「お兄さん、れいむたちをおうちに入れてね!」
「おうちにいれてくれないとゆっくりできなくなるよ!」

玄関の戸をボフンボフンと叩く音がすると思ったら2匹のゆっくりがいた。
成体サイズのれいむとまりさだ。
いきなりやってきて、人様の家に入れろとは馬鹿馬鹿しい。
当然、戸を閉めて鍵をかけようとした。

「まってねお兄さん!れいむのかわいそ話を聞いてね!」
「聞いてくれないとゆっくりできなくなるよ!」

〔ゆっくりかわいそ話〕
れいむとまりさは、秋に群れを巣立ち新しい巣穴でゆっくりと冬を越えるつもりだった。
しかしある晩、夜風にあたっていたら寒くなったところ、れいむとまりさは「す~りす~り♪」とお互いを暖め
そして気がついたられいむの頭には茎が1本生えていた。
冬越え直前に子供を産むことは一家心中を意味する。
だから、れいむとまりさは相談し実を一個だけ残して後は産まれる前に処分する事にした。
初めての赤ちゃんをどうしても全て処分する気にはなれず、それがギリギリの妥協だった。
それから減った分の餡子を補うために冬越え用のごはんを「むーしゃ♪むーしゃ♪」して
それを見ていたまりさも赤れいむも羨ましくなって、お腹いっぱいになるまで食べた。
一度お腹いっぱい食べると、次もお腹いっぱい食べたくなってしまうのが人情・・・それから毎日おなか一杯になるまで食べて
とうとう食べつくしてしまった。

自業自得じゃねーかアホか。
やっぱり戸を閉めようとした。

「ゆっくちちていっちぇね!」

まりさの帽子のすそからピョコッと赤ちゃんれいむが顔を覗かせる。
ああ、こいつが今の話に出た生き残った赤ゆっくりか。小汚いな。
相変わらず冷めた目で眺めていたら、れいむが鼻息をフンッと噴出し勝ち誇った顔をしてふんぞり返っていた。
それに気がついたまりさも一緒になってふんぞり返る。

「かわいいかわいいれいむの赤ちゃんだよ!お兄さんいきててよかったね、すごくゆっくりできるでしょ!」
「ゆっへん!」
「ゆっくちちていっちぇね!」

親ゆっくりにとって赤ゆは、とってもゆっくりできる存在だ
自分がゆっくりできるのだから、きっと他の誰が見てもゆっくりできるよね!
そういう理屈が成り立つのが餡子脳である。

ピキピキッ!
こめかみの辺りで確かにそんな感触がした。
よし、締め出すのはやめだ。そんなに俺の家に入りたければ入れてやろうじゃないの。

ヒョイッと赤れいむを摘み上げる。
「ゆっ!おしょらをとんでるみちゃい!」

「あー!なにするのぉお!れいむのあかちゃんをかえしてね!」
「あかちゃんをはなさないと実力行使するよ!まりさはお兄さんよりいっぱいつよいんだぜ!」

足に力いっぱい体当たりを仕掛けてくるまりさと涙目になってオロオロと慌てふためくれいむを無視して
玄関の奥へと赤れいむをぶら下げていく。
そして、黒電話の隣にある空っぽの水槽に赤れいむを落とした。
「みゅ!」

この水槽で以前、熱帯魚を飼っていたが、一緒にアメリカザリガニを入れたところ不要になってしまった。
水槽だってタダではないので捨てずに洗って置いておいたが、透明の箱の代用として十分再利用できる。

「れいむの赤ちゃんがいたがってるよ!ゆっくりやめてあげてね!」
「どうだ!まいったか!降参するならいまのうちだよ!」ぽよんぽよん!

水槽を地面に降ろして開いている天井部分を、れいむとまりさの正面に来るように横向きに倒す。
ころころと中で転がる赤ちゃんに2匹とも駆け寄ってきた。
「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!いたいとこない?ぺーろぺーろ!」
「ゆっ、ようやくかんねんしたね!赤ちゃんは返してもらうよ!ゆゆ~ん、とってもかわいいあかちゃんだよ!」

2匹とも仲良く水槽に入ったところでゴロンッと元の向きに戻す。

「「ゆっ!」」

捕獲完了。
成体ともなれば、ちょっとした鉄アレイ並に重量がある。
左右に1匹づつ持って歩くよりも自分から入ってくれて大助かりだ。

「おちびちゃん、ぺーろぺーろ!いたいのいたいのとんでいけー!」
「すーりすーり、まりさの赤ちゃんとりかえしたよ!とってもかわいいよ!」
「ゆんゆん、おかーしゃんくちゅぐっちゃいよ!」

すっかり俺の存在を忘れて体をすり合せたり舌で舐めあったりしてグルーミングをしている。
天井部分のフタを閉めたところで影ができ、ようやくこちらに気がついた。

「ゆっ、ジジイはまだいたの?ここはれいむたちのおうちだよ!ゆっくりできないジジイはでていってね!」
「ゆっふっふ、ジジイはバカだね!おうちをまんまととられた上に人質のおちびちゃんまで取り返されて、もう打つ手がないね!」
「ばかなじじいはでちぇいっちぇね!」

プクーっと風船の様に膨らんで威嚇するれいむ。
赤れいむもそれを真似してほほだけちょっぴり膨らんでいる。
まりさは、自分の力に俺が屈したのだと得意げになり眉をひそめながら侮蔑な視線を向けていた。

「おー、こわいこわい、それじゃあお前らはその自分の家でゆっくりしていってね!」

「プンプン、ここはれいむのおうちなんだからあたりまえでしょ!」
「きっと、あたまがかわいそうなんだぜ!」


そのまま水槽を放置し目と鼻の先の居間でソファーに腰をかける。
しばらくすると、「ゆっゆっゆっ~♪」と雑音が聞こえてきた。
きっとれいむが赤ゆに歌を聞かせているんだろう。
しばらくするとその雑音にまりさの声も混ざり、それから赤れいむの「ゆぅ♪ゆっ♪」と舌っ足らずのワンテンポ遅れた声と合わせて
合唱となった。
「ゆっゆっっくり~♪」「ゆっくりぃ~♪」「ゆぅ♪ゆぅ♪」



ー数時間後ー


「おかーしゃん、れいみゅゆっくちおにゃかすいたよ!」
「ゆっ、そうだねおかーさんもお腹すいたしそろそろごはんにしようね!まりさ、ごはんをもってきてね!」
「それじゃ虫さんでもとってくるね!ここはきったなそうだから虫さんくらいいそうだよ!」

お腹をすかせて表情が曇っている赤ゆにほっぺたをすり合わせて慰めるれいむ。
そんなゆっくりした家族を養うべく、まりさはさっそうと透明な内壁めがけて跳んだ。
「ゆべぇ!」

見えない壁に阻まれて弾き返されグラグラと水槽が揺れる。
「いちゃいぃいい!おそとにでれないよぉぉお!」

「なにいってるのまりさ!何もないのにでれなくなるわけないでしょ!」
れいむがまりさの出ようとした方向へ進むと
「ゆっ?」
確かに見えない壁のような物がある事がわかった。
今度はまりさとれいむで別々の方向へ出口がないか壁面に沿って探す。
地面に沿って自分の足で入ってきたのだから当然その入り口があるはずだ。
入り口は出口になる。これはゆっくりでも理解できる真理だ。

赤れいむは親達が何をしているのかわからず、「ゆぅ~?」っと小首を傾げている。
一方親達は水槽の内側を一周したのにもかかわらず、それらしき出口が見つからない。
だんだん焦りの色が濃くなり、そしてとうとう喚きだした。

「どぼじででぐちがなくなってるのぉぉおお!」
「かべさんいじわるしないでねぇえええ!」
「ゆ・・・ゆぅ・・・ゆわぁぁあああん!」


「やあ、ゆっくりしてるかい?」
そろそろ頃合かなと、ゆっくりどもの様子を見に来てみた。
片手には食べかけのシュークリームを持っている。

「ゆゆっ!じじい!ここはれいむのおうちだよ!まだいたの!?」
「じじいのせいでお外にでれなくなったでしょぉぉお!なんとかしてよねぇええ!」
「ゆわぁぁあああん!ゆわぁぁぁああん!」


「まあ、そういわれてもだな・・・もぐもぐ、そこはお前らの家なわけだし・・・もぐもぐ
自分たちで何とかしないといけないんじゃないかね・・・もぐもぐ」

ゆっくりどもが腹を減らしてるだろうことを見越して、わざと見えるようにシュークリームを口へ運ぶ。
もぐもぐと声に出して言うことでアピール全開だ。

「じじい!なにたべてるのぉ!れいむたちはお腹をすかせてるんだよ!」
「それをこっちによこしてねぇええ!いまなら半殺しでゆるしてあげるよぉお!」
「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・おにゃかすいちゃよぉ」

「ああ、これ?食べたいの?どうしよっかなー♪ 一口くらいあげよぉっかなぁ?」

一かけら程しか残っていないシュークリームを水槽の上部のフタを開けて
ゆっくりがジャンプすれば届くか届かないかくらいの距離を保って見せ付ける。
カスタードクリームの香りがれいむとまりさの鼻をつき、それがとっても甘くてゆっくりできるものである事がわかった。

「ゆっくりよこせぇええええ!」
「まりさのだよ!ここはまりさのおうちなんだから、ここにあるのはまりさのだよ!」
「ゆっ!ゆっ!」

毎日お腹一杯たべていたゆっくりにとって、空腹は我を忘れさせるのに十分だった。
れいむもまりさも水槽の中でギリギリで届かないシュークリームに向かってぴょんぴょんと懸命に飛び跳ね
赤れいむもピコピコと真上にある甘そうなお菓子に夢中でお口をあけて目をキラキラと輝かせている。

「ほーら、まりさのお口にシュークリームはいっちゃうぞぉ、コイツ全部ひとりでくっちまうつもりだぞぉ!」

スィーっと指につまんだシュークリームの欠片がまりさの口元をかすめる。
まりさが口に収めようと懸命に飛びかかってきたところで、ヒョイッとかわす。
れいむはまりさが自分の分まで食べようとしていると焦り気が気ではない。
目をギョロっとみひらいて涎を飛ばしている。

「おっと、こんどはれいむの方へいくぞぉ」
まりさの口をかすめた時よりも若干低空にして指の動きを止める。

「れいむのだよ!なかのクリームから薄皮の一枚までぜんぶれいむのだよ!」

ピョ~ンっと飛び上がった姿はまるで、釣り上げた魚の様にピチピチとしている。
彼女の言葉通り、クリームも皮も一口ですべてれいむの口の中に消えた。

「どぼじでまりざのシューシューぜんぶたべちゃうのぉおおお!」
「ゆぅえぇ~ん!れいみゅのごはんたべりゃれちゃったよぉ!おかーしゃんがぜんぶたべちゃったぁ!」


「ゆっ!れいむじゃないよ!れいむはたべてないよ!虫さんだよ!この家は虫さんがおおいっていってたよ!」
2匹の様子に我を取り戻したれいむだが、必死に出た言い訳がこれだった。



一同しばらく沈黙し、それからまりさはれいむから距離を置いて
赤れいむもまりさの傍らでゆっくりとした。
時折、親れいむに憎しみの視線を送ってはブツブツとなにか呟いている。
食べ物の恨みは恐ろしいというが、ゆっくりの世界では人間のそれよりも重罪なのだ。

れいむがまりさと赤れいむの方へ寄っていくと
そそくさと、まりさも赤れいむもその反対側へ逃げていく。
こんな事を数分の間くりかえした。

「ゆぅ・・・」
れいむは気まずくなって、俺のほうへ話しかけてきた。

「おにーさん、れいむたちをここからだしてください。れいむたちがなにか悪いことをしたのなら謝ります」

「ん?なんだ急に」

家に入った時とはうってかわって、姿勢を低くしている。
ひょっとしてゆっくりの土下座だろうか。

「ここにいると、かぞくみんなでゆっくりできません
いっしょうのお願いなので、どうかゆるしてください。」

「一生のお願い?」

「いっしょうのお願いです。れいむたちをお外に出してください。」

子供のころによく”一生のお願い”とかいって親を困らせたものだが
そういう概念がゆっくりにもあったらしい。
最初の悪態はどこふく風、すっかりしおらしくなったれいむに、どうしたものかとしばし考えた。

「うん、じゃあまりさ、お前の一生のお願いを言ってみな
一つだけ願いを叶えてあげよう。」

れいむは、なんでまりさなんだろうとわからなかったが
結局は同じだろうと思った。
れいむとまりさの仲が気まづくなったのは、このゆっくりできない空間のせいで
ついこの間まで仲良く巣で暮らしていたのだ。
まりさだって、まず第一にここから出たいに決まっている。
お外に出れたら、この人間の食べ物を全部奪って巣にもってかえってやろう。
そうすれば、また家族みんなでゆっくりできる。


「まりさはおかしがほしいよ!シューシューが食べたいよ!」
「ゆ”ゆ”!?」

れいむにとって意外な答えだったが、俺としては予想どおりだ。

「ちがうでしょぉおお!おそとにでないとだめでしょぉおお!」
そんな叫びを無視して、俺のほうへ向き直りシュークリームを食べさせてもらえる期待のお目めを輝かせていた。

「よしきた、いま作ってやるから待ってろよ!」

あらかじめ用意していたゴム手袋を両手にはめると
腰に釣っているポーチから”ゆっくりアリスの精子餡”と書かれているチューブを取り出す。
まず手のひらにニュッと白い餡を搾り出して
今度はそれを両の手の平で全体に伸ばすように馴染ませる。
次に、よく白餡を馴染ませた手のひらでまりさののほほを優しくなでてあげる。

「ゆっ♪あったかくてきもちいいよ♪」

それから、弧を描くようにしてさすり徐々に振動を加えながら
力任せにゴシゴシとこする。
「おにーさん、ちょっと痛いよ!」

「これもシュークリームを作るためだ!我慢しろ!」

お兄さんの腕が腱鞘炎になりかけた頃
しだいにチューブの白餡よりも、まりさの粘着質な体液が放出されてきた。

「ゆほぉぉお、なんだかとってもゆっくりしてきたよ!」
目がトロンとして、口元から涎を流しながらヒクヒクとしている。
こうなれば、あと少しだ。

「すっきりぃいいい!」

まりさの帽子の隙間から茎がニョキニョキと生えて、すぐに小さな実をつける。
この白餡には成長促進剤も含まれているため植物型の出産なら通常の何百倍も早く赤ちゃんが産まれる。
実はすでに5個のアリス種と3個のまりさ種という具合に識別できるほどになっていた。

素早く、アリス種が覚醒する前にもいでやってまりさの目の前に転がしてやった。
「ほ~ら、ミニシューシューでちゅよぉ」

アリス種の中身はカスタードクリームなので、皮が薄い赤ゆのうちは
シュークリームの食感によく似ているのだ。

「ゆっ、おいしそうなシュークリームだよ!おちびちゃんもいっしょに食べようね!」
「ゆっくち!むっちゃむっちゃ、ちあわちぇ~♪」

まりさがアリスの実4個と赤れいむがアリスの実1個の取り分となり仲良く食事にした。
人間の味覚からしても赤ゆの味は高級洋菓子に匹敵する。
きっと俺が食べていたコンビニで100円のシュークリームよりも美味しいだろう。
製造工程を見てしまうと食べる気がしないが・・・。

一部始終をみていたれいむはガタガタと震えていた。
まだ、まりさの頭上には3個のまりさ種の実がついているが、こっちはそのままにしておいた。
そのうち産まれ落ちるんだろうな。


「お、おにいさん・・・おねがいです、れいむをそとにだしてください・・・いっしょうのおねがいです」
青ざめて震えているれいむ。

「そうだな、まりさの一生のお願いを聞いてあげて、れいむの一生のお願いを聞いてあげないわけにはいかないよね。
よし、お外にだしてあげよう!」

よっこらせ!っと
水槽を抱えて持ち上げると、よろよろと持ち歩き
ベランダの窓を足で開けた。

「そら、お外だぞ!ゆっくり冬越えしていってね!」

ピューっとベランダに冷たい風が吹く。

「ゆゆっ!ちがうでしょぉおお!このままお外にだされてもだめでしょ!」

「あ、え?水槽から出してって意味ね?
な~んだ、ハッキリ言ってくれないとわからないってば!
じゃあ来世ではちゃんと、そう言ってよね。一生のお願いはもう使い切ったわけだし♪」

ゆがーん!




おまけ

〔ゆっくりれいむとまりさ一家の冬越え編〕

ベランダに出されてから最初の夜を迎えようとしていた。

水槽のおかげで始めこそ寒さが遮られ保温されていたが、いまではすっかり外気と同じ温度になっている。
食事は、お兄さんが夕食を作るためにでたジャガイモの皮とキャベツの芯。

「おかーしゃんしゃむいよぉおお!」
「おちびちゃんゆっくりがまんしてね、すーりすーりしてれば暖かいからね!」

まりさと赤れいむは、ほおずりをして少しでも寒さから逃れようとした。
「れいむもおちびちゃんとすーりすーりさせてね」と近づいてきたが
れいむはあっちに行ってね!れいむのせいで寒い思いをしているんだよ!と追い返されてしまった。

赤れいむも
「ゆっくちできにゃばかなおかーしゃんはゆっくちちんでね!いいきみだよ!」と言い放つ始末である。

まりさの頭上で赤まりさの実がゆらゆらと揺れて、産まれ落ちようとしていた。
赤れいむは、さっきのシュークリームがまりさの頭上の実である事を見ていたので
また、あまあまが食べられるよ!とお目めをキラキラさせながら、いまかいまかと待ち望んでいた。

そして、とうとう1匹目の赤まりさ落ちる。
本来なら、地面にやわらかい葉っぱを敷き詰めて備えるが、ここは底面もガラス張りだ。

「ゆっ、ゆっくち~♪」
べちゃ

「・・・ゆ・・・もっとゆっくち・・・ちたかっちゃ・・・」

人工的に生産された赤ゆは早産のため普通の赤ゆよりも皮が柔らかい
それに加えて硬い地面に叩きつけられた赤ゆは、あっさりと餡子をぶちまけて短い生涯に幕を閉じた。

「ゆっ!まりさの赤ちゃん・・・」
餡子の上にはまりさ種特有のお帽子が乗っている。
続けて、2匹目3匹目が同時にそこへ落下してきた。
幸いにも、1匹目の屍骸とお帽子がクッションとなり潰れることなく産まれた。

「ゆっくちちていっちぇね!」
「ゆっくぃゆっくぃ!」

2匹とも、ゆっくりとしたお帽子を被っているまりさの子供だ。

「ゆ~ん、まりさのあかちゃん・・・まりさと一緒でとってもゆっくりしてるよ!」

れいむとの間に作った最初の赤ちゃんはれいむ種1匹だけ残して後はすべて間引いてしまった。
だからこれが初めての同種の赤ちゃんとのご対面だ。
れいむの赤ちゃんの時よりもはるかにゆっくりできた。

そこへ、もぞもぞとシュークリームが産まれてくるのを待っていた赤れいむが
2匹の赤まりさの足元の餡子を舐め取っている。

「あ~ま♪あ~ま♪ちあわちぇー!」

餡子の上にはまりさ種の帽子が乗っているため、それがまりさの赤ちゃんの餡子であることはまりさにもすぐに理解できた。
元はといえばれいむのせいで、今こんな目に合っている。
自分の赤ちゃんを食べて空腹を満たそうとしている赤れいむ。
急に憎たらしく見えてきてムカムカと腹が立ってきた。

「れいむの赤ちゃんはゆっくりしないであっちへいってね!」

「ゆぴゃ!」
まりさに体当たりをされて、親れいむの方へところころと転がっていく。

「ゆっ?ゆゆ?」
さっきまで優しかった親まりさがなんで自分にそんな事をするのか赤れいむにはわからなかった。
キッとこちらを睨み付けてきて、駆け寄っていったらまた突き飛ばされそう。
だから、おずおずと側にいる親れいむの方を見た。
親れいむは視線を合わせない。
自分に向かって死ねとか言ってくる子はもう可愛くはなかった。

赤れいむは、この狭い水槽の中で一人ぼっちになった。
両親から嫌われている赤れいむは、赤まりさ達がもう少し大きくなれば虐めの対象になることであろう。


翌日、親まりさは固い野菜の芯を赤まりさのために柔らかく噛み砕いてあげて食べさせた。
甘いものを食べたことがない赤まりさは、美味しくない餌でも口移しで食べさせてもらえるごはんを喜んで食べた。

親れいむは赤れいむを無視してバリボリとまりさも食べない味のない屑皮をかじる。
赤れいむは食べられるものがないので、まりさ達か親れいむがうんうんをするのをジッと待った。


まりさからもれいむからも苛められて育つ赤れいむは将来どんな一生のお願いをしてくれるんだろう。
きっと、自分だけゆっくりさせてくれとかだろうな。
そうしたら水槽を家の中に入れて、この赤れいむだけを可愛がってみせてやるか。


ゆっくり一家の冬越えはまだ始まったばかりだ・・・。






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作者:まりさ大好きあき

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最終更新:2022年05月19日 11:51