ゆっくりフラン×ゆっくりれみりゃ系3 れみりゃのトモダチ奮闘記

れみりゃは不満だった。

瀟洒なメイド、豪華な食事、一級品の寝床、どれをとっても他のゆっくり達が身売りしても手に入らない様な贅沢を彼女は味わっていた。
気になる事があるとすればそれはこの紅魔館の「あるじ」とかいう自分そっくりな格好をした人物ただ一人。
ことあるごとにこちらを睨みつけてくる「あるじ」はれみりゃにとっては恐怖の対象だった。
しかしそれを差し引いたとしてもれみりゃは満ち足りているに違いなかった。ある一つを除いて。

「あるじ」と「ぱちゅりー」、この二人の話し合い方は自分と「さくや」とのそれとは違った。
なんと言えばいいのか分からないが・・・楽しそう。
話してることはぜんぜん分からないが「さくや」が自分に使うあのよくわからないカクカクしたしゃべりかたじゃあない。
そういえば前に「ぱちゅりー」のところに来た「しろくろ」がきいたことのない言葉をつかっていた。
「パチュリー!友達の魔理沙が本をもらいにきたぜ!」
「よくまあそこまでどうどうと泥棒宣言できるものね」
「おう、嘘をつかないことがここ最近の私のモットーだからな!」
トモダチ。そういわれた「ぱちゅりー」はどことなく本を読んでいるいつもよりうれしそうだった。
トモダチ・・・

「うー!さくやー、トモダチほしいー!うー!」
「友達ですか?それなら今メイド妖精をここに連れて・・・」
「うー!やー!ちがうー!お外のトモダチー!」
「外ですか!?いけません、外はとても危険で友達なんていませんよ。老けた妖怪や年中空腹で目に入る者を所かまわず食べる人間、
不気味な形の胸をもった死神とかとんでもない連中しかいないんですから」
「うー!つくるのー!トモダチー!いやぁー!」
自分自身が太陽光で灰に帰すということさえ理解していないれみりゃを外に出す等、折角運良く手に入れたミニお嬢様を堪能し続けている
咲夜にとっては了解しかねる注文だった。
その勝てるわけが無い問答に来る日も来る日もれみりゃは挑んだがとうとう一ヶ月経っても外に出ることはかなわなかった。
そんなわけでこの数日間、れみりゃは丸い顔をさらに丸くして不満を溜め込んでいるのだ。

そんなある日、ふとれみりゃが夜の中庭で空を見上げるとやたらきらきらと輝くものが空を飛んでいた。よく目を凝らすと、
そのからだは自分にそっくりだ。もしかしたら、そう思ったれみりゃはその背中についた羽を思い切り動かし手を空に伸ばした。
瞬間、見事に体は浮き上がりまるで月に吸い込まれるようにれみりゃは空へと昇っていった。
実は今までこのれみりゃは自分が飛べる等微塵も考えておらず、そのため咲夜を含めた紅魔館の住人全てがれみりゃが空を飛ぶ等
考えもしていなかったのだ。

解放された中庭からさらに解放された外の世界へと飛んでいくれみりゃ。飛ぶことにはまだあまり慣れていないが慣れれば歩いて移動するより
楽そうであった。粗方周りを飛んでみるが先ほどの自分に似た生き物の姿は見えない。せっかくトモダチになれたかもしれないのにと思うと
れみりゃはうつむいて目線を足下に落とした。すると
地面上を丸い物体がいくつもいくつも蠢いているのが眼に入った。あれがトモダチ?落ちるような速さでそれに向かって飛んでいくれみりゃ。
れみりゃの速さは丸い物体群の歩みの速さを軽く超え、その最前面に着地した。
「うー!」
両手を広げ笑顔いっぱいに丸い物体をみつめるれみりゃ、それに対して一瞬戸惑う丸い物体群。
そう、その丸い物体郡とはゆっくり霊夢の群れだった。

先頭を進んでいた巨体のゆっくり霊夢はその長い自分の経験から目の前のものが自分たちの天敵であることを知っていた。
群れの母親であるそのお母さん霊夢は自分の15匹はいるであろう子供たちをなんとか守ろうと自分の体を出来る限りに広げ壁を作った。
「ゆー?なにそのひと?」
「いっしょにゆっくりできるひと?」
「おかあさん見えないよ!どいて!」
「あ・・あ・・・」
幼く好奇心旺盛のゆっくりたちはこぞってれみりゃを見たがったが少し年上のお姉さん的存在の霊夢の中には
今の自分たちがいかに危険であるかを知っているものもいた。
しかしれみりゃは彼らを補食する気は毛頭ない。そもそも紅魔館の栄養を考慮された豪華な食事の中には糖分過多のゆっくりなど
デザートにもあげられなかったためれみりゃは彼らが自分の本来の主食であるということにすら気づいていなかった。
お母さん霊夢が無駄な緊張感を漂わせてる中ついに一匹のゆっくり霊夢がれみりゃの前に立ってしまった。
「ゆっ!」
あせる母親を尻目にいつもの台詞を吐く幼い霊夢
「ゆっくりしていってね!」
「うー?うっくりしていってね!」
とっさに返されたその言葉に軽く警戒を解くお母さん霊夢。
どうやら彼らは本能的に「ゆっくりしていってね!」という言葉に安心感を得てしまう節があるようだ。
「ゆっくりゆっくりしようね!」
「うーうー!うっくりうっくり!」
滅多に見ることの無いゆっくり霊夢とれみりゃの戯れに戸惑うお母さん霊夢ではあったが次第にその流れに乗り
いや、飲まれ、自分自身もれみりゃとの踊りを楽しみはじめた。
「うー!うー!トモダチトモダチ!」
「うん、友達だよ!ゆっくりしていこうね!」

緊張の糸がきれ狂ったかのように遊び始めるお母さん霊夢とれみりゃ。
次第にその恐怖の解放からかお母さん霊夢の顔はれみりゃとの遊びが激しくなるに連れて頬は紅潮し眼がとろんとし始めた。
「ゆっゆっゆー・・・!」
「うー?うー!うあぁ!」
やたら顔をすり寄せてくるお母さん霊夢に最初は嫌悪感を抱いたれみりゃも徐々にお母さん霊無同様艶をはらんだ声を出し始めた。
「うー・・!うー・・・!あうぅ!あうぅ!」
「ハァハァ・・・!レミリャぁ・・・!ゆっゆっゆっ!!」
今まで交尾の対象としてみたことが無かった相手との交尾故かやたら興奮するお母さん霊夢。が、
「ゆっ・・・ゆぐぅ!?」
あまりの激しさのためれみりゃの牙がお母さん霊夢の肌を削った。
それに気づくこと無く口を開けたまま顔面や体をお母さん霊夢にこすりつけるれみりゃ
「い゛や゛ぁ!!痛い!痛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」
ひたすら続く快楽と痛みの連続。お母さん霊夢は意識が途切れる寸前だった。
「すっきりー!」
異常な程晴れやかな声を上げるれみりゃに対し、顔中傷だらけで痙攣している自分の母親に戸惑う子供たち。
間髪入れずにますます震え出すお母さん霊夢、その頭部からはいくつもの蔦が生えてきている。生命誕生の瞬間だ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「どうしたのお母さん!大丈夫!?」
「大丈夫だよ!わたしたちがゆっくりみまもってるんだもん!」
「そうだね!がんばってゆっくりしようね!」
楽天的な幼い意見とは逆に切り裂かれそうな痛みに耐えるお母さん霊夢はれみりゃとの交尾、出産が
こんなに辛いものだったのかと軽く後悔していた。
「んぎい゛い゛い゛い゛い゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

ようやく痛みに解放されるお母さん霊夢その頭の蔦にはゆっくり霊夢4匹、頭部だけのれみりゃ5匹が眼をつぶったまま実っていた。
「新しい妹だ!」
「これで私もお姉さんだね!」
「お姉さんゆっくりさせちゃうぞー!」
思い思いの喜びの言葉を語り合う幼いゆっくり達。
その様子を見て、辛いながらも頑張ったことをうれしく思うお母さん霊夢。
れみりゃも自分そっくりの子供が出来たことに本能的に喜びを隠せない。
「うっうー!うあー!うあー!」
すると
「みて!目があきはじめたよ!」
ゆっくりと目覚め始める生まれたてのゆっくりたち。一番乗りは親の顔の3分の一程度の大きさのれみりゃだった。
次々と目覚め地面にぽとんぽとんとおちていく赤ちゃんゆっくり、それに歓喜の声を上げるお姉さんたち。
「ゆっくりちていってね!」「ゆっくりしていってね!」
お姉さんたちに挨拶する赤ちゃんゆっくり。それに対して今までで一番元気のよい挨拶を返すお姉さんたち。
天然の赤ちゃん霊夢と赤ちゃんれみりゃの2ショット、鴉天狗も泣いて喜ぶであろう光景がそこに展開されていた。
「ゆっくりちていってね!」
一緒に生まれたその姉妹に満面の笑顔であいさつする赤ちゃん霊夢
「ぎゃおー♪」
「が、がおー♪」
初めて耳にする台詞に精一杯返す赤ちゃん霊夢。


お母さん霊夢の顔が青ざめた
「たーべちゃーうぞー♪」
バクン
その途端、赤ちゃん霊夢の顔の半分近くが削り取られた。その隣には黒いあんこで口を汚しながらも満足な赤ちゃんれみりゃの笑顔が。
「うまー♪あまー♪」
「いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
絶叫が森の中でこだました。
その急な出来事に対応しようとしていたのはお母さん霊夢ただ一匹。しかし交尾と出産の疲労により体が全く動かない。
ただただ、幼いれみりゃに懇願するしか無いお母さん霊夢。
「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!やめてえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」
たった5匹の赤ちゃんれみりゃに軽く翻弄されていくお姉さん霊夢たち。その速さは愚鈍なゆっくり霊夢たちにとっては
これ以上無い武器であった。
「いや!やめて!ゆっくりしてよう!や・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
とてつもない勢いで皮を食い破って体内に入り込むれみりゃ。れみりゃが内側から食らいついていくために外から見ると
ゆっくり霊夢がその体をぼこぼこに形を変えながら奇妙な踊りを踊っているように見える。
「ウグェ・・!お姉さんぐぁ!ゆっ・・!っくり・・おしえたくぁッたのにイィ・・・!」
ドチャ
その光景と音に異常な恐怖を植え付けられていくお姉さん霊夢たち。阿鼻叫喚どころの騒ぎではない。
「いやだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「し、じじにたくないよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」
「おがーざあ゛あ゛あ゛ん!助け・・・助けてぇ!おが!」
突如3匹のれみりゃによって空高く持ち上げられるゆっくり。
生まれたてのれみりゃにとっては他のゆっくりは食料、または玩具でしかなかったのだ。
「わー!高い!お空をとんでるよ!」
一瞬自分を持ち上げているものが何であるかを忘れたゆっくり霊夢。だがそれは次の瞬間思い出すことになる。
「お空たかいなあー♪おそ・・ゆっ!?」
10m程の高さから落とされたゆっくりは空が遠くなり地面が近づいてくるということが
これほど恐ろしいことだったのかということを思い知らされた。
「いやだあ゛あ゛あ゛あ゛!!飛んでいたい!飛んでいたいよお゛お゛お゛お゛お゛!!!おごっ」
ただ衝撃がそのまま音となった様な声を上げて動かなくなるゆっくり霊夢。
目の前のゴミと成り果てた娘に生地がふやける程の涙を流すお母さん霊夢
「どうしてな゛の゛お゛・・・どうしてこんなことに゛い゛・・・」
歯を食いしばり体を起こすお母さん霊夢。憤りが自分の体の痛みを消した。
「うー!うー!あまあま!」
「やめでー!ゆっくりじようよー!おねが・・い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」
姉妹だったはずの赤ちゃん霊夢を頭からかじりつく赤ちゃんれみりゃ、
その後ろからは重戦車と見紛うかのような巨体が轟音を立てて近づいていた
「うー?うぐぅ!?」
小さな体の10倍はあるであろう巨体が時速20km程で押しつぶしてきたのだ。
かするだけでも致命傷になりかねないその攻撃をれみりゃは見事お母さん霊夢の体中央で受け止めてしまった。
「うぎゅ」
ほとんど苦しむこと無く奇怪な声を出して昇天するれみりゃ。
それを見た他4匹のれみりゃが怒りとともにお母さん霊夢に向かってきた。
「うー!うあー!うあー!」
しかし彼女たちは覚悟を決めた母親というものを甘く見ていた。
大きな的でしかないと思っていた彼女たちはお母さん霊夢の真書面から特攻を決め込んだ。
それを避けようともしないお母さん霊夢を見て悲鳴を上げる残った霊夢たち
「やめてえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!お母さんを殺さないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!」
戦闘機のつもりだったのだろうか。一斉に体を尖らせたれみりゃ達は口々に「ぶーん♪ぶーん♪」とはしゃいでいる。
そのため彼女たちは気がつかなかったのだ。目の前の獲物の体がさっきと比べて2倍あるであろう事実に。

突風がレミリャたちを襲った。その突風は森の木の間を20本は抜け、4匹のれみりゃたちを容赦なく木々に叩き付けた。
突風はお母さん霊夢から発せられたものだった。それ以上ほとんど動けなかったお母さん霊夢の苦肉の策が成功したのだ。
お母さん霊夢から近くの木にぶつかった二匹はその瞬間に中の餡を飛び出させて破裂した。
残り二匹は運良く、いや悪かったのか後ろの木の方に軽くぶつかり地面に落ちた。
周りの娘にすぐに指示を出しれみりゃの残骸を回収(消化)させ、生き残りを取り囲んだ。
この生き残りにはあのれみりゃも含まれている。
何を隠そう、彼女は先ほどの惨劇を笑顔で手を叩きながら鑑賞を決め込んでいたのだ。それは本能のなせる業なのか。
とにかくゆっくり霊夢たちがこの惨劇の原因、その行為を許せるわけが無かった。
幼いれみりゃと大きなれみりゃの羽をもぐゆっくり霊夢たち
「いあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛!」
「う゛あ゛ー!う゛あ゛ー!」
各々の怒りをぶつけるゆっくり霊夢たち
「お前たちのせいで妹も姉さんもしんじゃったよ!」
「もうゆっくり出来なくなっちゃた・・・!」
「しね!ゆっくりしね!」
「そういえばさっきのこいつらの仲間めっちゃおいしかったよ!」
「そうだ!たべちゃえ!たべちゃえ!ゆっくりとね!」
赤ちゃんれみりゃとも自分の血がつながっていることも忘れて肉まんに食らいつくゆっくり霊夢たち
「うんめ!めっちゃうっめ!」
「わあ!このおっきいのまた指が生えてきた!」
「やったね!これで食べ放題だ!」
既に事切れた赤ちゃんれみりゃにはまだ無かった自己再生能力のため苦しみが続くれみりゃ
その惨状にもう少しも動けないお母さん霊夢が涙を流す。
「やめて゛え゛・・・もうやめて゛え゛・・・」
そして他にも痛み以外で涙を流すモノがいた。
そうれみりゃである。

せっかくトモダチができたのに。たくさんのトモダチとゆっくりできたのに。こどもたちもできたのに。
なんでトモダチに食べられなきゃいけないの?なんで!なんで!!なんでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー!う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー!」
大声で叫ぶように涙声を上げるれみりゃ。そこへ
「ゆ?」
「あれなんだろう?きれー」
「私知ってるよ!あれは流れ星っていうんだよ!」
「へーそうなんだーゆっくりしていけばいいのに」
七色に光輝くそれはどう見ても流れ星ではなかった。そう、それはれみりゃが中庭でみたあの人影だったのだ。
「・・・か・・・・・!」
お母さん霊夢が絶句する。その人影こそゆっくり種の中でもトップクラスを誇る攻撃性、残虐性を備えもった凶悪種
ゆっくりフランだったのだ。しかも四肢のついた成体。泣きっ面にテポドンではすまない危機がそこにあった。
フランはゆっくりとお母さん霊夢を見つめるとニヤリと笑いその娘たちに目を向けた。
「うそつき!ながれぼしなんかじゃないじゃん!」
「今日はおきゃくさんが多いね。おねーさんだれ?」
「おねーさんもこれたべてゆっくりしない?」
「これおいしいんだよ!このほっぺが・・・」
ブオン
それは突然だった。フランにれみりゃの部位解説を行っていた霊夢の周りを丸く緑色をした細かな玉が取り囲んだのだ。
その綺麗で不思議なものにときめき始める霊夢たち
「わー!きれいだね!」
「いいなーなかでゆっくりできて!」
「おねーさん私にもおねがい!」
「こんなきれいなところでゆっくりできるなんて!おねーさんあり・・・あれ?」
八方からゆっくりと霊夢に迫り密着し始める球体。ニヤニヤし続けるフラン。
まんじゅうの焼けこげる香り

「あぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
聞き慣れてしまった叫び声が今一度森にこだました。
緑色の球体、それはフランの出した弾幕以外の何ものでもなかった。
「あづい゛い゛い゛い゛!だして!だしてよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
フランは困った顔をしたままその霊夢に顔を近づけ、瞬間、これ以上無い笑顔になって言い放った。
「ゆ  っ  く  り  し  ね」
「やだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
バシュン
冷酷に響き渡る着弾音。そこにはあんこ以上に真っ黒になった霊夢の成れの果てが転がっていた。
「もういやだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「おうちかえるう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
またも騒ぎ出して八方に逃げるゆっくり達。それをみて静かに笑うフラン。
その体が一瞬ぶれたかと思うといつのまにかフランは4人になっていた。
「「「「ゆっくりしね!」」」」
残ったゆっくり霊夢たちを様々な弾幕で焼き払うゆっくりフラン達。
手にかざした大きな炎の様な剣、時計の様なレーザー、消えたと思えば背後からでてくる弾。
その悪意ある全ての攻撃はお母さん霊夢以外をみるも無惨に炭にしていった。

涙が枯れ果てたのか、精神が壊れたのか。お母さん霊夢はただ空を見つめ動かなくなっていた。
そんなお母さん霊夢に近づいていくゆっくりフラン相変わらず嫌らしい笑顔を見せつけている。
もう殺して、そう思っていたお母さん霊夢にフランは握っていた手のひらをそっと開いた。
そこにはさっき生まれたばかりの赤ちゃん霊夢が小刻みに震えながらうずくまっていた。
「ゆっ!」
「あっ!おかーさん!おかーさーん!」
いつの間にかフランの笑顔には邪気が一切感じられなかった。戸惑いながらもその笑顔になぜか感謝をしたくなってしまったお母さん霊夢
「ゆっ・・・!あ、ありが・・・」
「うぎゅぅ!?」
「ゆっ!?」
赤ちゃん霊夢の目の前にでてきた渦を巻いた弾幕。それが何を意味するのかは簡単に予想がついた。
「恋の迷路・・・」
お母さん霊夢の耳元でそうつぶやくと同時に渦の弾幕は広がりうまい具合にお母さん霊夢を残したまま赤ちゃん霊夢を炭にした。
「う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
白目を剥いたまま異常な痙攣を起こすお母さん霊夢をみながら高笑いをするゆっくりフラン。
その異常さはオリジナルを超える様な勢いであった。

一部始終を見ていたれみりゃはその行為に恐怖を抱きつつも共感を得ていた。
この行為こそ私がすべきこと、この人こそ私がトモダチになるべき人!
「う~・・・トモダチ?」
まるで尋ねるようにゆっくりフランに近寄るれみりゃ。振り返るフランの顔はまたしても笑顔で満たされていた。
「う?うー!」
その笑顔につられて元気いっぱいに手を広げるれみりゃ、ようやくこれでトモダチが
「しね」
パーン!
思い切り頬を叩かれるれみりゃ。あまりの衝撃にお尻からどすんと倒れてしまった。
またもトモダチだと思った人物からの裏切り。もういい、トモダチなんていらない!
「うー!おうちかえる!う、う~!」
泣く泣く空を飛び始めるれみりゃの後をニヤつきながらゆっくりフランが追う。
「しね!しね!ゆっくりしね!」
「う、うあああああー!うああああああああー!」

猛烈な速さで紅魔館へと進んでいく二人。おかげで日の出には間に合いそうだった。
今後紅魔館で繰り広げられるであろう二人の関係は果たしてトモダチの関係といえるのであろうか。
それを決めるのは他でもないれみりゃ自身だ。

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最終更新:2008年09月14日 10:40
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