……地味だって良いんだって。うん。対艦戦闘よりよっぽど気楽だし。
いつものようにそんなことを考えていたら、何か凄まじい音が頭上から響いてくる。
敵襲かと思って見上げた瞬間、艦隊の中央は真っ白な光に包まれて。
その光は凄まじい熱を伴って私のところへやってきた。
………
……
…
ピピピピ…ピピピピ…
すごく頭が痛い。何?この音。
目を開ける。白い天井。知らない天井。ここはどこ?
海の上に、それも友軍と一緒に居たはずなのに。
起き上がってみる。ベッドの上だ。寝ていたみたい。
見回すと、本土の自室に似てるけど、どこか違う部屋……少し、狭い気がする。
音の主に目をやる。何かが映った端末。
『アラーム 7:00 初登校日』
えっと…………登校………って……?
端末を手に取る。触ることで動くようだ……そうだ、これは…スマホだ……。
うん、今日は転校初日で…………待って、知らない記憶が浮かんでくる。
私は……高校生……?
「はい、今日から皆さんと同じクラスになる、ピオニーさんです。自己紹介して」
「ピオニー……です。えと…アメリカ出身です。よろしくお願いします」
ざわつく教室。
「席は、イエナさんの隣が空いてるから、あそこへどうぞ」
「あっ、はい……」
「ピオニーさん!隣になれて嬉しいです!あ、私ドイツ出身で、私も初日はすごく緊張したんでお気持ちすっごくわかります!」
「あー…そう、なんだ?」
「他のクラスにもドイツ出身の人居るんですけど、このクラスは私だけでちょっと心細かったんです」
「私アメリカだけど……」
「いいえ!転校生ってだけですごく親近感があるんです!改めて、よろしくお願いします!」
「う、うん、よろしく……ね」
なんか後ろから視線を感じる……うるさい…よね?まぁ、悪い子じゃなさそうなのは良かった、かな……。
「ピオニー……です。えと…アメリカ出身です。よろしくお願いします」
ざわつく教室。
「席は、イエナさんの隣が空いてるから、あそこへどうぞ」
「あっ、はい……」
「ピオニーさん!隣になれて嬉しいです!あ、私ドイツ出身で、私も初日はすごく緊張したんでお気持ちすっごくわかります!」
「あー…そう、なんだ?」
「他のクラスにもドイツ出身の人居るんですけど、このクラスは私だけでちょっと心細かったんです」
「私アメリカだけど……」
「いいえ!転校生ってだけですごく親近感があるんです!改めて、よろしくお願いします!」
「う、うん、よろしく……ね」
なんか後ろから視線を感じる……うるさい…よね?まぁ、悪い子じゃなさそうなのは良かった、かな……。
授業中、廊下を男女二人組に担がれていく女子生徒を見かけた。
「あれ、どうしたの?」
「あ~あれはですね、2年の子です。なんか、難しい病気らしくて、ああやってちょいちょい保健室に行ってるんですよ」
「それは……難儀だね」
うーん。私も何か悪い病気だったりしない?
「あれ、どうしたの?」
「あ~あれはですね、2年の子です。なんか、難しい病気らしくて、ああやってちょいちょい保健室に行ってるんですよ」
「それは……難儀だね」
うーん。私も何か悪い病気だったりしない?
放課後。図書館へやってきた私は気になることを調べる。
まずこの学校。
小中高一貫教育で附属幼稚園までついてる。滅茶苦茶デカい。
何で高校3年なんて最終年度に転校してきたんだ、私……?
次に、自分のことが……"コーンフィールド級重巡洋艦ピオニーフィールド"のことがわかるものを探した。
結論としては、無かった。それどころか、この世界の艦船はヒトの形をしていない。
そして、あの戦争……第二次世界大戦は、1945年8月で終わっている。どうやら、まるっきり別の世界みたいだ。
艦船がヒトの形をしていないなら私は……と考え込むと、"心臓"の"鼓動"が酷く意識された。
私は……人間……?
確かに、身体の勝手が違う気がする……そういえば、艤装の接続部も無い。あるのは、肉と、骨……。
意識し始めると、止まらない。血の流れる音、皮膚や筋肉の収縮する感覚、呼吸……艦船であったときは、似て非なるものだったはずだ。
でも、元々どうだったのか思い出せない。全部夢で、私は本当にただの高校生……?
頭がぐるぐるしていると、科学雑誌コーナーのアーカイブが目に入る。
『アトランティス増刊号-総力特集-』
『最新の観測結果が示唆した「平行宇宙」の存在!!』
……気がつくと手に取っていた。
内容的には、科学雑誌コーナーに置くには随分おかしな……というか、ハッキリ言ってオカルト。
でも、書いてあることは信じざるを得なかった。
あったかもしれない可能性のぶんだけ無数に存在する宇宙。時間、空間、意識の関連性を紐解く手がかり。
胡散臭いったらないけど……でも、私に関係のあることのような気がする。
もう少ししっかり読みたい、そう思っていたときだった。
「やあ、転校生。面白そうなものを読んでるじゃないか」
「うぇっ?あっ、いや、これはその……なんというか……っていうか…どなたさま……でしたっけ?」
「自己紹介がまだだったね。ボクはキミの後ろの席の留萌。賑やかなお隣さんとの会話は楽しませてもらったよ」
「イエナさん……ね、良い子だよね……」
「ボクもそう思うよ。あの子は他人に寄り添うことが出来る。でも今興味あるのはイエナじゃなくて、キミ」
「私?」
「そう。今日転校してきたばっかりだけど、しっかりした挨拶・号令を先生に褒められていた。ボクもクラスではそういうのしっかりしてる方だって言われるよ」
「へ、へぇ」
「そして今読んでる本。アトランティス増刊号。無限の平行世界。時空間と意識の深い関係」
「こ、これはね……」
「そう、ボクたちは似てる、そう思わないかい?」
「ひゅっ!?」
「この世界の秘密をボクと一緒に解き明かしたくはないかい?」
「あ、あんた、何か知っ……」
「もしそうなら、ボクらのオカルト研究会に入って欲しいんだ」
「……は?」
……何か、ひどく勘違いされている気がする。
(おわり)
まずこの学校。
小中高一貫教育で附属幼稚園までついてる。滅茶苦茶デカい。
何で高校3年なんて最終年度に転校してきたんだ、私……?
次に、自分のことが……"コーンフィールド級重巡洋艦ピオニーフィールド"のことがわかるものを探した。
結論としては、無かった。それどころか、この世界の艦船はヒトの形をしていない。
そして、あの戦争……第二次世界大戦は、1945年8月で終わっている。どうやら、まるっきり別の世界みたいだ。
艦船がヒトの形をしていないなら私は……と考え込むと、"心臓"の"鼓動"が酷く意識された。
私は……人間……?
確かに、身体の勝手が違う気がする……そういえば、艤装の接続部も無い。あるのは、肉と、骨……。
意識し始めると、止まらない。血の流れる音、皮膚や筋肉の収縮する感覚、呼吸……艦船であったときは、似て非なるものだったはずだ。
でも、元々どうだったのか思い出せない。全部夢で、私は本当にただの高校生……?
頭がぐるぐるしていると、科学雑誌コーナーのアーカイブが目に入る。
『アトランティス増刊号-総力特集-』
『最新の観測結果が示唆した「平行宇宙」の存在!!』
……気がつくと手に取っていた。
内容的には、科学雑誌コーナーに置くには随分おかしな……というか、ハッキリ言ってオカルト。
でも、書いてあることは信じざるを得なかった。
あったかもしれない可能性のぶんだけ無数に存在する宇宙。時間、空間、意識の関連性を紐解く手がかり。
胡散臭いったらないけど……でも、私に関係のあることのような気がする。
もう少ししっかり読みたい、そう思っていたときだった。
「やあ、転校生。面白そうなものを読んでるじゃないか」
「うぇっ?あっ、いや、これはその……なんというか……っていうか…どなたさま……でしたっけ?」
「自己紹介がまだだったね。ボクはキミの後ろの席の留萌。賑やかなお隣さんとの会話は楽しませてもらったよ」
「イエナさん……ね、良い子だよね……」
「ボクもそう思うよ。あの子は他人に寄り添うことが出来る。でも今興味あるのはイエナじゃなくて、キミ」
「私?」
「そう。今日転校してきたばっかりだけど、しっかりした挨拶・号令を先生に褒められていた。ボクもクラスではそういうのしっかりしてる方だって言われるよ」
「へ、へぇ」
「そして今読んでる本。アトランティス増刊号。無限の平行世界。時空間と意識の深い関係」
「こ、これはね……」
「そう、ボクたちは似てる、そう思わないかい?」
「ひゅっ!?」
「この世界の秘密をボクと一緒に解き明かしたくはないかい?」
「あ、あんた、何か知っ……」
「もしそうなら、ボクらのオカルト研究会に入って欲しいんだ」
「……は?」
……何か、ひどく勘違いされている気がする。
(おわり)