ある日の事、博麗神社にれいむの親子が訪れた。
「ゆゆ!ここは
ゆっくりできそうなところだね!ここをれいむたちのゆっくりぷれいすにするよ!」
子れいむを引き連れた親れいむが高らかに宣言する。
どうやら神社の巫女は外出中のようだ。
勝手に縁側に上がり込んだれいむの親子。
その目の前にはゆっくりれいむが座布団の上に佇んでいた。
「ゆ、れいむがいるよ!ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
挨拶をするれいむ親子。しかし反応は無い。
「ここはゆっくりできるところだね!ここをれいむたちのゆっくりプレイスにするよ!!!」
「れいむたちにごはんをもってきたられいむもゆっくりさせてあげるよ!!!」
「ゆっくりしないではやくごはんをもってきてね!!!」
子れいむが話掛けるも、ゆっくりれいむはその場から動かずゆっくりしているままである。
「れいむのことばがわからないの?ばかなの?しぬの?」
「ばかなれいむはゆっくりしんでね!」
「ゆっくりしすぎたれいむはきもいね!」
「おおぅ、きもいきもい」
それぞれが思い思いの罵詈雑言を並べ立てるも、ゆっくりれいむは構わずゆっくりしている。
「ゆっくりしかしないれいむはゆっくりしね!!!」
ついに子れいむの一匹がキレたようだ。ゆっくりれいむに体当たりを行う。
れいむのたいあたりはつよいんだぞ、等と考えながら子れいむは体当たりを繰り返す。
他の子れいむも体当たりを始め、ついには親れいむまでゆっくりれいむに体当たりを始めた。
しかし・・・ゆっくりれいむは体当たりをくらいへこんだものの、すぐに体当たりされた所が元に戻るのだ。
何回、何十回体当たりを繰り返しても、結局は元の状態に戻るのである。
「やせがまんはよくないね!!!」
「はんげきしてこないなんてほんとうにばかなれいむだね!!!」
「もうひといきでれいむをおいだせるよ!!!」
「みんながんばろうね!!!」
傷一つ負わないゆっくりれいむをまのあたりにしても、反撃してこないのをいいことに攻撃を仕掛け続ける親子。
しかしどれだけ体当たりをしても、依然としてゆっくりれいむは元の状態に戻るのである。
「どぼじでじな゛な゛い゛の゛お゛!!!」
「ばや゛ぐじね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」
「ざっ゛ざどい゛な゛ぐな゛れ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」
気付けば体当たりの反動で逆にボロボロになっていたれいむ親子。
などつゆ知らずゆっくりし続けているゆっくりれいむ。
「あら、やけに騒がしいと思ったらまた沸いたのね」
声のした方を見上げるれいむ親子。
そこには幻想郷の素敵な巫女、博麗霊夢の姿があった。
「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」
霊夢の姿をみるなり元気に挨拶するれいむ親子。
「きょうからここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!!!」
「おねーさんはゆっくりできるひと?ごはんをくれたらゆっくりさせてあげるよ!!!」
「このゆっくりしすぎただめなれいむなんかよりかわいいれいむをゆっくりさせてね!!!」
「ゆっくりできないならさっさときえてね!!!」
さっきまで泣いていた事などどこへやら。
家の主に対してふてぶてしい態度で要求をするれいむ親子。
「・・・分かって無いわねぇ」
霊夢は親子を抱えると空に舞い上がり。
「わぁー、おそらをとんでるみたい!!!」
等と喜ぶれいむ達を更に上空に放り投げ。
霊符『夢想封印』
「ゆべっ」
「ゆがっ」
「ゆぐっ」
「ゆぎっ」
色とりどりの光弾をぶつけ、中身を地面にぶちまけさせた。
「これでよし、と。はい、お待たせ」
ゆっくりれいむを膝の上に乗せる霊夢。
「ゆっくりしていってね!!!」
膝に乗せ終えると一言、ゆっくりれいむは声を上げた。
その声を聞いた博霊の巫女はとてもゆっくりできていた。
いつからか、幻想郷とそれに関わった所にある異変が起こっていた。
名の知れたものの顔を模した謎の物体(?)、ゆっくりの発生である。
本人の身近に現れたそれは、一人に一匹だけであった。
まれに「ゆっくりしていってね!!!」と喋るがそれ以外一切話さない。
別にそれがどうと言うわけではなかったので、異変とは認知されなかった。
それからどれ位経っただろうか。
姿形はそのゆっくりと大差ないが、主に博麗霊夢や霧雨魔理沙といった
中でも有名人のクラスの姿を模したゆっくりが山を中心に発生するようになった。
依然として何一つ食べず、あまり変わらない『オリジナルゆっくり』とは違い、
それらは繁殖したり群れを作ったりするようになった。
食物を口にするため、害になることもあった。
正体が未だに分からないオリジナルと違い饅頭な為に人に食べられる事もあった。
最初のうちに姿を見せたゆっくりは大体の時間を元となった者と過ごしていた。
そのゆっくり達は誰からも一目置かれるようになった。
後から大量に現れたゆっくり達はずさんに扱われた。
そう。
後から嫌と言うほど沸いたゆっくり達は永遠にゆっくりできない。
どんなに頑張っても、どんなに強くなっても、どんなに賢くなっても。
ただ「ゆっくりする」為にだけ現れた「オリジナルゆっくり」のようにゆっくりできないのである。
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あとがき
初投稿です。
初期の頃のゆっくりだからこそゆっくり出来ていたんじゃないかなと思い書きました。
オリジナルゆっくりれいむと後から沸いたれいむを区別するために前者はゆっくりれいむと表記してます。
最終更新:2008年10月17日 22:22