生まれたての
ゆっくりを乾燥させ油でこねると、非常に弾力のある球体になることが分かった。
この世に生を受けた瞬間に母親から隔離され1週間天日干しにされても生き続ける生命力には脱帽するほかない。
適度によく弾むそれは、幻想郷に娯楽を提供する。
「行くぜ!」
魔理沙が力任せに放ったゆっくりボールはキャッチャー霊夢の頭の上を越えて紅魔館の壁にぶちあたる。
壁に叩き付けられたゆっくりは「あらかき!あらかき!」と叫ぶ。皮膚が固く自由に言葉を発せないようだ。
「ちょっと魔理沙!ちゃんと投げなさいよ!三塁ランナーがレティじゃなかったらサヨナラよ!」
「魔理沙ー!あたいがきめるんだからね!」
チルノが小型オンバシラを魔理沙につきつけ叫ぶ。
「チルノちゃん、当てれば勝ちなのよ!振り回さないで!」
二塁ランナーの大妖精の言葉もチルノの耳には届いていないようだ。
魔理沙が投じた第二球にチルノはフルスイングで答え、
「ゆ゛っ!!!」
ゆっくりボールは湖へと消えた。
歓喜に沸く妖精たち。またボールを手に入れなきゃ、と考える早苗。
魔理沙は悔しそうにベンチへ戻ると、転がっていたゆっくりボールを力任せに殴りつける。
「ぶるがりあ!ぶるがりあ!」
ゆっくりボールの叫びが響いた。
最終更新:2008年09月14日 09:18