永遠のゆっくり17

※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。
※どくそ長いです。
※うんうん、まむまむ描写あり。
※標的は全員ゲスです。
※虐待レベルはベリーハードを目指します。


※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。


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『永遠のゆっくり』17


「さていよいよ、本格的に苦しめる下準備に入りましょっか。
春奈流のゆっくり虐待は手間かかってるよ~。
すごく時間かかるけど、協力お願いね」
「例の「処置」を施した時点で、俺の目的はほとんど達せられたようなものだ。
あとは君に任せるよ」
「はいはい。じゃ、ゆっくり虐待のレクチャーを始めましょ。
圭一さんが前にやっていた方法はね、
スタンダードなんだけど、虐め方としては中の下ってところ」
「そうか」
「ゆっくりを苦しめる方法はいろいろあるけど、
一番効果的なのはやっぱり次の二つ。
「後悔」と「絶望」。
絶望を与える下準備はもうできてるから、後悔のさせかたをお見せします」
「後悔させることが重要なのか」
「それがあるとないとじゃ雲泥の差だねー。
圭一さんのやり方だと、ゆっくりはね、相手を憎むの。
苦しめられるほどにその相手を憎み、
そして、被害者としての自分を憐れむ。
憎悪と自己憐憫、この二つがね、ストレスを発散させちゃうんだな。
プライドの高い生き物だからね、この発散がバカにならないのよ」
「一切発散させずにやるっていうのか」
「そう。そのために必要なのが、後悔。
というわけで、ひとつあたしの手並みを見てってちょーだい」


「ゆっくりしていってね!!」

目覚めた直後、親れいむはすぐに挨拶をした。

「ゆっくりしていってね!!」「ゆっくりしていってね!!」

周囲のゆっくり達から、反応はすぐに帰ってくる。
傍にいるのは、自分を入れて総勢十三匹の家族。
まりさ種もありす種も揃っており、プラチナバッジを見るまでもなく頭の飾りですぐに判別できる。

今後、長浜圭一に飼われていた十三匹のゆっくりについては、
親れいむ、子れいむというように、「親」と「子」をつけて特に表記する。

そのほかにも、大勢のゆっくり達がいた。
れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、ちぇん、どの個体も見知った顔だ。
人間ををペットにしたあの森で知り合った群れだ。
ドスまりさは見当たらなかった。

「ゆっくりしていってね!!」

そう言ってぽんぽん跳ねてきたのは、ゴールドバッジをつけたあのれいむだった。

「ゆゆっ、れいむのおはなし、とってもゆっくりしてたよ!!
れいむのおねえさんははんせいしてないてたよ!!」
「ゆゆゆ!あたりまえのことをいっただけだよ!!ゆふぅ~♪」

つい顎を反らしていい気分になる。

すでに話は広まっているらしく、群れのゆっくり達もれいむに駆け寄って賞賛しはじめた。

「れいむったらとってもとかいはなのね!!ほ、ほめてあげてもいいのよ!?」
「わかるよー、ゆっくりはせかいいちゆっくりできるんだねー」
「もうをひらかれたわ!ゆっくりのかくめいよ、むきゅ!」

家族たちや金バッジが、自分が人間に向かってしてあげた説教の内容を群れに伝えたらしい。
「とってもゆっくりできるおはなし」として、群れの皆が感動していた。
親れいむはいまや革命家、ヒーローとなり、一目置かれ尊敬されている。

周囲で飛び跳ね、自分を称賛するゆっくりに囲まれ、
親れいむはいよいよ顎を反らし、ブリッジせんばかりにひん曲った。

「ゆっふぅぅぅ~~~~~ん♪
にんげんさんはばかだから、
あんなかんたんなこともおしえてあげなきゃいけなくてゆっくりできないよ!
ゆふんっ♪ゆふんっ♪」


仲間同士でひとしきり盛り上がったあと、親れいむはふと我に返って聞いた。

「ゆっ、ここはどこ?」

そこは見渡す限りの荒野だった。
荒野というよりも岩場。地平線まで無限に続くその荒れた地面には、
ぺんぺん草一本生えておらず、水の気配もない。

しかし、ゆっくりは大勢いた。
自分たちの群れと離れたところに、
ちょうど自分たちと同じ規模の群れが固まっているのが見えた。
他のあらゆる方向にも、ほぼ同じぐらいの間隔を開けて、同規模の群れがいる。

なかば群れのリーダー的な気分になっていた親れいむは、
声をはりあげて、前方にいる群れに向かって挨拶をした。

「ゆっくりしていってね!!」

同時に、向こう側の群れも挨拶をしてきた。
挨拶に挨拶を返すのではなく、まったく同じタイミングで挨拶をしたのだ。

「ゆゆっ!!ゆっくりできるね!!ゆっくりしていってね!!」

そう言い、ゆっくり達が互いに近づいていく。
しばらくの間群れは跳ねながら相手の側に近付いていった。
見ると、自分たちの左右方向にいる群れも、
自分たちと同じように、前方に向かって進んでいるようだった。

突然、先頭のゆっくりが向こう側の先頭のゆっくりに激突した。

「ゆびゃっ!!なんでよけないのおぉぉ!?」

あちこちで激突が繰り返され、互いに罵り合うゆっくり達。

「ゆゆっ!!これはかがみさんだよ!!ゆっくりやめてね!!」

金バッジのれいむが叫んだ。

「ゆっ?なにそれ?ゆっくりおしえてね!」
「かがみさんはきれいなかべさんなんだよ!
それで、れいむたちのすがたがみられるんだよ!!
ここにうつっているのはれいむたちなんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!」

そんな事が、と疑いながらも、
鏡の前で動いているうちに、目の前にいるのが自分の鏡像だということを理解するゆっくり達。

「ゆゆっ!かがみさんはおもしろいよ!!」
「ゆっくりできるね!!」

始めて見る鏡にはしゃぎ、跳ねまわってゆっくり達。

たっぷり一時間は騒いでいたが、
そのうちに、一同は空腹を感じ始めた。

「ゆっくりごはんさんをさがすよ!!」

群れは再び鏡にそって移動しはじめた。
しかし、どこまで行っても岩場と硬い土だらけで、雑草さえも見当たらない。

長い探索を経て、
一見どこまでも広がる荒野に見えたこの土地は、
四方が鏡張りの壁に囲まれた、密閉された空間であることがわかった。
初めは沢山いると見えた群れもどうやらすべては鏡像で、
実際には群れひとつ、自分たちしかここにいないようだった。

当然、どちらを向いても餌になるようなものは一切見受けられない。

「ゆぅ~……ゆっくりできないよ……」
「おなかすいたよ!!かわいいれいむをゆっくりさせてね!!」
「まりさはかりがとくいなんでしょおぉぉ!?はやくごはんさんをあつめてねぇぇ!!」

口々に不平をこぼしはじめるゆっくり達。
空腹はつのるばかりだった。


何時間かが過ぎ、ゆっくり達の不平が頂点に達したころ、状況に変化が現れた。

鏡張りの壁のある一面が、突然ぱっと向こう側の風景を映し出した。
それまでこちらの姿を映しているだけだった壁が、いきなり隣の空間を映し出し、
ゆっくり達の視線は自然とそちらに集まった。

そこは天国だった。

こちら側よりもずっと広く、天井が高い。
そこは階段やしきりがあちこちに配備された多層的な空間になっており、
数多くのゆっくり達がそこかしこにひしめいている。

ふかふかしたクッションの載ったソファや天蓋つきのベッドの上でゆっくり達が心地よさげに眠っている。
ブランコや簡易メリーゴーラウンドやトランポリン、
マットの上で飛び跳ねることでゆっくりでも操作可能な単純なビデオゲームなど、
飼いゆっくりでさえ想像したこともないほど豪華で楽しそうな遊具で、ゆっくり達が遊びに興じている。

床にはとても食べ切れないほどの果物やお菓子が盛られた大皿があり、
小腹がすいたゆっくりが、気の向くままに近づいてはかじりついていった。
ソフトクリームやオレンジジュースのサーバーがあり、
使い慣れたゆっくりは器用にハンドルを操作してコップに注いでいる。

壁の透過に伴い、向こう側の音も伝わってきていた。
家族ですーりすーりしてリラックスしているゆっくり達。
遊具で飛び跳ね、歓声をあげる子ゆっくり達。
室内には、なんだか複雑でよくわからないが、非常にゆっくりできる音楽が流されていた。

そして、そこにいるゆっくり達は、どれもが極上の美ゆっくりだった。
手入れの行き届いたさらさらの髪ともっちりした肌、きらきらした瞳に色鮮やかな髪飾り。
かつて群れの中ではあこがれの的だったゴールドバッジのれいむでさえ、
このゆっくり達を前にすると、急にみすぼらしく思えてきた。

「ゆゆゆうううぅぅ~~~~~………!!!」

群れの全員が、きらきらと目を輝かせて涎をたらす。
これ以上ないゆっくりプレイスの現出。
自分たちもその恩恵に浴することができると全員が確信している。

「ゆっくりしていってね!!!」

群れの全員がガラス壁に駆け寄り、飛び跳ねて挨拶をした。
それは向こう側に伝わったらしく、向こう側のゆっくり達がこちらに視線を向けてくる。
群れのゆっくりはますます声を張り上げて要求した。

「れいむたちもいれてね!!れいむたちはそこでゆっくりするよ!!」

しかし、答えは返ってこなかった。
返答するどころか、不快そうに眉をひそめるもの、
せせら笑うもの、こちらを無視して何事かひそひそ話しているもの、
どれもこれもとても友好的とは言えない反応だった。

苛立ちながら親れいむ達は要求を重ねる。

「ゆゆっ!!きいてるの!?かわいいれいむたちがおなかをすかせてるんだよ!!
きこえないの!?ばかなの!?しぬの!?ゆっくりいれてね!!」

叫びながらガラスに体当たりをしはじめたゆっくり達を見ながら、
向こう側のゆっくり達はひとしきり相談したあと、こちらに向かってきた。

「ゆゆゆっ!!れいむたちをいれるきになったんだね!!
そこはれいむのゆっくりぷれいすにしてあげるからね!!ゆっくりしていってね!!」

向こう側のゆっくりは、荒野とゆっくりプレイスを隔てるガラス壁の隅まで行き、
そこの扉を開いた。
隅のそこだけは扉になっており、開くようになっていた。

「ゆゆうぅぅ!!」

矢も盾もたまらず、扉に殺到してゆく群れ。
しかし、小さな扉の前に立ちはだかり、そのゆっくり達は言い放った。

「ゆっくりできるね!!」
「ゆゆっ!?」

珍妙な声を受け、群れは戸惑った。
今のは何だろうか。
ひとまず、普段どおりに反応してみる。

「ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりできるね!!」

向こう側のゆっくりは、先ほどと同じ挨拶を繰り返した。

「ゆゆっ!?そのあいさつはへんだよ!!ゆっくりできないよ!!」
「そっちのほうがゆっくりできないよ!ゆっくりりかいしてね!!」

理解し難いことを言ってきた。
なんだこいつらは?

扉から出てきた向こう側のゆっくり達は、
おおよそ総勢十匹程度だった。
種族は、れいむ、まりさ、ありす種の基本三種に加え、希少種もちらほら見受けられる。

図抜けて美しいということを除けば、一見ごく普通の外見だったが、
よく見ると、全員がリボンに特殊な飾りをつけていた。
白く光る銀製のその飾りは、アルファベットのYの形をしている。

「よくわからないけど、さっさとれいむたちをいれてね!!」
「だめだよ!!
ここにはいっていいのはにんげんさんと、ゆっくりできるゆっくりだけなんだよ!!」

Yの飾りのまりさがはっきり言い放った。

「ゆゆっ!?うそはゆっくりできないよ!!
にんげんさんなんかいないよ!!」
「いまはいないけど、ときどききてくれてゆっくりさせてくれるんだよ!!」
「ゆっ!!どれいにしてるんだね!!」

そう言った瞬間、Y飾りのゆっくり達が大声で怒鳴った。

「どれいじゃないでしょおおおおおお!!!くちをつつしんでねえええぇぇ!!!」
「ごみくずがにんげんさんにそんなくちをきいていいとおもってるのおおおおぉぉ!!?」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!にんげんさんごめんなさいいい!!」

異常なほどの怒りをあらわにして食ってかかってくる。
この場にいもしない人間に向かって詫びはじめるやつまでいた。

「ゆゆゆっ!?にんげんさんなんかにあやま」
「ゆっくりだまってね!!!」

Y飾りのれいむが叫ぶ。
群れのゆっくり達は、その迫力に思わず身をすくませてしまった。

「れいむたちはゆっくりできないね!!ここにはむかえいれられないよ!!」
「どぼじでぞんなごどいうのおおおぉぉぉ!!?
れいむたちはとってもとってもゆっくりできるんだよおおぉぉぉ!!!」
「どこがゆっくりできるの?」
「みてわからないのおおぉぉぉ!?ばかなのおおぉぉ!?」
「それじゃあ、これからてすとをするよ!!」

Y飾りのまりさが鋭く叫んだ。
同時に、固まっていた十数匹のY飾りのゆっくり達が散らばって移動し、
品定めするように群れの先頭にいた親れいむを取り囲んだ。

「ゆゆっ?てすと?」
「れいむたちがほんとうにゆっくりできるゆっくりかどうかてすとをするよ。
れいむたちがみんなをゆっくりさせられたら、ゆっくりぷれいすにいれてあげるよ!」
「ゆゆっ!!かんたんだよぉ!!」
「それじゃあ、みんなをゆっくりさせてね!!
ゆっくりはじめてね!!」
「ゆゆゆっ!!」

テストが始まり、親れいむは気合いを入れた。

「がんばってね!!がんばってね!!」
「ゆっくりぷれいす!!ゆっくりぷれいす!!」

群れの仲間たちが応援している。
全力でこいつらをゆっくりさせてやる。れいむは意思を固め、行動に移った。

「ゆっくりしていってね!!!」

全身にゆっくりパワーを漲らせた、渾身の挨拶だった。
顔に浮かべた笑みも、飛び跳ねる高さも、これまででの自己ベストを叩きだしたという自信があった。
親れいむは勝利を確信した。

しかし、帰ってきたのは冷たい沈黙だった。
Y飾りのゆっくり達は、誰もが冷やかな無表情で親れいむを眺めている。

「ゆゆゆっ!?」

取り囲むY飾り達を前にきょろきょろして狼狽する親れいむ。
どうしたのだ。
もしかしてよく見ていなかったのだろうか。そうだ、そうに違いない。せっかくの渾身の挨拶を。
腹が立ったが、それより空腹のほうがせっぱつまっていたので、
さっさと終わらせるべく親れいむは再度挑戦した。

「ゆっくりしていってね!!!」

それでも、帰ってきたのは失笑だけだった。
そればかりか、Y飾りのまりさが言い放ってきた。

「はやくゆっくりさせてね!てすとはもうはじまってるよ!!」
「ゆゆゆっ!?なんでゆっくりしないのおぉぉ!!?」
「ゆっ?もしかして、いまのがゆっくりさせてたの?!」

不思議そうに聞き返され、親れいむは屈辱に赤面した。
今まで、あの挨拶をされたゆっくりは皆が笑顔で挨拶を返してくれた。
れいむの可愛い挨拶を見れば、誰もがゆっくりするはずなのだ。
その確信が、今揺らぎはじめていた。

「れいむはゆっくりできないね!しっかくだよ!!」
「ゆゆゆぅぅぅ!!?まってね!!まってね!!
かわいいれいむのゆっくりしたあいさつだよ!!こんどはほんきだよ!!」

三度目の、渾身の「ゆっくりしていってね!!!!」。
こんなにゆっくりできる挨拶は、本来、心を許した親友や家族にしか見せない。
しかし、返ってきたのは侮蔑と嘲笑だった。

「れいむ。ぜんっぜんかわいくないよ」
「じぶんのことをかわいいとおもってるんだねー、わかるよー」
「いたいたしいね……」
「みてるほうがつらいから、もうやらないでね。ごめんね」

親れいむは顔中を真赤にして涙を浮かべていた。

「ゆ………ゆ………」

恥辱と悔しさに歯軋りし、とめどなく涙があふれ出す。
生涯最高の屈辱だった。


「泣いてる、泣いてる。効くねえ」
「こんな顔は初めて見るな。子供を殺してみせた時でさえ、こんな表情は見られなかった」
「この前確認したとおり、ゆっくりにとっては可愛さが最高の価値観であり存在意義なの。
ゆっくりが可愛いからこそ他の生き物はゆっくりしている、だからゆっくりが一番偉いと信じてるぐらいだから、
可愛くない、ゆっくりできない、と言われるのがゆっくりには何よりの苦痛なんだね」
「同じゆっくりに言わせる、というのがやっぱり重要なんだな。
人間が言ってやったところで一蹴されるだろうし」
「しかも、言ってるのは極上の美ゆっくり達だもんね。
そんな相手に言われちゃ反論もできない。
自分の存在価値を全否定されるというのは、人間だったら自我が崩壊するくらいの苦しみだろうねー」


その他にも、自信家のゆっくり達が何匹か挑戦したが、
どのゆっくりの挨拶も侮蔑と冷笑で応えられ、屈辱に歯噛みすることになった。
ついにはY飾りのまりさが宣告した。

「あいさつはもういいよ!!
それしかできないならゆっくりできないね!ゆっくりぷれいすにはいれられないよ!!」
「ゆゆううううぅぅぅぅ!!?」

群れに背を向け、ゆっくりプレイスに戻っていこうとするY飾り達。
親れいむが必死になって呼び止めた。

「ゆ、ゆっくりまってねぇ!!
まだあるよ!!れいむはとってもゆっくりできるんだよ!!」
「あいさつならもういいよ!」

大義そうに振り返るY飾り達に、親れいむは跳び上がって言い放った。

「れいむはゆっくりできるおうたがうたえるよ!!」
「ゆゆっ!?」

Y飾りの目の色が変わる。

「おうたがうたえるゆっくりはとかいはよ!!むしできないわね!!」
「それをはやくいってね!!まりさたちもおうたがだいすきなんだよ!!」
「ゆゆっ、どんなおうたかたのしみね!!」
「おうたはゆっくりできるよ!!てすとをさいかいするよ!!」

いそいそと親れいむを取り囲み直すY飾り達。
余程歌が好きらしく、期待に目を輝かせている。

その反応を見て、得たりとばかりに親れいむは顎を反らした。

「ゆっふっふ!!れいむのびせいによいしれていってね!!」

早くも勝ち誇り、親れいむは歌いはじめた。

「ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪ゆ~ゆ~ゆゆゆ~♪ゆゆゆ~ゆっくり~♪」

群れのゆっくり達が、親れいむの歌に合わせて体を揺らしてリズムをとっている。
いつもながらの自らの美声に陶然となり、親れいむはますます声をはりあげた。

「ゆっくり~のひ~♪すっきり~のひ~♪まったり~のひ~♪」

目を閉じながら自らの音韻に心身をゆだねて歌い続ける。

「ゆっゆゆ~ゆゆ♪ゆっゆっゆ~♪ゆっくり~ゆっくり~♪」

喉の調子は最高だ。
これならこのY飾り達もゆっくりせざるをえまい。
山場にさしかかり、親れいむは片目を薄く開けて観客の反応を確かめた。

これ以上ないほどローテンションの無表情がれいむを取り囲んでいた。

「ゆ、ゆゆゆっ?」

思わず歌を中断してしまった。
うっとり聞き惚れているはずのゆっくり達が、全くゆっくりしていない。
親れいむの心に、再び不安の影が差し始める。

親れいむが歌いやめたのを見て、先頭のY飾りまりさが面倒臭そうに言った。

「れいむ。それはなに?」
「ゆゆっ!?おうたでしょおぉ!?」
「…………ゆっくりわかったよ……」

Y飾りまりさは深いため息をひとつつくと、仲間たちとひそひそ話し始めた。
どのY飾りもゆっくりしていない、不快そうな顔で喋っている。
親れいむは、冷や汗が自らの全身をつたうのを感じた。

やがてYまりさが向きなおって言った。

「れいむ。れいむはおうたをしらないんだね?」
「ゆゆゆっ!?なにいってるのおぉ!?れいむはおうたがとくいなんだよおぉ!?」
「まりさ。もういいわ、ほっときましょう」
「いなかものにきたいしたありすがばかだったわ」

Y飾り達の会話に、れいむは再び赤面する。
Yまりさが言い渡した。

「おうたはこうやるんだよ。みんな、じゅんびしてね!」

たちまち、Y飾りのゆっくり達が散開して扇型に並び直した。
居並ぶY飾り達の前方にYまりさが向かい合って立つ。
おさげには妙な棒を握っていた。

Yまりさが棒をひと振りすると、Y飾り達がいっせいに歌い始めた。

群れのゆっくり達を衝撃が襲う。

それは音の乱舞だった。
Y飾り達が声をあげ、転がし、跳ね、躍らせる。
まりさの振るタクトに合わせ、あちらのゆっくりが歌えばこちらのゆっくりが休む。
何重にも重なる音階とリズムが繰り広げるメロディーの洪水。
それらの音韻はゆっくり達をおののかせた。

歌い終え、Yまりさが振り返って言った。

「これがおうただよ。「じーせんじょうのありあ」っていうんだよ」

よくわからない。
ゆっくりできた、というわけでもないが、
その歌を前にした親れいむは、
自分のがなり立てていた雑音がたまらなく恥ずかしくなっていた。
自分が歌だと思っていたのは何だったのだろう。

「もういちどきくよ。れいむはなにがうたえるの?」
「ゆ……ゆ……れいむ…れいむは………」

親れいむはまた涙目で赤面し、へどもどと口を濁すしかなかった。


見切りをつけ、Y飾り達が再び戻ろうとする。
しかしまた、それを呼び止める者がいた。

親まりさだった。

「ゆっへっへ!まりささまがほんきをだすときがきたようなんだぜぇ!!」
「……まりさはゆっくりできるの?」
「ぐもんなんだぜ!!まりさいじょうにゆっくりできるゆっくりはいないんだぜ!!」
「どうゆっくりできるのかいってね!」
「まりささまはとってもつよいんだぜ!!つよいまりささまがおまえたちをまもってやるのぜ!!
まりささまがまもってやってるからこのむれはゆっくりできるんだぜえ!!」

群れのほうから不平の声がいくつかあがったが、親まりさはまるで聞いていない。
Y飾りのまりさが答えた。

「ゆっ、じゃあまりさのつよさをてすとするよ!
まりさたちのだれかとたたかってかったら、ゆっくりできるとみとめてあげるよ!!」
「ゆっへっへっへ!!さっさとするんだぜええ!!」

Y飾り達が顔を突き合わせて相談していると、一際高い声が上がった。

「むきゅ!!ぱちゅりーがいきゅわ!!」
「はああぁぁぁ~~?」

親まりさが唇をゆがめていると、そのぱちゅりーが前に進み出てきた。
Y飾りをつけたそのぱちゅりーは、年端もいかない子ゆっくりだった。

ゆっくりの中でも特別脆弱なぱちゅりー種の、それも子供。
意外な挑戦者の登場に、群れが騒ぎ出す。

「ゆゆっ!!あぶないよ!!やめてね!!」
「ゆっくりごろしはみたくないよー、わかってねー」

Y飾りの側も騒いでいた。

「ぱちゅりー!ゆっくりかんがえなおしてね!!あぶないよ!!」
「ぱちゅりーはまだこどもでしょおぉ!?おかあさんにまかせておきなさい、むきゅ!!」
「しんぴゃいいらにゃいわよ!!ぱちゅりーはもうおとにゃなのよ!!」
「ゆっへっへっへっへ!!とりけしはきかないんだぜええ!!
いちどやるといったからにはさいごまでやるのがゆっくりできるのぜええ!!」

親まりさは得たりとばかりにY子ぱちゅりーににじり寄った。
なんだか知らないが、勝てばテストに合格できるのだ。

「ちゃんすをみのがすほどまりさはばかじゃないんだぜえ!!ゆっへっへっへえ!!」
「ゆ、しかたないよ………」

Yまりさがあきらめたようにうなだれた。

「それじゃあ、ゆっくりはじめ………」
「ゆっくりしね!!!」

開始が宣せられる前に、親まりさはつっかけていた。
大きく跳び、Yまりさのほうを向いていたY子ぱちゅりーにのしかかる。

Y子ぱちゅりーは親まりさの下敷きになって見えなくなってしまった。

「やったのぜ!!かったのぜ!!しとめたのぜぇ!!
げらげらげらげら!!やるっていったのはそっちなんだぜぇぇ!!!」
「………ゆっくりはじめてね」

Yまりさが、改めてテストの開始を宣告した。

「ゆっ?もうおわっt」
「むっきゅ!!」

親まりさは、ひねりを加えて高々と投げ飛ばされた。
きりもみながら頭から地面に激突し、
状況が理解できないまま激痛に身もだえる。

「ゆがあああぁぁ!!いたいのぜえええぇぇ!!」
「むっきゅうぅん!!」

横っ面に体当たりを受け、親まりさは再び大きくバウンドして転がった。

欠けた歯を吐き出し、泣き叫ぶ一方で、親まりさの視界は向かってくる相手を捉えていた。
まごうかたなき、それはY子ぱちゅりー。

「なんなのぜええええぇぇ!!?」
「むっきゅりしにぇ!!」

猛烈な頭突きを顔面の中心に受け、親まりさはさらに吹っ飛んだ。

Y子ぱちゅりーは縦横無尽に飛び回り、その後も親まりさを蹂躙しつづけた。
親まりさはほぼ無抵抗で、泣き叫びながら逃げ惑うばかりだった。
群れは呆然とそれを眺め、Y飾りのほうは焦って騒いでいる。

「やっぱりぃ!!こどもだからてかげんができてないよ!!」
「むきゅ!!ぱちゅりー、もうやめなさい!!しんじゃうでしょおぉ!?」
「こにょまりちゃはひきょうなてをつかっちゃわ!!
にゃにをされちぇももんきゅはいえにゃいわよ!!むきゅ!!」
「いいかげんにしてね!!にんげんさんにおこられるよ!!」
「むきゅっ!!」

Yまりさに叱りつけられ、Y子ぱちゅりーはしおらしくなって仲間の元に帰った。

「むきゅう、ごめんなしゃい……」
「わかればいいんだよ!よくやったね!!」

群れは言葉もなく立ち尽くしているばかりだった。
親まりさのほうは、また何本も歯を折られ、傷だらけでゆっゆっ呻いていた。


「とかいはなありすがゆっくりさせてあげるわ!!」

次に進み出たのは親ありすだった。

「……ありすはどうやってゆっくりさせるつもり?」
「ゆふんっ!!」

親ありすは顎を反らした。
その顎の中心ではぺにぺにが屹立している。

「ありすのとかいはなてくにっくですっきりさせてあげるわ!!
ありすのあいをうけたゆっくりはとってもゆっくりできるのよ!!」
「…………」

Y飾り達が軽蔑の視線で親ありすを眺めているが、親ありすは頓着する様子はない。

「ゆふふ、みんなつんでれさんねええ!!
はずかしがらなくていいのよ?!えんりょなくとびこんでいらっしゃああい!!」
「……ちょっとだまっててね」

Y飾り達が再び相談し、結果、また一匹が選び出されて進み出た。

「まりしゃをしゅっきりさせちぇね!!」

進み出てきたY飾りのまりさは、またも子ゆっくりだった。
早くもぺにぺにから先走り汁を垂らし、親ありすは猛り狂った。

「ゆっほほほほおおおおおおお!!」
「それじゃあてすとをはじ」
「こどもまむまむこどもまむまむこどもまむまむうううううぅぅぅぅ!!!!」

はやくも理性を飛ばし、先ほどの親まりさと同じく開始宣告前につっかける親ありす。
激突するようにY子まりさに密着し、素早くへこへこと顎を振り始める。
Y飾り達はこれ以上ないほどの蔑みの視線で眺めていた。
群れの仲間たちの中にも目をそらす者は多かった。

「んほっほっほっほほほほおおおおお!!!
まりさかわいいよまりさああああああ!!!
まりさのおはだすべすべでとってもとかいはよおぉぉぉ!!!」

涎と体液をまき散らしながらピストン運動を速める。
手入れの行き届いたY子まりさの肌は親ありすの快感を著しく高め、
早くも絶頂が訪れようとしていた。

「いぐ!いぐいぐいぐいぐいぐぅぅぅ!!
あでぃずのどがいばなあいをうげどっでねえええぇぇぇ!!!
す!!すすすすすすっきりいいいぃぃーーーーーーーーーーー!!!」

絶叫しながらびくんびくんと痙攣する親ありす。

絶頂を迎えてようやく余裕ができた親ありすは、Y子まりさを見下ろしながら声をかけた。

「ゆふう、ゆふう……まだまだあいしあいましょうねえ……?」
「………………」

親ありすはぎょっとした。
Y子まりさは妊娠もせず、冷めた目でありすを見上げているだけだった。

「ゆゆゆっ!?まりさったらつんでれさんねえええ!!
すなおにかんじてもいいのよおおおおぉ!!」
「……にゃにしてるにょ?」
「ゆっ!?」

親ありすの目元に狼狽が浮かぶ。

「と、とかいはなあいにきまってるじゃない!!いわせるなんてやぼないなかものね!!」
「まりしゃ、しゅっきりちてにゃいよ。
しゅっきりならはやきゅちてにぇ」
「も、も、も、もちろんよおおぉぉぉ!!
こんどはほんきであいしてあげるわあああぁ!!!」

言うが早いか、屹立したぺにぺにをY子まりさのまむまむにつき立てて顎をふり始める。
再び涎をまき散らし、親ありすは極楽浄土の快楽に身をゆだねた。

Y子まりさの胎内に精子カスタードを放出し、親ありすは愛の成就を確信した。

「ゆふう………ありすのあかちゃん、だいじにそだててね!!」
「あかちゃんってにゃに?」

Y子まりさはやはり冷めた目で眺めていた。

「ゆゆゆっ!?」

ゆっくりの交尾は、互いがすっきりすることでにんっしんっする。
仮に意にそまない強姦であっても、性欲が高く感じやすいゆっくり種はたやすくオーガズムに達し、
ほぼ100%の確率でにんっしんっに至る。

しかし、Y子まりさはにんっしんっしていなかった。
すっきりしていないのだ。
それどころか、親ありすの粘液にまみれながら、自身は粘液の一滴もしたたらせていない。

「よだれをまきちらしてるよ。みっともないね……」
「あんなけだものがとかいはをなのってるの?いなかはそうぞうをぜっするわね」
「ひとりよがりなおなにーなんだねー、わかるよー」
「せんずりー!!」

Y飾り達が蔑んでいる。
親ありすはうろたえたが、すぐに気を取り直した。

「ゆふふ!!まりさはちょっとつんぞくせいがつよすぎるわね!!
ありすのてくにっくではやくでれなさああああい!!」

まむまむに舌を這わせ、体をからみつかせ、
かつて人間に教わったあらゆるテクニックを駆使して親ありすはY子まりさを責める。

しかし、どれだけやってもY子まりさには快感のきざしさえ見受けられなかった。
親ありすばかりがすっきりし、無為に精子カスタードを吐き散らすばかりだった。

「ゆふう……ゆふう……なんでえええ………
ぜつりんすぎるわああああ………」
「もういいよ!!きもちわりゅいだけだっちゃよ!!」

Y子まりさは苛立って叫んだ。

「ありしゅはじぇんじぇんへたくちょだにぇ!!
しゅっきりはこうやりゅんだよ!!」

Y子まりさは舌を伸ばし、親ありすの体に這わせた。
「ゆふんっ」とよがり出す親ありすの体を慎重に丹念に調べていき、
親ありすの反応が強くなる部分を確かめると、
その性感帯を、バイブレーターのように舌を動かして攻めはじめた。

「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆほほほほほほほほほおおおおおお!!!」

たちどころに親ありすはすっきりさせられた。
それでも休むことなく、Y子まりさの舌は別の性感帯を探り当て、再び振動を始める。

「ゆっほほほほほおおおお!!!ずっぎりいいいいいぼうやめでええええええ!!!」

子ゆっくりに、しかも舌だけですっきりさせられるという屈辱に顔を歪めながら、
衆目の注視のもと、親ありすはのたうちまわりながら何十回もすっきりさせられた。

自らの精子カスタードの海の中でぐったりしている親ありすに向かって、
Y子まりさは言い放った。

「こりぇはいちびゃんきほんてきにゃてくにっきゅだよ!
こんにゃのでこんにゃにしゅっきりしゅるゆっきゅりははぢめちぇだよ!!」

Y飾り達がせせら笑った。
恥辱に歯噛みする親ありす。

「ありしゅのきゃお、しゅっごくばきゃみたいだっちゃよ。
ちょきゃいはにゃあいをうけちょっちぇにぇええええ~~!!」

親ありすの顔真似をして、
子まりさは歯をむき出し舌をへろへろさせてみせる。
Y飾り達ばかりか、群れのゆっくりまでが笑いだした。

「ありしゅはちょっちぇもちょかいはだにぇ!!
こんにゃにわらわしぇちぇくれちゃもんにぇ!!
でみょ、でおちだきゃらもうにどとやらにゃくちぇいいきゃらにぇ!!」

笑いながら、子まりさは群れの元に帰っていった。
親ありすは地面に突っ伏して泣きじゃくっていた。


「ぱちゅりーはもりのけんじゃなのよ!」

最後に叫んだのは、群れの参謀役を務めていたぱちゅりーだった。

「……ぱちゅりーはなにができるの?」
「ぱちゅりーのちしきはぼうだいなのよ。
このほうふなちしきで、ぱちゅりーはむれをゆっくりさせてきたわ。
あなたたちもゆっくりさせてあげられるわよ!」
「はいはいゆっくりゆっくり……」

いい加減うんざりしているらしいY飾り達だったが、
それでもまた相談を始めた。

群れの中から選ばれて進み出たのは、またも子ゆっくり。

「じゃおおおおおん!!」

めーりん種だった。

「むきゅぅぅ!?」
「このこよりちしきがあったら、ゆっくりできるとみとめてあげるよ!!」
「むきゅう!ばかにしないでよ!」

ぱちゅりーは怒った。

子ゆっくりの、それもめーりん。
めーりん種は希少種の一角だが、
「じゃおーん」という鳴き声しか発せられないために、
ゆっくりの中では蔑まれ、苛められている。
そんなめーりんと知恵比べをさせられるという状況が、
ぱちゅりーのプライドを傷つけていた。

「こんなばかがぱちゅりーのあいてになるわけないでしょ!?
しょうぶするならほかのにしなさいよ!」
「はいはい、はじめるよ。
まりさがしつもんをするからゆっくりこたえてね!!」

そう言い、Yまりさが二匹の前に立った。

「それじゃだいいちもんだよ!!
「みろのびーなす」のみろは、なにからつけられたなまえ?」
「むきゅ?」

ぱちゅりーは首をかしげた。みろのびー、何?
何を言ってるのかよくわからない。
隣では、Y子めーりんが鉛筆を咥えてスケッチブックに何か書きつけていた。

書きつけたスケッチブックを差し上げ、Y子めーりんが高らかに叫ぶ。

「じゃおおおん!!」

スケッチブックには、「発見された島の名前」と書いてあった。

「ゆっ!めーりん、せいかいだよ!!」
「じゃおおおぉん!!」
「ま、ま、まちなさいよ!」

ぱちゅりーは叫んだ。

「も、もんだいのいみがわからないわ!ひきょうよ!」
「なにがひきょうなの?」
「いみがわからないって……まさか、みろのびーなすをしらないの?!」

心底驚いたという風で聞き返してくるY飾り達。
ぱちゅりーは言葉につまり、必死に取り繕った。

「ちょ、ちょっとめんくらっただけよ!
こどもあいてだからようすをみたのよ!」
「そうだよね!!つぎはほんきをみせてね!!
だいにもんだよ!!
せかいいちめんせきのひろいさばくは?」

さばく?
その意味をなんとか推測しようとしているうちに、
Y子めーりんがまたもスケッチブックを差し上げて叫んだ。

「じゃおおおん!!」
「さはらさばく!めーりん、せいかいだよ!!」
「むっきゅうううぅぅ!!?」


その後、何回にもわたってぱちゅりーの自信は粉々にされていった。

「せかいしぜんいさんにはじめてにんていされたのはどこ?」
「がらぱごすしょとう!めーりん、せいかいだよ!!」

「えんしゅうりつの、しょうすうてんだいじゅういのすうじは?」
「ご!めーりん、せいかいだよ!!」

「せかいでいいちばんながいきょくはなに?そのえんそうじかんは?」
「えりっく・さてぃの「う゛ぇくさしおん」、じゅうはちじかん!めーりん、せいかいだよ!!」


「ぱちゅりー、さっきからぜんぜんこたえてないよ!!どうしたの!?」
「む、む、むきゅうぅ……!」
「もしかしてひとつもわからないの!?」

ぱちゅりーは涙目になり、ぎりぎりと歯を食いしばるしかなかった。

「………ゆっくりわかったよ。もういいよ。
めーりん、もどってきてね。よくやったね!」
「じゃおーん」

テンションの低い鳴き声を上げ、
いかにも無駄な時間を過ごしたというようにY子めーりんは仲間の元に跳ねていった。


「ほかにゆっくりできることはないの?」

Yまりさが群れを見渡したが、もはや答えるものはいなかった。
何をしようとせせら笑われるだけだとわかった今、
挑戦しようという気概はすでに消え去っていた。

「ゆ、ぜんぜんだめだったね。
かわいくないし、おうたもしらないし、よわいし、すっきりもへただし、あたまもわるいよ。
そんなんでだれをゆっくりさせるつもりなの?
そんなゆっくりできないいきものはなかにいれられないよ!!」

群れのいずれもが、プライドを完全に破壊されて泣きじゃくっていた。

その後、群れは泣き喚いて懇願したが、
Y飾り達に体当たりを受けて転がされ、拒絶された。
扉は閉まり、ほどなくしてガラスの壁は元の鏡に戻ってしまった

その晩、群れは岩場の真ん中ですすり泣きながら眠った。


「よしよし、うまくいってるね」
「おいおい、なんなんだ、このゆっくり共は……」
「ハーバード大学のほうで実験してたゆっくりでね、
ま、ちょろちょろっと改造してみただけ。
ゆっくりの潜在能力っていうのはすごくてね、
ちょっとリミットをいじってやるだけでいくらでもすごい事ができるようになるよ」
「言葉もないな」
「このゆっくり達を使って、自尊心と価値観を徹底的に壊し、洗浄する。
まずこれをやっておかないと、何を教えようとしても無駄だからね。
第一段階は順調ってとこかな」


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最終更新:2011年07月28日 19:52
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