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神谷奈緒&セイバー

 煌々と焚かれた篝火が、夜の闇を踊らせる。
 白い玉砂利の敷かれた領内――神社めいた横長の平屋が長く広がるそこで、一人の武者が膝をついていた。

(おれ)は、母を討ったのか……」

 悔恨を滲ませた武者の手元には柄を縞柄に巻き付けた強弓。
 彼の右手には一本の鏑矢。黒鷺の尾羽が、風にひゅうひゅうと震える。
 すでに内裏を覆った、正体不明の暗雲は立ち消えていた。

(おれ)の母は、(おれ)に……(おれ)に位と、こんな馬を授けんと……」

 しとどに涙を滲ませる男を、美しい馬が見下ろしている。
 男の名は――。



 ◇ ◆ ◇




 気が付けば、己は眠りながら泣いていたらしい。
 眼を擦りながら布団を退ければ、左手に輝いた三つ重なった月――弓張り月の赤い刺青。
 これでは仕事などできまいと苦笑しつつ、どことなくその現実離れした紋様を眺めていれば気分が高揚するのもまた確か。

 顔を洗って、リビングへと足を運べば、

「おう、当世の主殿よ。今日は“れっすん”とやらはいいのか?」

 寝惚け眼を引きずった少女――神谷奈緒の目の前には、ソファに寛ぐ偉丈夫。
 カーキ色のフライトジャケットにネイビーのジーンズ。
 片眼を隠す眼帯を見ていると、彼はすっかり映画に出てくるアクション俳優のようである。
 溶け込んでるなと思う反面、その野卑にして精悍な目付きは、現代の人間には出せない戦士のそれだ。
 仕事柄関わる、一部の時代劇俳優のようなものだった。きっと人目につく。

「あぁ……まぁ、それどころじゃないかと思って……」
「そうか? 俺などは歌も芸もからっきしだから、余程すごいものだとは思うのだがなあ」

 そう言って奈緒が召喚したサーヴァント――セイバーは、目元を掻きながらテレビに再び顔を向けた。
 丁度奈緒が撮り貯めした、女児向けのアニメを観ているらしい。
 現実に戦をしていた――それも化け物と戦っていたセイバーにそれを観られるとは、なんとも気恥ずかしいものだった。

「その……ど、どうだ? セイバー?」

 奈緒の問いかけに「ふむ」と彼は顎に手を当てて、

「細かいところは判らぬが、いいな。特に二人で戦っているというところが実にいい」
「本当か!? だ、だろ! 子供向けアニメとか言い切れないだろ!?」
「あ、主殿……その……」
「今の五人組もいいんだけど、やっぱり基本の二人組もいいんだよな!」
「あ、ああ……」

 思わず身を乗り出して熱く語りかける奈緒に、セイバーは目を丸くしていた。



 深夜。
 未だに街は寝静まらぬが……その多くは寝床に就き、或いは息を潜める丑三つ時。
 空を見れば静寂に雲海が天蓋を覆い、闇夜を薄めて灰色に頭上を塗り潰していた。
 雪が降るだろうか。そんな静謐の夜間にも……

「ふむ、ここが当世の主殿の言う……」
「ああ……ここが、心霊ビルだ」

 奈緒は忌々しげに閉鎖された廃ビルを見上げた。
 彼女が全て、この度の聖杯戦争に参加することになった切っ掛け。
 夏向けの心霊番組の為に、その撮影の為に入った同じアイドルの友人が――奈緒はそう思っている――未だ霊障に悩まされるその根源。
 地方都市の一画。十年前の猟奇殺人事件の、現場の一つとされるビル。

「なるほど、確かにこれは澱んでおるなぁ」

 見上げたセイバーが感慨深げに述べる。
 そこに気負いはなかった。だからこそ、奈緒は不安になる。

「……それにしても、本当によかったのか?」
「ああ、化け物退治なんだろう? 任せておけよ」
「聖杯戦争じゃなくて……あたしの我が儘なんだ。本当によかったのか?」

 元はと言えば、奈緒がセイバーを召喚することになったのもそうであった。
 そもそも聖杯戦争にかける願いはない。
 ただ、誰もが匙を投げた超常現象をなんとかできるのは、それこそ神話やお伽噺の中の英雄だけだと思って――。
 小耳に挟んだ英雄召喚を、実行してみた。

 心に従うままに書いた下手くそな魔方陣と、インターネットで拾った呪文と、触媒にもならなそうな眉唾物の骨董品で。
 だから、奈緒の目的は聖杯戦争ではなかった。聖杯は目標ではなかった。その手段こそが、目的だった。
 尋常な英霊に対しては侮辱に等しい召喚理由に、

「言うたであろうよ、主殿。俺はセイバー――源頼政とな」

 しかしその英雄は、ただただ不敵に笑うだけ。

「ならば俺が、生前何を為したかは知っておるだろう? ――俺は、人を悩ませる怪異を、狩ったのだ」
「あ、ああ……」

 そして彼は、その剣を構えた。
 武器に詳しくない奈緒でも判る威圧感。明らかに、何らかの「曰く」を持った太刀。
 その剣こそが彼の証明であり、何よりも有言に存在を強調するもの。
 刀身はわずかにしか覗けぬ。不可思議な暗雲を、雷雲を纏った抜き身の白刃――――セイバーの証明。
 彼と言えば、奈緒の知る限りで該当しそうなクラスはアーチャーであったが……この太刀を見ればそれを否定せざるを得ない。彼は紛れもない、退魔の英雄だった。

「俺の実力を疑っているなら――――それこそ愚問よ。この源三位、早々の物ノ化生に遅れは取らんわ」

 胸を叩いて、セイバーが笑う。鷹揚な笑み。
 見ていればこの空間の発する寒気すらも引っ込んでいくような、快活な微笑みであった。
 奈緒も頷く。そしてセイバーに抱えられてひとっ跳び。
 ビルに足を踏み入れた。



 コツコツと、湿った空気のビルを歩く。
 廊下の一面を覆う連なった窓ガラスは、水族館の水槽めいて夜の街を閉じ込めている。
 そんな青と紫の影が生む墨絵めいた視界の中、ライトもつけずに歩く二人。
 ふと、奈緒が口を開く。

「なあ……セイバーの願いって、なんなんだ?」

 手持ち無沙汰に奈緒が問いかけてみれば、セイバーはきょとんとした顔。

「いやほら、こんなバトロワみたいのに参加して……サーヴァントってのは聖杯が欲しいんだよな?」

 沈黙を嫌った世間話のつもりであったが、思った以上に深刻な話だったのか。
 顎に手を当ててセイバーは黙り混む。
 それからしみじみと、言った。

「……俺はなぁ、間に合わなかったのよ」

 その目は、眼帯に包まれた二つも揃って――遠くを眺めている。

「まぁ、怪我というか……後遺症が原因でな。どうしてもやたらめったら、世の中が煩く“視える”ようになってしまった」

 寂しげに落とされた肩。
 右手が静かに眼帯を押さえた。

「療養していたのだが、俺はなんとも大切なときに間に合わなくてな」

 ふう、と吐息。

「今度こそは間に合うといいのだが……まぁ、そもそもよなあ」

 前提からして難しいのだと――セイバーは寂しげに笑った。
 軽く聞いていい話とは、奈緒には思えなかった。

「そ、その、セイバー……ごめん」
「ん? む、いや……そんな顔をさせるつもりはなかったのだが――――まぁ、そうさなぁ」
「な、なんだ……?」
「俺には歌が判らぬと言っただろう? だがなあ、俺の大切な知り合いは、実に歌に通じた方でなあ……」

 セイバーの顔が、少年のように歪んだ。

「幾らか聞いて覚えていけば、いつかお目通りしたときに……多少なりとも慰めになるかもしれんな。
 歌を少しは、聞かせてくれるか?」
「あ、ああ! どうせならカラオケにも行くか! 何人か誘って!」
「……ははは。俺を見て怖がらなければいいが」

 思った以上に息巻いた奈緒に、セイバーは苦笑いで返した。



「ここの奥か……」
「やっぱり、判るのか? 気配とか、邪気とか!?」
「ん? ああ、なに……『立ち入り禁止』と書かれて厳重に封をされていたら、俺でなくとも気付くさ」
「あ……そ、そうか」

 完全に閉ざされた鉄の扉。
 その上から取っ手に何重にも巻き付けられた鎖と、溶接された鍵穴。
 余人なら諦めるところであろうが、

「ふむ……少し待っておれ」

 セイバーの剣が軽くなぞれば、瞬く間に意味を失う鍵と鎖。
 単純な剛力や切れ味とは呼べない何かがそうさせた風に、奈緒は感じた。

 そして扉に手をかけたそのときに――遠くから近付く低い嘶きと世の闇を裂く円形の光=ヘッドライト。
 奈緒は顔をしかめた。
 アイドリングをする数台のバイクのその先数メートル。
 玉砂利の白が、ライトを跳ね返してこつこつと浮かび上がる。
 小刻みになった排気音と振動音。談笑の声と共にヘルメットが外されていた。
 ふと奈緒が目線を上げると――悪戯っぽく微笑むセイバー。

「当世の主よ。少々煩くするが――――構わぬか?」
「あ、ああ!」
「……ふふ、俺も恵まれておるわ」

 思ったより息荒く叫び返す奈緒にセイバーは頬を緩め、柄を握る指を改めて締め直し――

「――南無ッ!」

 セイバーの気迫と共に、太刀から遡る紫電。天を突く光の柱。
 空気を裂く轟音に、ビルを目指していた若者たちの足が止まった。隣にいなければ奈緒とて、雷が落ちたのか発せられたのかは気付かぬだろう。
 やがて警告の甲斐あってか、彼らは立ち去っていく。
 そのさまを眺めつつ、二人は再び歩き出した。目指すは廃ビルの最深部だ。

「すごいな……剣からビームって、完全にアニメだよな……」
「“あにめ”……あの動く絵草紙のことか……ははあ、確かに光っておったな。作り手は英雄をよく知っておるのだろうよ」
「本当か!?
 だ、だったら英霊の座には平行世界の魔法少女とかももしかしたらいるのか!? ひょっとしたらあたしも――――」
「お、落ち着け……落ち着け、当世の主殿」

 どうどうと翳された手に赤くなる。
 セイバーが召喚されてから、画面の向こうのことだと思っていたものを目の当たりにしてしまって――どうにも奈緒は調子が狂いっぱなしだった。
 かなり格好悪いというか、気持ち悪い面を見せてしまった。
 流石に自己嫌悪だと肩を落とすが、やはりセイバーは鷹揚な笑みを浮かべていた。

「さあて、当世の主よ。ここからが正念場だ。
 くれぐれも――“当てられる”ことのなきようにな?」

 まず奈緒が感じたのは異臭だった。
 コンクリートに、壁に、空間に染み着いた異臭。
 人の嘆きと怒り――哀しみと恨み――屈辱と陵辱が染み着いて、訳も解らぬ湿っぽさを保っている。
 金切り声を耳にしたように。
 皮膚の下を錆びた釘で撫でられたように、全身が総毛立つ。

「加蓮……」

 こんな場所に連れて来られてしまって。
 そして今なお、入院生活を余儀なくされてしまった友人を思った。
 ここは――――人が立ち入るべき場所ではない。
 直感で、そう判る。

「ほう」

 構わず、奈緒を庇うようにセイバーが前に出た。

「ふむ……怨念。邪な神性の系譜に囚われたか……染められてしまったのか」

 セイバーが眼帯を掴み取れば、覗いたのは蒼白の虹彩。宵闇の内でなお静かに鼓動する蒼き瞳。
 投げ捨てられた眼帯。

「俺の青い浄眼にはもう結末が見えておるが……疾く往ぬる気はないか?」

 返答はなく、部屋の隅で火花が散った。
 焼けた栗が弾けるような破裂音と共に、巨人が踏み締めたが如くガタガタと鳴りつける部屋。
 セイバーはただ、悲しげに微笑んでいる。

「そうか。……そうなら、仕方あるまいなあ」

 セイバーが、雲を纏う太刀を逆手に握り直した。
 太刀を、逆手に――――。

「ならば、文殊菩薩に代わって教えてやろう」

 瞬間、雲が晴れた。
 そこにあったのは短刀。
 夜に映える冴えた弓張り月のように――蒼き刃。


「“これが――――」


 石火。その最中は、奈緒にも見えぬ。
 だが――――さながら運命の軌道が如く迸った蒼き稲妻をなぞる、空間の断裂。
 十六閃――――。
 つまり実に――都合、十七分割――――――。


「――――――――――モノを殺すということだ”」


 怨霊は、瞬く間すら与えられずに“殺害”された。



「こ、殺したのか……?」

 犠牲者と、セイバーは言っていた。
 彼の言葉に従うならば、ここに居たのは恐ろしくも――しかし哀しい怨霊。
 「ん?」とセイバー。
 頬を掻いて、どこか恥ずかしそうに笑っていた。
 隠した悪事を露にされたような、得意気に言いはなった洒落を途中で解説されたような、立つ瀬のない子供のような笑み。

「少し疲れるが……そこに可能性があるならば、掴みとるのが我が宝具よ」
「なら……!」
「ああ。己で納得して成仏してくれればよかったのだが――ま、そうさなあ」

 そして合掌を一つ。
 その様は実に清々しく――――。
 武人というものを、英雄というものを直接見聞きしたことのない奈緒にとっても――――。
 きっと彼が英雄なのだとは、言葉でなく理解できた。

「無常に打ち捨てられし無垢なる魂よ……どうか救いが在らんことを。南無八幡大菩薩」

 セイバーは、紛れもない英雄だった。



 ◇ ◆ ◇


 煌々と焚かれた篝火が、夜の闇を踊らせる。
 白い玉砂利の敷かれた領内――神社めいた横長の平屋が長く広がるそこで、一人の武者が膝をついていた。

(おれ)は、母を討ったのか……」

 悔恨を滲ませた武者の手元には柄を縞柄に巻き付けた強弓。
 彼の右手には一本の鏑矢。黒鷺の尾羽が、風にひゅうひゅうと震える。
 すでに内裏を覆った、正体不明の暗雲は立ち消えていた。

(おれ)の母は、(おれ)に……(おれ)に位と、こんな馬を授けんと……」

 しとどに涙を滲ませる男を、美しい馬が見下ろしている。
 男の名は――。
 頼政様と、彼は呟いた。

「隼太よ……隼太よ、(おれ)は――」

 膝をついた源頼政を、猪隼太は短刀を片手に眺めていた。
 強い人だと思っていた。立派な人だと思っていた。
 だからこそ隼太はただ一人、彼と共に難題へと挑んだのだ。正体不明の魔に挑んだのだ。
 その彼が、両目に手を当てて泣く――――堪えられないと、泣く。
 引き換えに生まれた馬を引いて、隼太はただ呆然と、鵺の血に塗みれた短刀を片手に立ち尽くした。





 (はし)る。
 (はし)る。
 (はし)る。

 世界はどこもひび割れて、童が土になぞった悪戯描きが如く亀裂を孕んでいる。
 どこもかしこも、死んでいる。
 この世のなんと、脆いことか。
 うっかりとその線に踏み込んでしまえば、世の中全ては崩れ落ちる。

 ああ――――なんてこの世の儚きことか。
 どこもかしこも壊れやすくて、一歩踏み出すことさえ諦めそうになる。
 ああ――――だけどもそれよりも。
 それよりも己には、もっと恐ろしいことがあるのだ――――。


 (はし)る。
 (はし)る。
 (はし)る。

 それでも隼太は駆けた。
 己目掛けて放たれた矢の“点”を穿つ。
 己目掛けて突き出された槍の“線”をなぞる。
 己目掛けて斬りかかる武者の身体を、悉くに解体する。
 そうして駆けつけたその寺は、既に消しようがないくらいに火に包まれていた。

(おれ)は――――母上に報いんと、付き従ってみたが……」

 頼政様と、声が溢れた。

「心を殺して生きながらえるのも……疲れてしまってな」

 頼政様と、背に回した手が血に濡れた。

「なぁ、隼太よ……。(おれ)は……どうしたらよかったのだろうな」

 頼政様と、呼び掛けた声に返事はない。

 頼政様――――。
 もう彼に応える主は、どこにもいなかった。





【クラス】セイバー
【真名】源頼政(猪隼太)
【出典】平家物語、源平盛衰記
【マスター】神谷奈緒
【性別】男性
【身長・体重】176cm・78kg
【属性】秩序・中庸
【ステータス】筋力B+ 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運D 宝具B
【クラス別スキル】
 対魔力:C
  第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
  大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

 騎乗:C++
  騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。
  だが刃を突き立てる為に僅かな時間なら、幻獣クラスであっても暴れているのを押さえ込むことはできる。

【固有スキル】
 勇猛:B+
  威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
  また、格闘ダメージを向上させる効果もある。
  彼の場合、特に相手が魔に属するときに効果が上昇する。

 直感・偽:B
  戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。また、視覚・聴覚への妨害を半減させる効果を持つ。
  彼の場合後述の宝具の影響により、差し迫ったあらゆる可能性を「視る」ことができる。

 心眼(偽)・偽:B
  直感・第六感による危険回避。
  虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。
  彼の場合、後述の宝具の影響により己に迫る「死線」を視ることにより獲得している。

 直死の魔眼・偽:B
  無機・有機を問わず、対象の“死”を読み取る魔眼。魔眼の中でも最上級のものとされる。
  物体に内包された“いずれ迎える死”の概念を、“点”や“線”として見抜く魔眼。
  それらをなぞることで起こされた死は、決して癒えることはない。
  先天的な素質。そして本来なら眼球と脳がセットで成り立つものなのであるが、彼の場合は後述の宝具の影響により後天的に歪んだ形で習得してしまった。

 魔力放出(雷)・偽:B
  武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。
  煌く雷が魔力となって使用武器に宿る。
  彼の場合は後述の宝具の影響により、己自身の魔力を用いずに魔力を雷として放出する。

【宝具】
骨喰・九斬致死(きりつけることじつにくど)
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大補足:5人
  本来は短刀であった骨喰であるが、鵺退治に用いた骨喰として伝わる武器の姿は後世あまりに多い。
  正体不明の幻獣・鵺を斬りその血を受けた骨喰はその正体そのものが不確定のものとなり、主人が都度観測することで様々な刃物に姿を変える。
  短刀以外のときは刃の周辺に鵺が伴った雷雲が立ち込め、刀身を隠している。

骨喰・死突一閃(つきさすことじつにいちど)
 ランク:C+++ 種別:対概念宝具 レンジ:1 最大補足:1人
  骨喰を短刀として用いる際にだけ使える対概念宝具。
  主の頼政から文殊菩薩の両眼の精を元にした鏑矢の支援を受けつつ、正体不明の代名詞である鵺を斬って殺したことにより彼が手に入れた「魔眼」。及びそれを利用した「戦法」。
  鵺を殺した際に斬りつけた回数などが文献により様々であるが――――“斬り殺した”という事実は確か。
  「魔眼」で見抜いたあらゆる確率を観測して収束させてから斬るのではなく、斬ることで一つの結末に収束させて観測可能とする因果逆転・因果収束。
  実体があろうがなかろうが、確率の伴う事実がそこに存在するならば――彼は確実にその“死”を掴みとって見せる。
  付随して、失敗・成功の結末の判定を必要とするスキル・宝具などの概念についても、切り払うことでセイバーの意に沿った結末を与える。

【weapon】
 骨喰。
 短刀、大太刀、薙刀など様々な形状の刃物に変えて戦う。

【解説】
 セイバーは日本に伝わる三大化生の一画、鵺――正体不明の幻獣を討伐した武者。
 主の源頼政と共に、頼政の母が変化してしまった鵺を退治した従者である。
 頼政が鵺を文殊菩薩の眼から授けられた源氏伝来の矢“兵破”で怯ませた後に、鵺を追いかけ止めを刺したのが猪隼太。
 智慧の菩薩としての文殊菩薩の加護を受け、そして正体が定まらぬものの代名詞である鵺を斬り殺しその血を浴びたことで彼は“あらゆる死”を“識ってしまう眼”を会得してしまう。
 その魔眼に悩まされて主と袂を別ち療養を続けている間に、彼の主は平清盛の元で源氏としては初めての破格の従三位の位を獲得していた。
 しかし清盛から抜群の信頼を得ていた源頼政は――後に突如として平清盛に反旗を翻した。
 猪隼太は、主の頼政がその甲斐もなく敢えなく自刃した際にその首級を余人の手に渡らぬところに運んだとされる。

【特徴】
 せっかくならば当世風に、とフライトジャケットとネイビージーンズを着込んだ偉丈夫。
 右目だけは青い浄眼であり、その上に眼帯を嵌めているが魔眼殺しでない為に特に意味はない。
 気分の問題だ――とはセイバーの談。

【聖杯にかける願い】
 主の代わりに、主を名乗り、主の生きたかった道を生きる。――主の為に。

 もう一つ、細やかに願う。
 ――――今度は、間に合えばいい。




【マスター】
 神谷奈緒@アイドルマスターシンデレラガールズ

【能力・技能】
 アイドル。
 また、家系のどこかに魔術師の適性があったのか、サーヴァントの召喚には成功した。

【人物背景】
 眉がちょっと太い、気が強めのアイドル。
 そのわりに誘い受けというかヘタレというか、とにかく若干弄られ気質なのではないかと伺える。
 粗暴そうな言動に対して恥ずかしがり屋であったり(しかもそれでちょっと乗り気)、趣味がアニメ観賞であったりとやや変わった少女。
 この世界の新人アイドルであり、
 夏の心霊特番で、かつて猟奇殺人事件の舞台の一つとなった冬木市の廃ビルを訪れた友人の北条加蓮の身に降りかかってしまった災いを解決すべく奔走。
 その最中に怪異退治の専門家として、セイバーを召喚した。
 もう少し他人にはツンツンデレデレ当たる人柄であるが、アニメじみた出来事にあった高揚感からセイバーへの対応は変わっている。

【マスターとしての願い】
 彼女にとっては聖杯戦争の手段であるサーヴァントの呼び出しこそが、目的であった。
 しいて言うなら、セイバーの願いが自分の願い。

時系列順


投下順


Character name Next→
神谷奈緒 :WINter soldiers
セイバー(源頼政(猪隼太))

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最終更新:2017年06月28日 12:40