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偉大なる我が友よ。
この世で最も煌く栄光の人よ。
穢れたこの身を、栄華に溢れた笑みで受け入れた尊き主よ。
ああ、どうして。
私はこのような真似をしてしまったのだ。
燦然と煌く勝利の剣を賜り、あの方に祝福されたはずなのに。
もはや、名は捨てよう。
尊きあの方と並び立つことを許された、輝ける名は捨ててしまおう。
私は『黒』。
輝ける光を自ら塗り潰してしまった『黒い者』。
私は――――『スルト』。
――――この世で最も輝ける神を殺め、世界を焔に包み込む者。
◆
新田美波は、一人でプールを泳いでいた。
いや、泳ぐというよりも浮かんでいるという方が近いのかもしれない。
無理を言えば、こんな深夜でも利用させてくれる。
ふわふわと水上を浮かぶ女。
長い髪を水泳帽にまとめはしていない。
水中に扇状に広がり、ただ、空を眺める。
新田美波。
タレ気味な目で流してくる視線は色っぽく。
豊満ではあるがふくよかではない身体つき。
今の虚ろな表情も相まって、男の情欲を誘う。
恐らく、誘えばどんな男でも手を出してしまう。
だけど、だからなんだと言うのだろうか。
本当に結ばれたい人間は、一度として自身をそんな目で見てきたことはなかった。
「……」
新田美波は恋をしていた。
自身を、アイドルへと導いた男に。
穏やかな目でこちらを見てくる男に、美波はいつも思っていた。
貴方が好きなのは、アイドル?
それとも、もしかして私?
そんな風に考えていた時もある。
好きだった。
初めての恋――――とまでは言わない。
二十年にも満たないとは言え、今まで生きてきた中で男性に心がときめいたことが一度や二度はある。
それでも、今、恋をしている男性だった。
自らを肯定してくれる存在。
苦しい時に、一歩踏み出す力をくれる存在。
一瞬にして燃え上がるような激しい恋ではなかった。
暖かい穏やかな恋だったが、一日中相手のことを考えてしまうという意味では同じだった。
そんな日の事だった。
いつも組んでいるアイドルとのデュオの仕事ではなく、ソロの仕事。
その単独の仕事が、様々な事情でキャンセルとなった。
だから、『彼』と『彼女』は、二人は知らなかったのだ。
今日、誰かが戻ってくることを。
その誰かが美波であることも。
抱き合う二人を見て、意識もなく、この場へと戻った。
その意味がわからないほど、美波は子供ではない。
祝福しなければいけない。
自意識過剰かもしれないが、美波は己が二人に好かれていると信じている。
お互いの一番ではないだけで、二番や三番には居ると信じている。
そんな自分が無様に泣きわめけば、二人は想い合っていても結ばれることがない。
新田美波のことが大好きだから、二人は美波と同じくらい大好きな人と結ばれようと思わない。
美波にとって、なんて惨めな話だ。
だけど、美波も同じなのだ。
二人のことが大好きだから、二人にそんな道を辿って欲しくない。
だから、笑ってみせる。
想いを隠してでも、祝福してみせる。
でも、せめて。
せめて今日一日ぐらいは、負の感情をこの胸で育ててあげたい。
消えてしまいたい。
時が経てば、これも良い経験になるのだろうか。
彼女を見れば、私はこの想いをいつでも思い出すのではないだろうか。
暗い想いが浮かんでは、浮かんでは、消えはしない。
ただ、積もり積もっていく。
だからだろう。
暗いものには暗い者がついてくる。
親友と、恋した男を祝福しなかった罰なのだろうか。
――――影のような何かが、美波の前に現れた。
それは狼のようにも、蛇のようにも、熊のようにも姿を変えた。
巨大な影だった。
美波が浮かぶ50mプールを呑み込むような、巨大な影。
震えることもなく。
空虚な視線を向ける。
影を現実と捉えることが出来なかった。
『エインフェリア……呼び起こせし……魂……館より……開かれる……』
声が聞こえた。
瞬間、背筋が震えた。
恐怖ではない。
いや、恐怖は覚えたが、背を震わせたのは恐怖から生まれたものだった。
舐めあげるような、『妬み』を固めたようなその声が自身の声のように聞こえた。
何者かもわからぬほどに不定形に揺れる影が、揺れる自身の心の醜さを突きつけるように見えた。
今にも消えてしまいたいと思っていたものが。
それが、目の前に現れた。
恐怖は消え、自分本位な怒りが覚えた。
世界に、光が満ちる。
その光を無視するように、美波は言葉を漏らした。
「消えて、私の前から――――」
その言葉が、鍵となった。
下腹部に浮かび上がった紋様が光る。
三角で描かれた翼や宇宙を連想させる紋様が、一角、消え去る。
すると、同時に美波の頭上に一人の存在が顕現した。
鎧姿、しかし、甲冑ではない。
揺れる鎖によって編み込まれた、北欧の鎧。
黒と、僅かな赤で構築された鎧だ。
燃え盛る焔のように、鋭利なデザインだった。
短い髪に鋭い瞳の鎧をまとった存在は、剣のように鋭く焔のように燃える瞳を影へと向ける。
「怪異か、聖杯と欲望に誘われたか?」
燃えるような瞳とは裏腹な、冷たい声だった。
睨みつける様に、影が大きく蠢いた。
怯えている。
美波は、映画を見るような感覚でそう思った。
そんな美波を、鎧の存在は。
『美波』と『聖杯』に呼ばれた英霊は一瞥した。
「……いや、純粋にエインフェリアの匂いに誘われたと見るべきか」
美波の中に何かを見たのだろうか。
鎧の存在は小さくこぼした。
そして、開いた手で美波を優しく水中からプールサイドへと引き取った。
冷たい声とは裏腹に、紳士的な柔らかな挙動だった。
影は動くことは出来ない。
すでに、影は鎧の英霊の威圧に呑み込まれていた。
「貴様のような塵には過ぎた力ではあるが、現世の主が命じたことだ。
召喚と同時の命に背くほどの反心は私にない。
怨むなよ。
怨むならば世界ではなく、世界を怨まざるをえない己の在り様を怨め」
威圧される影を見下すように一瞥する。
そして、鎧の英霊は、腰に下げた剣を手にとった。
「為すべきものは我が右手から離れず、差し伸べた我が左手は灰へと染まる」
いや、それはもはや剣ではなかった。
剣と呼ぶよりも、焼け焦げた枝と呼ぶ方がよっぽどに相応しい。
何かを斬ることなど不可能と思えるほどに、今なお灰と炭がボロボロと零れ落ちていく。
しかし、瞬時に世界は固まった。
目の前の怪異は、動くことも出来ない。
黒い焔を鎧として纏った英霊は、焼け焦げた枝を振るう。
瞬間。
ピタリっと、枝がプールに触れた。
その時。
――――並々と水が注がれた50mプールが一瞬にして蒸発せしめた。
どれほどの超熱なのか。
それほどの超熱を持っているのに、何故この至近距離に居る自分は無事なのか。
考えれば考えるほど、ただの焼け焦げた枝が刀身についただけの剣が神聖なものに映る。
消し炭をまとめたようなその剣を、上段に掲げる。
英霊は、剣の真名を。
穢され堕ちた真名を、口にする。
「天地を塵へと堕とせ、『万象焼却せし栄光の灰燼(レーヴァテイン)』」
世界が黒く染まり、怪異は焔に包まれる。
何が起こったのか、美波には認識することが出来なかった。
ただ、イメージとして。
黒い影が、それよりもなお暗き焔によって呑み込まれた。
美波が願ったように、影の怪異は世界から消え去った。
「召喚に応じて現界し、令呪を持って宝具を解放しました」
剣を納め、美波へと向き直る英霊。
「私は、破滅で幕を閉じるセイバーのサーヴァント」
セイバー。
最優のサーヴァント。
「此度の聖杯戦争における、貴女の剣です」
セイバーは、膝をつき、頭を垂れた。
美波は、まるで他人事のようにセイバーを見続けていた。
◆
美波の前の前にいるのは、男装した女だった。
男であると勘違いさせるようなものではない。
近寄って見れば男装とわかるような、そんな女。
ただ、その女性にしては余りにも高い身長から、遠目には男と勘違いさせてしまうだろう。
執事を連想させる燕尾服を纏ったセイバーは、紅茶を美波へと差し出す。
「どうぞ、ミナミ。お持ちしました」
場所は既にプールから離れた、休憩所の一室。
紅茶はセイバー自身が入れたものではない、美波の金銭で買った、販売機の缶だ。
それでも、様々な出来事に立て続けに襲われ、動く気力を失った美波にはありがたいことだった。
しかし、様々なことがあったくせに、自分が一番ショックを受けているのが『彼』と『彼女』の出来事だというのは。
余りにも呑気すぎて、落ち着いてしまえば自嘲を抑えきれなかった。
「まず、貴女に伝えるべきことは沢山ありますが……順を追って行きましょう。
私のことや周囲のことなどよりも、貴女のこと優先すべきなので貴女のことについて」
そんな美波の心中を、どこか察しているのだろう。
努めて事務的にセイバーは語りかける。
初対面であるセイバーが美波に同情的になってもしょうがないと、セイバーは考えたのだろう。
人によっては冷淡と反発を覚えるかもしれないが、今の美波には気が楽になれた。
「私のこと……ですか?」
「どうぞ、敬語は必要はありません。
私は貴女の剣であり、従者ですから」
『そちらのほうが私も落ち着きます』
先ほど、信じられないほどの暴威を奮って見せたセイバーは、どこか卑下するような言葉を美波に伝える。
『気を使わなくても結構です』というよりも『敬語を使われるのは慣れていない』といった様子だ。
美波は、その言葉に従うことにした。
「わかった、続けて」
「貴女は生まれつき、強い魂を持っています。
正確に言えば強い魂を魅了する魂、導く魂をです」
「その、よく分からないわ」
「ヴァルキュリアとヴァルハラを御存知ですか、ミナミ?」
「知ってる……知ったのは、最近だけど」
ヴァルキュリア、死後に勇者の魂を導くという戦乙女。
先日、ちょうど仕事で触った題材だった。
「貴女はそのヴァルキュリアと似た性質の魂を持っているのです。
死した英雄を死者の館に送り届け、ラグナロクへの準備を促すもの」
セイバーは事も無げに言う。
美波は突飛なことに、はあ、と言う生返事しか返せない。
自分が人として特別だと言われても、現実味がないのだ。
思えば、最初にアイドルとしてスカウトされた時もそうだったような気がする。
すなわち、『彼』との最初の出会い。
そんな連想だけでも、心が傷んだ。
「貴女の男性を魅了するような仕草は、そう言ったところから生まれるのでしょう」
「だ、男性を魅了するって……そんなつもりはないのだけど」
「『そんなつもりがないから』こその、魅力なのですよ」
そこで初めて、セイバーは柔らかく微笑んだ。
美波に言わせれば、セイバーのほうがよほど男性を魅了するのではないかと思うような。
魅力的な笑みだった。
「それが、あんなものまで呼びつけてしまったのでしょう。
もちろん、あんなものがこの場に居た理由は貴女だけが原因ではないでしょう。
が、貴女を襲ったのは貴女の魂に魅せられたからなのは間違いない」
そこで言葉を断ち切った。
『時間はまだあるから、聖杯戦争とサーヴァントにしてはゆっくりと説明しましょう』
そう続けて、セイバーは美波へと手を差し出した。
そうだ、もういい時間だ。
帰れなければいけない。
力なく、その差し出された手を掴んだ。
「ミナミ」
その掴んだ力が、余りにも弱かったのだろうか。
心配するような色を含んだ声が、セイバーから投げかけられた。
「あくまで個人的な経験に過ぎませんが、後悔はどんな道を選んでも襲いかかってきますよ」
ああ、紳士だな。
ひょっとすると、『彼』よりも。
きっと、セイバーは理想のようなものだ。
そう在りたいと願い、そう在り続けた姿なのだろう。
だから、そうだ。
こんなにも素敵なはずなのに、同姓であることを差し引いても、心がときめかないのだ。
『彼』に。
アイドルが輝く様を嬉しそうに微笑む、生の感情をさらけ出す『彼』の姿に惹かれた美波には。
「大事なのは、生存を決定づける本能ではありません。
何故後悔するに至ったのか……その原因となる、最初の気持ちを忘れないことです。
そのためなら死んでもいいと願える想いです」
それは、セイバー自身も認識しているのだろう。
自身はハリボテであると。
それでも、そう在りたいと願った以上、そう在り続けている。
それはきっと尊く、だけど、非常に儚いものだ。
「どんな結末を迎えようと、最初の想いさえ忘れなければ……きっと、貴女の心まで囚われることはないでしょう。
だから、貴方は忘れないで下さい」
だから。
「私には、出来なかった」
――――セイバーはこんなにも後悔に満ちた顔をしているのだ。
「申し訳ありません、従者の領分を越えてしまいました」
セイバーは恭しく頭を下げる。
美波は、ただその姿を見ていた。
鉄の意志。
それが、こんなにも儚い姿を導くのなら。
美波も、さらけ出すべきなのかもしれない。
例え、二人との仲が変わってしまっても、取り戻せないものになってしまっても。
大きな何かが裂けてしまう前に。
◆
「――――これは驚いた」
それはセイバーの最初の記憶。
この世に存在した瞬間の、記憶。
目の前に現れた、輝ける男への始まりの想い。
「噂の焔の巨人が……まさかこれほどに可憐で、凛々しい乙女だとは」
座から全てを見透かす主神オーディンの命なのだろうか。
その男は、花が芽生えるようにこの世に存在したセイバーの前に現れたのだ。
悠然とセイバーを見つめ、にこやかに笑みを浮かべる男。
豊穣の双子神の一人、『フレイ』。
セイバーの始まりであり、
セイバーの終わりである、
セイバーの全て。
「さて、余分なものが混じっていない今、伝えましょう。
貴女は今からこのフレイに仕えなさい。
これは勧誘ではなく、命令です。
ロマンチストを気取りたいなら、運命と思っても構いませんよ」
セイバーは自身がロマンチストだと信じている。
何故ならば、この出会いはまさしく運命だと信じているのだから。
「貴女に力とは何か、世界とは何か、教え込みましょう。
我が横で、学びなさい。世界を破滅へとさせません」
差し伸べられた右手は、栄光そのもので。
触れるだけで、心が穏やかに沸き立った。
「貴女の名は『スキールニール』。
黒すらも塗りつぶす『輝くもの』として生きるのです」
その日から、セイバーはフレイの従者となった。
輝かしき豊穣神の威光を間近で見つづけた。
自らが誉れ高きものであることを理解しそれに恥じぬ行動を選び続けるフレイ。
故に、当然のことだった。
セイバーが最初に尊敬の念を覚えた相手がフレイであることは。
セイバーが最初に友誼の誓いを交わした相手がフレイであることは。
――――セイバーが、最初に女として愛を抱いた相手がフレイであることは。
従者が主に恋慕を抱くなど不敬。
その想いを秘したまま、セイバーはひたすら忠心を捧げ続けた。
見返りは必要なかった。
フレイはセイバーのものではなかったが、他の誰のものでもなかった。
ならば、セイバーは自身がフレイのものであるという事実だけで満足できた。
その想いの下、セイバーは輝きの傍にあり続けた。
英雄と呼ぶに相応しい高貴な振るまいと義務感を抱き続けた。
「スキールニール」
「なんでしょうか、主」
ある日のこと、常のように恭しく頭を下げた。
世界が光り輝いており、その中心にフレイが居る。
この世界が何処までも続けばいいと、セイバーは思っていた。
――――この瞬間までは。
「……ギュミルの娘、ゲルズを娶ろうと思う」
ガツン、と。
頭を強く叩かれたような感覚を覚えた。
「これが、恋なのだろうな。初めての感覚だ。
寝ても覚めても、ゲルズのことしか考えられぬ。
いや、日によっては寝ることも出来ぬ。
この念を叶えるためならば、我が栄光の全てを捧げてしまいたい」
『ああ、私は主よりも先に覚えていたものは恋だったのか』
グラグラと揺れる世界の中で、セイバーはそう認識した。
あらゆる事象において、フレイはセイバーの先を行っていた。
セイバーは、『初恋』という事象において初めてフレイの先を行っていたのだ。
つまり、あれほどの長い時。
正しく、夜も眠れぬほどにセイバーがフレイに恋し続けていたその時間。
フレイは、何処の誰にも恋などしていなかったのだ。
「……主」
声を震わせないように必死だった。
無表情を維持する。
主の前で感情を出すのは失礼だと、常に鍛えていたのはこの日のためだったのだろうか。
そんな皮肉な想いが胸をよぎる。
「このスキールニール、主の恋道を成就させるために尽力しましょう。
故に、どうか、貴方に恩を返させてください」
「スキールニールほどの者にそう言われると心強い。
……全てが終われば褒美を与えよう、我が栄光の剣と、我が栄光の愛馬を、な。
偉大なるこの二つの秘宝は、スキールニール……『輝くもの』には、私の次によく似合うだろう」
いいえ、主。
私はそんなものよりも、貴方が欲しいのです。
「ありがたき幸せでございます」
――――当然、その言葉を口にすることはなかった。
ゲルズへと婚姻の申し出を代言するために向かう際のことだった。
「スキールニールか」
様々な秘宝を借りるためにアースガルズを動き回っていた時、主神オーディンと出会った。
全てを見透かす瞳を持った偉大なる主神は、その瞳を憐憫に染めていた。
オーディンは、セイバーに対して、アース神族のことを、いや、世界樹ユグドラシルに繋がる全ての生命の事を。
『運命の奴隷だな』と、自嘲と共に言い放った。
世界の終端である神々の黄昏を避けようと動いても、その動きこそが神々の黄昏を呼び起こす。
溺れまいと足掻けば足掻くほど水底へと引き込まれるように。
全ての行動が我々を破滅へと追い込むと。
セイバーは自身の感情を見透かされていることに気づいた。
故に言い放った。
「世界は破滅には追い込まれません。
私は、私を支配できています。
私が愛し、また、我が主も愛する世界を引き換えにするほどの望みなど持っていません」
「スキールニール、『生存本能』と『破滅願望』は、根底を同じものとしている。
故に、どれほど考えても、どんなに抗っても、結局は同じなのだ……」
オーディンは短く言い切り、それでもセイバーへと秘宝を渡した。
その瞳に諦めの念はなかったが、セイバーへは憐憫と同情に満ちた視線を投げていた。
チリリ、と。
胸が燃え上がったような気がした。
――――さて結論を言うとしよう。
終末戦争である神々の黄昏において。
世界の終端を齎す巨人『スルト』は何処から現れたのか。
豊穣の神に仕える輝ける従者『スキールニール』は何処へと消えたのか。
何故、『スルト』はフレイが手放したとされる勝利の剣と同一視される剣を持っていたのか。
何故、『スキールニール』は自らの主を殺めるであろう勝利の剣を、敵対者へと渡るようなことを行っていたのか。
答えは一つだ。
『――――可憐なるゲルズよ。私は妖精でも、アース神でも、賢いヴァン神族の子でもありません』
妖精でもアース神族でもヴァン神族でもない『スキールニール』は、『巨人』だったのだ。
勝利の剣と同一視される枝の破滅を振るう『スルト』は、『スキールニール』だったのだ。
フレイに恋した『スルト/スキールニール』は。
恋した男の恋慕を叶えるために動き。
自らを制御できると信じたまま、嫉妬の炎を育て。
やがて、恋した男が恋した女に向けられる穏やかな視線が。
絶対に自身に向けられることの出来ないことに耐えられず。
自身の暗い念によって零れ出た黒い焔が。
彼の栄光そのものである勝利の剣を、無残な灰燼へと変えてしまったことに絶望し。
アースガルズから、姿を消した。
それは、遠い未来の日。
未だ訪れていない、しかし、避けることの出来ない運命の日。
もはや届かぬ恋慕の念を燃やし。
せめて、生命だけは自分のものにせんと。
――――焔の巨人としてフレイを殺すのだ。
【クラス】セイバー
【真名】
スルト(スキールニール)
【出典】古エッダ
【マスター】新田美波
【性別】女
【属性】混沌・悪(秩序・善)
【ステータス】
筋力:A+ 耐久:A+ 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:A++
【クラススキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師では○○に傷をつけられない。
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
血塗れの蹄(ブローズグホーヴィ)を除く幻獣・神獣ランクの獣は乗りこなせない。
【保有スキル】
魔力放出(炎):EX
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
セイバーの場合、黒く燻ぶるような焔が魔力となって武器ないし自身の肉体に宿る。
焔の火力を0~100までとするなら、制御できるのは10まで。
それ以上の火力は常に100、全力でしか発動させることが出来ない。
セイバーにとってのこの焔とは『世界の破滅を促す感情』そのものである。
生存本能:B
生まれついて染み付いた、切り離すことの出来ない本能がスキルという形で浮かび上がったもの。
死滅願望と対を為すスキル。
セイバーの場合、運命において『世界の破滅』の根幹を担わされている。
どう足掻いても、セイバーの行動は必ず『世界の破滅』を促す感情へと結びつくものとなる。
神殺し:B
神を殺す者に備わる特殊なスキルであり、神性を持つ者に大きなアドバンテージを得る。
このスキルは天性の才能ではなく、後天的に成し遂げた逸話が昇華されたものである。
【宝具】
『万象焼却せし栄光の灰燼(レーヴァテイン)』
ランク:A++ 種別:対界宝具 レンジ:1~999 最大補足:1000人
世界樹を燃やし尽くし、世界に終端を齎す焔の剣。
別名、『枝の破滅』。
真の持ち主が持てば、その名を『豊穣約束せし栄光の剣(ユングヴィテイン)』と呼ばれることになる。
本来の効果は『独りでに鞘から剣が飛び出して相手を倒す』というもの。
しかし、セイバーの生存本能スキルによって、『世界を燃やし尽くす剣』と変化している。
本来は豪華絢爛な剣だが、現在は焼け焦げた枝のような形をしている。
しかし、その刃には世界を燃やし尽くす超熱を持っている。
真名を解放することでセイバーの魔力放出スキルに乗算された世界を焼き尽くす焔が周囲一帯を嘗め尽くす。
世界を破滅へと導く対界宝具としての性質から、結界や世界に影響を齎す能力において絶大な効果を発揮する。
【Weapon】
『万象焼却せし栄光の灰燼(レーヴァテイン)』
【人物背景】
豊穣の双子神の一人、フレイの従者。
そして、世界を焼き尽くす焔の巨人。
「――――私は妖精でも、アース神でも、賢いヴァン神族の子でもない」
巨人ギュミルの娘、ゲルズへと何者かと問われた際、彼女はこの言葉のみを返した。
彼女は、事実として妖精でもアース神族でもヴァン神族でもない。
ならば『人間』かと思われていた彼女だが、その正体は『南の巨人』だった。
フレイへと恋をしていた彼女は、しかし、フレイとゲルズを結ばれるために奔走する。
己の心を完全に殺すことが出来ると考えていた彼女。
現実はそんなことは不可能だった。
心の裡で燃え続ける、『焔の巨人』としての黒炎は嫉妬を燃料として確かに燃え上がっていた。
やがて、エーギルの館で行われる『ロキの口論』の時には、すでに彼女はアースガルズから姿を消していた。
【特徴】
暗い黒髪と瞳をした女。
背を非常に高く、男装姿と相まって遠目からでは男に見えるほど。
凹凸の少ない均整の取れたスレンダー体型。
普段は執事服を身にまとい、戦闘時には焔によって編み込まれた鎧を身にまとって闘う。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯によるやり直し、あるいは感情のコントロール。
【マスター】
新田美波@アイドルマスターシンデレラガールズ
【能力・技能】
アイドルとしてのダンススキル、歌唱スキル
【人物背景】
「ふふっ、私がアイドルなんてなんだかドキドキします。あ、でもアイドルになったら学業に響いたりしないかな? パパに怒られちゃうかも…その時はプロデューサーさん、よろしくお願いしますねっ?」
神戸エリア実装に伴って登場した、和久井留美に続く2人目の広島出身アイドル。
ちなみに、同じく関西のエリア実装に伴って登場したクールNアイドル、藤原肇も山陽(岡山)の出身である。
『新田』と『美波(みなみ)』と来て某呼吸を止めて一秒の青春野球漫画を思い出したおっさんもそこそこいた様子。
ラクロススティックを持つスポーツ少女でありながら、学業のことも忘れない文武両道な子である。
趣味に資格取得とあるのはそのことを意識してであろうか。
また、家族の話題が節々に出てきて、弟が学校で自慢しているというような微笑ましい話題も。
【マスターとしての願い】
不明。
時系列順
投下順
最終更新:2016年11月27日 21:37