エルノーレは語る
彼は、生まれた時より戦いが運命づけられていた。
旧くより湿原を支配するアンデッドロードを打倒せんとする、沼地の目の一族に生まれた彼は、その悲願を達成するまで──おそらくはその道半ばで斃れるまで、戦い続けると定められていた。
しかし彼は、ただアンデッドロードだけを見ているわけではない。他人を助け世界を巡ることは氏族のためにもなると知っている。
そもそもそんなことを思わずとも、困った隣人を助けただろう。激情の英雄。それがこの男、沼地の目のドラゴンボーン、ヤンジェイだ。
旧くより湿原を支配するアンデッドロードを打倒せんとする、沼地の目の一族に生まれた彼は、その悲願を達成するまで──おそらくはその道半ばで斃れるまで、戦い続けると定められていた。
しかし彼は、ただアンデッドロードだけを見ているわけではない。他人を助け世界を巡ることは氏族のためにもなると知っている。
そもそもそんなことを思わずとも、困った隣人を助けただろう。激情の英雄。それがこの男、沼地の目のドラゴンボーン、ヤンジェイだ。
ある時、彼の所属するキャラバンは砂煙を離れ、独自の道を歩み始めた。それはヤンジェイの昔の約束によるものだ。
湿原を旅立つ際に再会を誓った友が窮地に陥っているという。彼のキャラバンもまた約束を果たすことを善しとした。
果たして、たどり着いた地では友が無数の亡者に囲まれていた。それを見た瞬間ヤンジェイの体は動いていた。彼の体が赤く光り、無数の炎が瞬く間に広がる。
全力の炎が戦場を燃やし尽くす。炎が晴れたとき、その中心にいた友を除いて動く者は残っていなかった。
友のため、そして約束のため、限界を超え力を発揮する。それがヤンジェイの在り方だった。
湿原を旅立つ際に再会を誓った友が窮地に陥っているという。彼のキャラバンもまた約束を果たすことを善しとした。
果たして、たどり着いた地では友が無数の亡者に囲まれていた。それを見た瞬間ヤンジェイの体は動いていた。彼の体が赤く光り、無数の炎が瞬く間に広がる。
全力の炎が戦場を燃やし尽くす。炎が晴れたとき、その中心にいた友を除いて動く者は残っていなかった。
友のため、そして約束のため、限界を超え力を発揮する。それがヤンジェイの在り方だった。
かつて湿原を追われたペガサスと出会ったこともあった。アンデッドロードの死の瘴気に長い年月をかけて蝕まれたペガサスは狂気に陥っていた。
沼地の目の力を持つヤンジェイは死の瘴気に対抗できる。襲われながらも瘴気を自らの体に移し替え、ついにペガサスは冷静さを取り戻した。
生まれ故郷の湿原にまだ希望が残っていることを知ったペガサスは涙した。
こうして仲間を増やしていけば、いずれはアンデッドロードを打倒できる。ヤンジェイが世界を巡る目的の一つでもあった。
沼地の目の力を持つヤンジェイは死の瘴気に対抗できる。襲われながらも瘴気を自らの体に移し替え、ついにペガサスは冷静さを取り戻した。
生まれ故郷の湿原にまだ希望が残っていることを知ったペガサスは涙した。
こうして仲間を増やしていけば、いずれはアンデッドロードを打倒できる。ヤンジェイが世界を巡る目的の一つでもあった。
彼はこうして、周囲に手を差し伸べてきた。
しかし英雄に道が続いているとは限らない。
強大な敵に立ち向かう限り終わりは訪れうる。
しかし英雄に道が続いているとは限らない。
強大な敵に立ち向かう限り終わりは訪れうる。
湿原だけではない、草原にも人の手の届かぬ危険地帯が存在する。草原の最も大きいキャラバンでさえ近づけず、開拓の進まない領域、そのひとつ。
そこは形ある生物が残らず砕かれる天然の墓標であり……しかも全て、ある巨大な鉄の獣によって作られていたのだ。
その突進は山を崩し、倒れた獲物を容赦なく踏みつけて地を割る。比較的平和とされる草原地帯においてこの領域は全てがこの獣のための餌場だった。
人々のためやらねばならない。その殺界嵐に、ヤンジェイ達のキャラバンは飛び込んだ。
そこは形ある生物が残らず砕かれる天然の墓標であり……しかも全て、ある巨大な鉄の獣によって作られていたのだ。
その突進は山を崩し、倒れた獲物を容赦なく踏みつけて地を割る。比較的平和とされる草原地帯においてこの領域は全てがこの獣のための餌場だった。
人々のためやらねばならない。その殺界嵐に、ヤンジェイ達のキャラバンは飛び込んだ。
ヤンジェイは決して一人ではない。
仲間のバーバリアンが鉄の獣と真正面からぶつかりあう。
爆発したかのようなビリビリとした衝撃が伝わる。しかしバーバリアンはその場に留まっていた。山を崩す突進をも止めて見せた。
獣の動きが止まった。その隙をつきキャラバンは一斉に攻撃を仕掛ける。殺戮の嵐を止ませるべく繰り出される、それ以上の攻撃の嵐。
仲間のバーバリアンが鉄の獣と真正面からぶつかりあう。
爆発したかのようなビリビリとした衝撃が伝わる。しかしバーバリアンはその場に留まっていた。山を崩す突進をも止めて見せた。
獣の動きが止まった。その隙をつきキャラバンは一斉に攻撃を仕掛ける。殺戮の嵐を止ませるべく繰り出される、それ以上の攻撃の嵐。
しかしその時獣の体が膨らんだ。この獣が彼らを獲物ではなく真に敵と認めたのだ。
獣には切札があった。獲物とならない敵が現れたとき、全身から紅き腐敗の瘴気を撒き散らし、周囲の敵を一瞬で呪うのだ。
動きを抑えるために組み合っているバーバリアンは、反応できない。
その時、バーバリアンの横っ腹をヤンジェイが突き飛ばした。あっと思う間もなく、ヤンジェイが瘴気に飲み込まれる。
死の瘴気に対抗できる彼も、腐敗の瘴気全てを一度に受けてはどうにもならなかった。
動きを抑えるために組み合っているバーバリアンは、反応できない。
その時、バーバリアンの横っ腹をヤンジェイが突き飛ばした。あっと思う間もなく、ヤンジェイが瘴気に飲み込まれる。
死の瘴気に対抗できる彼も、腐敗の瘴気全てを一度に受けてはどうにもならなかった。
その後のバーバリアンの反応は早かった。戦いにおいて庇われた自分が何をすべきかを知っていた。
全力の一撃が崩れ行くヤンジェイの背後から繰り出され、ついに獣は打ち倒された。
しかし代償は大きかった。この獣を相手にしてはむしろ小さい犠牲とも言えた。しかし確かなのは、一人の英雄の破滅がここにあったことだ。
全力の一撃が崩れ行くヤンジェイの背後から繰り出され、ついに獣は打ち倒された。
しかし代償は大きかった。この獣を相手にしてはむしろ小さい犠牲とも言えた。しかし確かなのは、一人の英雄の破滅がここにあったことだ。
幾人もの英雄がいるが、生きることで英雄となるものもいれば、死して英雄となるものもいる。
これはそのひとつだ。
これはそのひとつだ。