「ゆっくり外交の手引き」


  • ドスまりさが出没するよ!!
  • 虐待というより征伐だよ!!
  • 登場人物の個性が強いかもしれないけど、気にしないでね!!

















『この村のリーダーをよんでね!!その人とはなしがしたいよ!!』

直径5メートルを超える巨体。地を震わす声。人間が雨宿りできるほどの大きな黒い帽子。
話には聞いていたが、ついにこの村に来るとは…!
ばったり出くわした村人達は、驚きを隠せなかった。

「これが…!」
「ついにこの村にも…!」
「お、俺は村長を呼んでくる!!」

くいっと頬を緩ませるのは、自信の表れ。
力の篭った目は、自分の正しさを確信している証。
力こそ正義。正義こそ力。その口が無言で語るのは、2つの真理。


この世界で知らぬものはいない―――ドスまりさである。


ドスまりさは、村と森の境界にある広場に堂々と鎮座していた。

「ゆっ!ドスまりさ!このむらでもうまくいくといいね!!」
『れいむ!人間にきかれたらまずいよ!!ゆっくりしずかにしててね!』



ドスまりさは、側近であるゆっくりれいむと他に5匹程度のゆっくりを引き連れていた。
れいむとドスまりさがぼそぼそと言葉を交わすが、目の前の村人にすら届いていなかった。



しばらくして、一人の村人が5人の若い男を連れて戻ってきた。

「案内ご苦労。君達は自分の仕事に戻ってください」
「ここからは我々の仕事だ。君達は何も心配しなくていい」

普通の村人とは明らかに違う、清潔感のあるビシッとした服装。
5人は背丈も体格も顔も違うが、彼らは総じて自信ありげな笑みを浮かべている。
ドスまりさの巨体を目にしても、彼らの笑顔は崩れることはなかった。

その中の一人が、一歩前に出てドスまりさを見上げた。

「ほぅ、君が話に聞いていたドスまりさか」
『ゆっ!!まりさはリーダーに話があるんだよ!!ふつうのひととは話をしないよ!!』

ゆっくりという生き物は、相手を見た目で判断する傾向がある。
ドスまりさほどの知能を持っていてもそれは健在で、目の前の若い男が“それ”だとは気づかなかった。
5人の男は互いに顔を見合わせると、示し合わせたかのように一斉に笑い始めた。

「あっははははは!!!」「ふはははははは!!!」
「そうかそうか、ゆっくりは見た目でモノを判断するからなぁ!」
『ゆ!!何がおかしいの!?さっさとリーダーをよんできてね!!時間かせぎはむいみだよ!!』
「ははは!……これは失礼。私こそが、この村の村長である。我々は君達の訪問を歓迎するよ」

“村長”は恭しく頭を下げると、再びドスまりさの顔を見上げた。
そのドスまりさの顔は、疑問と驚きで何とも形容しがたい形に歪んでいる。
今までいくつもの人里を目にしてきたドスまりさにとって、“村長”とは白髪に髭を蓄えた老人というイメージが定着していたのだ。

『ゆ!?あなたが村長なの!?ごめんなさい!!まりさ気づかなかったよ!!』
「いやぁ気づかないのも無理はない。この若さではね、他の村の村長にもよく舐められるものさ」

ドスまりさは、外見で村長ではないと決め付けたことを詫びた。
村長もこういった経験は一度や二度ではないらしく、自嘲気味に苦笑する。

「ふふふ…さて“本題”に入ろうか。君達も、村に観光にやってきたわけではあるまい?」
『ゆ゛っ!!』

鋭い目で側近を含む6匹を見下ろす村長。
ドスまりさは、そんな視線から守るべく6匹を自分の影に隠した。

『ゆぐぐ!!そうだね!まりさも村長さんにお願いしたいことがあるよ!!』
「…お聞きしよう。我々に出来ることなら、全身全霊で協力するよ」

村長だけでなく、彼の側近4人も不敵な笑みを浮かべる。
これで、対峙しているのが人間であれば不信感を抱いて、少しは疑り深くなるものだが…
残念ながら、ドスまりさはとてもゆっくりしたゆっくりだったので、なんら違和感を抱かなかった。



キュウウウウゥゥゥゥ!!!

ドスまりさの大きく開かれた口。その中心が強烈な光を放っている。
その発光体はエネルギーを吸収し、どんどん大きくなっていく。

「ゆっくりみていってね!!」
「どすまりさのすばらしさに、おそれおののいてね!!」
「これをみれば、どすまりさにていこうすることがどんなにむいみか、ゆっくりおもいしることになるよ!!」

ドスまりさを守るように、男5人衆の前に立ちはだかる6匹のゆっくり。
ゆっくりの中でも知能が高いらしく、ゆっくりらしからぬ言葉を使っているが…男達は対して驚かなかった。

そして…


ズドオオォォォオン!!!


ドスまりさの、唯一にして最強の必殺技―――ドススパークが放たれた。

目の前の木々は粉々に粉砕され、ところどころ赤熱している。
その惨状が、ドススパークの恐ろしさを物語っていた。



「今回もやはり―――」
「―――するわけにはいかないか?」
「いつものことながら、威力は―――」
「では、今回も―――」

村長を除く4人の男達は取り留めのない会話を交えるが、ドスまりさの耳には届いていない。

『これでゆっくり理解したよね!!まりさがその気になれば、人間なんていちころだよ!!』
「ふむ、確かに素晴らしい威力だな。人間がこれを受けたら、骨すら残らないだろう」

村長は額の汗を拭いながら、視線を上に向けてドスまりさの顔を見る。
その表情の歪みようから……ドスまりさは、今回も事がうまく進むだろうと確信した。

「それで本題……君達の“お願い”というのは?」
『ゆゆ!!まりさたちのお願いは、人間と村の“不可侵条約”を結ぶことだよ!!』
「ほぅ…詳しく聞かせて頂こうか」

そして、ドスまりさは村長に促されて不可侵条約について説明した。
それをまとめると以下のようになる。




  • 人間はゆっくりを殺してはならない。
  • 人間はゆっくりを攻撃してはならない。
  • 人間はゆっくりの群れにむやみに立ち入ってはならない。
  • 人間はゆっくりの生活を脅かしてはならない。特にゆっくりの巣などを荒らしてはならない。

  • ゆっくりは人間を殺してはならない。
  • ゆっくりは人間を攻撃してはならない。
  • ゆっくりは人間の生活を脅かしてはならない。特に人間の畑などを荒らしてはならない。

  • 条約違反が発覚した場合、違反した側が違反金として食料を相手に渡す。




というものだ。

「なるほど、こちらには“畑を荒らされずに済む”というメリットがあるわけだな。
 確かに、ここ最近のゆっくりによる畑荒らしの被害は、無視できないレベルまで拡大している」
『この条約をむすべば、そんなひがいもなくなるよ!!』

この条約は、ゆっくりにとっては命だけでなく生活全般を保障するものだった。
人間にとっては食料の確保以上の利点はないが、かといって条約を結ばないという選択肢はありえなかった。

ドスまりさの、存在である。

『この条約をむすばなかった場合……村長さんなら、どうなるかわかるよね!!』

明言しないが、明らかな脅しだった。
もし条約を結ばなければ、それ相応の手段に出るぞ…というドスまりさの意思表明。

『もう一度言うよ!!まりさがその気になれば、人間だっていちころなんだよ!!』

実際、このドスまりさの群れには、村の人口の5倍のゆっくりがいるという。
ゆっくりの数とドスまりさのパワーで、村の人間を脅迫しているのだ。

『かんがえる時間がひつよう?それならまりさたちは、また明日くるよ!!』
「………いや、その必要はない」
『ゆっ!?』

半分笑いが隠せていないドスまりさは、自信満々で村長に問いかけるが……その返答は意外なものだった。

「いいだろう。すぐに条約締結といこうじゃないか。こういったことはなるべく早いほうがいい」
『でも村長さん!他の人とそうだんしなくていいの!?』

ドスまりさは不審に思っていた。今まで幾つかの村と不可侵条約を結んだ事があったが、いずれの村も決断に数日を要していた。
それ自体は別におかしな事ではない筈なのだが、“別の目的”を持っているドスまりさたちにとって、その決断の早さは不審だった。

「それに関しては問題ない。私は村人に信頼されているから、こういったことも私の一存で決定を下すことができる」
『ゆっ……それなら話がはやいね!!村長さんがゆうしゅうな人で、まりさも嬉しいよ!!』
「では早速始めようか。君、あれの準備を」

若き村長が指示を出すと、一人の男が村の中心地へと走っていった。

「今、署名の準備をさせている。村長である私と、群れのリーダーである君が署名をした瞬間、条約はその翌日から発効する」
『ゆ!!問題ないよ!!でも村長さん、すぐに準備をはじめられるなんてすごいね!!』
「あぁ、今までも幾つかの群れと条約を結んだ事があってね。
 君達はいつも同じような条約を結ぼうとするから、条文も既に用意してあるんだよ」

ドスまりさは、さらに不信感を募らせた。
条文が既に用意してある。今までにも他のドスまりさが率いる群れと条約を結んだ事がある。
つまり……条約に慣れているということ。もしかしたら自分達の企みも暴かれてしまうかもしれない!!
その瞬間、形容しがたい不安に襲われたドスまりさだったが……それを表に出すわけにはいかない。
目の前には、今もくつくつと不敵な笑みを浮かべている人間達が、自分を見ているのだから。

しばらくして、男が必要な道具一式を持って戻ってきた。

「持ってきました!!」
「ご苦労。さて、まずはドスまりさ、君が条文の内容を確認してくれたまえ」
『ゆっ!!ゆっくり読ませてね!!』

その条文は左右に分かれていて、左にはゆっくりが理解しやすいように条文がひらがなで書かれている。
一方右側は、人間が理解しやすいようにひらがなと漢字を混ぜて記述されている。

『村長さん!!どうして右と左に分かれてるの?まりさは右側をよむことができないよ!!』
「あぁ、人間はひらがなだけだと逆に文章を理解できないんだ。だから右側には人間が理解できる文章で書いてある。
 条約締結のためには不可欠な措置だ。ゆっくり理解してくれたまえ」
『ゆゆゆ……しょうがないね!!理解してあげるよ!!』

条約を結ぶためならしょうがない。ドスまりさは渋々受け入れた。
とにかく条約を結んでしまえばこちらのものだ、という考えがドスまりさにはあったのだ。
一時は不安に思ったが、結局のところ自分達の作戦に穴はない。条約を結べばこちらの勝ちだ…!!

『ゆっ!!条文にはもんだいないよ!!つぎは村長さんがよんでね!!』
「ふむ………………よし、問題ないだろう」

その後、条約に関して2,3補足として議論がなされた。
具体的には、お互いの住んでいる場所の地図を作成してお互いに提出すること。
そして、互いは村や群れで十分に条約の周知徹底を行うこと、などである。

そしてついに条約締結の手順に入る。
まず村長が署名し、次にドスまりさが朱肉に舌を押し付け、印を押す。
これで人間とゆっくりの“不可侵条約”は、成立した。

『条約の効き目は、あしたからだよね!!』
「その通り。だが我々は紳士だ。本日この時から、この条約を発効させたいのだが…」

それはドスまりさにとって、願ってもない申し出だった。
群れのゆっくりの安全を保障できる以上に、作戦を成功させられる可能性があがるからだ。

『ゆっ!!いいよ!!それじゃ条約は今から効き目をもつってことでいいね!!』
「それで構わない。ではまた会おう。お互いの平和と繁栄を願っているよ。君、彼らをお送りしろ」
『だいじょうぶだよ!!まりさは強いから、見送りなんていらないよ!!
 それじゃさようなら!!村長さんの村もゆっくりできるといいね!!条約を破ったら罰則だよ!!忘れないでね!!』

条約締結を果たし、ドスまりさたちは満足げに森へと立ち去っていった。



群れへと帰る途中、側近であるれいむ達がドスまりさに話しかける。

「どすまりさ!!こんかいもうまくいきそうだね!!」
『ゆぅ!そうだね!!これで人間が条約を破ったようにみせかければ、たくさん食べ物がもらえるよ!!』
「ゆぅー!!とてもゆっくりできそうだよ!!」
「ゆっくりできるね!!」「さすがどすまりさだね!!」

つまり、そういうことだ。

ドスまりさが、人間の村と不可侵条約を結ぶ目的は、群れのゆっくりの安全確保だけではない。
人間が条約を破ったようにうまく見せかけて、その証拠を人間に突きつける。
そして人間から多大な量の食料を受け取ろうという目論見が、ドスまりさにはあったのだ。

『ゆぅ…本当は悪いことだけど、みんなをゆっくりさせてあげたいよ!!にんげんがかわいそうだけど…』
「いいんだよ!!れいむたちゆっくりしたいよ!!」
「だからにんげんたちには、ゆっくりぎせいになってもらうんだよ!!それはあたりまえのことだよ!!」

人間が犠牲になるのは当然だ、と言い放つ周りのゆっくりたち。
ドスまりさはそこまでは思っていないが、自分達がゆっくりするためなら外部の犠牲はしょうがないと考えていた。
皆がゆっくりできれば、自分もゆっくりできる。皆が幸せになれば、自分も幸せになれる。

ドスまりさは、群れのために、そして自分のために……人間を陥れることにしたのだ。

『ゆ!早く帰ろうね!!帰ったらみんなに報告するよ!!』
「ゆっ!!そうだね!!かえったらゆっくりしようね!!」
「さくせんがせいこうすればゆっくりできるよ!!」
「みんなでゆっくりしようね!!」

ドスまりさは、心のどこかに突っかかりを感じたが、周りのゆっくりの笑顔を見てそれを忘れ去った。
きっと自分が死んだら地獄に落ちるだろう。それは自覚している。でも綺麗事だけでは、皆をゆっくりさせることができない。
…自分は間違っていない。正しいのだ。皆をゆっくりさせるためだから、これは間違っていない。

自分にそう言い聞かせて、森の奥へと消えていった。





一方、村の中心部。

村長を先頭に、5人の男が村役場へと戻っていく。

「村長。首尾はいかがですか?」
「上々だ。なかなか頭の切れるやつのようだが、所詮はゆっくりだからな」

懐から高級な煙草を取り出し、一本口に咥える。
一番近くにいた男が、促されもしないのにその煙草の先端に火をつけた。
味わうように白い息を吐き出し、村長は周りの男に指示を出した。

「さて、仕事に入ろうか。まずは村内12箇所の掲示板に、今回締結した条約について告示。
 その条約から逸脱した行動は取らぬよう、村民に呼びかけるんだ」
「わかりました」
「それと、万が一のために若い男の中から有志を募って、彼らに武器を与えておけ。
 武器はゆっくりを殺せる程度で構わん。ドスまりさは……こちらが人数をそろえれば何とでもできる」
「医療班はどうしますか?」
「必要ない。どうせ血は流れん。流れるのは……餡子だけだ」

その言葉が、村長の心の内を表していた。
ドスまりさ同様、村長も条約をバカ正直に守って互いの平和を維持するつもりは毛頭なかった。
それどころか、村長はドスまりさがしようとしている以上の非道を実行しようとしている。

人間とゆっくりは―――結局のところ、互いが互いを欺こうとしているのだ。

「あぁ、それと…ひとつ行事を執り行おうと思うのだが」
「はぁ……この時期にですか?」

花火大会はもう終えたし、村民運動会はもっと先だ。側近の男は不審に思ったが…

「そうだな……行事名は、“饅頭早食い大会”とでもしておくか!」
「ははははははは!!」
「なるほど、それはすばらしい!!」

誰もが村長の真意を理解し、5人は笑いながら村役場へと戻っていった。



翌日。

母れいむと10匹の子ゆっくりからなるゆっくり一家が、村の畑のすぐそばでゆっくりしていた。

「ゆっゆー!!」「ゆっくち~♪」「ゆっきゅちしてりゅよ~♪」
「みんな!!とてもゆっくりしてるね!!おかーさんうれしいよ!!」

森の奥地とは違って、村は日当たりがよく暖かい。ゆっくりにとって、とてもゆっくりできるゆっくりプレイスだ。
今までは人間に殺されることを恐れて、なかなか村の中まで入って来れなかったが…
昨日締結された条約によって、ゆっくりの安全は保障されている。
畑を荒らしたり、人間に迷惑をかけない限り、ゆっくりは村の中の好きなところでゆっくりすることができるのだ。

「ゆ~ん!!おいちそうなたべものがありゅよ!!」
「おちびちゃん!!それはにんげんのものだよ!!たべたらゆっくりできないよ!!」

ゆっくりたちは、昨日のうちに条約の存在を知らされている。
だから、畑を荒らしたら条約違反の罰則によってゆっくりできなくなることを、全員が知っているのだ。

「お、ゆっくりじゃないか」

そこを、畑仕事の道具を担いだ一人の男が通りがかった。
今までは命を脅かす危険な存在だったが、今は条約が守ってくれる。
無防備にも、ゆっくり一家は穏やかな笑顔で男に挨拶した。

「おにーさん!!ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくちしていってね!!」「おしごとがんばっちぇね!!」

友好的な言葉をかけるゆっくり一家。それを聞いて気をよくした男は、一家に歩み寄っていく。

「ほー、うまそうだな!」

手近な子ゆっくりを一匹手にとって、全身を眺める男。

「ゆぎゃああああああ!!!だべないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
「おにいさん!!あかちゃんをはなしてあげてね!!それいじょうは“じょうやくいはん”だよ!!」
「条約違反?何言ってんだか。いつも搾取されるだけの分際で」

男はまともに取り合わず、そのまま子ゆっくりに齧り付いた。

「ゆっぎゃああああおあおrがえrがおrいだいいだいいだいいだいいいいいいいいいぃい!!??」
「あがぢゃんをだべるなあ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!どすにいいづけるぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり(笑)」

子ゆっくり一匹を食べ終えて満足した男は、一家が何を言ってもまともに聞かないで畑へと向かってしまった。
取り残された一家を襲うのは、人間に対する怒りと憎しみ。

「どうじでええぇえぇえぇぇぇぇ!!!じょうやぐがあるのにいいいいいいいいいいっぃぃぃぃぃいいぃぃ!!!」
「こうなっだらどずにいっで、なんどがじでもらうしかないよ!!」
「にんげんはやくそくをやぶったよ!!どすにこらしめてもらおうね!!」
「にんげんはゆっくりこうかいしてね!!!」

人間と共存してゆっくりできると思っていた一家は、僅か10分でその期待を裏切られた。
残った子供達を連れて一目散に森へと向かうゆっくりたち。目の前で起こったことを、余すことなくドスに報告しよう!
そして、自分の子供を食べた憎き人間達を、思う存分懲らしめてもらおう!!











逃げ帰ってきたゆっくりから報告を受けたドスまりさは、側近だけを集めて会議を開いた。

「まさか、こんなにはやくゆっくりできなくなるなんて、おもってなかったよ!!」
「でもドス!!うまくすればさくせんをはやくすすめることができるよ!!」

側近の話を聞いて、ドスまりさも決意した。

『ゆゆっ!!これは立派な条約違反だよ!!人間は違反金をはらうひつようがあるよ!!
 さっそく人間の村に行くよ!!みんなで違反金の食べ物をもらいにいこうね!!』

そうと決まれば話は早かった。
予想していた成り行きとは違うが、現実に人間が条約違反を犯したのである。違反金を受け取るのは当然の権利だ。
ドスまりさの指示で、若く元気なゆっくりが広場に集まる。

『人間は不可侵条約をやぶったよ!!だからこれから違反金をとりにいくよ!!』
「にんげんはゆっくりできないんだね!!」
「やっぱりにんげんはだめだね!!」
「れいむたちのほうがゆっくりしてるね!!」
『みんな!!まりさにゆっくりついてきてね!!』

ゆっくりの軍団は、人間から食料を受け取るべくゆっくりと村へ跳ねていった。
これだけのゆっくりが集まれば、人間が何か文句を言っても数の暴力で対処する事が出来る。
ドスまりさは、何もかもがうまくいくこの状況を嬉しく思い……何の疑いも抱かなかった。






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最終更新:2022年05月03日 16:13