唯澪@ ウィキ

YUI is special for MIO

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YUI is special for MIO


これから投下するSSはお互い片思いで、ラブラブな内容ではありません
そして澪サイド、唯サイドのSSとなっています


唯は人気者だ

「えへへー、ごめんね。待った?」
「おう、待ちくたびれて背中とお腹がくっつくそうだ!」
「唯ちゃんは人気者ね」
「昔から唯の周りによく人が集まってたわね」

軽音部の4人に和を加えた5人でのお昼
唯はクラスメートと話をしてて、遅れて私たちの輪に加わる
休憩になると、唯のところには誰かいる
他のクラスから来る子もいる
みんな、私の知らない子ばかり…

唯は誰とでも楽しそうに話す。最高の笑顔を見せながら
それらは誰にでもなく、みんなに向けられているもの
唯は、誰に対しても平等だ…特別なんかない
だけど、私が唯に抱いている気持は特別だ
その思いは、誰にも負けない
でも、それは唯に届くことは…ない

1年の頃は、唯との思い出がたくさんあった
入部後の名前の呼び方、ギター購入後の練習、追試の勉強、指の皮、合宿での唯の演奏、学際での私への励まし…
他にも、数え上げればキリがないくらいの思い出がある
でも、2年になってからそれはかなり減った
私だけ違うクラス、ギターの後輩である梓の入部、律とのコンビ…
いろいろな要素が重なり、唯が遠く感じるようになった
いつしか部活であいさつと、数回の会話を交わすだけとなった
そして3年、初めて唯と同じクラスになった私だったけど…
唯の周りには、私の知らない友だちで溢れていた
今の私は、唯と同じ部活の人。というのが周りの認識だ

だけど、私は他の人とは違う特別な点がある
それは…唯が私の書いた歌詞を歌ってくれるということだ
自分の歌詞を、好きな人に歌ってもらう…それを私は横で、一番近くで聞くことができる
これほど幸せなことはない
私が歌うのを頑なに拒むのは恥ずかしいのもあるけど、唯の歌が聞けなくなるのが一番の理由だ
そんな小さな優越感を抱きながら…私は日々を過ごしている

「相変わらず澪のお弁当はちっちゃいなー」
「女の子ですもんね、気になるわよね澪ちゃん」
「でも、栄養はしっかりとらなきゃ駄目よ」

律たちが私のお弁当を見ながら、好き好きに言う
私だって、お腹いっぱいたべたいけど…太りたくないから…

「いいんだ、私は小食なんだ」

なんて強がりながら、おかずを口に運ぶ

「駄目だよ、しっかり食べないと!はい、澪ちゃんにあげる」

満面の笑顔で唯が差し出したのは、1個のミートボール
そしてご飯の上に、それを置く

「おい唯ー、私にもくれよー」
「だーめっ!澪ちゃんは『特別』なんだから」

その時、私は息するのを忘れるくらいに驚いた
それは、唯が発した『特別』という言葉に対してだ
小さなミートボールが、この世のどんなものよりも価値があるように感じる
このまま宝箱にしまって、大切に大切にしまっておきたいとさえ思える

「なんだよー、澪だけ贔屓すんなよー」
「いいの!それに、りっちゃんはおっきくなっちゃ駄目なんだよ!」
「なにをー!なら、力ずくで奪うまでだ!」
「あれー、お助け―」
「あらあら、仲良しね」
「全く、何歳よあなたたち」

驚き固まる私を余所に、律とじゃれあう唯にそれを見守るムギと和
私を除いて、時が動いていく

「あら、澪ちゃん箸止めてどうしたの?」
「どこか調子悪いの?」

あまりに私が動かないので、ムギと和が声をかける

「うぇっ?!…あ、大丈夫…」

びっくりして、変な声を上げながら答える私
ふと唯にのほうを見ると、不安そうな顔で私を見つめている

…しまった…唯から笑顔を…奪ってしまった
もしこれを残してしまったら、唯はどれだけ傷つくのだろうか…
それだけは嫌だ!…もったいないけど…食べよう

「唯、ありがとな」

私は動揺を抑え、精一杯の感謝の言葉を唯に伝える
そして箸で、ミートボールを口に運ぶ

一噛み一噛み、噛みしめながら味わう…
もう原型がなくなるくらいになったそれを、私は飲み込む

「うん、おいしいよ」

ぎこちない笑顔を唯に向ける…

「どういたしまして!」

唯が再び笑顔を見せる
うん、唯には笑顔が一番似合うよ
これからも、その素敵な笑顔をみんなに見せてくれ
そして、私はさっきの『特別』という言葉を心の中で噛みしめながら、お弁当の残りを食べる


私は、唯にとっての『特別』になれなくてもいい

私にとって唯は…『特別』なのだから

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