えーっと、次は……湯煎から外して更に泡立てる……と
……うーん、こんな感じかなぁ?

「律先輩、こんな感じですか?」
「どれどれ~?……うん!始めてにしちゃ良いんじゃないか?……ちょっと仕上するからミキサー貸して」
「あ、はい」
「もうちょっと……全体的に混ぜて……こんな感じ。じゃぁ次は粉をふるいながら入れて……」

ここは唯先輩が一人暮らしをしているマンションの多目的スペース。
律先輩と私は今夜のパーティーで振る舞う食事の準備を進めている。

「梓~!耐熱皿って何処に入れてあるの~?」
「えっと、そっちの……いえその隣の……そうです、それです」
「これかな……?お!せいかーい!!」

澪先輩とムギ先輩は、唯先輩と一緒にゼミの講習を受けて買い物をしてから来る事になっている。

……勿論、このパーティーの事はヒ・ミ・ツ

だって……今日は唯先輩の誕生日だから……

 プレゼントにはサプライズを

「ふぅ、大分出来上がったな。えーっと後は……もうないか?」
「んーと、サラダはカリカリじゃこを乗せれば良いですし……」
「ハンバーグは揃ってから焼いた方が良いよな」
「イカフライとオニオンフライもその方が良いですよね」
我ながら結構な量を作ったな~
まぁ、半分以上律先輩が手伝ってくれたからこそなんだけどね

「んじゃぁ……お!良い匂いがしてきたぞ~。そろそろ焼けたんじゃないか?」

律先輩がオーブンの方を向きながら私に尋ねてきた。

「時間的には……そうですね、そろそろ焼き上がりますね」
「じゃぁ少し引き出して竹串を挿して……そうそう。あ、挿すのは何処でも良いよん……どう?」
「えと、こんな感じ、ですけど……」

適当な所に竹串を挿して抜くと、僅かばかりの生地が付いている。

「どれどれ……よしオッケー!じゃぁオーブンから出して冷まそうか」
「はい。……よいしょっと……えーっと、どこに置きますかぁ~?」
「あ、天板ごとコンロの上に……オッケー!じゃぁ、冷めるまでコーヒーでも飲んで、一息入れるとするか~」
「あ、じゃぁ私用意しますね」


「ところでさ~、最近唯とはどうなの?」
「へっ!?何がですか?」

淹れたて熱々のコーヒーと格闘している私に、律先輩が妙な問い掛けてきた。

「いや、ちょっと気になってさぁ。なぁ梓……最近どうなのさ」
「どうなのさと言われても……しし座流星群以来会ってませんし」
「そうなの?合鍵貰ったからちょくちょく遊びに来たり泊まったりしてるんじゃ……」
「無理ですよ、学校だってありますし……。まぁ、電話では話してますけど」

その電話もバイトとかの関係で毎日は出来ないんだけどね~
ん?もしかして……

「……もしかして、大学でもそうなんですか?」
「そんな台詞を言うって事は……、梓も何か変に思うところがあるんだな?」
「えぇ、まぁ。ここ数日の電話なんですけど、なんてゆーか、話の隙間が出来るときありますよね。その度に小さく溜め息をついたりしているんですよ」
「そうなのか……」
「多分本人は聞こえないと思っているんでしょうけど……」
「まぁ、電話口だもんな。聞こえないようにする方が難しいよな」
「はい。それで私も気になって、思い切って唯先輩に聞いたんです」
「でも、『何でもない』とか『大丈夫だよ~』って言うだけで、特に変わった様子はない……そうだろ?」
「その通り、です……」

あれは何時からだったのかなぁ……
しし座流星群の時はそんな事なかったよなぁ~
……今週の火曜日頃からか……

「あの、律先輩。今週の月・火に何か大学でありましたか?」
「ん?え~っと……特に……無い……かなぁ。……何で?」
「あ、その……今思い返したら、唯先輩がそんな言葉……というか溜め息をつきだしたのって、火曜の夜からなんですよ」
「……そうなのか?」
「はい。日曜は普通に話していましたし……月曜は電話出来なかったのでわからないんですけど……」
「火曜からか~。……あ、そういえば『どこにいっちゃったの?』とか呟いてたなぁ」
「てことは……何かを無くしたって事ですよねぇ……」
「だな~。……一体何を無くしたんだ……?」

唯先輩が落ち込むほどの『何か』か……
うーん……

「パッとは思い付きませんね……」
「うーん、そうか~。ま、考えていても仕方ないか、当の本人も居ないんだし」
「そうですね……。……間のどこかで私が直接会っていれば良かったのかな……」
「おいおい、梓まで落ち込む事はないだろ~?てゆーか学校があるから無理じゃないのか?」
「それは……まぁ……そうなんですけど……」

はぁ……律先輩に聞かされてから初めて気付くなんて……
恋人失格、だよね……

「ほらほら~、今日は唯をお祝いするんだろ~?もてなす側がそんな顔したらダメだぞ~」
「あ、そうです……ね」
「例え唯が暗い顔をしていても知らんぷりして、パーティーの間は絶対その事を指摘しない。今日は笑顔でもてなすこと……オッケー?」

律先輩は、滅多に見せない真面目な表情で私をそう叱った。
……そうだよね、唯の為のお祝いなんだから、暗い顔してちゃ……駄目だよね!

「はい!今日はお祝いですもんね!」
「だ~め、まだ表情が硬い」
「えぇっ!?そうですかぁ!?」
「もっと自然に……そうだなぁ、唯と付き合い始めてからの……いや、付き合う前からでも良いや。楽しかった事を思い出してみな、そうすれば笑顔になれるから」
「は、はぁ……」

楽しかった事……全部かなぁ~?
ってそれじゃ駄目だよね、一番楽しかった事……
……あ!

「ん?何か思い出した?」
「はい……思い出しました」


それは、先月の始めの頃
私と唯先輩は二人で少し離れた神社の秋祭りに行っていた

一緒に綿菓子を食べたり
射的の腕前を競ったり
飴細工でギー太とムッタンを作ってもらったり……

お参りをして
一緒に御神籤を引いて……

二人とも中吉だったから、思わず笑っちゃって……

何か特別変わったことをした訳じゃないんだけど……
それがとても幸せで……
嬉しくて……


「……それが、一番楽しい思い出、ですね」
「ふーん……」
「……なんでニヤけているんですか?」
「いやー、相変わらずお熱いですなぁ~」
「にゃっ!そ、そんな……お熱いだなんて……」

もぉ……やめてくださいよ……

「でもまぁ、その事を思い出せたんならパーティーの間も大丈夫じゃないか?」
「あ……そうですね。多分、笑顔で唯先輩のお祝いが出来ると思います」
「うむ!今の笑顔なら問題無いな。よし、では次に……」
「次に?」
「……御神籤の内容はどうだったのかな~?記憶に残っているって事は、結構印象的な事が書いてあったんだろ~?」
「え?えっと……そこは恋愛の神様が奉ってあるらしくて、御神籤も『恋愛みくじ』だったんですよ。それで覚えていただけですよ」
「なんだ~。じゃぁ内容も……」
「確か……至って普通でしたね」
「そっかぁ~。……唯はどうだったの?」
「唯先輩は……『普通だね~』としか言ってませんね」
「……ちぇっ。折角ネタになるかと思ったのに……」
「そんな、つまらなそうな顔されても困りますよ……てゆーか、ネタですか」
「おぅ!常日頃から相手をいじる為のネタを探すのが私の使命だからな!」
「はぁ……」

全く……律先輩こそ『相変わらず』じゃないですか……
でも……
落ち込みそうな私を励ましてくれているんだろうな
律先輩、ありがとうございます

……面と向かっては言えないけどね


「さて、そろそろ冷めたかな~」
「どうですか?」
「うん!オッケー!それじゃ、ケーキの仕上げにかかるぞ!」
「はい!!」


はぁ……結局見つからなかったなぁ~

「……唯」

……一体どこで無くしたんだろ……

「おい……唯ってば」

……あずにゃんになんて謝ればいいのかなぁ~

「唯!!」
「ぅひゃぅ!な、何!?澪ちゃん」
「……聞いていなかったのか?」
「ご、ごめ~ん。ちょっと考え事してた~。あはは……」「全く……」

ゼミの講義を終えた家への帰り道
考え事をしていた私は、澪ちゃんの声で我に返った。

「で、何?」
「私達と一緒に来てもらえない?唯ちゃん」
「一緒に?どこへ?」
「そこから聞いていなかったのか……唯のマンションの多目的スペースだよ」

私のマンションには、住民専用の多目的スペースがある。
集会やパーティーなんかに使うらしいんだけど……。

「なんでそんな所に?」
「まぁ、行けばわかるわよ」

……なんだろ?想像つかないや


「ところで唯……」
「な~に?澪ちゃん」
「……単刀直入に聞くが、一体何を無くしたんだ?」
「……ほぇっ!?」

な、なんで?
なんで澪ちゃんがその事を知っているの!?

「え、えっと~」
「ごまかしてもダメよ。唯ちゃんは気付いていないのかもしれないけど、独り言で『どこにいっちゃったの?』って言ってるんだから」

そ、そうなんだ~

「で、改めて聞くが……何を無くしたんだ?」
「ちゃんと答えてね。……私達も心配しているんだから……」
「う、うん……」

どうしよ~
ホントの事を言った方がいいのかなぁ~

……でも、ムギちゃんにも念を押されちゃったしなぁ
仕方ない……ちゃんと言うか……

「あのね……ブレスレットを……無くしちゃったみたいなの」
「ブレスレットって……たまに付けてるアレか?」
「うん……」
「確か……梓ちゃんからのプレゼントよね」
「そう……去年の誕生日プレゼント……あずにゃんとお揃いの……」

私があずにゃんの誕生日にお揃いのキーホルダーをプレゼントしたからって事で、お返しで貰ったお揃いのブレスレット。
あずにゃんと会う時は勿論、それ以外でもちょくちょく付けていた私のお気に入り。

「……何時から見当たらないんだ?」
「……月曜日の夜から……」
「朝にはあったのね?」
「……わからない、その日は寝坊して慌てていたから……」
「そっか……」

日曜日の夜、いつもの場所に置いたはずなんだけどなぁ~
「ありそうな場所は全部探したのか?」
「うん……あ、でもバイトとかで探せない日もあったから、家の中全部じゃないんだけどね」
「そうなの?じゃぁもしかしたら……」
「うん。探していない場所にあるかもしれないんだけど……見当たらないんだよね……」

はぁ……
あずにゃんに会ったらなんて言おう……

「探していない場所もあるんだな?……よし。唯!ムギ!先にブレスレットを探してから行くぞ!!」
「え?でも、大丈夫なの?だって澪ちゃんもムギちゃんもマンションの……」
「多少遅れても大丈夫よ。ちゃんと連絡をしておくから」
「……ごめんね」
「気にする必要はないぞ。唯には今日これからずっと『笑顔』でいてもらわなくちゃならないからな」
「そうよ、だから……ね」
「へっ?なんで?」
「あ……ま、まぁそれは後でのお楽しみって事で……」
「そうそう!じゃぁ、唯ちゃんのお家にしゅっぱーつ!!」

……なんで『笑顔』なんだろ……?


~♪

「あ、澪からメールだ。梓、ちょっと飾り付けしておいてもらえる?」
「あ、はい。わかりました」

えっと、さっきの要領で絞り出して……
うん!上出来!!
あとは上に苺を乗せてっと

「澪達、ちょっと遅れるんだってさ。お!上手く出来たじゃ~ん」
「ありがとうございます。律先輩が教えてくれたお陰です。……で、唯先輩達遅れるんですか?」
「あぁ。なんでも唯の手伝いをするとかで、少し遅れるって書いてあった」
「そうですか……」

手伝い……か……
レポートとか……かな?

「さてと、あらかた済んだかな?」
「そう……ですね。あとはハンバーグとフライだけですから」
「んじゃ、ハンバーグ焼きはじめるか~。梓はテーブルに食器並べてて~」
「はい!」

えと……取り皿を……あ、どうしようかな……?

「律先輩!取り皿って大きい方がいいですか?」
「あー、んー、えっと……アレと、コレと……その方が良いかもー」
「あ、じゃぁ確か唯先輩の家に有ったはずですから、ちょっと持ってきますね」
「鍵は?」

私はそう問い掛ける律先輩の目の前で、鍵の付いたキーホルダーを取り出し見せた。

ギターのキーホルダーが付いた鍵……
唯先輩の家の合鍵……

今年、唯先輩が私にくれた、誕生日のプレゼント……

「ははっ!聞くだけ野暮だったな。じゃぁ、気をつけて」「はーい!行ってきまーす」

……さーってと、急いでお皿持って来ないとね~


「澪ちゃ~ん!そっちは~?」
「無さそうだな……ムギ!そっちは?」
「うーん……無さそうね……」
「やっぱり無いよ……どこにあるの……?」
「ほら、唯!落ち込む前に探してみる!」

澪ちゃんはそう言うけどさ……
結構探したんだよね……これでも……

「ベッド周りは?」
「ざっと見ただけ!」
「じゃぁ私、そこら辺探してみるね!」
「リビングは探したんだよな?」
「一応……でも探しきれていないかも……」
「よし!じゃぁ手分けして探そう!」

はぁ……ブレスレットさーん!どこですかー?
なんて事を心で叫んだその時だった。
いきなり扉が開いたかと思ったら、中に入ってくる足音が聞こえてきた。
リビングの扉を開けて入ってきたのは……



えーっと……合鍵合鍵っと……

「あれ?開いてる!?」

……おかしいなぁ
さっきのメールからするとまだ帰ってきていないはずなのに……
もしかして……泥棒!?

そーっと……そーっと……音を立てず……
あれ!?

「唯先輩の靴……ってことは残りの二足は澪先輩とムギ先輩か……。な~んだ、ビックリした~」

気が抜けた私は、扉を閉めてリビングへと向かった。
それにしても……何でこっちに来ているんだろ……?
そんな事を考えながらリビングのドアを開けると……。

「あ、唯先輩……と、澪先輩。……一体何を?」
「はぇっ!あずにゃん!?どうしてここに?」
「どうしてって……お皿を取りに来たんですけど……」
「おい!梓!!」
「梓ちゃん!!」
「あ、ムギ先輩もいらっしゃったんですね……って、なんでお二人そんな険しい顔……あぁぁぁぁ!!!!」

し、しまった~
唯先輩にはヒミツだったのに……
今の言葉で気づかれちゃった……あれ!?

「唯先輩?どうされたんですか?」
「え、えと……その……」
「唯……諦めてちゃんと伝えるんだな……」
「そうよ、ごまかすのはいけないと思うわ!」
「澪ちゃん……ムギちゃん……うん!わかった!」

……?

「あずにゃん……ごめんなさい!!」
「へっ!?何で謝るんですか?」
「……去年の誕生日に、あずにゃんから貰った……ブレスレット……無くしちゃった……ごめんね……ウゥッ……」
……あ!なるほど……だからこの間から……

「本当に……グズッ……ごめんね……」
「……唯先輩、そんなに泣かないで下さい……私は怒ったりしていませんよ」
「……で、でも……」
「……ブレスレットが無くなっってしまったのは寂しいですけど、もしかしたら後でちゃんと探せば見つかるかもしれないじゃないですか」
「そう……だけど……」
「それに……」
「……それに?」
「今日は唯先輩が主役なんです。唯先輩が泣いていたら折角のお祝いが台なしですよ」
「おい……わい?」
「はい。……唯先輩をビックリさせようと内緒にしていたんですけど……」
「内緒に?」
「唯先輩……今日は何日で、何の日ですか?」

私の質問に、唯先輩は腕を組んで考えはじめた。
……まさか、わからないなんて……言いませんよね?

「もしかして……私の、誕生日って事?」
「はい!そして、内緒にしていたのは……唯先輩のバースデーパーティーです!」
「バースデー……パーティー!?私の!?ほ、本当に!?」
「えぇ、そうですよ。他に誰がいるんですか?」

唯先輩はまだ半信半疑な顔をしている。
……仕方がないなぁ~

「唯先輩、そんなにも疑うのなら、今から一緒に下に来て下さい。多目的スペースで準備して……っといけないいけない、忘れる所でした」
「なにを?」
「取り皿を大きめの物にしようかって事になって、それを取りに来たのを忘れてました」

危ない危ない、これで帰ったら流石に怒られるよね~

「……えっと、あれ?こっちじゃない……唯先輩、この奥でしたよね?」
「あ、そこじゃなくって上から二段目の右奥だよ~」
「え?でもこの間までは……」
「うん、この前の日曜日に新しいお揃いのマグカップ買ったでしょ?それを置くのに食器棚の配置換えをしたんだよ~」
「そうなんですか」

んじゃぁ、こっちの……
ん?
んんん!?
これって……もしかして……

「唯先輩……」
「あったでしょ~?」
「ありました……これが……」

そう言って私は唯先輩に見つけた物を差し出した。

「「「あぁぁぁぁーーー!!!!」」」

先輩方が一斉に声を上げる。

「ブレスレット!!」
「なんで食器棚に!?」
「もしかして配置換えの時に?」
「多分そうなんじゃないんですか?」
「あずにゃ~ん!ありがとー!!ホントに……ホントに……エグッ……ありがと……グズッ……」
「……ほら、泣き止んで下さいよ。見つかって良かったじゃないですか……」
「うん……うん!……澪ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん、ホントに、本当に、ありがとう!」

よかった……唯先輩の笑顔が戻って……

「さ、下に行きましょう!律先輩が待ってますよ!!」
「うん!!!」



「ふぅ……楽しかったなぁ~。あずにゃん……本当に、ありがとね……」
「どういたしまして……楽しんでもらえて何よりです」

……楽しかったパーティーも終わり、私達は唯先輩の家のリビングでソファーに座りノンビリとしている。

「それにしても……まさかこんなサプライズパーティーがあるとは思いもしなかったよ~」
「だって……私の誕生日に……あんなサプライズするから……お返しです」

でも……本当のサプライズは……これから……

「そういえばさ、今回あずにゃんがプレゼントしてくれたペンダント……これもお揃いでしょ?」
「……よくわかりましたね、その通りですけど……」
「やっぱり……多分そうじゃないかと思ったんだよね~」
「……どうして……ですか?」
「だって……ハートの裏側がまるで鍵みたいにギザギザしてるでしょ?だからそうかな~って」
「正解……です」

そう言って私は胸元からペンダントを取り出し、唯先輩の前に出した。
唯先輩もペンダントを取り出し、同じようにしてペンダントの裏同士を重ねる。

「ぴったり……」
「……ですね」

重なり合ったハートを見つめ、そんな事を呟くと、私達はお互いに見つめ合った。

「唯先輩……」
「なーに……?」
「実は……もう一つ、サプライズのプレゼントがあるんです……」
「……サプライズ?」

その問いに答えるように、私はブラウスのボタンを三つほど外した。

「ブラに……リボンの……ワンポイント?」
「はい……これが……サプライズの……プレゼントです……」

私の『初めて』……これが、サプライズ、プレゼント……

「……本当に、いいの?」
「……はい……。合鍵を……もらった時から……決めていましたから……」

唯先輩……もらって……くれますか……?

「わかった……じゃぁ……ベッドに……行こうか?」
「……はい……」

冷え込みが厳しくなってくる十一月の終わりに……

「あずにゃん……」
「唯先輩……」

私達二人は……


おしまい!!


  • よかった -- (名無しさん) 2012-09-21 18:24:51
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最終更新:2010年12月08日 09:43