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江戸・幕末の生活

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朗らかな暮らし

江戸・幕末の生活

美しかった日本が見えてきます。



逝きし世の面影

渡辺 京二

かつて日本を満たしていた別の文明

2006.9.13
内容(「BOOK」データベースより)
私にとって重要なのは在りし日のこの国の文明が、人間の生存をできうる限り気持のよいものにしようとする合意とそれにもとづく工夫によって成り立っていたという事実だ」近代に物された、異邦人によるあまたの文献を渉猟し、それからの日本が失ってきたものの意味を根底から問うた大冊。1999年度和辻哲郎文化賞受賞。

内容(「MARC」データベースより)
昭和を問うなら開国を問え。そのためには開国以前の文明を問え…。幕末から明治に日本を訪れた、異邦人による訪日記を読破。日本近代が失ったものの意味を根本から問い直した超大作。

冒頭で、強引な通商交渉の為に来日していたペリー(ハリスだったかもしれません)が艦上から美しい風景を眺めながら、来日数日にして煩悶に陥ります。目の前で消え去つて行かうとしてゐる美しい文明。ここに西欧を持ち込むことに義はあるのか。

明治維新前後、多くの西洋人が日本に滞在し、様々な文章を残してゐます。其れを縦横に読み解くことによって、当時の日本の姿を浮き彫りにしてゐくと、今の日本とは連続性の無い一つの文明が現れます。

詳細に言及すれば、著者の誤りや偏見、贔屓があるとは思います。然し乍ら、ある文明が確かに其処にあり、今の価値観とは異なった幸せと美しさがあり、惜しまれるべきものを持っていたという著者の主張は正しいと言わざるを得ません。

もう帰って来ない「逝きし世」。当時の幸せと喜び、特に子供達の平明さを誇りに思います。幸あれ。

目次
  • ある文明の幻影
  • 陽気な人びと
  • 簡素とゆたかさ
  • 親和と礼節
  • 雑多と充溢
  • 労働と身体
  • 自由と身分
  • 裸体と性
  • 女の位相
  • 子どもの楽園
  • 風景とコスモス
  • 生類とコスモス
  • 信仰と祭
  • 心の垣根

  • 平凡社ライブラリー(文庫) (2005/09)



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美と礼節の絆
日本における交際文化の政治的起源

池上 英子

分断された「士・農・工・商」が「美」によって絡み合っていく過程。共通イメージとしての「日本」の誕生。

出版社/著者からの内容紹介(以下同様)
  • 連歌や俳諧、茶の湯、歌舞伎、出版……。あらゆる階層の日本人の魂を深く鍛えてきた近世日本の伝統文化。
日本人や、日本に興味のある人なら、俳句、茶、歌舞伎…それぞれに有名人やキーワードの一つや二つは言えるだろうと思います。自分で楽しんでおられる方も多いでしょう。本書では主に江戸時代にこれらの趣味趣向がどのように民衆に広がっていき、人々がどんな様子で楽しんでいたかをありありと描き出しています。まるでテレビでも見ているかのように情景が再現されていくので、傍で「見ている」読者まで楽しくなってくるくらいです。「こんなに盛り上がってたのか」と知らなかったことばかりで驚きつつも楽しいエピソードが満載。
  • 前著『名誉と順応』でサムライ文化の歴史社会学的分析で話題を呼んだ著者が、今回は「ネットワーク」と「シヴィリティ=市民的礼節」をキーワードに、美という結節点が如何にして市民的交際と礼節の文化を生み出し、それが日本人の政治意識やアイデンティティーにまでも深く影響を与えてきたかを分析する。
そんな人々が知らず知らずのうちに俳句なら俳句、歌舞伎なら歌舞伎を通じて、身分や藩を超えて直接間接に触れ合うことで、結果として生まれた「緩い結合」は、歴史の表舞台には出てこないが、意識の奥深いところで「日本」を規定していると著者は主張しています。この辺りの話では急にカタカナ用語が多くなり、ちょっと端折りすぎの観がありますので賛否はあるかと思います。しかしながらそれを補って余りあるのがそもそもの論点であります。
 そもそも様々な地域に様々な集団が住んでいた日本で、また近世まで確固とした身分制が敷かれていたにも関わらず、日本という文化の一体性が信じらるのは何故か。全国的に共有されている日本の美というイメージ。それが出来上がっていくプロセスを画くことで「日本」とは一体何を意味しているのかが分かるのではないか。
 そして著者は「日本」という一体のものが生まれたのは「幸せな偶然」だったと言います。美しい日本は必然的に、生まれるべくして生まれたとは言いません。その価値について著者は何も明言しませんが、私は「偶然」であればこそ「幸せ」だし、文字通り有り難いことだと感じます。少なくともそう感じるに値する何かがあったのだと思える一冊。

時代劇を観るつもりでダラダラ読もう

そ、そんなに凄い本だったんですか。
 なお、原文は英語。著者自ら翻訳しています。日本ではあたりまえのことも敢えてそのまま残す一方、日本では一般的でない用語などについては補筆したために「かなりの分量」(568ページ)になってしまったそうですから、ちょっと論旨がボケたところもあるのかもしれません。そのかわり親切な語り口になってますので手にとってしまえば意外とスイスイ読み進められます。

  • ジュンク堂NTT出版フェアにて偶然手に取り購入。
目次
美と交際文化の政治学
  • 美の国日本と徳川ネットワーク革命
  • 市民社会なき市民的礼節―比較論的概観 ほか
結社の政治学と美のパブリック圏
  • 美のパブリック圏の中世的起源―自由をめぐる儀礼のロジックと連歌
  • 中世後期における座の芸能の変容―ヨコの組織原理対タテの組織原理 ほか
市場と国家とカテゴリーの政治学
  • 浮世からのプロテスト―ファッション・国家・ジェンダー
  • 徳川の商業出版とプロトモダン文化 ほか
変幻する日本イメージ
  • 美の国日本の誕生
詳細
  • 単行本: 568ページ
  • 出版社: NTT出版 (2005/7/9)
  • ISBN-10: 4757141165
  • ISBN-13: 978-4757141162
  • 発売日: 2005/7/9
  • 商品の寸法: 21.4 x 14.6 x 3.8 cm




日本その日その日(1)(2)(3)

E・S・モース

美しいスケッチの数々に彩られた日記

2006.9.13
著者は、明治初期に日本に数年間滞在した動物学者で、東京大学で教鞭を執り、ダーウィンの進化論を日本に紹介しました。大森貝塚を発見した人として教科書にも載つてゐると云えばご存知の方も多いでしょう。

日本が大変気に入ったらしく、先にご紹介した「逝きし世の面影」では日本を贔屓しすぎだとして、若干割り引いて読まねばならないとされている程です。子供、家族、桜、祭り、人だかり、軒先の看板、街路沿いの建物、職人、道具...色んなものが愛着を持って描かれています。

紀行文解説付きの貴重なスケッチ集としても読める

動物学者だけあってスケッチが上手く、美しい彩りと成っています。文章は一見、日記風ではありますが、人混みに揉まれながらも懸命にスケッチを取る姿が頻繁に登場し、むしろ膨大なスケッチの備忘録集ではないかと思える程です。看板の漢字がきちんと読める字に写されている辺り、観察眼の確かさを窺わせます。

良い仕事

本書が属する平凡社東洋文庫は装丁が良く(布貼りハードカバー、箱入り)、版組・活字共に良好で、題材としては古典に成り得る要素を備へたものが多く、好書の宝庫で在ります。若干割高ではあるのですが、所有に値すると言へましょう。

2007.5.16
(3)も収蔵しました。

  • 平凡社東洋文庫 (1970/09)




日本奥地紀行

イザベラ バード

明治初期の蝦夷。アイヌが秀逸。

2006.9.13
内容(「MARC」データベースより)
文明開化期の日本…。イザベラは北へ旅立つ。本当の日本を求めて。東京から北海道まで、美しい自然のなかの貧しい漁村、アイヌの生活など、明治初期の日本を浮き彫りにした旅の記録。73年刊東洋文庫の再刊。

日本語も余り出来ないイギリス人女性が、現地で道案内を雇い伴ひさせながらとは云へ、東北から北海道にかけての一人旅を無事に完遂できた事自体が奇跡的であると渡辺京二氏は指摘しております。確かに西欧では非常識に属する事なのかも知れません。兎にも角にもバード夫人は旅に出ます。

馬丁との珍道中

イザベラは馬に乗るのですが、馬は走るのではなく歩くのが常であり、その前を馬丁が走つて道を開けます。馬は一般にあまり調教されてゐないため、暴れる度に夫人は放り出されます。道は整備が悪く、天候が悪いと泥濘に嵌まり、思うに任せない道中が続きます。

しかし馬丁は何時も陽気で、馬の世話は勿論、イザベラの為に何事につけ骨を折り、時には風習の違いから反対意見を述べ、そのやり取りは珍道中さながらであります。

離村は貧しく、時に夫人は美しい風景を見つめ、旅を続けます。

キリスト教徒に蝦夷はどう見えたのか

特に筆が冴えるのはアイヌについての記述で、本書の醍醐味であります。

「日本人」から見ても独特な種々の習俗は、彼女には理解可能でありました。宗教観にも理解を示したイザベラは、ある集落で鎮守の祠(ほこら)に案内されます。遠い昔に日本から渡つて来て彼等を導き、今も守つてくれてゐるといふ神が、自ら書ひたと云ふ文は確かに日本語で書かれておりました。「義経、流れて此の地に来たる」と。

キリスト教徒であるモース夫人にとつて、此の世は人間(キリスト教徒)が救済に至るまでの試練として神が与えた場で在つたはずです。しかし蝦夷で出会ったのは、悠々と流れる時間と、人間も含めた世界そのものが「ただ在る」という端的な提示でありました。

夫人が旅を続けた理由は其処にあつたのだと思ひます。

関連書籍
平凡社東洋文庫
  • 「日本奥地紀行」 イサベラ・バード 高梨 健吉 (1973/1)
  • 「中国奥地紀行〈1〉」 イザベラ・L バード、金坂 清則 (2002/10)
  • 「中国奥地紀行〈2〉」 イザベラ バード、金坂 清則 (2002/12)
  • 「イザベラ・バード 極東の旅〈1〉」イザベラ バード 金坂 清則 (2005/6)
  • 「イザベラ・バード 極東の旅〈2〉」 イザベラ バード 金坂 清則 (2005/10)
  • 「朝鮮奥地紀行〈1〉」 イサベラ・L. バード、朴 尚得(1993/12)
  • 「朝鮮奥地紀行〈2〉」 イサベラ・L. バード、朴 尚得(1994/1)
  • 「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む」 宮本 常一 (単行本2002/12)
  • 「イザベラ・バードの会津紀行」 赤坂 憲雄 (単行本2006/5)
  • 「朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期」 イザベラ・L. バード、時岡 敬子

  • 平凡社ライブラリー(文庫)(2000/02)



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美と礼節の絆
日本における交際文化の政治的起源

池上 英子

分断された「士・農・工・商」が「美」によって絡み合っていく過程。共通イメージとしての「日本」の誕生。

出版社/著者からの内容紹介(以下同様)
  • 連歌や俳諧、茶の湯、歌舞伎、出版……。あらゆる階層の日本人の魂を深く鍛えてきた近世日本の伝統文化。
日本人や、日本に興味のある人なら、俳句、茶、歌舞伎…それぞれに有名人やキーワードの一つや二つは言えるだろうと思います。自分で楽しんでおられる方も多いでしょう。本書では主に江戸時代にこれらの趣味趣向がどのように民衆に広がっていき、人々がどんな様子で楽しんでいたかをありありと描き出しています。まるでテレビでも見ているかのように情景が再現されていくので、傍で「見ている」読者まで楽しくなってくるくらいです。「こんなに盛り上がってたのか」と知らなかったことばかりで驚きつつも楽しいエピソードが満載。
  • 前著『名誉と順応』でサムライ文化の歴史社会学的分析で話題を呼んだ著者が、今回は「ネットワーク」と「シヴィリティ=市民的礼節」をキーワードに、美という結節点が如何にして市民的交際と礼節の文化を生み出し、それが日本人の政治意識やアイデンティティーにまでも深く影響を与えてきたかを分析する。
そんな人々が知らず知らずのうちに俳句なら俳句、歌舞伎なら歌舞伎を通じて、身分や藩を超えて直接間接に触れ合うことで、結果として生まれた「緩い結合」は、歴史の表舞台には出てこないが、意識の奥深いところで「日本」を規定していると著者は主張しています。この辺りの話では急にカタカナ用語が多くなり、ちょっと端折りすぎの観がありますので賛否はあるかと思います。しかしながらそれを補って余りあるのがそもそもの論点であります。
 そもそも様々な地域に様々な集団が住んでいた日本で、また近世まで確固とした身分制が敷かれていたにも関わらず、日本という文化の一体性が信じらるのは何故か。全国的に共有されている日本の美というイメージ。それが出来上がっていくプロセスを画くことで「日本」とは一体何を意味しているのかが分かるのではないか。
 そして著者は「日本」という一体のものが生まれたのは「幸せな偶然」だったと言います。美しい日本は必然的に、生まれるべくして生まれたとは言いません。その価値について著者は何も明言しませんが、私は「偶然」であればこそ「幸せ」だし、文字通り有り難いことだと感じます。少なくともそう感じるに値する何かがあったのだと思える一冊。

時代劇を観るつもりでダラダラ読もう

そ、そんなに凄い本だったんですか。
 なお、原文は英語。著者自ら翻訳しています。日本ではあたりまえのことも敢えてそのまま残す一方、日本では一般的でない用語などについては補筆したために「かなりの分量」(568ページ)になってしまったそうですから、ちょっと論旨がボケたところもあるのかもしれません。そのかわり親切な語り口になってますので手にとってしまえば意外とスイスイ読み進められます。

  • ジュンク堂NTT出版フェアにて偶然手に取り購入。
目次
美と交際文化の政治学
  • 美の国日本と徳川ネットワーク革命
  • 市民社会なき市民的礼節―比較論的概観 ほか
結社の政治学と美のパブリック圏
  • 美のパブリック圏の中世的起源―自由をめぐる儀礼のロジックと連歌
  • 中世後期における座の芸能の変容―ヨコの組織原理対タテの組織原理 ほか
市場と国家とカテゴリーの政治学
  • 浮世からのプロテスト―ファッション・国家・ジェンダー
  • 徳川の商業出版とプロトモダン文化 ほか
変幻する日本イメージ
  • 美の国日本の誕生
詳細
  • 単行本: 568ページ
  • 出版社: NTT出版 (2005/7/9)
  • ISBN-10: 4757141165
  • ISBN-13: 978-4757141162
  • 発売日: 2005/7/9
  • 商品の寸法: 21.4 x 14.6 x 3.8 cm




モースコレクション/写真編 百年前の日本

小西四郎,岡秀行(編)
内容(「MARC」データベースより)
82年10月にアメリカ、セイラム・ピーボディー博物館を現地取材し、保存されていた写真を複写したものの中から300点を厳選し、掲載。21世紀を迎えた今、モースの残した写真が再び語り始める。83年刊の普及版。

ほんの150年ほど前の日常。

2006.9.13
明治初期にも残っていた、明治維新以前の日常。
実に素晴らしい写真集です。他に「民具編」(未入荷)も在ります。

  • 小学館
  • 大型本211ページ;H=31cm




英国人写真家の見た明治日本
-この世の楽園・日本

Herbert George Ponting(ハーバート・G. ポンティング)
(翻訳)長岡 祥三
2006.9
未読です。文章が硬くてどうも食指が動かない。

  • 講談社学術文庫 (2005/05)



参考(侍の価値観より)
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耳袋

根岸鎮衛(著)
鈴木棠三(編)

庶民派奉行がコツコツ書き留めた珍談・奇談

渡辺京二「逝きし世の面影」で、当時(江戸時代)の人の日記などが随所で引用されているんですが、当然ながらいずれも古書。その中から比較的手に入りやすいものを買ってみました。

根岸鎮衛は下級の御家人から勘定奉行にまで出世し、南町奉行を長年勤めた人。ワハハな話が満載の筈だったんですが、現代語訳無しなのがつらいところ。
wikipedia根岸鎮衛より抜粋
鎮衛の著として有名な耳袋(耳嚢)は、鎮衛が佐渡奉行在任中の1785年(天明5年)頃から亡くなる直前まで30年以上に亘って書き溜めた世間話の随筆集である。同僚や古老から聞き取った珍談・奇談が記録され、全10巻1000編もの膨大な量に及ぶ。内容は、公方から町人層まで身分を問わず様々な人々についての事柄などについてである。
下級幕吏出身のくだけた人物で、大岡忠相や遠山景元とはまた違った意味で講談で注目を集め、平岩弓枝の「はやぶさ新八御用帳」シリーズをはじめ、小説・テレビ時代劇で題材とされている。
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