翌朝、日が顔を出したという時間、まりさとぱちゅりーたちは目を覚ましました。
そして、まだ気絶しているちぇんと、ぐっすりと眠ったれいむを巣の外に連れ出します。
寝ている子ゆっくり達は跳ねれないので逃げれないのですが、ぱちゅりーが念のためにと帽子とリボンをすべてとっていきました。
これなら外に出れないでしょう。
子まりさと子ぱちゅりーは帽子の中にぱちゅりーの選んだ食べ物を入れています。
お弁当のつもりです。

「むきゅー。ぐっすり寝ているわね。」
「引っ張っても起きないなんてさすがれいむだぜ!」
「おかーしゃんこれからどこにいくの?」

子まりさの質問にまりさとぱちゅりーは神妙な顔を作って子ゆっくりを見ます。

「これから人間のところに行くわ。」
「ゆ?にんげん?」
「そうよ。とってもこわいのなまものよ。」
「ゆゆっ・・・」

震えだす、子ゆっくりをなだめるようにまりさが笑います。

「安心するんだぜ。まりさたちは安全なんだぜ。」
「そうよ、そのためにこいつらを残したんだから。」

そういうぱちゅりーの先にはちぇんとれいむが。
子ゆっくりは安全と分かり、またピクニック気分を再開しました。

「じゃあはやくいこーよ!」
「そろそろいくかだぜ!」

まりさはちぇんとれいむを叩いて起こします。

「うー、わかるよー。あさだよー。」
「ゆー、もうたべれないよ・・・」
「さっさと起きるんだぜ!」

まりさの声に、ハッとちぇんは身を起こし、続いて横にいたれいむを背中に隠します。
れいむは昨日のことを思い出してちぇんの後ろで震えだしました。

「わかるよー!おまえたちはわるいやつだよー!」
「そうだよ!こんなことしたらだめなんだよ!」
「おーおー、言うなだぜ!子供達がどうなってもいいみたいだぜ!」

まりさはそういってぱちゅりーににやりと笑いかけます。
子ゆっくりがいないことに気付いたちぇんとれいむは悔しそうに歯軋りをしてまりさを睨み付けました。

「こどもたちをかえしてねー!」
「れいむのかわいいこをかえしてね!」
「返してやっても良いんだぜ!」
「ゆっ、ほんとう?」

れいむは拍子抜けしたように力を抜きます。
しかし、ちぇんはますます警戒を強めました。

「・・・わかるよー、ただじゃないんだねー・・・」
「さっしがよくてたすかるわ。」
「まずはまりさ達についてくるんだぜ!」

まりさは森の外へと向かって跳ね始めました。
ちぇんとれいむも無言で後ろに続きます。
その後ろを子ゆっくりを連れてぱちゅりーが進んでいきました。



長い長い道なき道を進み、ゆっくりたちはとうとう人里と森の境目に来ました。

「ゆゆ、れいむこんなとおくまできたことないよ!」
「ちぇんもないよー、わからないよー。」
「つかれちゃ~。」
「むきゅ、私達はここに隠れましょう。」

ぱちゅりーは子供達が見つからないように巧妙に藪に隠していきます。
まりさはそれを確認してちぇんとれいむにこういいました。

「ここから進むと美味しい食べ物がいっぱいある場所に着くんだぜ!
 そこから食べ物を取ってきたら子供達を助けてやるんだぜ!」

「ゆー・・・わかったよー!ぜったいだよー!」
「もちろんだぜ!持って来れたら助けてやるんだぜ!」
「れいむがんばるよ!」

れいむたちはもっと難しいことを言われると思っていたので、食べ物を取ってくるだけといわれて拍子抜けしました。
さっさと子供達を返してもらおうと、ちぇんとれいむは傷ついた体をおして森から飛び出しました。



「むきゅー、あそこに見えるのが人よ。そして人がいるのは畑というものよ。」
「ゆゆっ!おいししょうだよ!」
「そうね、とても美味しそうだわ。」
「まりしゃたちもとりにいこうよ!」
「それはダメなんだぜ。」
「どーちて?」
「今から起こる事をしっかり見ているんだぜ!」
「ゆー?」

子ゆっくりは不思議に思いながらも言われたとおりれいむとちぇんに目を向けました。





「こどもたちのためにいそぐよー。」
「ゆゆっ!おいしそうだね!」

ちぇんとれいむは人にあったことがなかったので、これが人の育てているものだと分かりませんでした。
れいむとちぇんは野菜を人目を気にせずに抜いていきます。
しかし、とても美味しそうな野菜にれいむは我慢できなくなり少したべることにしました。

「むーしゃ、むーしゃ!これおいしいよ!」
「だめだよー、れいむ。はやくしないとー!」
「ゆゆゆ、でもとってもおいしいよ!」
「ゆー、とってもおいしいよー!」

れいむ達は始めてたべる美味しい食べ物に驚き、先ほどまで考えた子ゆっくりのことなど忘れてたべ始めます。
こうなると他の食べ物も食べたくなります。

「ゆゆっ、むこうにもあるよ!」
「あれもおいしそうだよー!」

畑を駆け巡り、様々な野菜に齧りついて行く、れいむとちぇん。
まりさ達はそんなれいむとちぇんの様子を藪から見ていました。

「まりしゃがまんできないよー!」
「しっ。静かに、人が気付いたわ。」
「これから何があっても目を離しちゃダメだぜ!」

ぱちゅりーの言うとおり、この畑の持ち主であろう人間がれいむとちぇんに気付いたようで、走ってやってきます。

「こら!このクソ饅頭め!!」
「ゆゆっ!?」
「わからないよー!」

れいむ達はすごい形相で近づいてくる人間を本能的に怖いと思ったのか、野菜を口に咥えて逃げ出しました。
しかし先ほどまでたべ続けていたれいむは思うように動けません。
ちぇんもそんなれいむを心配して速度を出せないので、すぐに追いつかれてしまいました。
最初の標的にされたのは野菜を含みすぎて丸々としていたれいむです。

「喰らいやがれぇ!」

男は丸々としたれいむを思いっきり蹴り飛ばしました。

「ゆぎゅううううううううううう!」
「れ、れいむううううううううう!」

れいむは綺麗な放物線を描き、森の木にぶつかります。

「ゆべゅ!・・・ゆべべっべべっべべっべ・・・」

木にぶつかったれいむは気持ち悪い声をあげて木をずるずると滑り落ちていきました。

「れいむになんてことをおおおおおおおお!」

ちぇんはつがいのれいむに酷いことをした人間に果敢に向かっていきます。
男はそんなちぇんを睨み付け、飛び掛るタイミングで踏みつけました。

「ゆげげ!」

地面に顔から叩きつけられたちぇんはピクピクと痙攣を始めます。
そんな様子を気にせず、男はちぇんを掴みあげて、顔まで持っていきました。

「なに、人の畑の物を食べてんだ!」
「ゆぎゅう、わ、わからないよー・・・」
「知らないでたべたのか・・・」

男はそこで態度を少し和らげます。
故意にやったのではなく、知らずに食べたゆっくりにまで酷いことをするほど男は非情ではありませんでした。

「じゃあ、教えてやる。」
「ゆ゙っ・・・?」
「ここは俺の畑だ。ここの物がほしけりゃ金を払うんだな。」
「で、でもそれがないとこどもたちが・・・」
「子供達?・・・あぁ食べ物が無いのか。それなら森の中にも充分あるだろう。」
「わからないよ・・・」
「木の下とかよく探してみるんだな!」

男はそういってれいむが飛んでいったところまでちぇんを投げ飛ばしました。

「あーあ、結構食われちまったな・・・」

男は愚痴をこぼしながら食べ散らかされた野菜の片づけを始めました。




「むきゅ、あの人間は有情ね。」

ぱちゅりーはそういった後子ゆっくりを見回します。
子ゆっくりは目を見開き、ガクガクと先ほど起こったことに震えています。
この様子だとトラウマになるかもしれません。
ぱちゅりーはそんな子ゆっくりの様子に満足してまりさに次のことを相談し始めました。

「さて、あいつらは帰ってきそうだけどどうするの?」
「心配するなだぜ。予定外だが子ゆっくりで試そうとしてことが出来るんだぜ。」
「あら、この近くにもあいつらがいたのね。」
「最近馬鹿なゆっくりが多いからなんだぜ。」

まりさはいまだ震えている子ゆっくりについて来いといいちぇんとれいむの飛んでいった方に向かいます。
そこではちぇんがれいむを背負い、懸命に巣に戻ろうと這っていました。
流れ出した中身の匂いが充満しています。
まりさ達は、地面の窪みに体を隠しました。

「見てるんだぜ。怖いのは人間だけじゃないんだぜ。」
「ゆゆゆ・・・」

子ゆっくりは体を硬くして身構えています。
やがて空から羽音が聞こえてきました。

「なぁに、こにょおと?」
「これはゆっくりゃの出す羽音よ。」
「ゆっくりゃ?」
「私達を捕食するものよ。」
「ゆg「静かにするんだぜ。まりさたちもねらわれるんだぜ。」
「ゆぅ・・・わかっちゃよ。」

この音はちぇんとれいむにも聞こえました。

「ちぇん、なにかへんなおとがするよ。」
「わかるよー!これはまずいよー!」
「どうしたn・・・ゆぎゃあああああああああ!」

ちぇんの上に乗っていたれいむの悲鳴が響きます。
れいむは空中にバサバサと浮いている羽根つきゆっくりを見てしまったのです。

「う~!」

羽つきゆっくり、ゆっくりゃはれいむに噛み付こうと急降下してきました。
傷ついて満足に動けないれいむは逃げることも出来ません。

「ちぇええええええん、たずげでえええええええええ!」
「わかるよおおおおおおお!いぞぐよおおおおおおおおお!」

ちぇんはれいむを背負い必死に逃げます。
しかし、同じく傷ついていたちぇんにれいむを背負っていつものように跳ねることができるはずもありません。
あっという間にれいむは噛み付かれてしまいました。

「ゆぅうううううう!」
「れいむううううううううう!」

れいむはゆっくりゃによって空中に運ばれて行きます。
ちぇんはこうなると下で見守るしか出来ません。

「れいむをかえしてええええええええええ!」
「う~、うまうま。」
「ゆげげっげっげ・・・」

ちぇんの叫びもむなしく、れいむはゆっくりゃによって中身を吸われていきます。
ゆっくりと中身を抜かれていくれいむは必死に抵抗しているように思っていました。
しかし、中に空きが出来ていて皮はぷらぷらと揺れるしか出来ません。
中身が無くなり皮とリボンだけになったれいむをゆっくりゃはぽぃっと捨てます。

「れいむううううううううう!」

ふわふわと漂って落ちていく霊夢をちぇんは這って助けようとします。
そして、皮だけれいむの元にやってきたちぇんは自分がゆっくりゃ2匹に囲まれていることに気付きます。
ゆっくりゃは3匹いたのでした。

「わわわ、わがらないよおおおおおおおおおお!」
「「うー☆」」

ちぇんもすぐにれいむの後を追いました。





先ほどの人間である程度覚悟していたとはいえ、酷い光景を見た子ゆっくりは言葉もありません。

「わかったかだぜ。まりさたちはこいつらに気をつけないと生きていけないんだぜ。」
「ゆぐぐぐ、まりしゃたちだいじょうぶきゃな・・・」
「安心するんだぜ。ぱちゅりーがあんな風にならないように教えてくれるんだぜ。」
「ほんちょ?」
「ええ、ほんとうよ。だからしっかり話を聞きなさい。」
「むきゅ!」

まりさたちはいまだ逃げようとがんばっているちぇんとちぇんしかみていないゆっくりゃに気付かれないようにその場を離れました。





ちぇんとれいむが皮になってから数日後。
ちぇんとれいむの巣だった場所はもはやまりさとぱちゅりーの巣となっていました。
巣の中ではぱちゅりーの授業を熱心に聴く子ゆっくりの姿が見られます。

「むきゅむきゅ。このきのこを食べさせてみましょう。」
「ゆぎゅぎゅぎゅ、ゆぎゃあああああああああ!」

ぱちゅりーがキノコを子れいむに無理やり食べさせると、子れいむは転げまわりながら痛がります。

「このように体中を焼けたような痛みが襲うわ。だから食べちゃダメよ。」
「わかっちゃよ!」
「だずげでえええええええ!」

子まりさと子ぱちゅりーはれいむを無視して元気よくぱちゅりーに答えます。

「もし食べてしまったらこの草を食べると良いわ。」

ぱちゅりーは暴れまわる子れいむを押さえて草を食べさせます。
れいむはぐったりとしたまま動かなくなりました。
次の危険な食べ物を教えようとすると食べ物を探しに出ていたまりさがかえってきました。

「おーい、帰ったんだぜ!」
「おとーしゃんおかえりなさい!ゆっくりしていってね!」
「むきゅ、じゃあ今日はここまでね。」

ぱちゅりーの発言に子まりさは飛び上がって親まりさのところに向かいます。
子ぱちゅりーはぱちゅりーの片付けの手伝いをします。

「おとーしゃん、またかりのやりかたおしえてよ!」
「わかったんだぜ!ちょっと待ってるんだぜ!」

まりさはそういって巣の奥に向かいます。
巣の奥では石の壁があり、まりさがそれを少し取り外すと、奥にある空洞でもぞもぞと動く何かが見えます。

「今日も一匹だけ出してやるんだぜ!」
「ゆゅ・・・」

中で動く何かは相談しているかのように身を寄せ合ってひそひそ喋っています。
やがて、一匹の何かがまりさの空けた穴から出てきました。
それは子ちぇんでした。

「よし、じゃあおとーさんの下に連れて行ってやるんだぜ!」
「わかるよー!はやくあいちゃいよー!」

穴を塞いで跳ねていくまりさに、子ちぇんは必死に這ってついて行きました。





「わがら゙な゙い゙よ゜おおおおおおおおおおお!」
「や゙め゙ぢぇ゙ええええええええええええ!」
「ゆっくりしね!」
「まず足を狙うんだぜ!同じぐらいの大きいやつならまず弱らせるんだぜ!」

まりさの指導が子供達に響きます。
子まりさが狩りの対称にしているのは先ほど出された子ちぇんと授業で使われた子れいむです。

「わがらないよおおおおおおお!」
「ゆべぇ!」

いくら跳ねれないとはいえ、子まりさよりは一回り大きい子ちぇんです。
数匹のまりさが掛かってもしぶとく、何匹かは吹き飛ばされました。

「ゆぎゅぎゅ・・・」
「まりしゃ。こりぇをぬりゅといいわ。」
「ゆ・・・いたくないよ!さすがぱちゅりーだよ!」
「ゆふふ・・・」

傷ついたまりさはそばで見ていた子ぱちゅりーが傷を治してやります。
こうして治されたまりさはまたちぇんとれいむに向かっていくのでした。

「さすがまりさの子供なんだぜ!もうすこし大きくなれば狩りに連れて行けるんだぜ!」

まりさは子まりさの狩りの様子を見てとても満足げです。
そんなまりさの帽子から一匹のれいむが降りてきました。

「ゆゆ、おそうじおわりました!」
「ゆむ・・・」

帽子を掃除していたというれいむはまりさに目を付けられたれいむです。
このれいむは生かされてまりさやぱちゅりーの手伝い、巣の掃除、死んだれいむとちぇんの処理をさせていました。

「ゆ~、ちょっとゴミが残ってたんだぜ!しっかりやるんだぜ!」
「ゆべぇええええええ!」

見えるか見えないかの埃を目ざとく見つけたまりさは、れいむをふっ飛ばします。
れいむはごろごろと転がった後、涙を流しながらまりさに謝りました。

「ごべんなざい!ごべんなじゃい!つぎはじゃんどやりまずううううう!」
「まったく・・・ちゃんとしてほしいんだぜ!」
「むきゅ、れいむ。もうれいむのほうは使えないからいつものようにお願いね。」
「わがりまじだ・・・」

子れいむはまりさの狩りの練習で動かなくなった、ぼろぼろのれいむを石の壁まで引きずっていきます。
そして皮を破き、中身を取り出すと石を一つ外して中身を野菜屑と一緒にその中に投げ入れました。
中ではもそもそと這いずる音とれいむの投げ入れたものを食べる音が聞こえます。
れいむはもっといいものを入れてあげたかったのですが、管理をきちんとしているぱちゅりーに見つかってお仕置きされるのが怖いので何も出来ませんでした。
子れいむは姉妹を隔てる石の壁に向かい、声を出さずに泣いていました。




「むきゅー。子供達も順調に育っているわね。」
「子供達が育ったらまたぱちゅりーと二人でゆっくり出来るんだぜ!」
「ふふ、楽しみね。」
「そうだだぜ、ちかくでありすをみつけたんだぜ!」
「あら、じゃあありすの恐怖を教えれるわね。」
「あの子れいむを使えば大丈夫そうだぜ。」
「じゃあまた準備しとくわね。」
「ぱちゅりーありがとなんだぜ!」

まりさとぱちゅりーは頬を摺り寄せてゆっくりとしています。
まりさとぱちゅりーの家族はこの大きな巣で、これからもゆっくりし続けました。










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最終更新:2022年05月18日 21:34