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アレル(DQ1勇者)&ライダー

ごうごうと街が燃えている。
恐怖に戦く人々の声がする。
赤々と燃える炎の中に揺らめく影が映った。
影が次第に人と馬へと形を変えていく。 現れたのは、血の様に紅い色をした機械の馬と、巌の様な大男。
燃え盛る炎の中からで出てきたというのにその身には火傷も1つもなく、ただ超然と怯える民と兵士を馬上から見下ろしている。
政の中心地だった都を燃やしてなお顔色ひとつ変えずにいるこの男を見て、居合わせた人間は恐怖と共にこう呼んだ。

――魔王――

「……」

夢を見ていた。
俺のサーヴァントの夢。
俺とは違う世界の、漢と呼ばれていた王朝でのあいつの所業。
魔王と呼ばれ、恐れられた男。

「うなされていたようだな、小僧」

地獄の底から聞こえてくるような低い声が俺の仮住まいに響く。
何もない空間から、夢で見た魔王が姿を現した。

「夢を見ていたよ、あんたの過去だ」
「ほう」

じっとりと汗に濡れた寝巻きの気持ち悪さに顔をしかめながら、魔王・ライダーへと顔を向けた。
常人であれば悲鳴を言葉を失うほどの威圧感はなりを潜めているが、小さな子供なら目があってしまっただけで泣いてしまいそうな程の強面がある。
俺の返事に対し、ライダーは興味深そうに片眉をあげた。

「いつの頃だ? 涼州か、長安か、それとも洛陽か」
「地名なんか言われてもアレフガルド生まれ、アレフガルド育ちの俺にわかるかよ。ただ、そうだな。街が真っ赤に燃えて、アンタが紅い馬に乗ってた。」
「ふむ、洛陽、それも遷都の時か」

厳めしい顔に相応しい、ニヤリという効果音が聞こえてきそうな笑みをライダーが浮かべる。正直怖い。

「俺の所業を見た感想はどうだ? "勇者"」

ライダーが底意地の悪い笑みを俺に向けてくる。
つーか俺、こいつに自分が勇者だった身の上なんて話してないんだけど。
まさか。

「お前、俺の……」
「眠りを必要とせぬサーヴァントが夢を見るというのも不思議な話ではあるが、まあ互いが互いに己の境遇でも見たのだろうよ」

うげ、と思わず声をあげてしまう。
こいつはきっと最後まで見ているという確信が俺の中にあった。
俺の勇者としての戦いと、その最後を。

勇者が常に正しい選択を取るとは限らない。
その典型例が俺だ。
勇者ロトの子孫にして次代の勇者。それが俺の肩書き。
俺の住むアレフガルドは竜王という魔王に脅かされていて、俺は世界を救うことを期待されていたし、俺もそのつもりだった。
しかし、その実態は酷いものだ。
たったの120Gぽっちと松明を餞別に渡されて以降は支援もなにもなし。
ご先祖様は志を同じくする仲間達と共に大魔王を倒したっていうのに、俺についてきてくれる奴は一人もいなかった。
どの街に行っても民衆は俺を都合のいいヒーローだと勘違いしやがる。
何もしないで自分達は勇者たる俺に救われて当然、そんな見え隠れする意思にはヘドが出そうだった。
たった一人で化け物を殺していくだけの長い、長い旅路。
そんな旅を続けている内に、俺の心は擦りきれて荒んでいった。
人々を助ける為の戦いから、勇者という呪縛から逃れる為の戦いに目的はすり変わってしまっていたのだ。
だから、あの誘いに乗ってしまったのだろう。


『もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを きさまに やろう』

全ての元凶、竜王と呼ばれる魔王が玉座に腰掛けながら俺を懐柔しようとして来た。
竜王と戦わずに勇者の呪縛から解かれる。
もう、孤独な戦いをしなくてすむ。
気付けば俺は竜王の誘いを受けていた。それが何を意味していたのかも知らずに。

『では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! そして… おまえの たびは おわった。
さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ』

その言葉と共に俺は一面に闇が広がる世界へと閉じ込められた。
一時の気の迷いを俺は後悔した。それでも起きてしまった事を覆すことはできない。
疲弊していく精神の中で"もしもやり直すことができるのなら"とただ奇跡を祈りつづける。
それからどれだけ時間が過ぎたのかは分からないが、気付けば俺はこの見知らぬ街にいた。
願いを叶える聖杯を手に入れる為の戦争。
これが精霊ルビスの与えたもうたチャンスなのかは知らないが、あの闇にとらわれ続ける未来しか待っていなかった俺に聖杯戦争に参加する以外の選択肢など存在しなかった。

「どうした、答えられんのか?」

ライダーがどっかと床に座り込み。両腕を組んで俺を見やる。
この野郎、俺が答えるまで居座る気でいやがるな。

「……そうだな、一言でいえば怖かった、かな」

周囲に燃え盛っていた炎すら一瞬で凍えさせるような冷たさを持っていたこいつの瞳を思い出す。
あの目は必要があればどれだけ非道な事だろうと眉1つ動かさずに実行する、そんな目だ。
底知れない不気味さを湛えた竜王の瞳とは、別種の恐怖があった。
ほう、と関心を伴った息がライダーから漏れた。

「怖い? 数多の魔物を屠ふり、アレと対峙し、勇者と持て囃されたお前がか?」

"アレ"という言葉からライダーが竜王と対峙した俺の顛末まで知っているということは察しがついた。
にしても持て囃されたとは刺のある言葉を使いやがる。ま、否定はしないけどな。

「勇者だって怖いもんは怖いさ。でもその恐怖を知ってなお乗り越える事ができる者こそが真の勇者だ。 ……って話はガキの頃から聞かされてたよ」
「つまり、お前は俺という恐怖を乗り越えられるという訳か」
「俺の最後は見たんだろ? 俺は勇者の出来損ないさ、その質問は底意地が悪いぜ?」

自嘲を浮かべ、大げさに首を横に振ってみせる。
俺は勇者にはなれなかった。
孤独という恐怖に、竜王という恐怖に、死という恐怖に俺は屈し、安易な道を選んでしまったロクデナシだ。

「ならば何故、お前はこの戦に臨んだ」

ライダーの口調と表情から笑みが消えた。
ギョロリとした目を見開いて俺を見る。
まるで心臓を鷲掴みにされたような緊張が体を支配していく。


「お前は元の世界に帰ることが望みと言っていたが、よもやあの暗闇の世界に帰りたい訳ではあるまい」
「……ああ、俺が戻りたいのはアレフガルドだ」
「戻ってどうする? 待っているのはお前が屈した魔王と、勇者などという偶像にすがるだけで自らは動かぬ能無しばかりだぞ?」

ライダーが疑問を投げ掛けてくる。
こいつの言う通りだ。アレフガルドに戻ったところで、勇者なんて肩書きを背負ったままの俺はまた竜王と戦わされる羽目になる事ぐらいは予想がつく。
助けてくれる奴なんていない、また孤独な戦いが始まるだろう。
だけれども。

「あいつを俺の手で倒さなきゃ、俺はずっとあいつを怖れて暮らす事になる。それが嫌なんだよ」

ここに来て、別の世界に逃げる事も考えた。
聖杯戦争なんて忘れて、勇者でもない一人の男としてこの街に居ついたって良かったんだ。
それでも、いつも忌まわしい最後の記憶が俺を苛んだ。
暗く淀んだ瞳が、嘲笑する嗄れた声が、俺を取り込む一面の闇が、俺の心の平穏を掻き乱す。
だから、終わったことにしなきゃあならない。
竜王を自らの手で倒せれば、きっとこの悪夢は俺を苛む事がなくなる。
正義とか、勇気とか、そんな御大層な動機じゃない。

「俺は自由になりたい。自由になる為には竜王を倒さなくちゃさ、きっと本当の意味で俺は自由になれないんだよ」

恐怖は楔だ。
どれだけ楽しいことがあっても、どれだけ平和な世界であっても、過去から繋がるその楔は忘れさせてたまるかと言わんばかりにギチギチと音を立てながら俺の心を抉り蝕んでいく。
断ち切らなければいけない。他の誰でもない俺の手で。

「だからまあ、勇気とかじゃないと思うんだ、こういうのって。勇者様ならもっと立派な使命を持って戦うだろうしさ」

自嘲気味に言葉をしめる。
実際、ご先祖様なら世の安寧とか、人々の明日を守る為とか、そんな格好いい理由で竜王と戦っただろうし、そもそもあんな誘いなんて突っぱねてるだろう。
俺の返事を聞いてもなおライダーは黙って俺を見ている。
沈黙が怖い。お眼鏡に叶う返事じゃなかったんだろうか。
図書館でこいつの事を調べたら気に入らない答えを言った奴を殺したとか書いてあった事を思い出して不安になってくる。

「惜しいな」

ふぅ、と息を吐きポツリと一言呟いたかと思うと、急にライダーが立ち上がった。
その顔に、先程までの人を殺しかねない張り詰めたな雰囲気はない。

「お前があれと戦う気がなかったのであれば、強引にでも俺が受肉した時の配下にしてやろうと考えていたが、男の戦を持ち出されては俺の中にそれを止める道理はない。勝手に立ち向かい、お前のあるべき世界で好きに野垂れ死ぬがいい」

予想外の言葉に呆然とする俺を気にも留めずライダーは俺に背を向けてその身を霊体に変えていく。

「1つだけお前の論に訂正がある」

完全に姿を消す最中、俺へと顔を向けずにライダーは言葉を紡いだ。

「いかな理由でも一度屈してなお恐怖に立ち向かう気概があるならば、それは粉うことなく勇気よ。あまり自身を卑下し過ぎるな、それはお前と組んでいる俺の格を下げる行為と知れ」

ギッと肩越しに殺意のこもった視線が消える間際に俺を射抜いた。

「此度は許す。次はない」

物騒な言葉を最後にライダーは言いたいことだけを言って姿を消した。


「なんだってんだよ、いったい」

緊張の糸が切れてベッドの上に倒れる。
知らない内にあいつの怒りの琴線に触れていた事は心臓に悪かったが、まあ生きているだけ良しとしておこう。
バックンバックンと震える鼓動を落ち着かせる為に、大きく息を吸い込み、吐き出す。

「つまるところ、"お前は勇者だ"って言ってくれたってところなのかね」

魔王に勇者認定されるというのも奇妙な話ではあるが、まあ、悪い気はしなかった。
魔王を討つために旅立ち、魔王に唆されて全てを失った俺が、魔王を頼り共に戦う。
運命ってやつはなんとも皮肉なもんだ。
だけども、そんな運命も悪くない。
戦って、勝つ。
そしてやり直して手に入れるんだ。
勇者が魔王を倒したハッピーエンドを。
勇者ではなく一人のアレルとして生きていくエピローグを。

【クラス】
ライダー

【真名】
董卓 仲穎

【出典】
史実(後漢末期、中国)、 三国志演義

【属性】
混沌・悪

【ステータス】
筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具C

【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
俠:B
同ランクのカリスマ、精神汚染、勇猛スキルを得る。また対峙した相手の敏捷を威圧による精神干渉によって1ランク低下させる。
例え法や道徳観念から外れた残虐な行いであっても、それが自身の価値観に沿った行動であるのならば、ライダーは躊躇なく実行し、それを変える事はない。一種の精神的スーパーアーマー

暴虐非道:A
対象が混沌・悪のどちらかの属性に該当しない場合、与えるダメージを増加させる。
専横を極め破壊と贅をつくし世を乱した暴君としての証。強大な悪は生半可な正義など一呑みに押し潰す。

軍略:C
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

【宝具】
『魃・赤兎馬(洛陽、紅蓮に燃ゆる)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大補足:1500
熱波を放出する汗血馬型中華ガジェットによる突撃。放出する熱波の影響範囲はレンジ内であれば任意に操作可能。
またこの時生じた熱波は周辺の可燃物に炎を発生させて一帯を焼き払い、近隣にいる全ての対象に炎熱と煙による継続ダメージを発生させる。
この熱波は搭乗者以外を無差別に襲うので、マスターが近くにいる場合は同乗させなければ宝具の影響を受ける事になる。
対董卓連合軍用に作成を命令した中華ガジェット。
干魃を司る女神"魃"を参考に体内に蓄えた高熱エネルギーを放射する。
作成されたはいいものの、完成後はライダーが戦場に出る機会が殆どなく、使用記録は洛陽を炎上させた事のみとなっている。

【Wepon】
無銘:刀
農作業をしている際に見つけた、項羽の刀と言われる無銘の刀。玉石をまるで木材の様に両断できる切れ味を誇る。

無銘:弓

【人物背景】
後漢末期、大将軍何進の暗殺と宦官粛清の混乱に乗じて時の帝を保護し、朝廷の頂点にまで登りつめた男。
配下に対して強奪や強姦の許可、逆らう者の粛清など権力を得てからは専横を極めた結果、反発を覚えた諸将により連合軍を組まれ群雄割拠の一因を作り上げた。
政治・権力・一般常識・宗教理念などに囚われず、自分の望むままに生き、殺し、犯し、蹂躙する暴君の気質とそれを貫くだけの計算高さを持っている。
苛烈な反面、有能な人間や身内に対しては寛容な面を見せる事もあり、非道だけの人間という訳ではない。
その最後は義理の息子である飛将・呂布による暗殺。女性絡みの確執があったとされる。

【特徴】
2m近い大柄で凶相、無精髭に禿頭の筋骨隆々とした威丈夫。戦闘時は獣の皮を各所にあしらった金属鎧を身に纏っている。

【サーヴァントとしての願い】
現世に受肉し、自分の望むままに振る舞う。

【マスター】
アレル(DQ1勇者)@ドラゴンクエストⅠ

【能力・技能】
以下の魔法を使用可能
ホイミ・べホイミ:傷の治癒が可能
ギラ・べギラマ:指先から広範囲に閃熱波を放つ
マホトーン:確率で相手の詠唱を封じる。サーヴァントには効果がない
ラリホー:確率で相手を眠らせる。サーヴァントには効果がない
ルーラ:移動先を指定し空を飛んで移動する
リレミト:建物などから脱出する
レミーラ:周囲を明るくする
トへロス:自分より弱い魔物の出現を封じる

ロトの装備一式は暗闇の世界に幽閉された際に全て没収されているため丸腰。

【人物背景】
竜王による侵攻を受け、危機に陥ったアレフガルドを救うために現れた勇者の子孫。世界の平和の為に戦っていたが孤独な戦いに心を磨り減らし、勇者の責から解放される為、魔王の策略に嵌まり暗闇の世界に囚われてしまった。
ドラゴンクエスト1のバッドエンドの世界線より参戦。竜王の策略にまんまと嵌ってしまった過去から自己評価が低く自虐的

【マスターとしての願い】
竜王を倒し、勇者を辞めて一人の人間として生涯を送る

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アレル(DQ1勇者) :WINter soldiers
ライダー(董卓 仲穎)

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最終更新:2016年11月27日 21:52