※色々適当な俺設定あり
五分の魂
「ゆうううううう!!?ゆっくりやめてね!!ゆっくりたべないでね!!」
『ムーシャムーシャ・・・・・』
ゆっくり達の怒声が響き渡る。そこには必死に蓄えた食料を食い荒らすゆっくりりぐるの姿があった。
りぐるは他のゆっくり種に比べ、手の平程と言う大きさしかなく、背中には外套の様な羽がありその姿は饅頭の様には見えなかった。
そして何よりも特徴的なのは、他のゆっくりの様にコミュニケーションに人語を用いることをせず、りぐる種同士でのみ通じる独自の
言語を持っていた。そのため他のゆっくりと共生することはあまりない。例外として、ゆっくりゆうかと植物を育てることを通じ共生
しているらしいとの報告もあるが、それも花粉を運ぶ蜂や蝶のような扱いで、ゆっくり種同士としての共生とは言えないものだった。
そんな彼らであるから、ゆっくり達の集めた貯蔵食という概念は理解出来ないらしく、このゆっくりの一家の行いは自分の獲物を横取
りせんとするもの以外の何物でもなかった。
「ぷんぷん!!もうおこったよ!!ゆっくりできないやつはしねぇ!!」
『リッグルンルーン!!』
カサササササササササササ・・・・・・!!
「「「ゆっぎゃあああああ!!!??」」」
「きもちわりゅいぃぃぃぃ!!もっとゆっくりしちぇえええぇぇぇぇ!!!」
最初は同じゆっくり種ということもあり、どうにか対話による解決を試みていたまりさ達であったが、噛み合わない会話に業を煮やし
遂にはまりさが踊りかかった。だがりぐるは、それをゆっくりとは思えない動きでかわすと、カサカサと音を立てながら巣の中を壁か
ら天井に至るまで縦横無尽に這い回った。その異様な光景に本能的な嫌悪と恐怖を感じ取り、堪らず一家は絶叫をあげる。
『フイウチ、リグルンキック!!』
「ゆわあああぁぁぁ!!?まりさのおかおにくっつかないでえええぇぇ!!ぬるぬるちくちくするうううぅぅぅ!!!」
追い討ちとばかりに、りぐるが威嚇しながらまりさの顔に脚部を打ち付ける。りぐるの底部には様々なものに捕まるための細かい返し
と、滑り止めのための油分で覆われている。それをまともに喰らったまりさは、堪らず家族に助けを請う。
「れいむー!!このぬるぬるとってーーー!!!」
「「「くさっ!!?へんなにおいがするまりさはこっちにこないでえええぇぇぇ!!!」」」
「ゆっがあああああぁぁぁ!!!??なんでぞんなごどいうのおおぉぉぉ!!!!!」
テラテラに光りながら異臭を放ち家族を追い回すまりさ。その臭いは使い古した天麩羅油のような重ったるいながらツンとする
独特の酸化油のそれである。泣き叫びうろたえる家族を横目に、悠々と食事を楽しんだりぐるは、やがてこの巣を後にした。
「・・・むっきゅーん。こまったことになったわね。あれだけ いたみやすいくだものは はやくたべるようにいっておいたのに!!」
「「「ごべんなざいいいぃぃぃ!!!」」」
数分後、広場では群れの仲間達からボコボコにリンチを受ける一家の姿があった。りぐるが一家の巣に迷い込んだのは、痛んで臭い始め
た果実の香りに誘われたからである。りぐるには痛んだ果実や樹液を好んで食べる食癖があり、こうした事態を避けるため群れでは日頃
より食料の管理には口酸っぱく言い聞かせていた。だが今回この一家は、滅多に口に出来ないごちそうを、少しでも長く楽しもうと卑し
くチビチビと啄ばんでいた。それが災いして、りぐるを誘き寄せるにいたった。
「むきゅー・・・にげたりぐるがなかまをつれてきたら このむれはおわるわ・・・」
「ゆううぅ・・・いったいどうしよう・・・」
「こうなったら、いちかばちかむかえうつしかないわね・・・みんな!ちからをかしてちょうだい!!」
りぐるの大郡に襲われては一溜まりも無い。彼らは体の割りに素早く凶暴なのだ。
一度目を付けられたら最後、それこそ髪の毛1本に至るまで奪い尽くされてしまう。本来ならここを逃げ出すべきなのだが、人間や妖怪の
溢れる幻想郷ではゆっくりの暮らしていける土地には限りがある。次の安住の地の約束などされないのだ。もはや襲い来るりぐる達を向か
え撃つ以外に、群れには選択肢は残されていなかった。
そして罠の設置がはじまった。
「ゆはぁ・・・ゆはぁ・・・もうむりなんだぜ!!」
「ゆっくりしないでね!!ばかなまりさたちは やすんでないでさっさとあなをほってね!!」
「ゆっきゅりちゅかれちゃよ!!もううごけにゃいいぃぃ!!!」
りぐるを呼び込んだ一家は事件の元凶として槍棚に担ぎ上げられ、落とし穴を掘らされる作業に借り出されていた。
手も足もないゆっくり達が短時間で大穴を掘るなど簡単なことではない。だが群れはそれを許さず、一家が休むことの無いよう罵声や石こ
ろ等を投げつけては、強制労働を強いていた。
「おねがいでずううぅぅ!!れいむはきちんとはたらきまずがら、こどもたちだけでもゆっくりさせてくだざいいぃぃ!!!」
「「「ゆゆー!!ありがじょー!!おかーざーん!!!」」」
「なにいってるの?ばかなの?しぬの? おまえらみたいなごみくずにそんなけんりあるわけないでしょ?
ころされないだけかんしゃしてね。そしたらさっさとあなをほってね。」
それだけ言うと見張りのれいむは一家に唾を吐きつける。ベチャリと命の次に大事な帽子に唾を引っ掛けられたまりさは怨嗟の篭った眼差
しを向ける。だがボロボロの体ではそれが精一杯で、黙り込むと涙を流しながら穴を掘る作業に戻った。
「・・・こんなものかしらね。あなたたち、よくがんばったわ。」
「ゆへ・・・ゆへ・・・。これで、れいむたち、ゆるして、もらえるんだね・・・」
「ゆは・・・ゆは・・・。やっと、じゆうに、なれた、んだぜ・・・」
日の暮れる頃、穴の底で全身を使って息をする一家を見てぱちゅりーは告げる。その一家が命を削って掘りぬいた穴は、人間ですらすっぽ
りと収まるほどの大きさであった。一家はこれでようやく労働から解放されると、涙を流し喜んだ。子供達も声こそ出ないものの、泥だら
けの顔をクシャクシャにして泣きじゃくっている。
「それじゃあ ゆっくりしないでそとにだしてね!!」
「もうゆるされたんだぜ!!さっさとだすんだぜ!!」
「おちつきなさい。あなたたちは ほんとうによくやってくれたわ。そんなあなたたちに ささやかだけどごほうびをよういしたの。
いまもってくるからうけとってくれる?」
「ゆゆ!!わかったよ、ゆっくりまつよ!!」
「うけとってやるから いだいなまりささまのためにもってくるといいんだぜ!!」
先程まで辛辣な仕打ちを受けていた一家も、この言葉にはホクホクである。自分達の頑張りが認められて無事許された。
その上褒美まで用意されているというのだ。喜ばないわけがない。そうして再びぱちゅりー達が穴の淵より姿を見せる。
「それじゃいまからごうびのごちそうをいれるから、くちをあけてまっていてね。」
「「「ゆっくりわかったよ!!ゆあーーーん・・・」」」
そう合唱すると、餌をねだる雛鳥のように口を開き天を仰ぎ見る一家。そうして、そこへご馳走は投げ込まれた。
「「「あむ!むーしゃむーしゃ、しあわべえええええぇぇぇぇぇぇ!!!!???」」」
口に入ったものを咀嚼すると勢いよく吐き出し始める一家、子ゆっくりに至っては餡子まで戻している。
「あははははは!!おくちにあったかしら?まだまだあるからのこさずたべてね!!」
「ゆべええぇぇぇ・・・!!いっだいなにたべさせたのおぉぉぉ!!?」
「あなたたちの だいすきなくさったくだものよ。わざわざあなたたちのために いためてあげたんだからかんしゃしてちょうだい。」
「なんでごんなごどずるんだぜ!!もうまりさはおまえたちをゆるさないんだぜ!!」
「あら?ごみむしにはおにあいかとおもったんだけれど。それにしてもゆるさないなんてどのくちがいうのかしら?
いいわ、もうあなたたちはそこでしんでいきなさい。」
ぱちゅりーがそう言って部下に目配せをすると、部下達は残りの汚物を穴に落とし込んでいく。
「ゆぎゃあああぁぁぁ!!ぐざいいいぃぃ!!すっぱいいいぃぃぃぃ!!」
「べちゃべちゃじでぎもぢわりゅいいいぃぃぃ!!!」
「めぎゃー!!めぎゃちくちくしゅりゅー!!!」
襲い掛かる生ゴミの洪水に、疲れ果てていた子ゆっくり達も火がついた様に騒ぎ出す。
「ごべんなざいいいぃぃぃぃ!!もうゆるじでぐだざいいいぃぃぃ!!」
「まりざだぢがわるがっだでずうううぅぅぅ!!!」
「あやまらなくていいわよ?いまさらなにもかわらないんだから。」
「「「どうじでぞんなごどいうのおおおぉぉぉぉ!!?」」」
「どうしてですって?きそくもまもれないようなあなたたちは、ゆっくりじゃなくてしょせんごみむしなのよ。むしをころすのにりゆうな
んてないでしょう?わかったらしずかにしてね、しょうしょうみみざわりになってきたわ。」
「「「っゆっがあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」」」
それが一家の最後の言葉となった。際限なく雪崩込む生ゴミの重みに耐えかねて、やがて一家は声すら出せず、ゆっくりと臭気と恐怖に
包まれながら死んでいった。声のしなくなった穴に一瞥すると、ぱちゅりー達はそこを後にした。
ザザザザザザザザザザザザザザ・・・・・・・
そうして辺りが闇に包まれる頃、闇よりも黒い巨大な塊がゆっくりの群れに近づいていた。
それはゆっくりりぐるの大群で、巨大な黒の中で無数の真紅の瞳が妖しく浮かび上がり、まさにそれは異形の怪物であった。
『リグ!リグルンルン!!』
『『『リググー!!』』』
襲った一家の巣の近くまで近づいた時、りぐるの大群は夜風に混じる甘く蕩けるような腐敗臭を敏感に感じ取った。
大抵のものならその臭いに鼻を曲げるところだが、猩猩かくや、醗酵臭はりぐるにとってはご馳走の香りである。
そうして辿りついたは大きな穴。真っ黒な口を開いたそこは、肥溜めの如く多種多様な木の実が潰れ異臭と汚汁を放ち彼らを歓迎する。
『『『リッグルンルーン!!!』』』
そう叫ぶと我先にと穴の中へ向かっていくりぐる達。やがて大半がその中に納まるのを確認すると、木陰より様子を伺っていたぱちゅりー
達がついに動き出した。
「・・・いまよ!!そういん、とつげき!!」
ぱちゅりーの指揮に合わせて次々に飛び出すゆっくり達、その顔は総じてリスの如く頬が膨らんでいる。
ゆーゆーと掛け声を上げながら穴に突貫すると、おもむろに口を開き、大小様々な瓦礫を流し込んでいく。
「ぶあぁ・・・!!ゆっくりしねええぇぇぇ!!!」
『『『リグッ!!!??』』』
突如として降りかかる瓦礫と激の雪崩に、さしものりぐる達も思わず浮き足立つ。
だがやがて、状況を理解すると数匹のりぐる達が羽を広げぱちゅリー達に飛び掛ってきた。
『フイウチフイウチ!リグルキッキキキキー!?』
「むだだよ!!ゆっくりしねぇ!!」
ぱちゅうりーの顔面めがけ飛び蹴りを放つりぐる、だがそれは側近達によって辛くも叩き落された。
突然の横からの体当たりをもろに受けたりぐるは、キーキーと鳴きながら地面をのたうち回る。そこへ更なる追撃が浴びせられる。
「とどめだよ!!ゆっくりしていってね!!」
『プキッ!!?リグ・・・ルンルン・・・』
まりさは高く飛び上がり、全体重を掛けてりぐるに圧しかかる。その体の下からは甲高い声が響いていたが、やがて静かになった。
そうして次々に瓦礫を流し込み、りぐる達を生き埋めにしていく。何とか穴から逃れ出るものも1匹残らず確実に潰していく。
そうしてゆっくり達が穴と瓦礫を何往復したか解らなくなるころ、穴は綺麗に埋まりきり、遂には声も聞こえなくなった。
逃れたりぐるも全て仕留め、とうとう子供1匹残さず駆逐が完了した。こうして戦いはぱちゅりー達の勝利に終わった。
そうしてその日は大騒ぎ、れみりゃも妖怪も関係ない。強大な敵を倒したという達成感に満たされ、その日は皆で朝まで己たちの武勇に
酔いしれた。
そうして群れに平和な日々が訪れた。だがその数日後、群れのゆっくり達に奇病が流行り始めた。
「うううううう・・・・・むーしゃむーしゃ!!!!!」
「ゆゆ!?れいむなにしてるの!?そんなものたべたらぽんぽんいたくなっちゃうよ!?」
「うるさいよ!!ゆっくりしてないまりさはしねぇ!!」
「ゆっぎいいいいぃぃぃぃ!!???」
「むーしゃむーしゃ・・・・・ゆふふふふふ、まりさのかお、とってもおいしいよ・・・・」
「ひいいいぃぃぃぃ!!!!だれかたすけてええええぇぇぇぇ!!!!!」
だらしなく開いた口からまりさの餡子を垂れ流し、壊れたおもちゃのように笑い続けるれいむ。その目には光がなかった。
突如として群れを襲った奇病、それは痛んだ食べ物や臭いのキツイ食べ物を食べたくてしょうがなくなると言う極めて不可思議な症状で
あった。また、この病魔に侵されたゆっくりは総じて凶暴になり、群れのゆっくりはおろかパートナーや家族にすら牙を向ける始末であ
る。そうして一しきり暴れ狂うと、壊れたように笑い出し、やがて白目を剥いて眠りに就く。そして目覚めると、またも同じことの繰り
返し。それはまるで人間の狸憑きのようであった。このあまりの奇行に恐怖し、ゆっくり達はりぐるの呪いと恐怖したのだった。
「むきゅう・・・だめだわ、やっぱりわからない・・・」
果敢にもぱちゅりーはこの奇病の真相に迫ろうと努力し続けていた。だが、これといった成果は挙げられず、群れ一番の博識ぱちゅりー
ですらお手上げのこの事態に、ほとほとゆっくり達は疲弊しきっていた。神は非情なものらしく、今日もめげずに診察に訪れたその先で
とうとう事件は起きた。
「ゆへへへへへへへへげぇ!!?うぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・・!!!」
「れいむ!?いったいどうしたの!!?」
突如悲鳴をあげ苦しみ始めるれいむ。固く食いしばった唇からは餡子が垂れている。
「おちついてれいむ!!わたしのこえがわかる!!?」
「うぶぶぶぶぶ・・・あば!!!あばばばばばぼぼぼぼぼぼ!!!!???」
「きゃ!!?いったいなにが・・・・・」
なおも苦しみ続けるれいむ。やがてれいむは体を絶頂に達したかのように大きく引き攣らせると、ぶくぶくと黒い泡を吹き出し始めた。
それでもなお終わらない。やがてれいむの体内で何物かが蠢くように、その体が大きく脈打ちはじめたのだ。
「おっぼぼぼぼぼ!!!あばあばあばばばばばばっっっばあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そう叫ぶとれいむは派手に弾け飛んだ。そうしてれいむの体があった場所、そこには・・・
『『『リッグルンルーン!!!』』』
「・・・・ど、どどどどどういうことなのおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!???」
大量のりぐるの姿が残されていた。あまりのことにぱちゅりーの頭は回転できず、ぷすぷすと煙を巻き上げる。
ただただ悲鳴を上げるしかできないぱちゅりー。その身には無慈悲にりぐる達がせまる。
「い、いや、いや!!いや!!いやいやいやいやいやいやいやいやああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
『『『リッグルンルーン!!!』』』
時はほぼ同時、群れの各所では病床のゆっくり達から次々にりぐる達が溢れかえっていた。
あちらこちらから聞こえる悲鳴に怒声、まさに天地をひっくり返したような大騒ぎであった。
「ゆゆゆ・・・!!もうここはだめだよ!!」
「しかたないんだぜ!!まりさたちだけでもゆっくりにげるんだぜ!!」
そう口にして急ぎ足で跳ねるは、幸運にも難を逃れたゆっくり達。
生きていればどうにでもなる、今はただ一刻も早くここを離れるのみだ。それだけを考え、ゆっくり達はただただひた駆ける。
そうしてある所に訪れた時、それは起こった。
「ゆゆぅ!!?しゅっごくゆれるよ!!?」
「じしんだよ!!みんな、おちついてゆっくりあつまってね!!」
突如轟々と唸りを上げる地面。ゆっくり達はたまらず固まり、どうにかこれをやり過ごそうとする。
しかし、待てども待てども揺れの収まる気配はない。それどころか、寧ろその激しさをましている印象すら覚える。
ミシ・・・ミシ・・・
「ゆゆぅ!!?こんどはいったいなんなのぉ!!?」
ミシ・・・ミシ・・・
「もういいよ!!ゆっくりとまってよ!!」
ミシ・・・ミシ・・・ビシッ
「ゆ!?いったいどうなって、る、の・・・・・・?」
周囲の地面が大きく裂けたと思うと、突如として辺りに立ち込める臭気。
裂けた地面から絶え間なく噴出すそれは、まるで魔境の瘴気である。
暗く開いた地獄の入り口からは、こちらを見つめる真紅の瞳。
それは1つ、また1つとその数を増していく。
やがて、周囲は妖しい光に包まれた。
『『『『『リッグルンルーン!!!』』』』』
「うおっ!!?出やがったな、この野郎!!!」
『ピキィッッ!!!??』
男はりぐるを履物で力いっぱい打ちつける。履物の下では、文字通り虫の息となったりぐるが力なく痙攣している。
「ったく、こいつゆっくりの癖に全然ゆっくりしてねーよ。動く時カサカサ音するし、何かぬるぬるするし・・・。
もうちっと大人しけりゃ、中々可愛げもあるんだがなぁ・・・。」
男はぼやくと、ちり紙を手にりぐるの亡骸を片付けようとする。だが伸ばした腕は、宙を掴んだまま固まることとなった。
『『『・・・・・リグリグ・・・・・リグリグ・・・・・』』』
そう呻きながら、潰れた母の体から這い出るは小指の先程の子りぐる達。
カサカサではなく、うねうねにちょにちょと湿っぽい音を立て次から次へと溢れ出てくる。
一体この体のどこにこれだけ収まっていたのか、まるで質量の法則すら無視せん勢いである。
「・・・・・やっぱ、ゆっくりしてても可愛いてのは無理があるかな。」
男はそう言うと、泣き泣き再度手を伸ばすのであった。
終われ
作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人
最終更新:2022年05月03日 21:43