西暦2009年、地球を核の炎が襲った。世に言うセカンドインパクトであった。
生き残った人類は、自らの貧弱な体を鍛え核戦争の火種となったゆっくりうつほをやけに派手な効果音の出る
暗殺拳を用いて根絶、さらについでとばかりに他の種のゆっくりを次々と駆逐した。
そして、人の手には負えぬと思われたゆっくりたちの守護神、18の巨大ゆっくり達もある一人の世紀末(?)
覇王による一片の悔いも無い拳によって成層圏のさらに先へと追い出す事に成功し、一部の家畜、愛玩用の
ゆっくりを除く全てのゆっくりを抹殺する事に成功した人類は平穏を取り戻したのだった。
そしてそれから時は流れ、人々が暗殺拳と強靭な肉体を失った頃の――

『3000年ぶりの地球か……人類は、……見える見えるぅ!!!』

――西暦5009年、3000年ぶりにそれは地球へと降り立った。











「ゆぅ、でんわさんがつながらないよ……」

待ち合わせをしていたはずの人物が現れず、仕方なく公衆電話を使っていたれいむは困った顔でそう呟いた。
れいむは足元に置いた写真をもう一度よく見て、そこに写ってる、やけに胸元を強調したような水着を着て
セクシーポーズを決めているダイナマイトバディの漢が辺りにいないかを確認して、やはり見当たらない事を
再認識し、溜息をついた。

「しかたないからしぇるたーにいくよ」

そう呟き、ずーりずーりと地面を這……おうとし、急に吹いた突風に驚き、地面に伏せた。
見上げれば、くすんだ色の空にはいくつもの武装したヘリの姿。そして、そのヘリに取り囲まれる、一つの
巨大な影。
影はその大きく、禍々しい顎を開き、地獄の底から響き渡るような恐ろしい叫びを上げた。

『うーうー♪』
「れ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

空を舞うその姿に、れいむは恐れ慄きこんな→(○)(○)目になる。
無理もない。れみりゃは通常種のゆっくりにとって最も身近な恐怖の形の一つだ。加えて、そのれみりゃは
あまりに巨大であった。ドスだとかティガだとか、だとかそういう次元ではない。あえて言うならシェンや
ラオといった巨大さ。低空飛行をするれみりゃのすぐ横のビルがジェンガに見えるほどの呆れた巨大さを
持っていた。
それだけでなく、れみりゃは周りを飛んでいるヘリをまるで遊んでいるかのような無邪気な顔で何機も撃墜
するのだ。ヘリには人間が乗っているのは常識。つまりあのれみりゃは軽々と人間の命を奪えるほどの力を
持っている。これが恐怖でなくてなんだ。
今はこちらに気付いていない。だが時間の問題だ。いずれ気付かれて食われるか、気付かれないまま遊びに
巻き込まれて死ぬ。れいむはそれを覚悟(むしろ諦観というべきか?)した。
れいむの視線を遮るようにそれが現れたのは、丁度その時だった。

「おまたせ」

それの助手席の窓が開き、中からムキムキのマッスルガイが姿を現す。それはれいむの持っている写真に
映っていた、虐兄ミサトその人だった。
ミサトさんはれいむに怖気の走るウィンクをすると、手早く助手席のドアを開けた。

「虐兄シンジくんね。乗って!」
「れいむはれいむだよ。まちがわないでね」

大事な事を指摘しながられいむは助手席に飛び乗り、ドアが閉まるよりも先に車が発進した。

「お゛ぢるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「しっかり捕まっててよ!」

ミサトさんはそう言いながら凄まじい急ハンドルを切り、丁度落下してきていたヘリの残骸を見事に避けた。
乗った直後に空きっぱなしのドアの外へ放り出されそうになったれいむは必死にシートに噛み付いて車内に
残る。

「テンションあがってきた!」
「おにいざぁぁぁぁぁぁん!! おでがいだがらゆっぐりじでよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

れいむは、シートに噛み付きながら器用に声を上げたが、ミサトさんは見事なヘッドバンキングを披露する
ばかりで、ちっともスピードも危険走行もやめてくれなかった。






「ついたわよ」

ゆルフ本部。頑強な防護壁で囲まれたそこの入り口の前で、ミサトさんは背後にいるれいむにそう告げた。

「ゆ、ゆっぐ……おにいざんが……でいぶはやべでっでいっだのに……ごんなのいやだっでいっだのに……」

れいむは泣いていた。無理もない。ゆっくりしてないスピードで放り出されるかもしれないという、巨大な
れみりゃと比肩するほどの脅威と恐怖を味わい続けたのだ。人間だって腰くらい抜かすだろう。発狂して
いないだけ、れいむは強かったと言えなくも無い。

ミサトさんはぐずぐずと泣き続けるれいむをずりずりと引き摺ってゆルフ本部へと入る。そして通路の途中で
見知った顔を見つけ、片手を上げて声をかけた。

「リツコ!」
「遅かったわねミサト」

リツコと呼ばれたいかつい体つきの漢は返事を返すと、手に持っていた機材をしまいながらミサトの足元で
うずくまっているそれを指差しながら言った。

「その子が例の子ね」
「えぇ」

ミサトさんが答える。
リツコはれいむの前に屈みこむと、れいむのほっぺを二、三度軽く引っぱたいて無理矢理正気に戻し、更に
日頃の鬱憤からもう一度引っぱたいてから、こう言った。

「あなたに見せたいものがあるわ」







バチン、と音を立ててライトの電源がつけられた。
真っ暗だったその、何かの格納庫らしき場所が眩い光で照らされ、その光の強さにれいむは思わず目を瞑る。
そして瞼越しの光になれ、瞳を開くと。

「ゆぅー! すごくゆっくりしてるよ!」

そこにあったのは、とってもゆっくりしたおっきなおっきな胴付きゆっくりれいむだった。
それが本物のゆっくりではない事はれいむにもわかる。幾本ものケーブルで繋がれたそれはおおよそ普通の
ゆっくりにはないものだし、見た目はゆっくりしているもののそれには自らの『ゆっくり』した意思が感じ
られなかったから。たぶん人間の作った機械、ロボットとかそういうのだろう。
しかしそれでもゆっくりしているものはゆっくりしている。れいむはぽいんぽいんとその場で飛び跳ねながら
はしゃぎ続けた。

「人が作り出した使徒に対抗するための唯一の切り札」

そんなれいむの背後からリツコの声が響く。れいむには意味がわからなかったが、とにかく凄くてゆっくり
できてるものだという事だけは理解できた。

「シンジくん」
「れいむはれいむだよ! まちがわないでね!」

れいむはまた名前を間違えられて、ぷくーっと怒りを露にしながら振り向いた。
そしてリツコは、真面目な表情でれいむの前に屈みこんで、

「あなたが乗るのよ」

そう、言った。

「……………………ゆ?」

言われている意味がわからず、れいむは小首を傾げつつとぼけた声を上げた。
一度、背後を振り向く。そこにはゆっくりしたロボが。
れいむはもう一度振り向く。そこにはれいむを指差して首を縦に振るリツコ。
その挙動を4,5往復ほど繰り返し、そして唐突に理解し、叫んだ。

「まさかれいむに、このろぼっとさんにのってさっきのれみりゃとたたかえっていうの?!」
『ロボットではない。汎用胴付饅頭型決戦兵器。ゆヴァンゲリオンだ』


突如頭上から聞き覚えのある声が響く。れいむは驚きながら振り向き、空を仰ぐ。
あのゆっくりしたロボット……ゆヴァンゲリオンの更に上、強化ガラスの張られたその向こう側で、それは
れいむを悠然と見下ろしていた。
れいむの口からそれの名前が零れ落ちる。

「おにいさん……」
「久しぶりだな」

懐かしさなどこれっぽっちも感じさせない声。それは数年ぶりに再会した家族の声には、到底聞こえないもの
だった。
れいむの脳裏に過去の苦い記憶が蘇り、れいむはお兄さんの顔を見ていられずに俯いた。そしてそのままお兄
さんに問う。

「おにいさんはれいむがいらないんじゃなかったの?」
「必要だから呼んだまでだ」
「……なんでれいむなの?」
「他の者を探すのは面倒だったからな」
「できるわけないよ……なんにもしらないのにのれるわけないよ!」
「説明を受けろ」

非情かつ無情。お兄さんはまったく感情の篭らない顔と声でただれいむの言葉に答えていく。
れいむは、それに絶えかねて大声を張り上げた。

「こんな……こんなのってないよ! できるわけないよ!」
「乗るなら速くしろ。でなければ帰れ」

あまりにそっけなく、酷薄な言葉。
お兄さんの言葉を受けて、れいむは。

「もうやだ! おうちかえる!」

言われた通り、家に帰ろうと逃げ出した。
ミサトさんはそんなれいむをがっしと掴むと、上司であるお兄さんに目配せする。
お兄さんは仏頂面でサングラスを指でクイクイさせながら指示を出す。

「構わん、プラグに詰め込め」
「了解」
「やめでね?! やめでねぇぇぇぇぇ?! でいぶをはなじでねぇぇぇぇぇぇぇ?!」

嫌がるれいむの声が、広い格納庫の中で響いていた。









「いいのか、虐兄」

虐兄の背後にいる、初老の男性が声をかける。彼はこのゆルフで二番目の権力者、副指令の虐兄だ。
最高権限を持つ司令たる虐兄は、虐兄に背を向けたままこう答えた。

「あぁ。冬のナマズのように大人しくさせろ」







一方、れいむは。

「やべでよぉぉぉ! でいぶのりだぐないぃぃぃ!」

妙なデザインの服を着させられ、今にもゆヴァのプラグに詰め込まれそうになっていた。

「司令、いいんですか本当に?」
「このような精神状態では乗せてもゆヴァを操縦できるとは思えませんが」

あまりに必死に嫌がるれいむを見て、作業を任された二人が不安になり指示を求める。
返事はすぐ帰ってきた。

『構わん、冬のナマズのように大人しくさせろ』
「「了解」」
「ゆべっ?!」

そして、指示されたんだから仕方ないよねという免罪符を手にれいむをエントリープラグに蹴り落とし、
そのままそそくさと持ち場へ戻っていった。
れいむは打ち付けた顔面をもみあげでなでつけながらよろよろと起き上がる。

『LCL注入開始』

と、そこへ通信機越しに声が響くと同時に、足元からなにやらぬちゃぬちゃしたものが沸き始めた。それも
凄まじい勢いで。

「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ?! おみずざんはゆっぐりでぎないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

半狂乱になり必死に狭いプラグ内を跳ね回るれいむ。そんなれいむに、リツコは通信機越しに声をかける。

『落ち着いてシンジくん。その溶液で肺を満たせば肺に直接酸素を送ってくれるわ』
『ねぇ、シンジくんに肺なんか無いんじゃない?』
『……あら、じゃあ別に注入する必要なかったわね』

通信機の向こうでどっと笑い声が上がった。
が、れいむは笑っていられる状況下になかった。

「だずげでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! でいぶどげぢゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
『大丈夫。LCLにゆっくりが溶けたという記録は無いわ』
「ゆっ! ほんとう!」
『えぇ。LCLに漬かったゆっくりはあなたが初めてですもの』
「……? ~~。……、?! ぢっどもだいじょうぶじゃないでじょぉぉぉぉぼごげぼがぼ?!」

水位が口よりも上に上がると同時に口の中を溶液で蹂躙され苦しくもないのに苦悶の声を上げ、果てには
溺れたと思い込んで「もっとゆっくりしたかった」とまで言いかけた所で、ようやく平気な事に気がついた。

「でもぎもぢわるいよぉぉぉぉぉ」

全身を生暖かい物で包まれるというeraい事態に、れいむはそう呟き、異常経験が+1される。
通信機の先からは餡ビリカルケーブルがどうとか最終安全装置がどうとか、わけのわからない声が響いている。
聞いてもわけがわからないのでそこでゆっくりしていると、突如体が地面に押し付けられるような凄まじい
衝撃を受け、それが止むと同時に口から少量の餡子を吐くと突然目の前が明るくなり、外の光景が見える
ようになった。

『うーうー! うー?』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

楽しそうにビルをなぎ倒すれみりゃの姿で前方が埋め尽くされ、思わずれいむは叫び声を上げてしまう。
すると、先ほどまでビルで遊んでいたれみりゃが急にこちらに振り向いてきた。
通信機からは

『あ、外部への拡声器ONになったままだったわ。今ので気付かれたわね』

という声が響いていたが、れいむにはそれを聞く心の余裕はなかった。
ぱたぱたうーうーと可愛いらしい音を立てながら近付いてくる死の恐怖。れいむはただガタガタと震えるしか
なかった。

『シンジくん、今はただ歩く事だけを考えて。考えながらレバーを引いたり押したりすれば動くから』

通信機から声が響く。れいむは震えながらその太くて硬ぁいレバーをその口に咥えこむと、『いつもどおり』
歩くイメージを思い浮かべながら、思い切り奥へと押し込んだ。
瞬間、ゆヴァの頭だけが異常な速度で上空へ跳ね上がり、勢いで首周りの皮膚がずたずたに引き裂かれ、挙句
首から下の重量を全て顔面で背負って頭から地面へ着地した。

「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! あんよのじだがいだいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」

れいむはプラグ内で、自分には存在しない、あんよの下の首がずたずたにされる痛みを感じてじたばたと暴れ
回った。通信機から『そういえばシンジくんは胴付きじゃないわね』や、『あぁ、首だけで跳ねようとしちゃ
ったってわけね』等の声が響くが、当然のようにれいむの耳には入らなかった。

『うー! うー!』

その間にゆヴァの間近まで迫ってきていたれみりゃ。倒れているゆヴァの左腕を咥えると、そのままぱたぱた
と宙に浮き上がる。

『ゆびぃぃぃぃぃぃぃい!! いぢゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい?!』

みぢみぢ、びきびきと異様な音を立てるゆヴァの左腕の痛みを受けて、れいむは必死に歯を食いしばる。

『おちついてシンジくん、あなたに腕は無いのよ!』

通信機からは最もな言葉が発せられるが、痛いものは痛いのだからしょうがない。
そして、

『うー♪』

ごぎり、というとても耳に残る、鈍く嫌な音が辺りに響いた。






その時、虐兄司令と虐兄副指令は。

「負けたな」
「あぁ」

せんべいを齧りながら、冷静に言葉を交わしていた。





「ゆ゛っ、ゆぎっゆぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?! ごれどごがいだいのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!
 ぜんぜんわがんないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?! も゛うやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 おうぢがえるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

れいむは、その余りの痛みに既に戦意を喪失していた。プラグ内で暴れるばかりで既に操縦桿にすら触れては
いない。
本来なら役立たずを強制射出する所だが、跳ねた時に機材が誤作動を起こしそれは不可能になっていた。
れみりゃは冬のナマズのように大人しくなったゆヴァを仰向けに寝かせると、その腹部に牙をつきたてた。
そしてそのまま体をそらし、ゆヴァの肉を引き千切り口の中に収めた。
その行為を見たゆルフ本部は驚愕した。

『ゆヴァを……食ってる?!』
『餡2器官を取り込んでいるというの?!』

その間にもれみりゃによるゆヴァの蹂躙は行われる。れみりゃは腹部が裂けて露になった腸をいくつも牙に
巻きつけると、それを飛びながら引っ張って遊び始めた。

「                                        !!!!!!!」

体の内部をぐちゃぐちゃに掻き回され、喰われながら引きずりまわされる感覚。れいむは既に声すら上げる
事ができぬほど精神にダメージを受けていた。
ぶぢりぶぢりと異音を立てて腸が引き千切られ、千切れた部分から投棄され、また新しい腸を引きずり出して
飛びまわる。この都市の地上はゆヴァの血と臓物によって隅々まで赤く染め上げられてしまった。

『腸を撒くのをやめさせい』

発令所で彼我の実力差を考慮しないミサトさんが苦々しい表情でそう呟いたが、誰も答える物はいなかった。
やがて引きずり出すのに飽きたのか、れみりゃはぱたぱたと降りてきて、ゆヴァの傷口から直に腸を食い
始めた。
くっちゃ、くちゃり、ぴり、ごぎり、むしゃり、くちゃり、ぺきぃ、ぶぢぶぢ、むしゃり。
その余りのグロテスクな光景と、まるで人間が野生動物に食われているようなリアルな音声に、ゆルフの
人間は揃って勃起してしまっていた。
そして、突如れみりゃがゆヴァを喰うのをやめると、その体に変化が現れた。
れみりゃのあんよがぼごぼごと盛り上がり、見る見るうちにソレは一つの形を成していく。
人間の首から下の形だ。
そしてれみりゃは、ゆヴァの肉片から手に入れた足で地面に降り立ち、咆哮を上げた。。

『れみ☆ りゃ☆ うー☆ おぜうさまはかりすまなんだどー☆』

キラッ☆ と、れみりゃの目から星が飛んだ。





一方、れいむはもう駄目であった。
画面は全面レッドを示し、地面を引きずり回された際に顔の半分を削り落とされ、更には存在しない首から
下の左腕、右脚が複雑骨折、腹は開かれ引き千切られた臓物を風が撫でる激痛に、れいむはもはや冬のナマズの
ように大人しくなってしまっていた。
戦意がないどころではない。れいむの目には既に生きる意思すら浮かんでいない。
ただ、一つのささやかな願いを口にするだけの人形になっていた。
れいむは、壊れたレコードのように呟き続ける。

「ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、
 ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい、ゆっくりしたい」

その時、一面レッドだけだったゆヴァのモニターに外の蒼い空が映し出された。
すでにれいむにはそれが何なのか理解する事はできない。ただ、それが途方も無く美しいように感じて。
れいむは、その空を?もうと、自分には存在しない右腕を翳した。
そして。

『すぴあざぐんぐにる~☆』

空の光を遮る一転の黒影から放たれた赤い槍によって、その右腕を裂かれ。
れいむは、完全に意識を失った。







「ゆヴァ大破、パイロットの生死不明……」

幾十の槍に刺し貫かれたゆヴァを見ながら、オペレーターがそう告げる。大破したゆヴァと同じスクリーンに
映るれみりゃは、うっうーと鳴きながらゴキゲンなダンスを踊っている。
発令所の中に絶望的な空気が蔓延する。れいむのやられっぷりに興奮して忘れていたが、このままでは人類は
滅んでしまうのだ。
皆が意気消沈する中、副指令である虐兄はひっそりと肩を落とす虐兄司令の肩に手を置きながら言う。

「虐兄、こうなったら仕方ないな」
「あぁ。そうだな」

司令が力なく頷き、副指令が声を張り上げた。

「パイロットの代わりにダミープラグを搭載しておいたゆヴァを出すしかない!」
「「「「「えぇー?!」」」」」

発令所中の人間達が揃って驚愕する声が上がった。
それを他所に、地上まで上がったカラーリングの違うゆヴァはれみりゃを見つけるとすぐさま走りより、その
ふとましい脚をひっかけて転ばし、頭をぽこすかと殴り始めた。

『う゛ー?! う゛ぁー! やべでぇー!』

その余りに一方的な戦闘に、局員達が叫びを上げる。

「一人で戦ってるじゃないかぁー!」
「使徒、冬のナマズのようにおとなしくなっていきます……」
「そんな事できるんなら何の為に時間と資金をつぎ込んでゆっくりが乗れるようにしたのよ?!」

頭から肉汁を零し始めたれみりゃを見て、局員達は様々な愚痴を零しながら司令と副指令に詰め寄る。(特に
開発に関わったリツコが恐ろしい形相をしている)
司令は、顔にかけられたサングラスをくいくいと動かすと、そのどこか死んだような瞳で局員達を見据え、こう
告げた。

「兵器にはパイロットが乗らないとロマンが無いだろう」

しん……と場が静まり返った。

「それは……そうですけど……」

ここ、ゆルフの局員達の98%強は、漫画やアニメに影響され、しかし軍に入るほどの能力や根性はなかった
人間であり、今の虐兄司令の言葉に共感しないものはただの一人も存在しなかった。
全員が反論する言葉を失って沈黙する中、使徒れみりゃはゆヴァの手によってひっそりと冬のナマズのように
おとなしくさせられていた。


おわり

あとがき
この後、無事生還し、気絶してる間に第3使徒れみエルを倒した事にされたれいむは調子に乗って転校先の
クラスで自慢話をし、ブチ切れた関西人にボコボコにされ、扱いに納得がいかずイライラしながら迎えた
次の出撃で現れた第4使徒うでまりエルに瞬殺。
人類は滅びましたとさ。


お題消化率 5/41
お題:3000年ぶりの地球か……人類は、……見える見えるぅ!!!

byゆっくりのあねきィィ!の人


おまけ

れみりゃ襲撃時の軍の通信記録


「どうした! 何故攻撃しない!」
『駄目です! あいつは……可愛すぎます!』
『こんな可愛いのをいじめる奴は人間じゃねぇ』
『うーうーってやつかわい……(何かの衝突音)うわぁぁぁぁぁぁ!(爆発音)』
「駄目だこいつら……早くなんとかしないと……」



れみりゃ成長時の通信記録


「駄目だ! もう指揮権はゆルフに移った! さっきまで嫌がってたのに何故出撃したがる?!」
『許可をください! あんな手足の生えたウザ饅頭俺が修正してやるんだ!』
『あの豚饅野郎が!』
『しげちー口調がムカつくんだよ!』
「駄目だこいつら……早くなんとかしないと……」

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最終更新:2022年05月19日 14:34