谷底砦 - キャラバンのクロニクル

巨人の足下に構えられた抵抗者たちの砦

山岳地帯は巨人種の魔物たちの領域であり、荒々しい赤のマナによってその活動はより活発で激しいものとなる。
山岳地帯に暮らす人族にとってそれは何より大きな脅威であり、険峻な地形も相まって、このバイオームは人族にとって非常に厳しい環境であるといえる。
しかし、活発なマナの影響で、豊富で良質な鉱石資源に恵まれた山岳地帯は、人族にとって放置できない場所でもあった。
そうして構えられたのが、谷底砦と呼ばれる一連の砦群である。
鋭く切り立った崖下の谷底には、巨人の体躯は侵入できず、そうした場所を拠点として採掘場への経路を確保するように砦が配置されていった。
もちろん、破壊衝動に飢えた巨人の猛攻に耐えられず、全滅や放棄の憂き目にあった砦も少なくない。それでもこの谷底砦は、圧倒的に力の差が存在する巨人相手に、十分な採掘量を確保できるだけの防衛拠点なのである。

種族構成

既得権益を持たない者が、鉱山での一攫千金を夢見て集まるという経緯から、ヒューマンやドラゴンボーンといった短命種が多い。
また、もともと山岳地帯に生息し、採掘や加工に長のあるドワーフもよく見られ、彼らは砦の中でも一目置かれている。
その他、ティーフリングやハーフオークのような魔物に近いと見られている種も、より明確な脅威と直面しているこの砦では、ほとんど差別されることなく居着いている。

統治制度

谷底砦の砦群は、設置目的とされた鉱床とそこから何番目の拠点であるかを元に、“紅鹿の銀の第三砦”のように命名される。また特に巨人の襲撃を受けやすい危険な位置の場合は“第一大砦”と大砦の名を冠する。
各砦群には将軍と呼ばれる戦闘指揮官がおり、一つの鉱床に関連する砦群に対し1名の将軍とその直属部隊が配置されている。
基本的に鉱床に近い位置ほど危険が多いことから、各砦群の中で最も番号が若い大砦に、将軍とその部隊は駐留することが多い。
将軍は戦闘指揮の他に、その砦群の運営方針を決定する立場に立つことも多い。
砦の抵抗者らも、皆巨人との戦闘を第一としていることから高い戦力を持つ人物へは強く敬意を払うため、こうした他の共同体と比べて比較的緩い統治制度でも、谷底砦の運営はうまく回っているようである。

民俗・組織・人物

危険な代わりに儲けも大きい山岳地帯の採掘業に従事する谷底砦の住民は皆享楽的な荒くれ者である。酒や賭け事といった荒くれ者から連想される娯楽は一通り揃っており、そうした空気に馴染める者にとっては、案外居心地がよい場所である。
また、山岳地帯は嵐神ノヴム信仰の中心地であり、谷底砦においてもノヴムの信徒は多く見られる。ノヴムの加護を受けた戦闘者は、戦いの際に雷撃による神助を得るとされているが、実際に山岳地帯ではそうした稲妻の恩寵に与かったという伝説が多く伝わっている。
谷底砦は、キャラバンの活動が活発な地域としても知られる。大量に産出されるマナ資源を世界中に供給し、巨人との戦いに備えるべく（そして気持ちの良い散財をするべく）資金を獲得するため、多くのキャラバンが谷底砦を出発し、各地を巡る。巨人との戦いで鍛えられた冒険者たちは、キャラバンでもその戦力を遺憾なく発揮し、他のキャラバンから傭兵として頼られることもある。

・ガリーナ（キャラバン"ラズドリエ"のリーダー）

・ピスニア（キャラバン"ラズドリエ"のガード）