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「偉い人は言いました、UFOキャッチャーは貯金箱であると!」
会長がまた小さな胸を張ってなにかの受け売りを…あれ?
「それって格言とか名言っていえるんですか?」
このロリっこ会長、時々的外れなことを至極真面目に言うから困る。
「なに言ってるのよ杉崎、確かに世に残る格言ではないけど、そもそも名言ってゆうのは日常のひとことから生まれてくるものなのよ!」
ふ……深い!
会長が久しぶりに深いことを言ってくれた!
会長の言うことが真理なら、今のこの台詞こそ名言足りえるのではないだろうか。
「なるほど、つまりはこの俺からも名言となる台詞が生み出せるわけですね!」
「鍵の場合、迷うほうの『迷言』だろう」
隣から今まで黙っていた深夏が失礼なことを言う。
……が、真実なだけに言い返せないのが癪だ。
「深夏は、少年漫画に出てきそうな台詞が多そうだな」
「おう!熱い台詞ならまかせろ!」
言い返せないので、多少皮肉をこめて言い返したが、まったくの無意味だったようで…。
「それでアカちゃん、今日の議題はどうするのかしら?」
……っと、いけない。俺としたことが議題が出る前に脱線してしまった。
こういう時は知弦さんが上手く舵取りしてくれるから助かる。
(貸し、ひとつね…)
知弦さんがアイコンタクトでなにやら訴えてきたが、ここはスルーしておく。
(…………)
こ、怖い…。だが、反応するわけにはいかない。
知弦さんに貸しなんて作ったらどんなことになるかわからないからな…。
「うん、だから、今日はみんなで名言を作ろう!」
知弦さんの猛攻に屈服する前に、会長が今日の議題を掲げてくれた。議題に関しては……その、アレだが、タイミング的にはグッジョブです会長!
「名言ったって……そんなぽんぽん思いつくもんじゃねえしな……」
「いきなり『考えろ』って言われても、難しいですよ」
深夏も、その妹の真冬ちゃんも、議題に関しては不満らしい。
……が、会長がホワイトボードに議題を書いてしまった。
この生徒会では、ホワイトボードに書かれたら議題確定!みたいな暗黙の了解がある。
仕方ないので皆で『名言』を考えることにする。
「思いついたら、挙手してね」
会長がそういうと、すぐに知弦さんが手を挙げる。
「人は誰しも、嗜虐思考を胸に秘めて……」
「ないよっ!そんなの知弦だけだよ!」
「そんなのわからないわ。アカちゃんだって胸の内では……」
「ないってば!」
「ですよね。会長は弄られてこそですもんね」
「わたしってそんなイメージなの!?」
「なんつうか……会長さんって……いや、やめとこう」
「言いなさいよ!気になるよ!」
「会長さん、わがままはよくないと思います」
「わたしが悪いの!?ねえ、わたしがわるいの!?」
会長がいい感じに涙目になってきたところで、いったん引く。
マジ泣きさせず、適度に弄る。それがこのメンバーの決まりのようなものだ。
話を会議に戻すために、俺は挙手して発言しようとする。
「……杉崎」
発言を認められたのを確認して、思いついた言葉を言い放つ。
「すべての人は、ハーレムを望む!」
「却下だよ!なんで皆して自分の主観でしか発言しないのよ!」
「まってください!深い台詞というのは、中に込められた意味まで理解して初めて『深い』と思えるのですよ?」
「う……杉崎にしてはまともな意見を……」
「そもそもハーレムというのは、全人類の夢ともとれるんです! なにより、人は本当に欲しいものは1つじゃ足りないと思うんです!」
「本当に欲しいもの、ねぇ……」
「会長だって、おもちゃ1つと2つ、どっちがいいか聞かれて迷わないでしょう」
「う……確かに」
「だからこそ! 俺が女の娘をたくさん欲しがってもなんら悪いことは……」
「あるよっ! そこだけは間違ってるよ!」
「なぜです!? これほど真摯な願いは他にないですよ!?」
「真摯とか真面目以前に、モラルが足りないよっ!」
「そんなの今更、俺に求めるつもりですか?」
「否定しないんだ……」
会長は2連続での責めに疲れ果て、机に突っ伏してしまった。
しかし、まだ全員にターンはまわっていない。
ここで深夏が……と思いきや、真冬ちゃんが控えめに挙手していた。
「はい、真冬ちゃん……」
会長はぐでーっとしたまま真冬ちゃんに発言を促す。
真冬ちゃんは、起立して、意気揚揚と、発言する。
「BLは、すべての男性に備わった……」
「備わってないからね!?」
ここで俺(男性)に攻撃が来るとは思わなかった。
さすがにこれは全力で拒否させていただく。
「先輩、なにもしないうちに否定だけするのは、よくないです」
「言葉だけ聞くと正論に思えるけど、内容がおかしいと思うんだ!」
「正論に内容は関係ありません!」
「ああ~、言葉で勝てる気がしない!」
「勝てないのは当たり前です。それが真理なのですから」
「真理……」
「さあ、先輩……私を信じてください……」
穏やかな顔で俺を見つめる真冬ちゃんをみていると、なんだか全てが正しい気がしてくる……。
「キー君!? 洗脳されてるわよ!」
「はっ!」
「もう一息でしたのに……残念です」
お、恐ろしい……。
いつの間にこんな技を習得したのだろうか。
「と、とにかく! 男性代表としてそれは否定させていただきます」
ここで真冬ちゃんのターンは終わり……本人は納得いかないような顔をしているが、俺のプライドのために無視する。
「ようやくあたしの出番だな!」
深夏はどうやら全員が終わるのを待っていたらしい。
健康的な腕を天井に向かって高々と上げている。
「はい、深夏!」
俺が真冬ちゃんに洗脳されかかっている間にだいぶ復活したらしい会長が、深夏に発言を許可する。
「頑張れカカ○ット…お前がナンバーワンだ…!」
「どこの星の王子だよ!」
「惑星ベ○ータだな」
「突っ込みに素で返すな!」
「これがダメなら…… やぁぁぁぁってやるぜ! とか」
「ネタわかる奴いるのか!?」
「ソロモンよ!私は帰ってきた!」
「いつ、どういう状況で使うんだよ!」
「無駄無駄無駄無駄無駄ァァ!」
「人生に絶望しそうな名言だな!」
「いつか……星の海で……」
「だから時々マニアックなの入れるのやめろよ! んで、やっぱ使いどころわからねえ!」
「俺、参上!」
「使えるけど、なんの感動もないぜ!」
「さっきから文句ばかりだな」
「当たり前だ!」
「というか、今までの全部引用じゃない」
「あ……」
知弦さんの一言で思い出す。
この会議、オリジナルの名言を考える企画だったっけ。
「しっかりしてよ、副会長ふたり~」
会長に怒られてしまった。まあ、怒った顔も愛らしいのだが。
しかし、困った。これまで真面目……とはいいきれないが、それなりに考えてきたのに。
何一つ名言が生まれていない。
「ま、どだい私たちに名言作るなんて無理だったのね」
まるでなにかを悟ったように、知弦さんが言う。
「そもそも名言って、よっぽど人生を知った人にしか作れないのよ」
「人生を知った人……ですか」
「そう、だから心に響くの。私たちなんてまだ高校生だもの、できなくて自然なのよ」
「でも……なんだか悔しいです……」
真冬ちゃんがうつむいて言った。
確かに、できないと最初から言われるのは、なんだか悔しい。
「そうね、だから、近い将来に、立派な名言を残せる立派な人になりましょう。」
知弦さんの言葉を、皆は黙って聞いている。
「今日の結論は、そんな感じでいいかしら? アカちゃん」
「あ……うん。 そうね」
会長も、結局は納得していた。
今日の会議はこれで終了、事務仕事もないので、皆でそろって帰り支度を始める。
今日も相変わらず、皆が元気に活動できたなあ……と振り返って、あることに気づいた。
(あれ、今日の会議、何も得るものがなかったんじゃ……)
知弦さんの締めには感動するものがあったが、今日の会議の成果と呼べるものは何もなかったような…。
ま、いいか。
今日に始まったことじゃないし、それに……。
みんなが楽しそうにしてるから、そんなことそれほど気にならないしな。
「? キー君、どうかした?」
「いえいえ、相変わらず俺のハーレムは元気だなあと」
「誰が鍵のハーレムだ!」
「照れるなよ」
「照れてねえよ!」
「ほら、ふたりともじゃれてないでいくわよ」
「了解っす」
「う……わかったよ」
そうして今日は解散となった。
今日も、生徒会は楽しいことでいっぱいです。
―END―
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