美鈴×ゆっくり系11 美鈴と森のゆっくり_中編_1

※美鈴によるゆっくり虐待。
fuku1007.txtの続きです。
※例の如く、ある意味では美鈴虐めかも。キャラ性格の俺改変ひどいし。
※事情により中編です……いや、18禁になりそうな性的描写が……後編に……。
※当然のように俺設定満載な感じです。
※特に、ゆっくりの設定は思い切り俺設定です。イメージと違う場合もございますので、
ご注意ください。








「美鈴と森のゆっくり ~中編~」



 ゆっくりありすの抵抗心を破壊した美鈴は、青竜刀を振り上げている。
「ごっ、こば、ごわ゛ぐない゛ばよ……ぞ、そ、ぞぶなの゛……!」
 もうすぐ訪れるであろう死に対し、ありすは精一杯の虚勢を張った。
 ガタガクブルガタと震え、滂沱の涙を流しながら。

「そうなの? でも、斬られると痛くてよ。それに、一刀のもとに真っ二つにされても、
しばらくは死ねずに苦しむわよ」
 強がるありす見て、愉快そうに美鈴は微笑む。
「ふふっ、そう言えば私は発展途上国なんですって? 悪いわね、発展途上国っだから、
そんな痛くて苦しい殺し方しかしてあげられないのよ……都会派のゆっくりさん」
 言われたときは流したが、やはり結構カチンと来ていた美鈴は、ことさらに発展途上国
を強調しつつ、ありすの恐怖を煽るように嘲弄する。

「う゛、ゆ゛っ……あ゛、あ゛ぁ……ぞ、そ゛ぶな゛の゛……う゛う゛っ……」
 死ぬ覚悟は出来ていたはずだが、やっぱり怖い。とても怖い。
 ひと思いにやられるのならともかく、振り上げられた白刃を見せつけられながら、この
ように「痛い」「苦しい」などと言われては、その死への覚悟も揺らぐ。
「あら、怖いの? 怖くないんでしょ? 都会派さん」
 ありすの恐怖を百も承知の美鈴は、まだ刃を振り下ろさない。
「ゆ゛……う゛、あ゛、あ゛ぁっ……!」
 耐えきれず、ありすは恐怖のあまり、底部からカスタードクリーム汁を漏らす。
 いわゆる、失禁である──。

「むきゅっ! そ、そご、までよ! あ、あ゛りずを……い、い゛ぢめ゛ない゛でぇ~!」
 愛する者のそんな様子を見かねたゆっちゅりーが、美鈴の前にありすを守るよう立ち塞
がった。
「そう。それじゃ、あなたを虐めようかしら」
 鈍いゆっくりにも目で見てわかるように、美鈴は強い殺気を放ち、青白い気の光で薄明
るく全身を輝かせた。
「む、むきゅぅっ……あ、あ゛ぁ……む、むむきゅっ……!」
 殺気にあてられたゆっちゅりーもまた、ありすと同じように底部から梅紫蘇餡汁を漏ら
した。

「あ゛、あ゛あ゛ぁぁっ! や゛べでっ! お゛あ゛ぢゅじーを、い゛ぢめ゛ない゛で!」
 ゆっちゅりーの後ろでガタガタ震えていたありすが、前に出て来た。
「あら、せっかくこの子が庇ってくれてるのに、隠れてなくていいの?」
 殺気を身にまとったまま、愉快そうに美鈴は微笑んだ。
「か、が、がぐれでい゛だっで……ど、どう゛ぜ、あ゛じずもごろ゛ずん゛でじょ? な、
な゛ら゛っ……い゛、い゛……い゛っじょじ、ごろ゛じでよ゛ぉぉぉぉぉぉっ!」
 自らが出した涙とそれ以外の液体で顔ばかりか全身を、ぐじょぐじょにした姿で、あり
すは絶叫した。
「む゛ぎゅっ! ら、らめぇぇぇぇぇ! お、お゛ねえざんっ、ばぢぇをごろ゛じで! 
あ、あ゛りずは……だ、だずげであ゛げでぇぇぇぇぇっ!」
 ゆっちゅりーもありすに負けじと叫ぶ。

「そうねぇ、そこまで言うんなら、どっちかのお願いはきいてあげようかしら?」
「え゛え゛っ! お、お゛ねがい゛ぎい゛でぐれるの゛っ!?」
 異口同音に、ありすとゆっちゅりーは喜びの声を漏らす。
「ええ、あなたたちの気持ちはよくわかったわ。その気持ちに免じて、どっちかのお願い
は聞いてあげるわ」
 にやり、と人の悪そうな笑みを美鈴は浮かべた。
「あ゛、あ゛じがどぉぉぉぉぉっ! お゛ねえざん゛っ!」
「いいのよ、お礼なんて。その代わり、私の言う事きいてね? いやならお願いもきかな
いわよ」
 ますます人の悪そうな笑みを浮かべる美鈴。
 いつも人の良さそうな顔をしている彼女には、あまりこう言う表情は似合わない。

「うんっ! きくきく! なんでもいってねっ!」
 今泣いた烏がもう笑っている。二匹は泣くのをやめ、早くも喜色を浮かべていた。
「えらいわね。それじゃ、まずはあんたたちの後ろに隠れてる子を、私の前に連れてきて」
 見えない闇が濃くわだかまる、巣の奥の方に視線を向ける。
「え? かくれてるこ?」
「むきゅ? ぱちぇたちのうしろになんか、だれもかくれてないよ」
 きょとんとした顔で二匹は言った。

「え? あいつらが隠れているんでしょ? あのゴミク……まりさの親子が」
 この期に及んでウソは言わないだろうが、確かにあの母子は巣の奥に居るはずである。
 巣の出入り口は、ここだけのはずなのだから。
「まりさたち? まりさたちは、おくにはもういないとおもうよ」
「むきゅ! あいつらは、たぶんもうにげたわよ……」
 ──居ない? 逃げた? そんな、まさか……?
「ウソじゃないわよね? どうやって逃げたって言うのよ?」
 逃げられるはずが無いのに逃げたと言う──いったい、これは……?

「ゆっ! ゆっ……みんな、ちゃんとついてくるんだぜ!」
 ゆっくり一匹がどうにか通れるぐらいの通路を、母まりさは進んでいた。
「ゆっ! ちゃんとついてくよ、おかあさん!」
「すていしにしたぱちゅりーとありすは、きっといまごろゆっくりしんでるね!」
 母の後を子まりさ二匹はしっかりと尾いて来ている。
 成体でも通れる大きさの通路は、小さい子供には充分すぎる広さがあるため、二匹は横
に並んで仲良く進む。
「ゆっゆっゆっ! できるだけゆっくりころされてるといいぜ!」
 時間稼ぎの捨て石が殺されるのに、時間がかかればかかるほど、自分たちは遠くに逃げ
られる。

「ゆっ! そうだね! でも、れみりゃじゃなくて、にんげんがあいてでよかったよね!」
「にんげんじゃこのひじょうぐちはとおれないもんね!」
 この森に住む野生のゆっくりたちにとって、最大の外敵はれみりゃなどの捕食種である。
 野犬や狼などの獣は、ゆっくりが喋る声の周波数を好まないようで、あまり襲ってくる
事がない。
 人語を解さず知能も高くない低級の妖怪たちは、れみりゃ種の外見を本能的に忌避して
いるためか、れみりゃがやけに多く生息するこの森にはほとんど近寄らない

 だから──まりさたちは、れみりゃの襲撃を最も恐れ、巣に非常口を作ったのである。
 もっとも自分たちだけではなく、れみりゃも通れるサイズの非常口は、今まで使われる
事が無かったのだが。
 ちなみに、この非常口は主にありすが作らされ、完成後「役に立たない物を作った」と
言う理由で折檻されたのだが、それは過去の話である。

「ゆっへっへっ! れみりゃがきたときはおどろいたぜ! でもあのにんげんがれみりゃ
をたおしてくれたおかげでたすかったぜ!」
「ゆっ! あのにんげんもてきだったみたいだけど、ばかなにんげんでよかったね!」
「ゆっゆっゆっ! どれいどもがやくにたってよかったよ!」
 もう完全に助かったと思いこんでいる母子は、楽しそうに語り合いながら出口を目指す。
 朽ち倒れた大木を、先端に向け掘り削らせて作らせた非常口は、とても長いが、もうす
ぐ終点である。

「ゆっ! いい? おそとへでたらべっそうにいくんだぜ! しばらくあっちでゆっくり
くらしてから、おうちにもどるんだぜ!」
「ゆっ! わかったよ、おかあさん! おやこでゆっくりくらせるね!」
「あたらしいどれいは、ゆっくりしながらみつけようね! こんどはちぇんかみょんがい
いな!」
 これからの新生活に向けての相談をする母子。
 別荘と言うのは、かつて母まりさが一匹で住んでいた巣穴である。
 れいむやありす、ゆっちゅりーたちには教えていない、餡子の繋がった親子たちだけの
秘密のゆっくりプレイスだ。
 あまり広くは無いが、親子三匹ならば充分ゆっくりできるであろう。

 ──もう、出口はすぐそこである。

「ゆっ! やっとおそとだぜ! こんなながいひじょうぐちつくるなんて、ありすはほん
とにやくたたずだったぜ!」
 その長い非常口を作らせ、完成後に「れみりゃもとおれるおおきさだからつかえない」
と言って、ありすに暴力を振るい、目の前でゆっちゅりーをレイプしたのは、この母まり
さである。

「ゆっ! ほんとだね! れいむたちもじゃまだったけど、どれいたちはやくたたずだっ
たね!」
 母れいむを罵倒し子れいむをいじめるのが日課だったのは、この子まりさである。

「ゆっ! ありすはくさくてきもちわるかったね! ぱちゅりーもうっとうしかったね!」
 母の威を借りて、常日頃からありすとゆっちゅりーに嫌がらせをしていたのが、この子
まりさである。

「ふーん……まりさたち、そんなにありすがきらいだったの……」
 外へ出て少し進むと、後ろから声がした。
「むきゅっ! うっとうしくてわるかったわね!」
 前からは、ゆっちゅりーが──美鈴に抱っこされて、やって来た。
「ゆっ! ゆゆゆゆゆゆっ!? ありす? ぱちぇりー? なんでいきてるんだぜ? ゆっ
くりしねってめいれいしたのに!」
「おっ、おかあさん! あのおろかなにんげんもいるよ!」
「ゆっ! どれいども、すていしにならずうらぎったの? おんしらず!」
 驚愕する母子は、驚きのあまり言わなければ良さそうなことを口々に言った。

「おねえさんが、ありすたちをたすけてくれたの。ゆっくりしぬのは、まりさたちよ」
 非常口の出口に陣取ったありすは、ゆっくりらしくない冷たい声で言った。
 朝から晩まで餌取りや巣の拡張工事をさせられながら、罵られ、体当たりで小突き回さ
れ、食事と言えば食べ残しや痛んだ物やゴミクズ母子の排泄餡子だった、忌まわしい日々
の記憶が、ありすにそんな声を出させたのである。

「むきゅ! かくめいのときよ! ぼうくんはうちたおされるのがきまりなんだから!」
 ゆっくりと地面の上におろされたゆっちゅりーが、力強く言い放った。
 外で遊べない雨の日は、いつも面白い話をするように強要され、何を話しても「つまん
ないぜ!」「やくたたずのむらさきもやし!」「ゆっくりしね!」と罵倒された思い出。
 何でもかんでもわからない事は聞いてくるくせに、教えると「そんなのしってるぜ! 
じょうしきだぜ! えらそうにいうなだぜ!」「まりさたちがいなかったら、のたれじぬ
くせに、いいきになるな!」などと、お礼の言葉ではなく罵声を浴びせられた日々を思い
返し、ゆっちゅりーは悲しそうに目を閉じた。

「だるいから、とっととやっちゃうわよ」
 やっと喋ったと思ったら、空気を台無しにする美鈴。
 暴君が滅びるのは、中国四千年の歴史から見たら、別に珍しくも感慨深くも無いのであ
る──と言うよりも、ゆっちゅりーを抱いて出口まで案内させながら、これまでまりさ母
子が行ってきた所行を聞かされ、テンションが下がっていた。

 客観的に見て絶体絶命の状況となった母子まりさ三匹は、
「ゆっ! おねえさん! ありすとぱちゅりーはわるいゆっくりなんだぜ! まりさたち
をずっといじめてたんだぜ!」
「おかあさんのいうとおりだよ! おねえさん! わるいゆっくりのみかたしちゃだめ!」
「ゆっ! ほんとうはまりさたちがどれいだったんだよ! こいつらはうそつきだよ!」
 ──と、なおも諦めず、自分たちこそが正しいと主張する。

「はいはい、悪いか良いかは私が決めるから、お黙んなさいよ」
 ぞんざいな調子で言うと、美鈴はまりさたちに向かって歩き出す。
「ゆっ! こ、こっちこないでだぜ! まだまりさたちのはなしはおわってないんだぜ!」
「おねえさん、こわいよ! わるいひとになっちゃだめだよ!」
「ゆっ! ありす、ぱちゅりー! まりさたちをにがしてくれたら、いいものあげるよ!」
 ずりずりと三匹は後ずさるが、美鈴の歩幅の方が明らかに大きい。
 とっとと全力で逃げ出せば、もしかしたら一匹ぐらいは逃げ延びられたかも知れないの
に、自分たちの話術に絶大な自信を持っているまりさたちは、言葉の力で危機を脱する事
が出来ると未だに思っていた。

「もう……黙んなさいっていってるのに、うるさいわね」
 手を伸ばせばすぐに捕らえられる位置まで、美鈴は進んだ。
「ゆっ! お、おねえさん! ぱちゅりーがにげだそうとしてるんだぜ!」
「え? あ、しまった……」
 ついうっかり、美鈴は振り向いた。
「いまだぜ! にげるんだぜ!」
 叫ぶと同時に、母まりさは左に向かって逃走を図る。
 ゆっくりにしては早い反応速度で、子まりさたちも母の後に続く。

「……なんてね」
 慌てず騒がず、美鈴は威力を極小に抑えた気弾を放つ。
 前に、れみりゃに向けて放った際うっかり偶数弾を出して失敗したので、今度はばら撒
き弾を射出した。
 前方から放たれたとしても、ゆっくりが弾幕をかわせる事はまず無い──ましてや、後
方から撃たれたのなら、なおさらだ。
「ゆぎっ!」
「ゆぐっ!」
「ゆげっ!」
 ほぼ同時に三匹は被弾した。
 微妙に異なる悲鳴を上げ、そのまま俯せに倒れ、まりさたちは気を失った。
「はい、それまでよ……ふふっ、本物の白黒ならともかく、ゆっくりごときじゃ私の弾幕
は避けられなくてよ」
 さっきれみりゃにグレイズされたのは、二発だけしか撃たなかったから偶然外したのだ
と、心の中で美鈴は自分に言い聞かせた。

「こいつらを運ぶから、あんたたちも尾いて来なさい」
 気を失ったまりさ母子を抱え上げ、ありすとゆっちゅりーに指示を下す。
「一応言っておくけど、もし逃げたりしたら撃つわよ……避けられると思うんなら、試し
てみる?」
「いっ、いいですっ! にげませんから、うたないでぇぇぇっ!」
「むきゅ! ぱちぇもにげないよぉぉぉっ!」
 言う事を聞けばお願いをきくと言われたので、もとから二匹に逃げ出す気はなかったが、
気まぐれに撃たれたりしたらたまらないので、必死の形相で逃げない事を誓う。
「ものわかりの良い子は好きよ。さ、いきましょ」
 二匹の移動速度を考えて、ゆっくりとした歩調で美鈴は歩き出した。

「ゆ゛ぎぃぃぃぃっ! だべぇぇぇっ! べびぶの゛な゛がび、だべう゛ぁう゛ぃでぇぇ
ぇぇぇっ!」
「ゆ゛ぎゅぅぅぅっ! お゛がぁ゛ざあ゛ぁぁぁぁん゛! どごぉぉぉぉぉっ!」
 巣穴の中からは、放置していた母子れいむの絶叫が聞こえる。
「そう言えば、とどめ刺してなかったわね……ま、いいか」
 ゆっくりは、ゆっくりするのが好きらしいから、ゆっくり放置しておけば良いと美鈴は
考えた。
 一応、今どうなってるかだけを確認するために巣穴の中を覗き込んだ。

 ──特に状態は変化していなかった。
 相変わらず母れいむは、れみりゃアームを眼窩に突き立てられたまま、のたうち回って
いる。何度か餡子汁を失禁させたようで、身体はところどころ餡子で汚れていた。
 悲鳴から察するに、母れいむの目の中に入れた子れいむが、声はすれど姿は見えずの母
を求めて、周りを囲む母の餡子を食べて除こうとしているようだ。

「うーん……中がどうなっているのか気になるわね」
 ゆっくりの表皮と中身が半透明だったら。蟻の巣観察キットのように中の具合が見られ
るのだが、残念ながら透明ではないため中の様子は想像するしかない。
「まぁ、気が向いたら、あとで斬ってみればいいか」
 今すぐに斬って楽にしてやるのが慈悲であろうが、生憎と愚鈍な饅頭にかける慈悲なん
ぞ、美鈴は持ち合わせていなかった。

「しかし、ちょっと耳障りなうるささね……そうだ!」
 母の身体に包まれている子れいむの声はともかく、母れいむの上げる悲鳴の煩さに辟易
した美鈴は、とりあえず黙らせる事にした。
「ゆ゛ぎゅっ! う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!?」
 おもむろに舌を掴まれ、母れいむは声を出せず喉の奥で呻いた。
「うるさい舌は、いらないのよ」
 掴んだ舌に爪を立て、そのまま手と指に力を込めて捻り切る。
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっっ!」
 新たな激痛に母れいむは身を震わせ、喉奥から地鳴りのような声にならない音を響かせ
る。
「これはこれで、うるさわいね……でも、さっきよりはマシかしら」
 視覚に続き今度は言語も奪われ、生き物から饅頭により近い存在になった母れいむを見
下ろしながら、あまり面白くも無さそうに言った。

 切り取った舌は、口の大きさに比例してとても大きく、人間の舌よりも牛タンをイメー
ジさせるようなサイズである。
 触感は人間の舌よりも柔らかい──人間の舌はびっしり詰まった筋肉を粘膜で覆ってい
ると言う構造だが、このゆっくりの舌は粘膜を粘膜で覆っているのかと言うぐらい柔らか
い。
 そんなので声が出せるのかどうか不思議だが、もともとゆっくりと言う生命体自体が、
不思議に溢れた幻想郷でも非常識な存在なのだから、気にしても無意味であろう。
「ぬめぬめして、大ナメクジみたいね」
 臭いは甘い。中身が餡子で甘いのと同様、舌の表面を濡らす唾液も、きっと甘いのだろ
う。

「んー……えいっ」
 手に持った母れいむの舌を、しばし見つめてから、美鈴は思いきってそれを一口かじっ
てみた。
「……うわぁ、甘い……うん、これはおいしいかも」
 中身が餡子ならば、粘膜である舌は求肥である。もちもちとした食感が、心地良い。
「……ぺっ」
 しばらく噛んで味わっていた美鈴だったが、ある事を思い出し吐き出した。
「こいつらって、虫だろうとなんだろうと何でも食べるのよね……忘れてた」
 以前に生ゴミや畜糞を食べるゆっくりを見た事もあった。
「うっぷ……気持ち悪っ……ぺっ、ぺっ!」
 さっきまで美味しいと思い、味は確かに美味しかった母れいむの舌を、まるで忌々しい
汚物のように放り捨てた。

「う゛っう゛う゛っ……う゛う゛う゛! あ゛あ゛っあ゛っあ゛っあ゛!」
 意味のある言葉を喋れなくなった母れいむは、喉の奥から餡子混じりの粘液や空気を吐
き出して唸っている。
「完全に声を奪うのは、やっぱ無理ね……音は空気の振動だし」
 ゆっくりは窒息死しない生き物なのだから、静かにさせるには、空気を振るわせられな
いよう、口いっぱいに何か詰め物をすべきだった事に、美鈴は今さら思い至った。
「ま、いいか……うるさいから奥行ってなさい」
「う゛う゛っ!」
 非常口の存在と言い、この巣の奥はかなり広いようなので、とりあえず入り口から遠ざ
けるため殴り飛ばした。


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最終更新:2008年09月14日 11:18
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