うどんげをようやく見つけた。
丘の上で、ゲラゲラ笑っていた。
近づくと、一転して泣いていたので、励まして、家まで連れて帰る。
永遠亭に帰ると、ちょうど夕食の時間だったので、姫様とイナバ達と一緒に、そのまま食事を取る。
うどんげは、首輪をつけて庭においてきた。
そして、庭に近い席に一人分の食事を置いておく。
「ゲラゲラ」
予想通り、気持ち悪い声を出しながら、座敷に入ってくるうどんげ。
しかし、後一歩で手が届く、というところで、手が届かないように鎖の長さを調節しておいた為、
ご飯を目の前にして食べることができない。
それでも、まだゲラゲラ笑って鎖の先、杭と繋がっている所に戻っていく。
懸命に外そうとしているが、頑丈な南京錠、月の技術で突き刺した杭は、一端の
ゆっくりにどうこう出来るモノではなく、当のうどんげもガシャガシャと弄っているだけのようだ。
「ふう、お腹いっぱい。イナバ、もう下げていいわよ」
「はぁーい。? 姫様、一人前余っていますが。これ如何しましょうか?」
「風呂番が、まだ食べていないでしょうから、もって行ってあげなさい」
代わりに私がそういうと、直ぐに風呂場の方に向かっていくイナバ。
同時に、うどんげも急いで近寄ってくるが、あっさりと運ばれてしまった。
そりゃ、ゲラゲラ笑いながら近づいて行ったって、何がなんだか分からないだろう。
「あらあら、泣かなくって大丈夫よ。うどんげ」
また、泣きそうになっているうどんげを抱きかかえ励ますように言った。
「ご飯を食べたくなかったからって、私は怒ったりしないわ」
首を横に振るうどんげを尻目に、私はこのゆっくりとの新しい生活に思いを馳せているのだった。
最終更新:2008年09月14日 09:15