エルノーレは語る
砂煙のキャラバンには、夜な夜な密会が行われるテントが存在する。
日が落ち外にいる者が見張りだけになる頃、あるテントの中で松明が灯る。
そこにいる、20に達しようかという数の者たちは仮面を身に着け、不安定な明かりのせいで男とも女ともつかない。人間が多いだろうか。
日が落ち外にいる者が見張りだけになる頃、あるテントの中で松明が灯る。
そこにいる、20に達しようかという数の者たちは仮面を身に着け、不安定な明かりのせいで男とも女ともつかない。人間が多いだろうか。
テントの中心にいる者が懐から木の板を取り出した。繁栄を司るコイトの聖印だ。
呼応して一斉に聖印が掲げられる。これから始まるのは、闇から闇へ継承されるコイトの儀式。
ある者が進み出て言葉を発する。
「とげとげとした鱗。しなやかな首の曲線、純白の羽根の艶めき」
掲げられた聖印が半分ほど横倒しになる。その数を数えた中心の仮面──おそらくこの儀式の長はひとつ頷き、「うむ」とだけ口にした。
呼応して一斉に聖印が掲げられる。これから始まるのは、闇から闇へ継承されるコイトの儀式。
ある者が進み出て言葉を発する。
「とげとげとした鱗。しなやかな首の曲線、純白の羽根の艶めき」
掲げられた聖印が半分ほど横倒しになる。その数を数えた中心の仮面──おそらくこの儀式の長はひとつ頷き、「うむ」とだけ口にした。
儀式は続く。順番に言葉を発し、聖印がその向きを変え、数を長が読み上げる。
聖印は縦に横に動き、ほとんど横の場合もあった。しかしどの聖印も、最後まで掲げられたままだ。
最後の人物が発した言葉に各々の仮面が反応し終えると、長は皆を見回した。
「本日の優勝は、5番だ。では前へ」
5番と呼ばれた男がテントの中央に立ち、仮面を外して松明に掲げる。
すると、松明の火がゆらめき、男の発した言葉の通りの容姿を持つ女がそこへ現れた。
男を残して仮面の者たちはテントを出ていく。残されたのは男女が一組。
聖印は縦に横に動き、ほとんど横の場合もあった。しかしどの聖印も、最後まで掲げられたままだ。
最後の人物が発した言葉に各々の仮面が反応し終えると、長は皆を見回した。
「本日の優勝は、5番だ。では前へ」
5番と呼ばれた男がテントの中央に立ち、仮面を外して松明に掲げる。
すると、松明の火がゆらめき、男の発した言葉の通りの容姿を持つ女がそこへ現れた。
男を残して仮面の者たちはテントを出ていく。残されたのは男女が一組。
砂煙の夜は更けていく。
コイトは繁栄と運命を司る。
しかしこれは、偽の繁栄であり、ゆえに闇の儀式だ。
しかしこれは、偽の繁栄であり、ゆえに闇の儀式だ。