お化けまりさ

  • 前作「スーパー赤ゆっくりボール」の虐待シーンの後のお話です。
 前作の状況説明も多少入れてますが、伝え切れていないと思います。
 お時間あれば、前作も軽く目を通してやってください。
  • 基本、良いゆっくりが登場しますが、非道い目に遭います。
  • 直接的な虐待よりも、ゆっくり同士の三文芝居がメインです。
 精神的にジワジワ責める系?
 前回の話が好みだった方にはつまらない内容かと思います。
 じゃあ、それ以外の方はつまるのかと言ったら・・・ねぇ・・・
  • なんか長いです。途中で飽きる長さです。
  • そして全体に漂う低クオリティ

それでも我慢できるかも・・・?と思える方は読んでやってください。




そこは仄暗い土蔵の中。


「づぶれでねっ!づぶれでねっ!!
 ゆっぐりじないで、はやぐづぶれろぉぉっ!!」

全身をヌラヌラとした液体で輝かせ、奇声を上げているのは、
毎度お馴染み、ゆっくり、ではなく虐待お兄さん。

地団駄を踏むように、何度も何度も激しく地面を踏んでいる。

いや、踏んでいるのは地面ではなく、
足下に転がるテニスボール大のゴムボールだった。

「きゅりゅ・・・ちぃ・・・ゆびげぇっ!?」
「や゛め゛ちぇ・・・ぶゆんっ!!」
「い゛・・・ぢゃいよ・・・ぼびゅ゛んっ!?」

お兄さんの足で何度も何度も踏み潰されるそのゴムボールも、
お兄さんに負けず劣らずの奇声を上げている。
そのボールの正体は、ゆっくりを弾力性の高いゴムで包んだ、
スーパーボールならぬ、スーパー赤ゆっくりボール。

しかもテニスボール大をしてはいるが、
このゆっくり、本来はピンポン玉大の赤ちゃんまりさ。
とてもゆっくりできない不味いごはんを
お腹がハチ切れんばかりに無理矢理詰め込まれて
今のこの大きさまで拡張されてしまったのだ。

踏まれることで、体がペシャンコに潰れんばかりの圧力を外側から受け、
内側からは、大量に詰め込まれたごはんの成れの果てであるうんうんが、
赤まりさの饅頭皮を破らんばかりの圧力をかける。

にも関わらず、頑丈なゴムで全身を覆われた赤まりさは、
命の源である餡子を体外に漏らすことはなく、
それ故に、死ぬこともできないまま、
体の内外からその身を潰される痛みと苦しみを延々と味わっていた。


そんな赤まりさを、すぐ傍で眺めているゆっくり達がいた。


赤まりさの両親であるつがいのゆっくり、父まりさと母れいむ。

赤ちゃん思いの親ゆっくりであったが、
お兄さんによって、足をこんがりと焼かれて動けなくされた上で、
目の前で大切な可愛い赤ちゃん達が虐待を受ける様を見せられ続け、
完全に心が折れてしまった今は、皮がふやける程に涙を流しながら、
赤ちゃんが苦しむ姿をただ呆然と眺めるばかり。


そして、そんな親と、苦しむ赤まりさを虚ろに眺める、別の赤ゆっくり。
黒い三角帽子を被った、赤ゆっくりまりさ。
…いや、本当にこれはまりさ種なのだろうか?
そう思える程、異様な姿をした赤ゆっくりだった。

黒い餡子の塊。
その中に浮かぶ、剥きだしの二つの眼球と、
剥きだしのピンク色の歯茎と白い歯。

この赤ゆっくりには、饅頭皮が無かった。
そして、饅頭皮の替わりに全身を覆う、透明なゴムの層。
目と口のついた葛饅頭のようにも見えるソレには、
まりさのような金髪も、れいむのような黒髪も生えていない。
皮も髪も、全てお兄さんによって剥ぎ取られた。

お兄さんによってスケルトン赤まりさと名付けられた
その不気味な赤ゆっくりは、
接着剤で貼り付けられた黒い帽子だけが、
元のゆっくり種を判別する目印となっていた。


今潰されている赤まりさは、
スケルトン赤まりさと同じ蔦から生まれた妹まりさ。
だが、スケルトン赤まりさは、妹の窮状を目にしても、
何の感情も湧いてこなかった。

妹赤まりさは、不気味な姿になった自分を見て、
怖がり、怯え、お化け呼ばわりをした。
そんな妹の苦しむ姿を見て、喜びも、怒りも、哀しみも、楽しさも、
何も感じることはなかった。

そして、大好きだったお父さんも、優しかったお母さんも、
自分の事を、お化けじゃないよと口では言いながら、
一度も自分の事を見ようとはしなかった。

もはや、この赤まりさは、この家族達を家族として捉えていなかった。
どこかの、どうでもいいゆっくり達。
だから、彼らが自分に対してどのような態度を取ろうと、
何の感情も湧かないし、
彼らが人間から何をされていようと、何の感情も湧かない。

そうして心を閉ざすことで、自分を守ることしかできなかった。



「どおじでっ!?ど!お!じでっ!づぶれないのぉぉっ!!!」

全体重をかけて赤まりさを潰しにかかる虐待お兄さん。
グリグリと押しつけられる靴底の下で、テニスボール大の赤ゆっくりボールは、
厚さ1センチ半までにひしゃげていた。

「ぶべぇっ・・・ぎゅ・・・りゅ・・・ぢぃぃぃ・・・・・・」

赤まりさの顔の部分は、靴の脇からはみ出し、苦悶の声を上げている。
圧迫され続けて潰れてしまった目玉は既になく、目がある筈の場所には、
黒い餡子を覗く穴がポッカリと開いているだけだ。

そして、踏みつける足が退き、
ひしゃげたボールはその弾力性により、中身ごと元の丸い形状に戻る。

「おにぃ・・・しゃん・・・
 いちゃいよ・・・いちゃいの・・・やめちぇ・・・にぇ・・・
 まぃしゃ・・・ゆっきゅり・・・しちゃい
「ゆ゛っぐりじないで、ざっざとじねぇっ!!!!!!!!!!!!」

バチュンッ!!!

ゴムボールが弾ける音と共に、赤まりさは弾け飛んだ。

「ん゛ほお゛ぉぉぉっっ!!!!!
 ずっぎじぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
 ぢ、ぢ、ぢ、ぢ、ぢあわぜぇぇぇぇぇっっ!!!
 ぢあわぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!!」

ペチャッ

ただのうんうん滓になって飛び散った赤まりさが、
スケルトン赤まりさのゴムの顔面に張り付く。
その、妹だったものと、奇声を上げるお兄さんを見ても、
スケルトン赤まりさには何の感情も湧いては来なかった。


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「ひぃ・・・ひぃ・・・・ふふ・・・ふふふふ・・・ゆふひへへへ・・
 今の見たぁ?まりさちゃんの妹、バチュンッって!バチュンッって!
 づぶれたよぉ・・・ざぁいこうだったよぉ・・・ゆゆぅん♪」

口の端から涎を垂らし、泥酔しているかのようなフラフラとした足取りで、
スケルトン赤まりさの元に歩いてくる虐待お兄さん。
辺りには、栗の花にも似た香りが漂っているが、
ゴムで覆われた赤まりさには、その匂いは届かない。

お兄さんが足をもつれさせてドサッと転ぶ。
だが、痛みを感じている様子もなく、笑みを浮かべたままだ。
そして、地面に転がったまま、手を伸ばしてスケルトン赤まりさを掴んだ。

赤まりさはブルブルと震え出す。
潰される事も、殺される事も、今の赤まりさは怖いとは思わなかった。
むしろ、そうして欲しいとすら、心のどこかで願っていた。
にも関わらず、恐ろしかった。
目の前の人間の内にある悪意そのものが。

「はぁ・・・はぁ・・・お化け顔のまりさちゃぁん・・・
 まりさちゃんはぁ・・・お家に帰らせてあげるねぇ・・・」

赤まりさに優しい笑顔を向け、そう語る人間。


この人間は、この笑顔で、
いつも元気だった妹のまりさを、すーりすーりさせて欲しいと頼んだ後に、
すり潰した。

この人間は、この笑顔で、
優しかったお姉ちゃんれいむを、虐めたりなんかしないよ?と言った後に、
踏み潰した。

この人間は、この笑顔で、
一番仲の良い姉妹だったれいむに、美味しいごはんだよと言って、
ゆっくりできない毒のごはんを食べさせた。


その人間の笑顔が、赤まりさにはたまらなく恐ろしかった。

そして、恐怖のあまり、失神した。


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「ゆぅ~・・・あんまり、きのみさんがないよ・・・
 これじゃ、ゆっくりできないよ・・・」

森の中、狩りに精を出す成体サイズのゆっくりれいむ。
しかし、戦果ははかばかしくないようである。
その時、近くでガサガサと草を踏む物音がした。


「ゆっ!?」

すわ捕食種かと、緊張し、身構える。
だが、木々の間から姿を現したのは、一人の人間の男だった。

「ゆっ!にんげんさん!ゆっくりしていってね!」

捕食種ではなかったと安堵し、
ゆっくり挨拶を交わそうとする、れいむ。
どうやら、人間の中には、ゆっくりにとって捕食種以上に
恐ろしい者がいるという知識は、生憎と持ち合わせていないようだ。
それとも知ってはいるが、こちらが何にもしなければ、
相手も何もしない、とでも思っているのか。
いずれにしても、平和な事である。


「やあ、れいむ、ゆっくりしていってね。」

穏やかに挨拶を返す男の様子を見て、
れいむは、この人間はゆっくりできる人間だと認識した。

「ここはれいむのゆっくりプレイスかい?」
「ゆっ!ここはれいむのゆっくりぷれいすだけど、
 みんなのゆっくりぷれいすでもあるよ!
 おにいさんも、ゆっくりしていってね!」

男の質問に、ボインボインと飛び跳ねながら、れいむが答える。
どうやら、何でもかんでも自分の所有権を主張するような
ゲスなゆっくりではないようだ。

「そうかい。れいむはとってもゆっくりとしたゆっくりだね。」
「ゆっへん!」

れいむが得意げな表情を浮かべて胸を・・・胸?というか下腹を反らす。

「ハハハ、じゃあ、お兄さんも少しゆっくりさせてもらおうかな。」

そんなれいむの様子を見ながら、
男は手近にあった大きめの石の上に腰を降ろす。
そして、持っていた包みを開き、
餡子たっぷりのおはぎを頬張り始めた。



「ゆぅ・・・」

どこか羨ましそうに、男の食事の様子を眺めるれいむ。

「ん?れいむ、おはぎを食べたいのかい?ほら、一つあげるよ。」
「ゆ?!いいの?おにいさん?」

朝から休み無く狩りを続け、お腹が空いてはいたが、
すぐにガッつく事もなく、改めて確認を取るれいむ。
ゆっくりにしては、珍しく礼儀正しい。
ひょっとすると、自身か親が、
人間の飼いゆっくりだった事でもあるのかもしれない。

「うん、いいよ。一杯あるから。」

男が答えながら、れいむの目の前におはぎを置いてやる。

「ゆっ!ありがとう!おにいさん!」

れいむは、ポインと一際高く跳ねてお礼を言う。
それから、おはぎに口をつける。

「むーしゃ、むーしゃ!しあわせぇ~♪」

聞く人が聞いたら、その場で蹴り潰してしまいそうな喜びの声を上げる。
だが、その表情がすぐに曇る。

「ゆ・・・しあわせぇ・・・」
「あれ?どうしたんだい?れいむ。美味しくなかった?」

男の問いかけに、れいむが慌ててゆんゆんと首を横に振る。

「ち、ちがうよ!とってもおいしいよ!」
「ならいいけど・・・その割には元気ないね?」
「ゆぅん・・・ねえ、おにいさん、このあまあまさん、
 れいむ、おうちにもってかえってもいい?」
「ん?れいむに上げたものだから、れいむの好きにしていいよ。
 でもどうして今食べないんだい。」

男が尋ねる。
その瞳には、今までとは違う色が浮かんでいた。
まるで美味しそうな獲物を見つけた獣のような瞳の色だ。
だが、れいむはそんな男の変化には気づくことなく、
問われるがままに事情を話し出す。


れいむには小さな子供と赤ちゃん達がいること。

一週間前、つがいだったまりさが一匹で狩りに出た後で大雨が降り出し、
遂にまりさは帰って来なかったこと。
そのため、今はれいむが一匹で子供達を育てていること。

もうすぐ雪が降り始める時期なので、
冬籠もりに備えて食料を備蓄しなければならないが、
元々狩りの苦手なれいむ種であることもあり、
思うように餌が集まらず、焦っていること。

普段のごはんを少しずつ備蓄に回しているが、それでも足りず、
子供達にもひもじい思いをさせてしまっていること。

だから、せめて、このあまあまさんをお家に持って帰り、
たまには子供達に美味しい物を食べさせて、
ゆっくりさせてあげたいと考えたこと。


男に優しくしてもらった事で、
日々の子育てと狩りの両立とで張りつめていた物が切れたのか、
悲しげな表情で、時にゆぐゆぐと涙さえ浮かべながら、
身の上を語る。

「そうなのか・・・ゆっくりも苦労しているんだね。」

聞いていた男も、嗚咽を抑えるかのように口を手で覆いながら、
れいむに同情の言葉をかける。
その手の下では、口が歪な笑顔の形を描いていることなど、
れいむには知る由もない。

「ゆぅ・・・」

力なく俯いて声を漏らすれいむ。

「でも、れいむ、れいむみたいな子供思いのお母さんに育てて貰えて、
 れいむの子供達はとても幸せなゆっくり達だね。」
「ゆっ・・・」

れいむが少しだけ表情を緩ませ、照れ臭そうに笑う。

「・・・れいむ、ちょっとお兄さんの話、聞いてくれるかな?」
「ゆ?なーに、おにいさん?」
「うん・・・この赤ちゃんを見て欲しいんだけど・・・」

そう言いながら、男が懐から取り出したのは、
一匹の赤ちゃんまりさだった。

「ゆっ!?あかちゃん・・・?
 ゆゆ~?なんだかゆっくりできないあかちゃんだよ・・・」

困ったような表情で首を傾げながら、感想を漏らすれいむ。
れいむの言う通り、その赤まりさは何かが違っていた。


まず、その赤まりさには、お口が無かった。
本来お口がある筈の場所は、肌色の"皮"に塞がれてしまっていたのだ。

次に、髪の毛。
まりさ種特有の金髪は他のまりさ種と変わらない。
れいむも、つがいだったまりさや、その落とし子である子まりさを
見ているので見紛う筈もない。
だが、その金髪は、まりさ種であれば生まれ落ちた時から
皆が結っている筈の三つ編みを結ってはいなかった。
サラサラのストレートな金髪が、
帽子の脇からただダラリと垂れ下がっているだけ、
そんな印象であった。

そして、何より不自然さを感じさせたのが、目だった。
赤まりさは眠りに落ちているらしく、
「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」と寝息を立てていた。
にも関わらず、その目は楽しそうに笑っているかのような形で
見開いたままだったのである。

そして、その眼球は、本来あるべき位置よりも
5ミリほど落ち窪んでいた。
落ち窪んだ眼球の上を塞ぐように、
透明なゴムの層が覆っているのだが、
れいむにはそれが何かまではわからなかった。


「うん・・・そうなんだ・・・実はね、この赤ちゃん、
 村で悪い人間に虐められていた所をお兄さんが助けたんだよ。
 ただね、一応治療はしたんだけど、あんまりにも怪我がひどくて、
 お口や、目は治しきれなくて・・・こんなになっちゃったんだ・・・」

「ゆっ!ひどいよぉ!
 かわいいあかちゃんに、どうしてそんなことするのぉ・・・」

れいむが涙目で悲しげに呟く。

「・・・ホントにごめんな、れいむ。」

そんなれいむの言葉を受けて、男が謝る。

「ゆっ?わるいのは、あかちゃんにひどいことをした、にんげんさんだよ!
 おにいさんは、いいにんげんさんだよ!
 おにいさんは、あかちゃんのけがをなおしてくれたよ?」

涙を流しながら、飛び跳ねて男を元気づけようとするれいむ。

「ぐすん、ありがとうれいむ。」

口でぐすんと言いながら、男がれいむの慰めに答える。

「見ての通り、この赤ちゃんは、お口がなくなっちゃったんで、
 ごはんも食べられないだろう?特別なお薬を飲ませてあげたけど、
 それでも・・・あと一週間くらいしか生きられないと思うんだ・・・」

「ゆぅぅ・・・そんなぁ・・・なんとかならないの?おにいさん?」

「お兄さんも手は尽くしたんだけど・・・ダメだったんだ。
 だから、せめて、生きていられる間だけは、この赤ちゃんには
 ゆっくりしてもらいたかったんだけど、
 お兄さんはゆっくりの赤ちゃんの育て方なんてわからないしね。
 この森に帰そうかと思って来たんだけど・・・」

「このあかちゃんのおかあさんたちは?」

れいむは、そう聞いてしまってから、
自分がゆっくりできない質問をしてしまったと気づく。
小さな赤ゆっくりが一匹で、
遠い人里に降りて行くことなどありえない。
必ず、家族が、親たちが一緒だった筈だ。
その親がここにいないということは。

「もう・・・みんな・・・悪い人間に・・・くっ・・・」

男が肩を震わせる。
予想通りの答えに、れいむも肩?を落とす。

「ねぇ、れいむ。
 この赤ちゃん、こんな変な顔になっちゃって、どう思う?
 可愛くないと思う?」

「ゆっ!そんなことないよ!あかちゃんはみんなかわいいんだよ!」

れいむは本心から、力強くそう答えた。

「でも、れいむはそう思っても、
 れいむ以外のゆっくりは、そう思ってくれるかな?」

「ゆぅ・・・それは・・・」

れいむが言い淀む。

確かに男が言わんとしている通り、
れいむの仲間のゆっくり達にも、
見た目が少し他と違うゆっくりを差別して苛める者も
少なからずいる事を知っていた。
誰も守ってくれる者がいない状態で、そういう者達に見つかれば、
この赤ちゃんもきっと苛められてしまうだろう。

「れいむ、れいむの子供達は、この赤ちゃんを見たら・・・苛めるかな?」

「ゆっ!!れいむのこどもはそんなことしないよ!
 もしそんなことをしたら、れいむがせいさいするよ!!」

ぷっくうと膨れながら、子供達の名誉を守るため、
男の言葉に抗議するかのように、れいむが捲し立てる。

「うん、そうだよね。れいむの子供達ならきっと大丈夫だよね。」

男のその言葉に、れいむがようやく膨らせた頬を引っ込める。

「ねえ、れいむ。お願いがあるんだ。
 この赤ちゃん・・・れいむがゆっくりさせてあげてくれないかな?」

「ゆっ!?」

突然の申し出に、驚きの声を上げるれいむ。
確かに、この可愛そうな赤ちゃんはゆっくりさせてあげたい。
その気持ちに偽りはない。

そして、れいむの元以外で、
この赤ちゃんがゆっくりできる場所があるかもわからない。
今はどのゆっくり達も、冬籠もりの準備で忙しい時期であり、
そのためか、心にゆっくりが足りないゆっくり達が増えている。
しかし、忙しいのはれいむも事情は一緒。
果たして、この赤ちゃんに構ってあげられる時間がどれだけあるか。

「ゆぅ・・・でも・・・」

自分の家族と、目の前の赤ゆっくりを天秤にかけ、逡巡するれいむ。
普通のゆっくりであれば、即座に天秤は一方に傾く所であるが、
心優しいれいむには、その決断はできないでいた。
そんなれいむの心情を見透かしたように、男が言葉をかける。

「そうだったね。今はれいむ達はごはんを探すので忙しいんだよね。
 どうだろう?
 赤ちゃんを引き取ってくれたら、ごはんはお兄さんがあげるよ。」

そう言いながら、男は背負っていた籠から大きな風呂敷包みを取り出すと、
れいむの目の前でそれを開いた。

そこに山のように積まれていたのは、
干した芋や柿、クルミや栗等の木の実、炒った豆、角砂糖、ビスケット、
小魚や猪肉の干物と言った、栄養価が高く保存の効く食べ物の数々。
それから、新鮮な林檎や梨、大根や白菜と言った新鮮な果物と野菜。
人間が森に来る前に里で買い求めた物だった。
そして、もう一つ大きな風呂敷包みを取り出すと、
こちらには甘い匂いを漂わせる大量の餡子の塊。

ゴクリ
と思わずれいむは喉を鳴らす。

人間にとってもちょっとしたご馳走であるその食料の山は、
ゆっくりであるれいむにしてみれば、
一生かかっても巡り合えないかもしれないような宝の山だった。
これだけあれば、今すぐ冬籠もりに入ったとしても、
食料にはまったく事欠かない。
いや、多すぎるぐらいだろう。
普段なら、冬籠もり中は節制しながら食料を食べてゆく所であるが、
これならば、育ち盛りの子供達にも、
毎日たっぷりとごはんを食べさせてあげられる。

「い、いいの?こんなに?」

れいむの声がうわずってしまうのも無理はなかった。

「勿論だよ。
 その替わり、この赤ちゃんが誰かに苛められたりしないように、
 れいむにはいつもこの赤ちゃんと一緒にいてあげて欲しいんだ。
 どうかな?お願いできるかな?」

元より、れいむはこの赤まりさを助けてあげたい気持ちはあった。
その上で、最大の懸念であった、食料の問題が一気に解決するとあらば、
最早断る理由など何もなかった。
無論、男がれいむに隠している事実を知らなければ、だが。

「うん!わかったよ!おにいさん!
 れいむ、このあかちゃんのこと、いっぱいゆっくりさせてあげるよ!」

心からの笑みを浮かべ、れいむはそう答えた。


--------------------------------


「ゆぅ・・・なにしてるの、おにいさん・・・?」

男の膝の上に置かれたれいむが少し不安そうな声を出す。

男は、れいむの赤いリボンに、細い鎖をクリップのような金具で留めている。
鎖は、細いが頑丈な作りの、1メートル程の長さの物だ。。
何だかわからないが、大事なリボンに何かをされているとなれば、
れいむが不安がるのも無理はない。


「んー?ああ、この赤ちゃんはね、足も怪我してて自分では動けないんだ。
 だから、お散歩の時とかには、れいむに引っ張ってもらいたいんだ。
 そのために、赤ちゃんを繋いでるんだよ。」

答えながら、鎖のもう一方の端に付いたネジ状の金具を、
事前に赤まりさの饅頭皮、ならぬ、厚さ5ミリのゴム層に
埋め込んでおいたネジ穴にねじ込む。
更に接合部に強力な接着剤を垂らして補強する。
これでちょっとやそっとの力では、鎖から外れることはない。

「ゆぅ・・・そうなんだ・・・
 でも、そんなことしたら、あかちゃん、いたがったりしない?」

れいむが心配そうに聞いてくる。

「それだったら大丈夫だよ。ほら。」

そう言って、男が赤まりさをれいむのほっぺたにグイと押しつける。

「ゆっ!?なんだか、かたいあかちゃんだよ!?」

自分の子供達とすーりすーりした時の、
もちもち、プニョプニョした柔らかい感触とは全く違う
固い感触にビックリした顔を浮かべるれいむ。

「うん。治療に使ったお薬のせいでね、
 この赤ちゃんの皮が固くなっちゃったんだ。
 でも、そのお陰で地面を引きずっても大丈夫。それに・・・」

今度は、赤まりさを摘んで持ち上げると、
地面から15センチほどの高さの所から落とした。
ボヨン!ボヨン!ボヨン!
と勢いよくバウンドを繰り返す赤まりさ。
全身を弾力性のあるゴムで覆われているが故である。

「ゆゆぅ~!とってもげんきなあかちゃんだね♪」

そのジャンプ力に驚嘆の声を上げながらも、嬉しそうに笑う。

「こうやって誰かが動かしてあげれば、元気に跳ねられるからね、
 皆で一緒に遊んであげて欲しいんだ。
 こうやってれいむに繋いでおけばどっかに行っちゃうこともないしね。」

「ゆっ!ゆっくり、りかいしたよ!!」


そんな会話を交わしながら、
男がれいむのリボンに取り付けた側の鎖の環に、細い釣り糸を通した。
そして、その釣り糸をれいむの左右のもみあげに、
もみあげを纏めている布の上からきつく縛りつける。
釣り糸は長さに余裕があるので、れいむのリボンともみあげの間で
ダランと垂れ下がっているだけであり、れいむは何も感じていない。

男は、完全に自分を信用し切り、
こちらに背を向けているれいむの後頭部を見ながら、
ニヤリと笑った。

「これでよし!じゃ、れいむのお家に行こうか。」
「ゆ?おにいさんもれいむのおうちにくるの?」
「うん。だって、れいむだけじゃ、このごはん運べないだろ?」
「ゆ!そうだね!れいむうっかりしてたよ!」

もう少し警戒心が強ければ、自分の巣の位置を知られるということは
極力避けそうなものであるが、このれいむはすっかり相手を信用し切り、
そんな考えは思い浮かばないようである。


そうして、一人と一匹は森の奥へ向かって歩き出した。


--------------------------------

「じゃ、赤ちゃんのこと頼んだよ。れいむ。」
「ゆっ!れいむにまかせてね!おにいさん!
 あと、おいしいごはんさんくれて、ありがとうね!!」

れいむが巣にしている洞穴の前で、互いに別れの言葉を交わす。
そして、れいむは新しい家族を連れて子供達が帰りを待つ洞穴へと、
男は、元来た道を辿って、森の中へと消えていった。



「ふぅ・・・・・・・」

れいむと別れた男が溜息を吐く。

「ふ・・・ふふ・・・ウフフフフフ・・・・・・うまくいった・・・・」

やがて笑い声に変わる。

「ハハハ、あのアホ饅頭、俺の完璧な演技力にコロっと騙されやがったよ!
 『おにいさんは、いいにんげんさんだよ!』(裏声)だって!ハハハハ!
 ハハ、ゲホッ!ゲフッ!ちょゲホッ!!入った・・・ゲホッ!」

ちなみに、ここまでのれいむとの会話は
全て棒読み台詞でお送りしていましたが、
ゆっくりの餡子脳では、判別がつかなかったようである。


「はぁ・・・はぁ・・・
 いやぁ、でも良いゆっくりに出会えてホント、良かった・・・」

しみじみと語る虐待お兄さん。
あのれいむと出会う前にも、何匹かのゆっくりに遭ったが、
大事な赤まりさを任せられるような、
ゆっくりとしたゆっくりはいなかった。
それどころか、

「ゆっ!おいしそうなにおいがするよ!
 おじさん!れいむにおいしいごはんをよこしてね!
 よこさないとれいむおこるよ!」
「れいみゅもおこりゅよ!ぴゅんぴゅん!」

出会い頭にいきなりぷくぅと膨れて餌を要求するモノ。

「ゆっひゃっひゃっ!
 ゆっくりしていない、へんなかおのあかちゃんなんだぜ!
 ひょっとして、じじぃがうんだこどもなのかだぜ!」
「おお、ぶきみぶきみ」

赤まりさを見てゲラゲラと笑い声をあげるモノ。

「おちびちゃんたち!ちゃんとおねえちゃんについてきてね!」
「ゆゆ~ん♪おにぇちゃんとおしゃんぽ♪」
「たのちいね~♪」
「ゆ~♪ありしゃん!まりしゃとあしょぼうね♪」
「ゆ!おっきいにんげんしゃん!れいみゅとあちょんでにぇ!」
「「「あちょんでにぇ!!!」」」

果ては、子れいむに引き連れられて、
ゆぅゆぅ♪と楽しげな声を上げて散歩する
赤ゆっくりの群れまで出やがったぁ。

どれもこれも、ゆっくりできないゆっくりばかりだった。
だが、そのゆっくり達も、あのれいむ一家の食料として、
饅頭の責務をきちんと果たしてくれる事だろう。
地面に染み込んだ連中を除いて。


「アイツ、次会ったときに、俺のした事教えてやったらどんな顔するかなぁ。
 楽しみだなぁ・・・
 ああ、クソ。楽しみで落ち着かねぇな。赤ゆ潰してぇ。
 音楽でも聴いて気を静めるか・・・」

懐から聴診器のような物を取り出し、耳にはめるお兄さん。
その聴診器は、懐に仕舞われた缶のような物から伸びている。

「ん?あれ?あんま聞こえないな?電池切れた?」

そう言って懐から取り出した缶の蓋を開き、中身を掌の上に転がす。

「ゆ・・・・・ゆ・・ぼっ・・・・ゆ・・・・げぇ・・・・・」

そこには、息も絶え絶えの様子で、微かに嘔吐の声を漏らす赤れいむ。
その赤れいむもまた、饅頭皮こそ残ってはいるが、
スケルトン赤まりさと同じように全身をゴムの層で包まれていた。

大量の赤唐辛子を飲み込まされ、
辛い物を拒絶するゆっくりの餡子機能故に嘔吐しようとするが、
ゴムの層に阻まれそれすらも許されず、
ただひたすら嘔吐だけを繰り返すナマモノ、えずき赤れいむである。


しかし、既に数時間もひたすら嘔吐を続け、
餡子を排出しようとする体内の動作のために、
餡子筋(?)を使い続けて体力を消耗しきっていた。

「あれぇ?れいむちゃん、疲れちゃったのかなぁ?
 待っててねぇ。
 今、お兄さんが栄養たっぷりのごはんさん上げるからねぇ♪」

笑顔で語りかけるお兄さんと目が合い、
赤れいむが微かに首を振ったように見えた。
もうやめちぇ、もうころしちぇと懇願するかのような目で。

お兄さんはオレンジ色の液体が詰まった注射器を取り出すと、
それをゴム層の上から、赤れいむに注射する。
スケルトン赤まりさに与えてあるのと同じ、
濃縮未還元1000%オレンジジュース。
ドロリとした半ゼラチン状のそれが、
衰弱し切った赤れいむの体内に吸い込まれてゆく。

ドクン!ドクン!

優に赤ゆっくり一週間分の活動エネルギーに相当するソレを注入され、
途端に活力を増し、活動を再開する赤れいむの餡子。
赤れいむの意志とは無関係に。

「ゆっ!?れいみゅ、みょうやじゃ!みょう・・・ゆぼっ!?!?
 ゆげぇぇぇっ!!ゆげっ!!やじゃょゆぼぉぉぉっっ!!!
 たしゅけちゆげぼぉぉっ!!ゆげぼっ!ゆっぶ!!ゆっげべぇぇっっ!!!」

数時間前と同じように元気よく嘔吐を始める赤れいむ。
その様子を満足げに、優しい笑顔を浮かべながら眺めるお兄さん。
と、そのとき、

ポツリ

と、冷たい物が頬を濡らすのを感じた。

「赤ゆ潰してぇ・・・おっと!降り出して来たか。早く戻らないと。」

慌てて、再びえずき赤れいむを缶の中に戻すと、聴診器を耳に当てる。
手製のゆぉーくまんから聞こえる、えずき赤れいむが奏でる音楽に、
うっとりとした表情で聞き惚れながら、足早に帰路についた。




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最終更新:2014年10月11日 02:36