―1952年 東京
「すごく久しぶりな気がします、東京。」
「私は降伏調印式には来てないから、初めてくる東京ね。でも、随分様変わりしたんじゃない?」
「ええ、そうですね…大きな建物以外は、ガラッと変わってるような。」
それもそのはずだ。
東京は連合軍に幾度も爆撃され、原爆投下こそ免れたが何十万という民間人が焼かれたのだ。
赤頭巾の女、サン・フェアリー・アンは目を細めた。
もう一人の少女、樹氷は再び口を開く。
「うーん、待ち合わせはこのあたりだと思うんですけど」
「やぁやぁお二人さん、はるばるご苦労さま」
「ひぇっ!?」
二人の後ろから突然声がした。
「おっと、驚かせてしまってすまないね。私は後野祀(あとのまつり)、日本国保安庁広報課長だ。で、こいつは部下の…」
「三神味栞(みかみみかん)でーすっ。本当に長い旅路おつかれさまです!」
「こいつは…あー、流石に知り合いじゃないか。海軍に居た頃は艦船用の艤装の開発試験をしていたんだ。試験艦『三神』としてな」
「もーっ、昔話はよしてください」
「ま、自己紹介もこの辺にして…サン・フェアリー・アン。貴艦はこのあと海上警備隊への編入手続きがある。三神が案内するから着いて行ってくれ」
「了解しました。それじゃ樹氷、また後で会いましょう」
「はーい」
「で、だ。樹氷。君は既に艦船ではない。これから軍籍に戻ることも無いし、君自身望まないだろう」
「そう……ですね、はい」
「イチ民間人として暮らしてもらうことになるが、君を付け狙う者は少なくない。全く、今はもうなんの力も持たないというのにな、ははは」
「………」
「だが安心してほしい。君の生活は我々が全力をもってサポートする。身の危険を感じることの無いように最善を尽くすつもりだ」
「へっ……あ、ありがとう、ござい、ます……」
「まぁそう畏まるな。さて、君の新しい生活の門出を祝う前に、新しい名前を考えようじゃないか」
「名前、ですか?」
「ああ、君の人としての名前だ。もちろん、そのまま名乗っても良いがね……君、甘いものは好きかい?」
「えっ?ええ、大好きですよ」
「それはよかった。考え事をするのには甘いものが必要だ。食堂へ寄って、名前や今後のことを一緒に考えようじゃないか。もちろん、私の奢りだ」
「やった!いただきます!」
そうして二人は警備隊敷地内の食堂へ吸い込まれていくのだった。
「私は降伏調印式には来てないから、初めてくる東京ね。でも、随分様変わりしたんじゃない?」
「ええ、そうですね…大きな建物以外は、ガラッと変わってるような。」
それもそのはずだ。
東京は連合軍に幾度も爆撃され、原爆投下こそ免れたが何十万という民間人が焼かれたのだ。
赤頭巾の女、サン・フェアリー・アンは目を細めた。
もう一人の少女、樹氷は再び口を開く。
「うーん、待ち合わせはこのあたりだと思うんですけど」
「やぁやぁお二人さん、はるばるご苦労さま」
「ひぇっ!?」
二人の後ろから突然声がした。
「おっと、驚かせてしまってすまないね。私は後野祀(あとのまつり)、日本国保安庁広報課長だ。で、こいつは部下の…」
「三神味栞(みかみみかん)でーすっ。本当に長い旅路おつかれさまです!」
「こいつは…あー、流石に知り合いじゃないか。海軍に居た頃は艦船用の艤装の開発試験をしていたんだ。試験艦『三神』としてな」
「もーっ、昔話はよしてください」
「ま、自己紹介もこの辺にして…サン・フェアリー・アン。貴艦はこのあと海上警備隊への編入手続きがある。三神が案内するから着いて行ってくれ」
「了解しました。それじゃ樹氷、また後で会いましょう」
「はーい」
「で、だ。樹氷。君は既に艦船ではない。これから軍籍に戻ることも無いし、君自身望まないだろう」
「そう……ですね、はい」
「イチ民間人として暮らしてもらうことになるが、君を付け狙う者は少なくない。全く、今はもうなんの力も持たないというのにな、ははは」
「………」
「だが安心してほしい。君の生活は我々が全力をもってサポートする。身の危険を感じることの無いように最善を尽くすつもりだ」
「へっ……あ、ありがとう、ござい、ます……」
「まぁそう畏まるな。さて、君の新しい生活の門出を祝う前に、新しい名前を考えようじゃないか」
「名前、ですか?」
「ああ、君の人としての名前だ。もちろん、そのまま名乗っても良いがね……君、甘いものは好きかい?」
「えっ?ええ、大好きですよ」
「それはよかった。考え事をするのには甘いものが必要だ。食堂へ寄って、名前や今後のことを一緒に考えようじゃないか。もちろん、私の奢りだ」
「やった!いただきます!」
そうして二人は警備隊敷地内の食堂へ吸い込まれていくのだった。
オマケ
「いやーっそれにしても派手なカッコウですね!まるで童話から出てきたような……えーっと」
「赤頭巾?」
「そーっそれそれ!それです!」
「よく言われるわ。でもこれは…」
「あー今のカッコは気にしなくていいです、ちゃーんと制服用意してありますから!」
「そういうつもりじゃなかったけど…制服があるのね、フゥン」
ふと、三神の首にかけてあるプレートが気になった。何か書いてある。皇紀2859年……製造……?
日本には確かエンペラーの暦があったのだったか。
あいにく私はそれ以上の知識を持ち合わせておらず、この暦の指す年がいつなのかはわからなかった。
彼女の艦船としての製造年だろうか。
「アンさん〜あんまり見つめられると照れちゃいますよ〜」
「えっと…そういうつもりで見てたわけじゃ、無いのよ……」
(おわり)
「赤頭巾?」
「そーっそれそれ!それです!」
「よく言われるわ。でもこれは…」
「あー今のカッコは気にしなくていいです、ちゃーんと制服用意してありますから!」
「そういうつもりじゃなかったけど…制服があるのね、フゥン」
ふと、三神の首にかけてあるプレートが気になった。何か書いてある。皇紀2859年……製造……?
日本には確かエンペラーの暦があったのだったか。
あいにく私はそれ以上の知識を持ち合わせておらず、この暦の指す年がいつなのかはわからなかった。
彼女の艦船としての製造年だろうか。
「アンさん〜あんまり見つめられると照れちゃいますよ〜」
「えっと…そういうつもりで見てたわけじゃ、無いのよ……」
(おわり)