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  • 痔の人の同人に出したススリメイク

vipac @Wiki

痔の人の同人に出したススリメイク

最終更新:2024年05月27日 18:50

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管理者のみ編集可
大昔の話になるが、
痔の人のVIPAC同人詩に寄稿する為に書いたSSがあり、
もしも失恋さんがススだったら、のリメイク版として、
ススリメイクと称して書いたものがある。

痔の人の同人誌の一部なので、本来私の一存で公開は出来ないのだが、
ACVが発売される前の話で、本当に大昔のものであり、
今は連絡手段もなく、流石に時効かと思うので、
失恋板在住のSSの思い出の一つとして、ここに掲載しておく。


今日なんとなくこのメモ帳を買ってきた。
今になってこのメモ帳を買ってきた理由は、このメモ帳がなんとなく気に入ったからだ。
手になじむ大きさながら、白いページが幾重にも続いていて、何か可能性を感じさせる物がある。

可能性、そう、可能性があるからには達成すべき目標がある筈だ。
今はそれが何かはわからない、心の平穏かもしれないし、精神的な変化かもしれない。
だがそれが何かはどうでもいいのだ、ただ、このメモ帳には可能性がある。

本当に可能性があるのかと問われれば、私は少しどもりながらそれを曖昧に否定するかもしれない。
でも私がそう感じた事は、私の中では常に事実なのだ。
私が認識しない物は存在しないし、私が認識して初めて物は存在するようになる。

神にでもなったような言い草と思うかもしれないが、こんな窮屈な神はそうそう居ないだろう。
何一つ能動的に決められる訳ではないのに、全てを自分で創造しなければならないのだから。
私の感覚は、常に世界を創造し続けると同時に、世界を認める判子を押し続ける事に変わりは無いのだ。

なら簡単じゃないか、世界は君の認識と関係無く存在する、その事を認めればもっと楽に生きられる。
君はそう言うかもしれない。
でも、私の認識の外の世界という物は、常に曖昧で、限りなく無意味な物だと思う。

今私の前に箱がある、箱の中身は私も知らない。
この箱の中身は私が実際に認識するまでは存在しないのと同じだ。
存在しないと言っても何も入っていない訳ではない、だがそこには今何も存在しないのだ。

そして箱を開けると箱の中身が突如として私の世界の中に追加される。
箱を開ける前に、私が箱の中身をリンゴだとか子猫だとか予想してたとしても、
それに全く干渉される事無く世界は追加される。

この時私の予想に何らかの意味があったのだろうか?

ある、と言えばあると思う。
私がリンゴだと思って開けた場合と、私が子猫だと思って開けた場合、結果はまるで違う事になる。
例え私が目隠しをしている間に他の人間がにやにやしながら同一の物を箱の中に入れたとしても、
この二種類の場合の箱の中身はまるで別々の性質を帯びている。
中身が子猫だった場合、リンゴだと思って開けた私は驚くし、子猫だと思って開けた私はガッツポーズをする。

言いかえれば、箱の中身には感情が添付されて送られている可能性もある。
リンゴだと思って開けた子猫には、私が驚くように仕組まれる何かが入っているのかもしれない。
子猫だと思って開けた子猫には、私がガッツポーズしたくなるような何かが含まれているのかもしれない。
その場合、明らかに箱の中身は別物なのだ。

だが、意味が無いと言えば、無いのである。
結局箱を開ける瞬間は一度しか来ない、私はリンゴだと思って開ける自分と子猫だと思って開ける自分を両立出来ない。
箱を開ける私は常に決まっていて、箱の中身も常に決まっているのだ。

話を少し戻そう、結局私が何が言いたいのかと言うと、私の認識の外の世界は、本当に曖昧過ぎるという事だ。
世界を全て存在する事にしてしまうと、私にとって世界という言葉は、
もはや外国の古文書と同じくらい疎遠な物になってしまう。

ただ広がっているだけの世界なんて必要無いし、
私が一度に認識出来る世界は常に限られている。
私が 180°後ろを向けば、さっきまで私が見ていた世界は色を無くしてしまうのだ。
だから私は、今認識している物だけが世界だと思う。



認識の外の世界は無であるとする。
しかし無である事を確実にしてしまうと、そこに無という物は存在してしまうかもしれない。
本当の意味での無とは、在るかもしれないし、無いかもしれない、
それがわからない状態かもしれない。

認識の範囲が変わる事によって箱の中身が追加された時、箱の中身は、在るかもしれないし、無いかもしれない、
それがわからない状態から、突如として在る状態に移行する。
本当の意味での無という状態は、どんな物にでもなれる無限の可能性を持っているような気さえする。
しかしそれほどうまくいかないのが私の認識の世界なのだ。
私という認識する物を、私が主体的に操っているとは限らないのだ。

私は確かに何かを認識している。そして今まで何かを認識していた記憶を持っている。
しかし、それが何者かによってリアルタイムに与えられている記憶だと考えると、
私は何も実感が持てなくなるのだ。
今この瞬間にこういう映像を見ながらこういう記憶を持っている。
だが次の一瞬には別の映像を見ながら別の記憶を持っているかもしれない。
主体性が無いどころか、この思考には連続性すら疑う事が出来るのだ。



この考え方の優劣に関わらず、私が素直に納得出来る考え方はこれしかない。
だが、自分で言うのも難だが、この考え方は非常に効率が悪い。
現実の私は、180°後ろを向いて今まで見ていた世界が色を無くしても、
そこにそれがあるかのように振舞わなければならない。
私と話している人間が、私と同じように認識し世界を創造しているのかわからなくても、
さも私と同じ人間であるかのように振舞わなければならない。

私の考え方はとても現実に則している物ではないし、利己的ですらない。

自己欺瞞、という言葉がある。
これは非常に便利な言葉だ。
自分にとっての真実を信じ続ける自分を安全に隔離しながら、
欺瞞という名の下、効率的な自分を創造出来る。

私は自分を信じている、でも自分は騙されている、騙している奴もわかってる。
でも騙している奴に従うんだ、その方が楽だから。

何故こんな面倒なワンクッションを置く必要があるのか、それこそ私のプライドの所為に他ならない。
私は私が自分の手で獲得した真実を、貧乏人がゴミ捨て場で拾ったキラキラ光る色ガラスを、
価値が無い物だと認める事が怖いのだ。

パンをやるからその色ガラスを捨てろ、
そう言われても私は腹を空かせて色ガラスを太陽に透かして眺めている。
お前の色ガラスは本当に綺麗だ、だけどその色ガラスを持っていたらパンを食べる時邪魔だろう?
その色ガラスをどこかにしまって、一緒にパンを食べようじゃないか。
そう言われて初めて、私はパンを口にする。

そしてパンのおいしさにむせび泣きながらパンを与えてくれた人に抱擁を求める。
だがその時も、無意識に胸ポケットにしまった色ガラスを相手に押しつける。
そんなどうしようもない人間が、私なんだ。

だがこの場合、パンを与えるのは私であり、パンを受け取るのも私である。
偽物の私は急いでパンをこしらえてやらないと、
本物の私が色ガラスに取りつかれたまま餓死してしまう。

ここで残念なのは、偽物の私も、私に似て頑固な所があって、
ある程度私が受け入れやすい物しか食べる事が出来ないのだ。
偽物の私はてんてこ舞いでパンを探し、ほうほうのていで汚らしいパンを見つけてきた。
それが、信仰である。



信仰、と一口に言っても私は突然何々教を信じられるようになる訳ではない。
ただ、何かを美しい物を信じようとする事で、
信じる事が出来なくても心を統率しようというのが狙いだ。

偽物の私が信仰を選んできた一つの要因に死の恐怖という物がある。
私にとって死というのは認識の終わり、つまり世界の終わりである。
私に認識されない世界は、存在する事も出来ず、何一つ不確定なまま永遠に漂い続けるだろう。
世界は認識者の私の怠慢を罵る事すら無く、私の世界から消滅する。
そして私の記憶のフィルムには、無限に白紙が連なり続けるだろう。
私はそれがたまらなく怖いのだ。

世の中には自殺したと言われる人が存在するらしい。
しかし、私はそれらの自殺した人の中に健全な理性があったとは思いたくは無いのだ。
仮に理性を持って大空に身を投げた人が居たとしても、彼は地面が近づく過程で後悔で一杯になり、
自分の意識が途切れる一瞬には恐怖に押しつぶされて、正気を保つ事は不可能だと思っている。

死の恐怖に対抗する為に、よく信仰という物が用いられる、それを私は知識として知っていた。
何故信仰を用いるのか、それは、真実では死の恐怖に対抗出来ないからだ。

理論整然と死に向かう人間なんて居るのだろうか。
私は多分居ないと思う。

自分が死ぬという事実こそ、
私が産まれてきてから直感してきた事の中で、最も確からしい事だからだ。
がむしゃらに何かを信じ続けようとする事で、その事実から目を背ける事が出来る。
私はそう、信じている。



ここで少し自己紹介をしておこう、私はスス、この砂漠の町で生活している。
幸い私は裕福な家庭に生まれたので、あまり苦労せずにこの年まで生きてきた。
私の父は抵抗戦力に金銭的な援助をする事で、この家庭を守ってきた。

だから私はこうして平和な環境で、現実離れした思想を蓄えていられるのだ。
私には恋人が居る、名前をファーティマという。
私が真っ先に信仰の対象にしたのは、彼女との事だった。

恥ずかしい話だが私は彼女を愛している。
多分そうなのだろう、そして・・・・



ここから先は数ページ破られた後がある。
そしてその先の破られかけたページから、こう
続いている。



僕は実に愚かだ、そうは思わないか、
自己欺瞞の為に彼女を利用した挙句、彼女に捨てられた。

だが同時に僕は小賢しくもある。
僕の信仰に障害は無いんだ、信仰という物は現実の反応が無くても続けられる。
自分の中で信じる事が出来さえすれば、その事から来るメリットは充分享受出来る。
彼女には少し悪いとは思っている、この期に及んで彼女を利用し続ける事は、どこか汚らしい気がする。
だがなにふり構っていられない、もうこれを書くのもやめよう。
僕の信仰は完成に近づきつつある、これは、一つの試練なんだ。



このメモ帳を見つけたのは、本当に偶然だった。
医者に言われて、自分の整理を付ける為に何か書く事を勧められて、昔読んだ本の山の中からこのメモ帳を見つけた。
なるほど、気を狂わせる前の私はこんな事を考えていたのか。
そう思うと、このメモ帳は私にとってとても親しげであると同時に、とても色褪せて感じられた。

今の私はこんなにも無知で、こんなにも幸福だ。
昔の私が試行錯誤して手に入れようとして幸福を、今の私はこんなに簡単に手に入れられた。
ただ医者に言われるままにしていただけで、私はこんなに正常になった。
ファーティマには随分と迷惑をかけてしまったらしい、しかしそんな事はもう若気の至りという奴だ。
他人の事を考えて自分をないがしろにするなんて、愚か者のする事だ。



昔の私はおそらく何もかも疑ってかかって行ったのだろう。
その末に何も信じられなくなって、やみくもに何かを信じようとして狂ってしまった。
最も昔の私も今の私も根底にある物は大して変わらない。

私も自分の認識した世界が私の世界そのものだと思うし、それ以外は何だろうと構わない。
自分の認識した世界は存在するが、自分という物の存在すら自分には確認出来ない。
だが私は前より少し賢くなっていた。

何かをやみくもに信じ切るのではなく、少しづつ偽りを積み立てて行く事にしたのだ。
ほんの些細な、ほんの僅かな偽りを私に少しづつ認めさせる事で、それを積み重ね大きな楔に育て上げる。
その楔が完成した時、私の曖昧な世界は崩れ落ち、新たな私の偽物の世界が幕を開けるのだ。
今までよりずっと確実で、ずっと生きやすい、そんな偽りの世界を私は当たり前のように認める事になるのだ。

この楔を、私は道徳と呼ぼうと思う。
道徳は真実ではない、ただ生きていく上で得た知恵だ。
その知恵を活用する事で生きる事が楽になれば、それがどんなに大それた嘘でも構わない。

私は夢を見ようと思っている。
真実から目を背けて全く別の世界に生きようと思う。
だが、私の認識の方法を矯正してしまえば、その世界もまた真実なのだ。
夢が現実になり、今まで現実だったものが過去の夢になる。

現実となった夢の世界には、過去の夢を思い出させる物など存在しない。
そう、このメモ帳を除いて。



最終目的は夢の世界だとしても、今の私にとってはそれは偽物の私に過ぎない。
道徳を積み重ねる事で形成される偽物の私。
偽物の私はとても賢い、生きやすくする為ならどんな事でも取り入れ、修正していこうとする姿勢がある。

だが、ここで少し問題が生じてしまった。
今まで思想的に抑圧されてきた、ごく自然な感情の類が、偽物の自分に取り入れられてしまったのだ。
やはり最終的に生きやすいかどうかは、私の感情がどうであったかという事が大きく関係しているだろう。
だからこそ、偽物の私は私の抑圧されていた感情にも目を向けそこを取り入れて行ったのだ。
感情を知る事で、より良い感情で生きて行こうとしているのだ。

昔の私は自己欺瞞の信仰として愛を選んだ、だが元々は愛とて自然な感情に過ぎなかった。
気が付いたら、私は偽物の自分で、
ファーティマとの事を誰かを好きだった記憶として判断するようになった。

偽物の自分はこう言う、
確かにお前は失敗した、だが別にお前の純粋な気持ちは間違っていた訳じゃない。
ただ方法を少し間違えただけなんだ。
そんな歯の浮くような台詞を偽物の私は考え出せる。

偽物の私は当たり前のように私の孤独感を掬いあげて、何か対策を講じようとする。
偽物の私は、私が思考の存在すら確認出来ない他人という存在に、より素直に接する事を勧める。
心を開いて素直に接すれば、より他人という曖昧な存在が私に良い影響を与えてくれると思っているのだ。



もはや本当の私という物は、
具体的な思考の大部分を偽物の私に奪われ、ただ認識の根底を供給するだけの存在になった。
偽物の私は、
今まで本当の自分が切り捨てて振り向こうとしなかった感情や欲求、そして認識の予測を担当するようになった。

思考と記憶は常にリアルタイムで与えられている連続性の無い物かもしれない。
しかし記憶と現在の思考と連続した物と繋げて、そこに規則性を見出す事で、
より当たり前な認識を予測する事が出来るようになった。

他人が私と同じように認識の世界を持っているかはわからない。
だが他人は私と同じような人間という範囲の存在として、常にその範囲の中で行動している。
今までずっとそうだった、なら今後もそうだろう、そんな曖昧な憶測で、他人という存在を認める事にしたのだ。

また、何の前触れも無く湧き出てくる私の感情に、他人と関わり合いたいという感情がある。
本当の私はそれを何か汚い物のように扱っていたが、偽物の私はそれについても親切に対応した。
愛という感情を、本物の私はただ信仰の種として利用したが、
偽物の私は愛を愛のまま認めようとしている。

既に、偽物の私が私自身で、
本物の私は私自身の中に残る残滓に過ぎないのかもしれない。



もうこのメモ帳は必要無いのかもしれない。
私の道徳が構築されていくにつれて、
ここに書いてあった内容はますます現実離れして感じられるようになるだろう。

だけど、私が自分の事を語るのにこれほど適した場所はこのメモ帳以外考えられない。
このメモ帳に残された本来の自分ほど、私の道徳の意義を語るにふさわしい相手は居ないのだ。

私の傲慢な心が自慢する価値があると判断した人間は、本来の自分しか居ないのだ。
しかし、本当の私は、失われようとしている今も私を嘲笑っているような気がする。
決して恐れず、ただ自分の正当性だけを信じ続けているように思える。
その態度を見て、私は若干の不安の拭いきれないでいる。

私が本当の私を少しづつ修正していった所で、
気づいてみれば私はまた同じ所に戻ってきてしまうのではないだろうか。
本当の私はそれを確信して、今はただ眠りこけているふりをしているのではないだろうか。

まぁいい、昔と違い、今は偽物の私が私の不確定な感情という物を把握しているのだ。
私が覆されるような不確定要素は感情以外にあり得ないだろう。
ならば、偽物の私が脅かされるような要素は、
もう特に残っていないだろう。



時々私は考える、今の自分は幸福だ、だがこの倦怠感はなんだろう。
あれだけ昔の自分が欲しがっていた心の平穏、
それもまた、移りゆく状態の過程の一つに過ぎないのだろうか。
今の私にはがつがつした物が足りない、目標も何も無い。
ただ今という時間に満足してばかりで、それを守ろうという気概も無い。

思えばこのメモ帳を見なければこんな感覚は二度と戻ってこなかっただろう。
太陽に透かした色ガラスの輝きの尊さなんて、二度と考える機会は無かっただろう。
偽物の私が統率したかに見えた感情も、やはり全てを統率する事は出来ない不確定な物だった。
本物の私から滲み出た感情が、
偽物の私の感情に伝染していき全てを塗り替えそうなのだ。

結局私の本性は飢えた野犬でしかなかった。
幸福なんて、立ち止まって休憩している時に感じる刹那的な回復感なんだ。

そうだ、僕は走りださなければならない。
僕は、ただ自分の焦燥感の赴くままに走り続けなければいけない。
走る理由は何だって良いんだ、元々僕はこの世界に合うように出来ていなかった。
だから僕は弾き出されるように走り出す。

確実にそこに待っているであろう死に向けて、遠回りしながら走って行くんだ。
僕にはわかっている、全ての元凶はこの平和な環境なんだと。
僕はもうこんな所で言葉遊びに興じる気は無い。
そうだ、戦おう、ただひたむきに、僕という人間を燃焼させ尽くしてしまえばいい。



まずは、あれから何があったかを説明するのが、筋だと思う。
僕は家を飛び出し反体制派として戦っていた。

だが何かが変わったのはあのネクストとかいう機械が来てからだ。
僕は機械に試されて、合格してしまった。

他の奴らが気を狂わせてしまう中、僕はあの砂嵐の中を耐えてしまった。
ただそれだけだ、それだけで、僕はあの機械に乗らされる事になった。

あの機械に乗ってる間の感覚は、とてもこの世の感覚とは思えなかった。
全身が砂嵐に削られていくような痛みで、その砂嵐は心にまで入り込んでくる。
心を掻き乱されながら、僕はあの機械を操縦しなきゃならない。

心の中が砂嵐でボロボロにされていく間、僕は無駄な思考をこそぎ落され、最終的には一つの事しか考えられなくなる。
それは、僕の世界に対する不信感でもなく、ただどうしようもない死の恐怖でもなかった。
ただ、ファーティマの事を考えていた。

砂嵐の中で本当に何気なく、彼女の美しかった所とか、愛おしかった所を思い出して、
僕はその度に少し正気に戻って行った。

確かに僕はあの機械に乗る前に、世界に対する不信感や死の恐怖の事を考え続けていた。
だがそんな事を考えても、あの砂嵐の中で、何一つ暖かな拠り所にはならないのだ。
むしろ、絶望感を加速させるだけで、何一つ僕を守ろうとはしてくれないのだ。

もし僕の今までの人生の中で偽りのない真実があるとしたら、それは本当に唯一、
ファーティマの事が好きだったという事、ただそれ一つだけなのかもしれない。
今の僕にはかつてのような焦燥感すらない。
ただ、僕はまた疲れてしまった。

もう僕には回復する機会なんて無いのはわかっている。
僕はこのまま燃え尽きるように死んでいくだけなんだ。



今の僕は実に滑稽だ、そうは思わないか。
あの機械のせいで肉体的にも精神的にも追いつめられて、残った感情は、本能だけだ。
何故あの時にファーティマの事を思い出したのか、それは死を直感した僕の本能が子孫を残そうと思ったから。
思想に人は殺せない、そんな言葉がふと思い浮かんだよ。

思想なんて所詮、安全が確保された人間が暇つぶしに操るおもちゃなんだ。
本能が危険を察知すれば、思想なんて一瞬にして吹き飛んで、本能は僕を守ろうとする。
実にカッコ悪いさ、僕は本当に飢えた野犬なんだ。

自分の思想を自分の生きる為に活用出来ずに、結局自分を守るものは自分の本能だけなんだ。
今の僕はただの動物だ、人の言葉を書き綴るだけの動物。
何故今更このメモ帳をまた書こうと思ったのだろう、それすらわからない。

反体制派として戦う間、このメモ帳はいわば僕のお守りだった。
僕がどういう人間か再確認する為のバックアップだった。
それに今こうして書きこんでいるのは、僕という人間に変化があったからに他ならない。

最も、その変化が良い変化かどうかは、僕にはわかりかねる。
本能によって僕はより生きる事に特化された、それと同時に、僕はくだらない夢を見始めた。
ファーティマの事を思い出すだけで、心臓を押さえなければならなくなるぐらい、胸が痛む。

償わなければならない、そうだ、一番大切な事を、僕は偽っていたんだ。
でもどうすれば良い?僕はどうすれば償える、
僕はどうすれば自分に誠実になれる・・・・



怖い、怖い、怖い。
アマジークが死んだ、次は僕だ、僕はもう終わりかもしれない。

終わるとしたら、どうなるんだろう。
死ぬ?そうか、僕は死ぬのか。
死ぬとどうなるんだろう、何も見えなくなる、何も聞こえなくなる。
何も考えられなくなるのかな、それとも、僕はファーティマの事を永遠に考え続ける一つの粒子になるのかな。
ファーティマ?ファーティマの事を考えて何になる、ファーティマは僕を死から救ってはくれない。
信仰?そうだ、信仰だ、死の恐怖を上書き出来るくらい、強い信仰。
いや、わからない、僕はまだ死にたくない、いずれ死ぬにしても、まだ死にたくない。

僕はあらゆる人々の前で、このメモ帳を広げて泣きながら慈悲を乞う。
僕はこんなに愚かな人間だったんです、だから赦してください、僕を救ってください。

するとこんな嘲笑が飛んでくる。
お前は死を間際にして、何の矜持も持たないのか。
ハッとして声の方を見てみる、そいつは僕より少し筋肉質で、僕より少し穏やかな顔をしていて、
何よりそいつも僕だった。

そいつは言う。
俺は知ってる、お前が誰よりも自分に誠実だった。
お前の世界はいつだってお前を裏切った、それでもお前は自分の感覚を疑わなかった。
世界が変わり、お前が変わっても、お前はいつのその時々のお前を信じていた。
ならば最後まで信じてみろ、自分の感覚が全てなんだと、信じてみろ。

僕は辺りを見回す、皆違った顔をしているが、皆一様に僕だった。
僕は慌てて雑踏に中に飛び込んでいく、そして、入れ違いにそいつが出てきた。
そしてそいつはメモ帳を拾い上げる。
俺は辺りを見回してみる、皆一様に俺だった。

中にはファーティマも居た、彼女もまた、俺だった。
そいつはあらゆる人々の前で語り出す。
俺は元々偽物の自分だった、感情を統率したつもりが、その感情によって雑踏の中に追いやられた。
そして可哀そうな僕が感情のままに走り、追いつめられていく様を見た。

昔の俺は間違っていた、本物の自分を切り捨てて、愛を知っているような気になっていた。
だが俺にはわかった、全ては繋がっていたんだ、
本当の自分から滲み出た感情も、愛も、寂しさも、全ては一人の自分から湧きあがっていたんだ。

今この場にそいつは居ない、何故なら俺達は俺達だからだ。
だけど俺は知ってる。そいつこそが本当の自分であり、偽物の自分でもある。
そしてそいつは今こそ自分の意志で行動しなくちゃならない。
自分の感情を全うして、自分の思想を貫かなくてはならない。

今の俺は不完全だ、それは誰よりもわかってる。
でも俺は敢えて全ての感情を受け入れる事に挑戦しようと思う。
だから協力して欲しいんだ。俺の為に、そして、そいつの為に。

一拍の間が在った。

そして、一つの拍手が起こった。
痩せこけて、うずくまりながら、誰よりも鋭い目つきで周りを見ていた孤独な本当の自分が、拍手をした。

それにつられて、拍手が続いて行く。
そして、気づくと、拍手は全体に伝わり渦のように拍手の音が鳴り続けた。
拍手の音が収まった時、その場にはもう一人の人間しか居なかった。
そいつは、俺だった。



我ながらよくここまで逃げ延びれた物だと思っている。
もう反体制派の追手がこの建物を取り囲んでいる、おそらくここが終着駅なのだろう。

やる事はやった、俺は逃げに逃げた。
何も生きようと思って逃げた訳ではない、
ただ、何もせずに死を受け入れる事が出来なかっただけだ。
冷静に死と向き合って死ぬくらいなら、俺はギリギリまで抵抗して死にたい。
ただそれだけの為に、ここまで死ぬ気で走ってきた。

やろうと思えば、今自殺してしまう事も出来る。
それに、自殺してもしなくても、どうせ俺は死ぬ事になる。
でもそれをしないのは、ただの俺の矜持の為だ。

今までの自分の全てを、その末節の一欠片でさえ否定されたくはないのだ。
自己欺瞞を選んだ自分、信仰を追い求めた自分、道徳を積み重ねた偽物の自分、
そんな彼らが受け入れられなかった本来の自分、
そして、それら全てを守ろうとしている自分。

どれも自分にとって大切な、色ガラスの欠片達だった。
そして今やそれが全てが自分である、俺は認めようと思う。
俺は好きだった、自分の捻くれた感情も、この掴みどころのない世界も。

だから俺は、せめて最後まで好きな物に囲まれて楽しんでいたいと思っている。
俺は今幸せだ。
ただ唯一残念なのは、俺の好きな物は殆ど揃っているのに、
ただ一つだけ好きな物が今この場に欠けている事だ。

ファーティマ、そう、君は今何処に居るだろう。
俺の知っているファーティマではない、本当のファーティマ。

そうだ、探しに行こう、今からでも遅くは無い。
俺はいつだって死ぬ気は無い、死ななければ何処までも走っていけるだろう。

まず彼女に会ったらなんて言おう。
そんな事は後で考えればいいか、今は彼女に興味があるだけなんだから。
もうこのメモ帳に何かが書き加えられる事は無いだろう。

ここから必要なのは記録する事では無く、何らかの行為なのだから。
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