※一部東方以外のパロディです
※独自の設定があります
※虐待成分がおまけに過ぎません
※同じタイトル等あったらごべんなざぁあああい! ゆっくりした結果がこれだよ!




第二次ゆ虐大戦終結後…、

世界は東西に二分された…。

冷戦と呼ばれる時代の幕開けである。



世界全土を巻き込む大戦の後、各国の睨み合いによる一時的な非戦闘状態が続いた。

その中で、ゆっくりをどの様に食すか、その命題を巡って多くの議論が交わされた。
中でも有力な派閥として、一定の加工を経て食すべきとする東方派と、そのまま加工せずに食すべきとする西方派がある。
東方派は餅米を加工原材料とする事が多く、西方派は玉露を好んで飲む事から、米露の対立とも呼ばれている。
両者の対立は辛うじて武力衝突を免れていたが、極限の緊張状態はいつ崩壊してもおかしくはなかった。

そんな折、東方に所属していた、ゆ虐部門の母と呼ばれる“ザ・ドス”が西方に亡命。
時を同じくして西方で謎の爆発事故が発生、その事故を東方派の攻撃として西方派の代表が東方派に抗議。
西方派は爆発事故がザ・ドスの仕業では無い事の証明を東方派に迫り、証明されない場合は全面戦争も辞さない意思を表明。

事態を重く見た東方は、加工所の特殊部門“ YUX”に作戦を指示する。
加工所職員であり、ザ・ドスの最後の教え子である“S”に、ザ・ドスの抹殺の密命が下された。

世界を“虐”の驚異から救う為、単身Sは西方へと赴くのであった…。



「…という夢を見たんだけど」
「何? その厨二病的な設定は…」





【俺と彼女とゆっくりと】 ~ばーちゃすみっしょん編~



冒頭のお話は俺が今朝見た夢の話だ。
主人公Sとして、俺は西方のジャングルの中をサバイバルしていた。
まるでゲームの様な夢だったのだが、残念ながら彼女には面白さが伝わらなかったらしい。
俺は思わず頭に『!』のマークを浮かべてしまったぐらいだ。

それはともかく俺達の説明に入ろうか。
俺は加工所職員の一人だ。
加工所とは、生きた饅頭である不思議生物『ゆっくり』を加工する事で、
皆様の食卓に素晴らしい甘美なる世界をお届けする企業だ。
加工所では、野生に生息するゆっくりを捕獲し、それを加工するのだが、
それ以外にも研究・養殖等、様々な手段でゆっくりを確保するのだ。
その為の研究員として彼女は加工所で働いている。
当然給与体系は『俺<彼女』の図式になり、その力関係も言うまでも無い。

本来彼女は俺如きが近付ける筈も無い高嶺の存在であるが、
縁というものは不思議なもので、こうして俺の馬鹿話に彼女がツッコミを入れている。
俺達は偶然の出会いを果たしたのだが、その話はまた今度で良いだろう。

さて、彼女も研究者である以上、色々な実験を行わなければならない。
実験には当然対象が必要で、その確保の為に俺達職員がいるのだ。
今回彼女の研究者魂に火をつけたのは、ゆっくりの外見的に優秀な固体、
ゆっくりが“美ゆっくり”と呼んでいる固体である。
人間で言うなら“美人”という事なのだろう。
彼女の気まぐれに因って美ゆっくり探しを命じられ、
憐れな奴隷である俺はロクな装備も持たずに山野を駆けずり回る事となった。

冒頭の夢の話は、その探索から帰還する前に見た夢の話である。
まずは探索時の話から聞いてもらおうか…。



「あ~、駄目だ…。 全く見分けがつかん…」

冒頭からテンションが低いが、仕方の無い話だ。
その日は朝から厄日らしく、任務に遅刻するわ、荷造り用の箱は破れるわで不幸続きだ。

「大体ゆっくりなんて皆同じにしか見えねーぞ…」

俺の任務は美ゆっくり探し。
退屈な菓子製造ラインを抜け出してアウトドアを楽しめると思っていたのに、
待っていたのはどいつもこいつも同じ顔のゆっくり共。
広大な山野を美ゆっくりを求めて歩き続けるが、そもそも前提からして間違いだった。
ゆっくりは各個体を飾りで識別する。
また、同種が複数いても、その種族名だけで各個体を呼び分ける事が出来る。
だが、人間からしてみれば、全部同じ饅頭で、全部同じ名前にしか聞こえない。
彼女の情報によると、人間の美人に複数のパターンがある様に、
美ゆっくりにも様々な条件があるらしい。
しかし、そもそも美人の定義は人それぞれだから、美ゆっくりなど人間に分かる筈も無い。
俺はとんでもない貧乏クジを引いた様だ…。

俺の持ち物は、加工所からの支給品の双眼鏡と生け捕り様の檻。
捕獲用の網すらくれないとはケチすぎるだろう…。
私物の葉巻も持ってきたが、そもそも禁煙中だった。
彼女が嫌がるので吸わなくなっていたのだ。



「ゆっくりしていってね!」

周囲で巻き起こるゆっくりコール。
一匹が言うと周囲も釣られてあっと言う間に大合唱が始まる。
俺は今、ゆっくりの集団に囲まれているのだ。
野生のゆっくりを捕獲して、その餡子を利用して野生のゆっくりを集めてみた。
装備が少ない以上、現地調達で賄うのが基本だ。
今の俺、すごく良い事言った!

元が何かも知らずに餡子に群がるゆっくり共。
愚かにも程があるが、はっきり言ってかなりウザイ。
…が、ここは我慢だ。
折角集めたのに意味が無くなる。
食べ終わるのを待って、ゆっくり達に話しかける。

「うまかったか?」

「とってもおいしかったよ!」
「ゆっくり~! しあわせ~!」
「“おじさん”、もっとあまあまちょうだいね!」

口々に答えるゆっくり共。
一匹余計な事を言った奴がいるが、次の撒き餌は奴に決まりだな。

「そうか、良かったな。
もっと欲しかったら、“お兄さん”のお願いを聞いてくれないかな?」

「ゆ! もっとあまあまさんくれるならいいよ!」
「ゆっくりおねがいきくよ!」

「お兄さんは、美ゆっくりを見てみたいんだ。
君達の中で一番の美ゆっくりは誰かな?」

「ゆゆ?」

ゆっくり共がざわつく。
人間だってこんな事をいきなり言われたら面食らうだろ。
暫くすると幾つかのパターンに分かれた。

「ゆ! れいむがいちばんのびゆっくりだよ!」
「そんなことないぜ! このまりささまがいちばんなのぜ!」
「なにいってるの! とかいはのありすにきまってるでしょ!」

自分から美ゆっくりだと言い張るパターンと…。

「ゆゆっ! それはあのれいむだよ!」
「まりさのいもうとのまりさがいちばんなんだぜ!」
「とかいはのまりさがいちばんよ!」

他のゆっくりを推薦するパターン…。

「ゆん! れいむのまりさがいちばんの美ゆっくりだよ!」
「ゆゆ! まりさのれいむがいちばんだぜ!」

番相手を褒めるオノロケパターン…。

「ちーんぽ! まらぺにす!」
「あたいったらゆっくりね!」
「おお、びゆっくり、びゆっくり!」

意味不明の⑨パターン等だ。

人間でも美人の基準には色々ある。
ここはそれぞれの意見を聞いてみるべきだろう。



「どうしてお前達は、自分が一番だと言うんだ?」

「ゆゆっ!? おじさん、どうしてそんなこときくの!?」
「わかったのぜ! じじいはばかなんだぜ!」
「ありすのとかいはなうつくしさがわからないなんて、ほんとうにばかなのね!」

ウザイ、潰す!
俺はまだ20代だ!



「こいつらのどこが美しいんだ?」

「あのれいむはとってもゆっくりしているからだよ!」
「まりさのいもうとは、このうつくしいまりささまのいもうとだからなんだぜ!」
「まりさってばとかいはねぇえええ! ありすのあいをうけとってぇえええ!」

あ、美ゆっくり候補が減ってしまった。



「お前ら、現実が見えてるか?」

「ゆふ~ん、まりさぁ…」
「ゆへへ、かわいいんだぜれいむぅ…」

「おい、そこのありす。
こいつらがお前を都会派だって言ってるぞ」

「とかいはなりゃくだつあいねぇえええ!
ありすのてくにっくでめろめろにしてあげるわぁあああ!」

「どぼじでぞんなごどいうのぉおおお!?」

他人の、ましてやゆっくりのノロケなぞ見たくも無い。



「お前らは…、まぁ、良いか…」

「みょん?」
「あたいったらやっぱりゆっくりね!」
「おお、ほうち、ほうち!」



結局よく分からなかったので、他ゆっくり推薦系のれいむを捕まえる事にした。
生きたまま捕らえれば、途中で腐ったりしないだろう。

「ぷんぷん! はやくださないとれいむおこるよ!」

(もう怒ってるだろうが…)

「れいむがあまりにも美ゆっくりだから、特別に家であまあまを沢山上げようと思ってね。
それともれいむはゆっくりできない駄目な子なのかな?」
「ゆ!? れいむはびゆっくりでとってもゆっくりできるよ!
だからはやくあまあまさんちょうだいね!」

美ゆっくりだそうだが、性格の方までは良く無いらしい。
いや、ゆっくりというものは大体こんな感じだろうか。
とりあえず、道中で飢えて死なれても困るので、
自称美ゆっくりの成れの果てを与えておいた。

「む~しゃ、む~しゃ! しあわせ~!」

頭の方も残念な様だな。
まぁ、天は二物を与えずという事だろう。



れいむを捕らえて帰還する道中、深い谷川に掛かる吊り橋を通る事になった。
気が付けば辺りは深い霧に包まれており、自然と警戒した足取りになる。
橋の上をゆっくりと進んで行くと、霧の中から何かが現れた。

「おにいさん、ゆっくりしてないね…」

幅いっぱいに広がった体が橋を塞いでいる。
この大きさ、ドスまりさとよばれるものだろう。

「一体何の様だ? お前が邪魔で通れないんだが…」
「むれのなかまをかえしてもらうよ!」
「ああ、こいつの事か。 残念だがそれは出来ないな」
「じゃあ、ちからづくでとりかえすよ!」

全く、今日は厄日らしい。
次から次へと良く無い事が起こる。

「ドスぅううううっ!!」

俺は溜まりに溜まったストレスをこいつにぶつけて発散してやろうとした。
だが、考えが甘かったようだ…。

「ゆぅ!」

器用に舌で俺の拳を受け止めるドス。
慌てて引き戻そうとするが、舌で腕を捻り上げてきた。

「がはぁあっ!」

折れた。 右腕の骨を折られてしまった。

「ゆふっ!」
「ぐほおっ!」

次いで胸に舌で重い一撃を受けた。
息が苦しい。 今ので肋骨が折れた様だ。
呼吸が出来ずに橋の上でうずくまってしまう…。

「なかまはかえしてもらうよ…」
「ぐっ、くそ…っ!」

美ゆっくりを奪われてしまった。
ふら付きながら何とか立ち上がるが、もう戦う力が残っていない…。

「ドス、ゆっくりはなしてね!
れいむはおにいさんにたくさんあまあまさんをもらうんだよ!」
「ゆゆっ!? れいむ、それはだまされてるんだよ!」
「うそつかないでね! ドスはれいむのあまあまさんをうばうきなんだね!
ゆっくりできないドスはさっさとしんでね!」
「どぼじでぞんなごどいうのぉおおおっ!!?」

そんな問答の間にどうにか息を整える事は出来た。
しかし、虚勢を張るだけで精一杯だ。

「れいむ、そんなずるいドスなんかより俺と一緒に来た方が良いぞ!」
「そうだよ! れいむはおにいさんについていくから、ゆっくりしないではなしてね!
ゆっくりしてないドスははやくしんでね!」
「ゆぐぐぐぐ…、ゆわぁああああっ!!」

形勢逆転だ。
俺とれいむの心無い言葉によってドスの心はボロボロだ。
これなら何とかなるかもしれない!

「ゆっくりしないで死ねぇええ!!」

お決まりの台詞と共に最後の一撃を放とうとした。
だが、その一撃は届かなかった。

「うっ、く…っ!?」

蜂だ! 大量の蜂がどこからとも無く現れ、俺にまとわり付いてきた!
まだ、刺されてはいないが、こう数が多くては振り払う事も出来ない。

「くそっ、一体どこから…!?」

「おまえたち、きていたのか…」
「ドス…、またいっしょにたたかえる」

ドスには何匹かの仲間がいた様だ。
その仲の一匹、虫の様なゆっくりがこの蜂を操っているらしい。
このままでは不利になるだけだと判断し、蜂に構わず攻撃に出た!

「うおぉおおおっ!!!」
「ゆんっ!!」

「ぐおはぁっ!!」

だが、弱っていた俺は簡単に返り討ちにされてしまった。
目が霞み、足元がふらつく中、何とかドスの前まで近づき、その体に倒れこむ。

「さようなら、にんげんさん…」

ドスが俺を谷底へと突き落とした。
その時、俺が握っていた為ドスの帽子からリボンが解けてしまった。

「ドスのおりぼんがぁあああっ!!」

最後に一矢報いてやったというところか。
そんな事を考えながら、俺は深い谷底へと落ちていった…。

(カ○リーメイトが食べたいなぁ…)



その後流れ着いた川岸で、俺は自分で最低限の治療を施し、何とか一命を取り留めた。
体のあちこちに骨折に創傷を負っていて満身創痍だったが、
彼女がこっそり救急キットを装備に入れてくれていたので助かったのだ。
後で彼女に感謝しないとなと考えつつ、久々に葉巻に火を点けて吸ってみた。

「げほっ、ごほごほごほっ!!」

むせた。 やっぱり健康には良く無いな。
体中怪我だらけだが、冗談が思いつくなら大丈夫だろう。
眠くなってきたので、ゆっくりと目を閉じる。
俺はそのまま気を失ってしまったらしい…。
葉巻の火が不始末だったが、偶々落ち葉に燃え移って狼煙代わりになった様だ。
おかげで付近の村人に救助してもらえたが、不始末を起こられたのは言うまでも無い…。



「…という訳で何とか生きて戻ってきました!」
「それで、美ゆっくりは?」
「あ…、えっと…、それは…」

帰還報告を行って、返ってきた返事は寂しいものだった。
「あなたが生きて帰ってきてくれた事が、一番嬉しいわ!」なんて言ってくれない辺り、
『まさに外道!』という感じだが、任務優先なので仕方あるまい。
肝心の美ゆっくりはと言うと…。

「川に流されている間に溶けてしまった様で…」
「次の給与査定、楽しみにしておく事ね…」

俺の厄日はまだ続いている様だ…。



ここまでが俺の美ゆっくり探索の時のお話だ。
その後何度か憐れな犠牲者達が探索に駆り出され(俺は参加しなかった)、
多くの犠牲の基に、美ゆっくりの捕獲に成功した。

「これが噂の美ゆっくりね…」

(以前の奴といい、やっぱり全部同じに見える…)

「ねぇ、ゆっくり達の美意識の基準って何だと思う?」
「んー? 全く分からねぇなぁ…」
「あなた、それでも加工所職員なの? 次の給与査定が楽しみね」
「どぼじでぞんな事言うのぉおおお!!?」

「良いかしら? ゆっくりとって最も大事なものは?」
「え、“ゆっくりしている事”じゃないのか?」
「そう。 でも、“ゆっくりしている事”は漠然とし過ぎた概念よね?
だから、ゆっくりの各部分を総合的に判断するのよ」
「…えーと?」
「つまり、髪や飾り、目や肌といった体の各所を見て、
ゆっくり達がゆっくりできるか、簡単に言えば気に入るかというかという事よ」
「割と細かいんだな」
「ゆっくり達はその判断が一瞬で出来るみたいよ。
飾りや名前の異音識別と同じ原理みたい」
「それで、ゆっくりできる基準って何だ?」
「全体的に言える事は汚れていない、欠損していないという事ね。
少しでも異常がある場合は本能的に除外しようとするの。
飾り無しが加害対象になるのが分かりやすい例ね」
「自分と違うものを認めない訳か」
「障害を持った個体の遺棄は自然界でもある事だけどね」
「運動能力等の個体差は影響しないのか?」
「内面より外面を優先する傾向にあるから、
例えば動きが鈍くても余程の事が無い限りは排除されないわ。
むしろゆっくりしているとして歓迎するのかもね」
「滅茶苦茶だな」
「所詮ゆっくりだもの」
「人間が判別するには?」
「美ゆっくりと呼ばれる個体は見た目上高級饅頭らしいわ。
でも、ゆっくりした環境で育つから味は不味いそうよ」
「基準が分かり難い上に、食べたら最早美ゆっくりではなくなるな」
「まったく、面倒な生き物よね」
「もっと簡単な判別方法は無いのか?」
「“らりるれろ”」
「は…?」
「“ら・り・る・れ・ろ”よ。 “愛虐者”達の間で使われる判別方法よ」
「何だそりゃ?」
「私は愛虐者じゃないもの。 詳しくは知らないわ。
その内作者が適当なこじ付けを思いつくかもね」
「一体何の話をしてるんだ?」



「ゆっくりしていってね!
うつくしいれいむにあまあまたくさんちょうだいね!」

「それで、この美ゆっくりをどうするんだ?」
「そうね、まずは遺伝子を分析でもしてみようかしら」
「遺伝子? ゆっくりに遺伝子なんてあるのか?」
「あら、生物である以上、ゆっくりにも遺伝子があるのよ?」
「こんなでたらめな生物にか?」
「24対の遺伝子があって、れいむ種なら小麦と小豆に似た特性を持つそうよ」
「どこまで適当なんだ…」

「ばばぁ! はやくれいむにあまあまをよこせ!!」

その時俺は、静けさの中に恐るべき殺気を感じ取った!
俺の体の周りの気配感知線が全て真っ赤に染まっているではないか!

「うふふふふ…。 楽しい実験になりそうね…」



注射器がれいむの体に突き刺さり、内部組織を吸い取っていく。
そんなに大量に要らない筈なのだが、彼女はわざとやっているのだろう。

「ゆぎゃあああ! やめでぇえええ、れいむのなかみすいとらないでぇえええ!!」

最後に引き抜く時にグリグリと掻き回してから針を引き抜く。
酷い、あれでは自然に塞がる事は無いだろう…。

「あら~、ちょっと採り過ぎちゃったわね~。
可哀想だから返してあげるわね~」
「ゆががががっ! れひむのくひをひっふぁらなひふぇえええっ!!」

台に固定して、四方から鉤で口を引っ張り開ける。
ギリギリまで引っ張り、皮が少し伸びたところでまた引っ張り、
皮が伸びる限界まで口を引っ張り続けた。

「さぁ、美味しいあまあまよ~! 沢山お食べなさ~い!」

その状態でれいむの餡子を流し込む。
先程余計に吸い上げた分を口の中に戻しているのだ。

「ゆげっ、げほげほっ! あまあまざんはひらないでずぅううう!!」

口が開けっ放しなので飲み込めないのだろう。
喉に詰まらせて吐き出してしまう。

「あら、勿体無いわねぇ。 遠慮せずに沢山お食べなさいって」

零れた餡子を拾い上げ、口の中に放り込み、上から板で押し込んでいく。
蓋をされているので吐き出す事が出来ず、れいむは苦しそうにもがいている。

「おばざん、もうゆるじでぐだざいぃいいいいっ!!」
「駄目よ~、ちゃんと全部食べないとあなた死んじゃうわよ~」

口を開けば余計な事しか言わないゆっくりれいむ。
口は災いの元、俺も肝に銘じておかねば…。



一通りれいむを虐めて気が済んだのか、
それとも『うつくしくてびゅーてぃふるではっぽうびじんのおねいさん』と言われて
(言わせて)気が済んだのか、彼女は研究室に去って行った。

(『美しくてビューティフル』はともかく、『八方美人』は意味が違わないか?
いや、ある意味で正解か…?)

『永遠の17歳』とかも言わせようとしていたので、今後彼女の前で年齢の話は禁句だな。
そう心に硬く刻み込み、残されたボロボロれいむの治療をしていた。

「ゆ…っ、ゆ…っ」
「こりゃ、重症だな…。 何とか治ると良いんだが…」

傷口を小麦粉で塞ぎ、オレンジジュースに浸けてみたが、中々治らない。

「しかし、あいつ愛虐者じゃないとか言ってたけど、絶対嘘だな」

彼女と付き合っていて良いのだろうかという疑問が湧き出てきた。
不安だ、彼女の知ってはならない一面を知った気がする…。

「ゆ…ぅ、ここは…?」
「お、気が付いたか?」

元美ゆっくりれいむが目を覚ました。
さすがゆっくりだ、何とも無いぜ。

「ゆ…、おじさん…。 れひむをふぁすけてくれふぁんだね…」
「ああ、さすがに伸びた口の皮までは直せなかったけどな」
「ありがとう…、でも…、もうれひむはえひえんにゆっくりするよ…。
さひごにおじさんにたのみごとがあるんだけどきひてくれる…?」
「そうか…。 いいぜ、聞いてやる」
「もりのドスが、にんげんさんのむらをおそおうとしているよ…。
れいむたちははんたいしたんだけど、やめてくれないよ…。
たぶん、ドスはなかまのゆっくりにそそのかされているんだよ…。
おねがひ、おじさん…。 ドスをとめてほしひんだよ…」
「……………。 あいつがそんな事を…。
分かった、お前の願いしっかり聞き届けたぞ」
「ありがとう…。 もっとゆっくりしたか…っ」
「最期に言っておく、俺はかーなーりお兄さんだ!」
「ゆがっ! ゆっくりしたけっかがこれだよ!」

れいむに止めの一撃を加えてから、ゆっくり遺言の意味を考える。
もりのドスとは、恐らく俺が吊り橋で遭遇したドスの事だろう。
自分で言うのも何だが、俺は猛者揃いの加工所内でも一二を争うほど強いつもりだ。
その俺を簡単に倒したドス、そしてその配下のゆっくり達。
それが村を襲う計画を立てている。
これはまずいな…。
加工所特殊部門“YUX”隊員として、この事態を見過ごす訳にはいかない。
早急にドスを抹殺せねば…!



「だから、それは夢の話でしょうが!」

彼女からの容赦の無いツッコミが入った。
いつの間にか口に出ていた様だ。
全くもってその通りです。
誰があんな奴と再び戦うものか。
襲撃計画を通報はしても、俺としては平和に過ごしていたいのだ。
ドス狩りには他の職員に行ってもらう事にしよう。



だが、その考えが甘かったという事を俺は思い知る事になる。
後日、加工所に村の壊滅の知らせが飛び込んできたのだ。
最早猶予は無い、いつか見た夢の様に、俺はドスと戦う運命にあるのだろうか…。
ドスから奪ったリボンをバンダナ代わりに額に巻きつけ、俺は戦場へと歩みを進める…。



【色々問題点がある様な気がする。
でも、予告は裏切る為にあると思います】

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最終更新:2022年05月19日 12:59