※この作品には特に目新しいものはありません。過度な期待はしないで下さい。







ゆっくりれいむは野生のゆっくりだった。
人間があまり立ち入らぬ森の中で、伴侶のゆっくりまりさと八匹の子供達と共に苦難に満ちながらも幸せな生活を送っていた。
それがある日、一家の前に現れた人間によって破壊された。
一家全員麻袋に詰められ、気付いたら見知らぬ場所で袋から取り出され、れいむは我が子と引き離された。

そして今れいむは、伴侶のまりさと共にろくに手入れもされていない雑草が生い茂る広場に閉じ込められている。
周りは柵で囲まれており、れいむは地面に突き立てられた木の棒に縄で縛り付けられている。
それはれいむとまりさだけでは無かった。

そこにはれいむとまりさを含め十匹のゆっくりが、同じ様に木の棒に縛り付けられている。
全てれいむ種とまりさ種であるが、どれも子供が産める程の成体サイズだ。

「ゆぐっ、ゆっぐりじだいよ……」

れいむは一匹、呟く。
つい数時間前までの生活とは打って変わったこの状況。れいむの餡子脳では全く理解が及ばない。
森で住んでいた時のおうちのように雨風も防げず、縄で縛られて自由も無い。
伴侶のまりさは少し離れた場所で縛られている。

「れいむのあかちゃん、どごいっぢゃっだのぉ……」

この日は結局、何事も起こらぬまま一夜を明かすことになった。











次の日、十匹のゆっくりが腹をすかせて呻き声を上げ始めた昼ごろに、れいむ達を連れてきた男が現れた。
広場を囲っている柵と隣接する形で建てられた家から現れたその男を見た瞬間、れいむは大声を上げた。

「おにいさん! れいむの、れいむのあがぢゃんはどご!?」

男は答えない。口を紡いだまま柵に取り付けられた、ゆっくりには開けられない扉を通って広場(男の所有する庭)に入ってくる。
れいむは生涯知る事は無いが、れいむの子達は『ゆっくりぷちぷち』となった。

『ゆっくりぷちぷち』とは、赤ゆっくりが丁度収まるサイズの穴が開けられたプレートに、赤ゆっくりをはめこんだものである。
すっぽりと収まったゆっくりはまったく身動きがとれなくなる。
菓子のように食べてもいいのだが、主な使われ方としては赤ゆっくりを潰して殺すものだ。

全く身動きもとれず、迫り来る死にむかってただ泣いたり命乞いをするしかない状況において、赤ゆっくりは本当によく泣いてくれる。
それが一部の好事家達の間で大きな人気を呼び、ゆっくりぷちぷちを作成する者も数多く現れた。
男もまたそのうちの一人であり、作ったゆっくりぷちぷちを男から買い取った男の友人もまた、一部の好事家の一人であった。
使用前に角砂糖の一つでもやれば元気良く泣くし、エサを与えなくても二週間はもつが、恐らくは買い取ってすぐ遊んだだろうからもうこの世にはいないだろう。

そんな事とは露とも知らないれいむとまりさは、体を縛られて身動きが出来ず、かつ空腹で体力も無い体に鞭打って我が子の安否を尋ねる。
他のゆっくり達もそれに追従する。

「まりざのおぢびぢゃんは!?」
「ゆっくりおしえてね!」
「ゆっくりしてよー!」

男は全く反応しない。ただ自分の行なう事だけをする。
男はまずれいむからそれを行なった。縛っていた縄を外したのだ。

「ゆゆっ!? ゆっくりにげるよ!」

自由の身になったと勘違いをしてすぐさま逃げ出そうとするが、当然すぐ男に捕まった。

「やめてね! ゆっくりはなしてね!」

泣いて懇願するが聞き入れられず。男は無言でれいむの体を揺さぶり始めた。

「ゆゆっ?」

ぶるぶると振動するれいむ。やがて餡子の奥から湧き上がってくる欲求に飲み込まれていく。
発情しているのだ。
顔は赤くなり、息も荒くなっていく。他のゆっくりも、伴侶のまりさの目の前だというのに、だらしなく興奮していく。
そして、あと一歩で?すっきりー!?に達しようとした瞬間に、それは止められた。

「ゆゆゆっ!? どぼじですっぎりー! ざぜでぐれないのぉぉぉぉ!!」

れいむは喚きたてるが何も変わらず、依然興奮した体のまま再び木の棒に縛り付けられた。
その後他のゆっくり達もれいむと同様に興奮させられたまま絶頂の直前で行為を止められ、木の棒に縛り付けられた。
十匹のゆっくり全てに同じ処理が行なわれた後、男は広場を後にした。
後に残されたのは体を火照らせたままお預けをくらった発情ゆっくりのみ。

「すっぎりじだいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

十の饅頭の声が重なって響く。
その後食べ物をもらえなかったと気付くまでおよそ三時間かかった。






そして次の日も同じように発情させ絶頂の直前でお預けをくらった。もちろん食べ物は一切与えられない。
その次の日も。そのまた次の日も。
十日間もの間、ゆっくり達は飲まず食わずで発情させられた。最早狂う寸前までにその欲求は高められていた。

だから、十一日目に発情させられたまま縄で縛られなかった時に、なりふり構わず隣のゆっくりと肌を重ね合わせたのだ。

「ゆゆ〜、まりさのほっぺたむちむちしてるよ〜」

頬を上気させたままれいむは隣に居たまりさと頬を合わせてにちょにちょと交尾を始めた。
他のゆっくりもれいむ達と同じように交尾を始める。十匹五組の交尾が同時に始まり、同時に終わった。

「すっきりー!!」

そして同時に五匹の額からしゅるしゅると茎が生えてきた。植物型にんっしんっ! だ。
しかし、十日間もの間溜まりに溜まった欲求は、たった一回では収まらなかった。
再びお互いに頬を合わせて交尾をし、もう片方のゆっくりの額にも茎が生えてきた所でようやく発情は収まった。

広場に居た十匹全部のゆっくりに子供が出来たところで、れいむはようやく自分がすっきりー! した相手が愛する伴侶のまりさでは無いと気付いた。

「ゆゆっ!? ごべんねっ、ごべんねまりざ!」

愛するまりさ以外の子供を頭に実らせたまま、ここに来てから一度も肌を合わせていないまりさを探し始めたれいむ。
だが、そうしようとした所で男が再びれいむ達を木の棒に縛っていった。

「やべでよぉ!!! でいぶをまりざどあわぜでよぉぉぉぉ!!!」

れいむとまりさは並べられた端と端にいる。全て同じ方向を向くように縛られた状態なので会話もろくに出来ない。
れいむは愛するまりさに会いたいと願うが、それは当然のように踏みにじられる。
そしてこの日も食事は無いとかとすべてのゆっくりが諦めたその時、男が食事を持ってきた。

青いポリバケツとボロ柄杓。男は子を宿したゆっくり達に食事を用意した。
ただし、中身は夏場ですっかり腐った残飯。それを柄杓ですくってれいむ達に食べるように押し付ける。
しかし、あまりの臭さにれいむは食そうとしなかった。

「やべでねっ! くさいよっ、ゆっくりでぎないよ!」

涙混じりに懇願するが、ぐいぐいと押し付けられる腐敗残飯の臭さに餡子を吐きそうになる。
そんなやり取りがしばらく続いた後、柄杓は下げられた。
ようやく臭さから解放されたと思ったれいむだったが、それは間違いだった。

男は突然ガムテープを取り出すと、れいむの口をそれで塞いだ。

「うっー!?」

もごもごと唸るが声にならない。驚愕するれいむをよそに、男は次に包丁を取り出した。
鈍く光るのその刃にゆっくり出来ない何かを感じ取ったれいむは、しかし何も出来ない。縛られた体では何も出来ない。
男は包丁でれいむの片頬を掻っ捌いた。

────ゆびぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!

言葉にならない叫びをあげるれいむ。それはガムテープによって阻まれた。
男はれいむの頬に大きな穴をあけると、そこに柄杓で残飯をぶち込んだ。

────ゆぎぃ!! やべでね! ぐざいよ゛っ! ゆっぐぢでぎないよ゛っ!

れいむは涙をボロボロと流して身を捩るが、抵抗にすらならない。
男はある程度残飯を詰め込み終えると、れいむが吐き出さないように穴を開けた頬もガムテープで塞いだ。
ゆっくりの回復力ならば明日には穴はふさがっているだろう。

そして他のゆっくりにも同様の処理が施された。
れいむは臭くて不味い残飯の感触を口の中に感じながら、まりさも同じような目にあっているかと思うと更に涙が溢れるのを感じた。

そうして全てのゆっくりに残飯を詰め終えた男は、広場を後にした。その日は男が来ることは無かったが、それから三日間毎日同じように残飯を詰められた。
それも全て、頭に宿る赤ゆっくりの栄養のためであったことは、れいむ達の餡子脳では思い至らなかった。









れいむが一家と共に拉致されて二週間が過ぎた。れいむの頭に宿った子供は今にも生まれそうだった。

「ゆゆ〜っ、れいむのあかちゃんゆっくりうまれてね〜♪」

れいむはここに来てから片時もゆっくり出来なかったが、やはり子供はゆっくりにとって、とてもゆっくり出来る物であるようで、笑顔で歌を歌っていた。
それは他のゆっくりも同様で、愛する者と作った子ではないというのに、呑気に子の誕生を待ち望んでいた。

「ゆ〜♪ まりさのあかちゃんゆっくりうまれてね〜♪」
「れいむににてとってもゆっくりしたこだよ〜♪」
「あかちゃん、ゆっくりしていってね!」

そんな久しぶりの幸せを噛み締めていたゆっくり達に、例の男が現れた。

「ゆゆっ!?」

男が現れてから全くゆっくり出来なかったゆっくり達は身構えた。身構えても、縛られた体では何も出来ない。
せいぜい言葉を発する程度だ。

「やめてねっ! ゆっくりこないでね!」
「ゆっくり、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってよ〜!」
「おにいさんはゆっくりできないよ!」

男はゆっくり達の声と視線を浴びながらも、悠然とゆっくり達に近づいて来る。
近づく。立ち止まる。しゃがむ。子を茎からむしりとる。立ち去る。
ごくごく自然に、まるで野菜でも採集するかのように男はゆっくり達の子供を茎から奪っていった。

あまりにも素早く自然な動作だったためか、ゆっくり達はそれを把握するのにわずかに遅れた。

「でいぶのあがぢゃんがぁぁぁぁぁ!!!」
「ゆっぐぢやべでねっ! やべでよ゛ぉぉぉぉ!!」
「ばりざのあがぢゃんがえじでよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」

どんなに泣いて喚いてももう遅い。全てのゆっくりは既に男が持ってきた箱に入れられている。
生まれる前に取られたが、あれだけ実っていればおそらく数時間後には普通に生まれたように目を覚ますだろう。
そしてその半分以上の命は三日以内に潰えるであろう。

「でいぶのあがぢゃんんんんん!!」












その後は同じ日々の繰り返しだった。
約十日発情させられ絶頂寸前で止められ、欲望の赴くまますっきりし、腐った残飯を無理矢理食わされ、子を奪われる。
一ヶ月にニ回子供を奪われるそんな生活を、れいむ達は三ヶ月も過ごした。

そして奪われた子達はその殆どが食われたり、『ゆっくりぷちぷち』になったり、虐待趣味の人間に引き取られたりしていった。
それもここのゆっくり十匹が、男が趣味で行なっている『家庭餡園』だからだ。

趣味で家で野菜を作るのが家庭菜園ならば、家庭餡園は文字通り餡子、すなわちゆっくりを作る。
野菜よりも遥かに手間要らずで収穫速度も速いゆっくりの家庭餡園は、それを安価で売ることにより男にとって趣味であると同時にちょっとした小遣い稼ぎになっていた。
ちなみに家庭餡園にれいむ種とまりさ種しかいないのは、ありす種とぱちゅりー種は素人が繁殖に使うには難しいからだ。
ありす種は暴走して相手を殺しかねず、ぱちゅりー種は度重なる交尾に体がもたない。

中でも一番人気なのは『ゆっくりぷちぷち』だった。収穫した赤ゆっくりの半分近くが『ゆっくりぷちぷち』希望者に売られ、潰されてきた。
男もまた、『ゆっくりぷちぷち』は好きだった。収穫した中で自分用に分けた赤ゆっくりでよく『ゆっくりぷちぷち』にしていた。

そして男は、とある気まぐれで『ゆっくりぷちぷち』を苗ゆっくり達の目の前で遊ぶことを思いついた。
れいむが苗ゆっくりとして機能し始めてから三ヶ月。
れいむはようやく、生きた我が子に再会する事が出来た。

「ゆゆっ!? れいむのあかちゃん!」

「おかーしゃん!!」

すっぽりと赤ゆっくり八匹が収まったプレートを男が持って来た瞬間、れいむと赤ゆっくりは同時にお互いを認識した。
産まれてすぐ、いや産まれる前に引き離されたというのに親子は互いを認識できた。
これもまたゆっくりの不思議生態の一つだろうかと男は思ったが、それはそれで面白いと口の端を吊り上げた。
男はれいむ達の前で初めて見せた感情の発露だった。

「おにいさん! れいむのあかちゃんをゆっくりさせてね!」

「おにーしゃん、おかーしゃんをゆっくちさせちぇね!」
「れいみゅもゆっくちちたいよ!」
「まりちゃも!」
「おかーしゃんとゆっくちちたいよ!」
「おにーしゃんもゆっくちいたいよね?」
「ゆっくちちていってね!」

れいむは最初の子供達ではないがようやく我が子と会えた喜びで、赤ゆっくり達はようやく親と会えた喜びで。
満面の笑みで声を発したが、れいむ達は男が一度たりとも自分達の要求を聞いたことが無いということを忘れていた。

男は『ゆっくりぷちぷち』のプレートを親れいむによく見えるように掲げると、

「ゆ〜♪ おしょらをちょんでるみたい〜♪」
「ゆっくち〜♪」

「ゆっ! あかちゃんたちとってもゆっくりして────」

ぶちゅり、とまずは赤まりさを指で潰した。


「…………ゆっ?」

れいむも他の苗ゆっくりも、すぐ側に居た赤ゆっくり達も最初はそれが何か理解出来なかった。
そして、ようやく赤ゆっくりが殺されたのだと理解すると、一気に声と感情を爆発させた。


「ゆっ! ゆっくぢぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」
「ゆ゛っ、ゆ゛ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「ば、ばりしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「でいぶのあがぢゃんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

子を攫われる悲しみではなく、目の前で殺される悲しみ。
れいむは目の前で潰し殺されたまりさの残骸、潰れた小さい饅頭を見て今までに無いほどに号泣した。

男はその光景を満足げに眺め回すと、ゆっくりと親指を赤れいむの頭上にかざした。
それで何をされるのか理解した赤れいむは、理性など冥王星の彼方まで吹き飛ばしたかのように絶叫した。

「いやぢゃぁぁぁぁぁぁぁ!! ゆっぐぢやべちぇねっ! やべでよ゛ぉぉぉぉ!! れいみゅはゆっぐぢぢだ────」

ぶちゅり

男の親指は赤れいむを潰した。
隣でその様を目の当たりにした赤まりさも、その隣の赤れいむも、その斜め前の赤まりさも、一様に絶叫する。
逃げようと、潰されまいと身を捩る。だが、底部は空をかきすっぽりと穴に収まった身ではどうもならない。
ほぼ無抵抗のまま、次々と潰されていく。

ぶちゅり、ぶちゅり、ぶちゅり、と。潰される度に一際高い泣き声があがり、目玉が飛び出で餡子が飛び散る。

「やべでね゛っ!! でいぶのあがぢゃんゆっぐじざぜでね゛っ!!」

親れいむは顔面をべしょべしょにして懇願する。他の苗ゆっくりはガタガタ震えたり目をつぶって見ないようにしたり、あまりの惨劇に餡子を吐いたりしている。
だが男はやめない。むしろ赤ゆっくり殺戮に拍車をかけている。

「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おがああああじゃぁぁぁぁぁぁん!!!」
「も゛う゛やべでぇぇぇぇぇぇぇ!!」

『ゆっくりぷちぷち』のプレートに残った赤ゆっくり三匹が叫び、泣き、懇願するも、もう止まらない。いや、最初から止まるはずがない。
赤ゆっくりは避けられぬ死を、れいむは我が子が死ぬ様をしっかりとその目に焼きつけ、夜は暮れる。

「やめちぇね! ゆっくちやめちぇね! ゆっくちちた────」

プチッ














赤ゆっくり殺戮の次の日、繁殖の日だ。
十日間の発情期間を終え、すっきりする日だ。本来ならば、溜まりに溜まった欲求が理性を壊してすっきりする筈である。

だが、れいむはそれを鋼の意志で拒んだ。
顔を真っ赤にし、相手の、伴侶ではないまりさを押しのけて、男に対して堂々と宣言する。

「れいむはもうあかちゃんつくらないよ! すっきりしないよ!」

もうこれ以上子供が殺されるのは嫌だ。これ以上好きでもないゆっくりとすっきりするのも嫌だ。
三ヶ月間、つもりにつもったその思いが、れいむを欲望に打ち勝たせた。
そして、それにあのまりさ、れいむの伴侶であるまりさも続いた。

「そうだよ! まりさはもうゆっくりあかちゃんはつくらないよ!」

顔を同じように真っ赤にして鼻息も荒く、まりさはれいむと並んで宣言する。

「まりさぁ……」

三ヶ月ぶりに顔をあわせる愛するまりさに、れいむは感涙の雫を零す。
男はそんなゆっくり達の反抗を目にすると、ゆっくりと広場を後にした。
それを見て、れいむは、れいむ達は自分達は勝利したと思った。

「ゆゆっ! やったよまりさ!」
「すごいよれいむ! これでゆっくりできるよ!」

他のゆっくり達もそれを見てすっきりを止めようとする。他のゆっくり達も気持ちはれいむと同じだったのだ。
火照った体をなんとか押し留めて、自由になっている身でなんとかここから逃げ出せないかと画策する。
だが、柵はゆっくりよりも遥かに高く、跳び越せる高さではない。
唯一の出入り口も人間にしか開けられない。

れいむ達が餡子脳をうんうん唸らせていると、男が餡園に戻ってきた。
その手には、金槌が握られている。

「ゆゆっ!? おにいさん!!」
「どぼじでぎだのぉぉぉ!!」

ゆっくり達は皆顔をびくつかせて後ずさる。男はそんなゆっくり達の行動は意に介さず、すたすたとれいむの伴侶であるまりさに歩み寄る。

「やめてね! ゆっくりこないでね!」

まりさは口で拒みつつ、じりじりと後退する。
それも虚しく、男はまりさの目の前でしゃがむと左手でまりさの頬をわしづかみにした。

「ゆゆぅぅぅぅ!! いぢゃいよぉぉぉ!!」
「やめてね! まりさにひどいこと────」

れいむが全て言い切る前に、男は右手の金槌を振り下ろした。
金槌はまりさの頭をひしゃげさせ、再び振り下ろされた金槌は右目を潰し、続いて左目を潰した。

「ゆぶっ! ゆびっ! ゆぎゃっ!!」

一撃ごとにまりさは呻き声を上げる。男は構わず金槌を振るう。
頬を潰す。口を潰す。また頭を潰す。
れいむはその様を間近で見てしまった。愛する物がぐちゃぐちゃの、原型を留めない皮と餡子の山になる様を。

「ばっ、ばりざぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

物言わぬ餡子の山になってしまったまりさの死骸に涙を流してすりよるれいむ。そのれいむにも、金槌は振り下ろされた。

「ゆびっ!!」

れいむは殴られた痛みを堪えて視線を上にあげる。
そこには無表情で金槌を振り上げる男の姿があった。
れいむは、何故まりさが殺されたのかを理解した。

「ゆゆっ! ごべんなざいっ! やべでぇ!! ゆっぐりやべでねっ!! あがぢゃんづぐりまず! ゆっくりしたあがぢゃんづくりまずがら、だがらごろざな────」

殺された。
男にとって餡園のゆっくりは単なる野菜の種と同じである。一度拒否したゆっくりを生かすよりも、新しい母体を投じた方がよい。
既に次の母体候補は用意してある。それは潰されたれいむの子であった。
この三ヶ月、別の場所で育てられたれいむの子は既に子供を作れる程に大きくなった。

次かられいむとまりさが抜けた穴はその子が補うであろう。
他のゆっくり達はれいむとまりさが殺されたのを見て、必死に子を作り始めた。
男はそれについては何も言わず、一度家に母体を取りに戻る。

この家庭餡園は、男の興味が尽きるまで何事もなく機能し続けることだろう。



おわり


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これまでに書いたもの


ゆッカー
ゆっくり求聞史紀
ゆっくり腹話術(前)
ゆっくり腹話術(後)
ゆっくりの飼い方 私の場合
虐待お兄さんVSゆっくりんピース
普通に虐待
普通に虐待2〜以下無限ループ〜
二つの計画
ある復讐の結末(前)
ある復讐の結末(中)
ある復讐の結末(後-1)
ある復讐の結末(後-2)
ある復讐の結末(後-3)
ゆっくりに育てられた子
ゆっくりに心囚われた男
晒し首
チャリンコ
コシアンルーレット前編
コシアンルーレット後編
いろいろと小ネタ ごった煮
庇護
庇護─選択の結果─
不幸なゆっくりまりさ
終わらないはねゆーん 前編
終わらないはねゆーん 中編
終わらないはねゆーん 後編
おデブゆっくりのダイエット計画
ノーマルに虐待
大家族とゆっくりプレイス
都会派ありすの憂鬱
都会派ありす、の飼い主の暴走
都会派ありすの溜息
都会派ありすの消失
まりさの浮気物!
ゆっくりべりおん



byキノコ馬

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最終更新:2022年04月16日 23:57