数十キロはあった糞便を片付けるのに、丸一日かかった。
たった一日というと思ったより短いようだが、
まりさ共が口内の糞便を飲み込むたびに、
俺や使用人がひっきりなしに詰め替え、それがおよそ二十時間以上だ。

「かひゅうーーーーーーー………あひゅううーーーーーー……」

輪を取り外され、まりさ共は憔悴しきって、
吊り下げられた全身を波打たせている。

「うまかったか?」

俺が聞くと、しばらく開ききった口をもごもごさせてから、
上顎支点で吊り下げられたままで返答が帰ってきた。

「ゆっぐ……ゆっぐり……でぎだいぃぃぃ……」
「……ゆっぐじ……じだい……じだいぃぃぃ」
「おろじで……おろじでぇぇ……」
「口に合わなかったか?それは悪かった。
もっとゆっくりできるごはんを持ってきたよ」

そう言うと、俺はカートを新しく運んできた。

カートの上には、再び青いビニールで覆われた皿。
大きな皿をいくつか台の上に、まりさ共によく見える位置に置いてやる。
まりさ共の目は怯えていたが、いくぶんかの期待の色が見え隠れしていた。
もしかしたらこの人間は勘違いをしてあんなものを持ってきただけで、
今度はちゃんとゆっくりできるごはんを持ってきたのかもしれない。
そんなところだろうか。

「ゆっくり……ゆっくり……」

震える声で呟くまりさ共の前で、次の食事を公開してやる。

「ゆあああぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!」

悲鳴が上がった。

ひどい腐臭の中で、俺は解説してやった。

「かき集めるのが大変だったよ。いまは夏場だからごらんのとおりだが、
まあお前たちゆっくりなら大丈夫だろう」

犬や猫、鳥や狼、町や森の中で拾ってきたあらゆる獣の死体が皿の上に乗っている。
どれもこれもひどい腐臭を放ち、体中に蛆が蠢いていた。
猫の眼窩や犬の裂けた腹部、穴という穴は蛆だらけだ。
蛆のほかにムカデやミミズ、なんだかよくわからない虫たかっており、
その上では大量の蠅がぶんぶんと飛び回っている。。
手近な猫の死体を長い菜箸でつまみ上げてやると、
腐りきって緑色に変色した肉はぐずぐずになってたやすく崩れ、黄色い膿が長い糸を引いた。
緑に紫に黄色に赤、一度死んだ肉は本当にカラフルになるものだ。

「ぐざい!!ぐじゃいいいいいい!!!やべでえええええ!!」
「おでがいいいいいいいぢがづげだいでえええええええええ!!!」
「急いで噛みつぶさないと、ウジやムカデがお前らを食うかもな」
「いいいいいいいやああああだああああああああああーーーーーっ!!!」

脅してやったおかげで、白目を向いて痙攣しながらも、
口腔内に放り込まれたまりさ共は今度は必至に咀嚼していた。
柄杓の表面にこびりついた蛆がまりさ共の表皮を這いまわり、目の中に一匹二匹侵入する。
嫌悪に身をよじらせながら、それでもまりさ共は泣きながら食事を続けた。
虫に関しては、もともと毛虫やら蝶々を食うゆっくりだから問題ないだろう。

顎の動きから嚥下を確認する度に、輪の蓋を開けて次の腐肉を注ぎ込む。
そのたびごとに、まりさ共は泣きながらあらん限りの声をあげて慈悲を求めた。

「ゆおおおおおおごおおおおごごごごごおおおおおああああああーーーーーーーーー」


まりさ共の努力で、腐肉は一日かからずに片付いた。
次はまともな食品を食べさせてやることにする。

その日俺が運んできたカートの上には、大きなボールがいくつも載せられていた。
そのいずれも、粉やらどろりとした液体やら練りものでなみなみと満たされ、
緑や黄色もあったが、それら内容物はおおむね赤かった。

まりさ共はきょとんとそれを見ている。
どうも味が想像できないようだ。

俺は親まりさの口に再び輪をはめた。

「ゆごっ!!おごっ、わっかさんはゆっぐじでぎだいぃいいごっ!!」

ばたばたと抵抗しながら、なすすべなく輪をはめられて大口をあける親まりさ。

「味見してみるか?」

俺は手近なボールから赤い粉を指ですくうと、
親まりさの口内に刷り込んでやった。

「!!??」

びぐん、と親まりさが空中で跳ねた。

「ゆぼびょがぎょぼばごぎゃがばああぁぁあーーーーーーーー!!!」

すさまじい絶叫をあげ、すぐにも吐き戻そうとするが、
俺がすぐに蓋を閉めたので、あわやというところで餡子は口内で止まった。

それでも親まりさの痙攣は止まらない。
いつまでたっても止まない親の悶絶を見て、子まりさ共が恐怖に震えている。

「トウガラシだよ」

俺は教えてやった。

甘味そのものたる饅頭でできているゆっくりにとって、辛味は毒である。
正確には辛味そのものが毒性を持つわけではなく、
あまりの苦痛に餡子を吐き出してしまい、
それが致死量を超えることが少なくない、ということだ。

50cm級のボリュームを持つ親まりさが、
ただひとすくいのトウガラシでなお暴れ続けている。
白目を向いた眼窩から涙が吹き出し続け、
すでに枯れ果てていると思われたしーしーとうんうんが、
すごい勢いであにゃるとまむまむから放出されていた。
本来ならとっくに絶命しているだろう。

しかし、死なせることは俺がしない。
食わせたはしからすぐに蓋をしてやるので、
たっぷりと味わってもらうことができる。
念のため、あにゃるとまむまむもガムテープで塞いでやることにしよう。

こうして、ゆっくりがいまだかつて味わったことのない世界に、
このまりさ共が、ゆっくり史上初の一歩を踏み出すことになるわけだ。
さぞ誇らしいことだろう。

親まりさがトウガラシを消化して動きが収まるまでに、
たっぷり十分はかかった。

「かひゅうーーー……ほひゅうーーーー……」

白目を向いたまま、親まりさは放心した体で呻いている。

「ちょっと味見しただけでこんなにゆっくりしてくれるんだな。
たっぷりあるから、ゆっくり味わっていってくれ」

そう言ってやり、トウガラシの粉を柄杓でたっぷり掬った。
親まりさの口に近づけるが、親まりさはまだ白目を向いたまま揺れている。
俺の声も耳に入っていないようだ。
構わず、口いっぱいにトウガラシを頬張らせて蓋をした。

親まりさが爆発した。

もちろん比喩的表現だが、まさにそれは爆発だった。
吊り下げられた状態で、よくもこれほど動けるものだ。
そう感心してしまうほど、電流に打たれたように跳ね回っていた。
ビビビビビビビビビビビビビビビビビ。
下膨れの顎が、上下左右にぶんぶんとシェイクしている。
まるで釣りあげられた直後の魚、いやそれ以上だ。

「ゆぁああああああ……ゆわぁああああああ………」

子まりさ共が絶望のシンフォニーを奏でている。
次は自分たちだ、それは痛いほど理解できているようだ。
命乞いをする気力もなく、ただ泣くことしかできない。

それでも、輪をはめられる段になると本能的に騒ぎはじめた。

「やべで!!ゆっぐりやべで!!やべでぇええええ!!まりざだげはぁああ!!」
「ゆっぐりじだいいいいいいい!!ゆっぐりざぜでぇええええええええ!!!」
「いやぁあああああいやぁあああああごろじでええええーーーーーっ」

三匹の子まりさ共には、また違うものを味わってもらった。

カラシを詰め込まれた子まりさは、やはりおこりのように痙攣している。
トウガラシとあまり変わらない。

わさびを詰め込まれた子まりさは、これも痙攣しているのだが、
カラシとはやや違うようだ。
半分白目を剥いて、下顎というか腹を前方に限界まで折り曲げて、
ぐにゅりと折りたたまれた状態で硬直しながら痙攣している。
わさびの辛さは鼻にくる。
想像するに、この量では「ツーン」というような生易しいものではなく、
脳天を錐で突きとおされているような感覚ではなかろうか。

最後の子まりさは、コショウを詰め込んだ。
すさまじい勢いでせき込んでいるが、
鼻がないので、口をふさげば何も出てこない。
膨れてはしぼむのをすごい速さで繰り返し、まるで早鐘を打つ心臓のようだ。

四匹ならんだゆっくりが痙攣しつづける様は壮観だった。
どれもが人間でもできないようなすさまじい速さで痙攣し、
微塵もゆっくりしていない。

見やると、隣のゆっくり共が反対側の壁にぴったり身を寄せて震えていた。
ゆっくりできないものを極端に恐れるゆっくりにとって、
高速で動くものは恐怖の対象である。
まして、同族であるまりさがすさまじい速さで痙攣するこの光景は、
こいつらにとってあまりに恐ろしいのだろう。
こちらに背を向けて壁にしがみつき、恐怖に泣き叫んでいる。
俺はスイッチを操作し、向こう側のマジックミラーを鏡に戻して、
向こうからは見えないようにした。

さて、この辛味を片付けるにはどれだけかかるか。


結論から言うと、まりさ共の反応は、やること自体はそう変わらなかった。
どれもすさまじい勢いで痙攣してばたばた暴れるというものだが、
その痙攣の度合が、きれいに辛味に比例するようだ。
より辛いものを食わせるたびに、痙攣の間隔が速くなり、ぶれる大きさは増大していった。

辛味は、スコヴィル値と呼ばれる数値で計測することが可能である。
トウガラシの辛味は、およそ三万~四万といったところだ。

スコヴィル値三十五万のハバネロを食わせたときは、
バイブレーターのように震えていた。
ビビビビビビから、ビィィィィィィーーーーーー………という感じだ。
下腹部はもはやぶれてよく見えない。

最終的には、世界一辛いトウガラシと言われる、
スコヴィル値百万のジョロキアを食わせた。
この時は驚いた、その痙攣はもはや擬音に変換できるレベルを超えている。
体のぶれは早すぎて、ぱっと見ではまったく動いていないように見えるほどになり、
ぶれる下腹部の軌道がそのまま輪郭となって、
頭部分だけがにょきりと突きでた扁平な饅頭のように見えた。
はたから見ていても異常な光景だが、
こいつら自身の感じている苦痛たるやどれほどのものだろうか。

つくづく、ゆっくりの不可解さと頑丈さを思い知った。
他の生き物の筋肉では、どれだけの刺激を与えてもここまで動けるものではないだろう。
ゆっくりという名前に反して、この生き物はすさまじい潜在能力を秘めているようだ。


辛味を食わせはじめてから最後のジョロキアを片付けるまでにかかった時間は、二週間だった。
そもそも、この激痛では「食う」という思考さえ発する余裕がないだろう。
意思とは無関係に喉から勝手に吸収されるのを待つ、という緩慢な食事だった。

ともあれ少々不安はあったが、餡子さえ吐かなければ、
どれだけ辛いものを食べても死なないことは証明された。
人間だって死にそうなものだが、これも意外なゆっくりの耐久性といったところか。


辛味を食わせるのにだいぶ時間がかかったが、次はすぐに終わるだろう。
発狂のできない悲しさでいまだ意識を保っているまりさ共に、俺は聞いてやった。

「かき氷って好きだったよな、お前ら」

コンビニで買ってくるかき氷が、このまりさ共は好物だった。
夏場などは他のれいむやありすから奪い取って貪っていたものだ。
かき氷と聞いて、まりさ共の目が輝いた。

「すきぃ!!かきごおりだいすきなんだぜぇええ!!ゆっくりできるうううううううう!!!」
「さんざん辛いものを食わせたからな、次は冷たいものをと思って今日はそれを持ってきた。たっぷりな」
「やったのぜええええええええ!!!やっとゆっくりできるんだぜええええええええ!!!」
「おにいさんはやっとわかったのぜええええええ!!?えらいんだぜえええええええ!!!」
「ゆっくり!!ゆっくりできるううううううう!!!ゆっくりいいいいいーーーーー!!!」

言葉遣いが少しばかり戻ってきたようだ。元気でいいことだ。
狂喜する親まりさの口に、再び輪を嵌める。

「ゆっ!!?やめるんだぜ!!わっかさんなくてもまりさはたべるんだぜぇおごっ!!」

あれだけ辛味を食べていても、中の様子は一見変わっている様子はなかった。
あれでもすべて餡子に変換しているらしい。ゆっくりコンポストが人気なのもうなずける。

四匹並んで大口をあけるまりさ共の前で、俺は道具を取り出した。
まず、ペンチを持ち出して親まりさの歯を挟む。
強度はともかくとして、
直径50cmにもなるまりさの歯は相当でかく、直径2~3cmはあるようだった。

「ゆゆぅぅううぐぅぅぅう!!?」

自分がされることを察知したらしい親まりさがじたばたともがき始めた。
俺はペンチをゆっくりと傾け、歯をねじっていった。

「ゆごっ、ぼっごっごごごごごっごおおおおおおおおお!!!」

一回転したところで、歯はたやすく根本から抜けた。
親まりさは大粒の涙をぼろぼろ流して呻いている。

「ゆあああああいいいいいいいいいい………えううううううううぐううううううう」

手早く次の歯にペンチを伸ばした。
ここでの初日にさんざん蹴りつけたせいで、すでに多くの歯が折れていたが、
半分折れているようなのも含めるとまだ十本はあった。
それらを綺麗に、全部こじり取る。
健康な歯を、引っこ抜かれるならまだしもねじられて抜かれる痛みは相当なようだ。
ねじられていく歯が歯茎を押し潰し、破壊していく。

「ごごぉおおおおお!!どおおおおおおお!!!あうぐううううううううーーーーーーっ!!!」

すべてを抜いた後は、まりさの大口の中に白いものはなくなった。
餡子とはいっても、歯茎を構成する部分は比較的固く、骨格に近い働きをしているようだ。
歯があった跡は、すべてぐずぐずの穴の列になり、
ピンク色の歯茎に、露出した黒い餡子がU字型に並んでいる。

子まりさ共を見やると、全員がすでに大粒の涙を流していた。

「やべでえええええええゆるじでええええええーーーーーーーーーっ」
「いりまぜん!!がぎごおりいりばぜええええええん!!!ぢょうじのっでばじだああああああああ!!!」
「ばざんぬがないでええええええええごばんだべられだいいいいいいいいい」
「歯がなければまともに喋ることもできないからな。必要になったらまた挿してやるよ」

子まりさ共にも輪っかをはめて口を開けさせ、歯をすべてこじり抜く。
ひとまずこれで目的は達成できるが、さらに念を入れる。

工業用の電気ドリルを持ち出すと、再び親まりさから処置を施す。
直径1センチ程度の細いドリルを、歯の抜けたぐずぐずの跡に突き入れた。

「がびゃあっ!!!?」

びぐんと跳ねるまりさを押さえつけながらスイッチを入れ、
回転するドリルをゆっくりと歯茎の奥まで突き込む。

「ががががががががががががががががががががあああぁ!!!!!!」

どれぐらい入れるか少し悩んだが、5センチぐらい突っ込み、
突っ込んでは内部でねじり回して神経を引っ掻いた。
本気で引っ掻くとたやすく歯茎ごと崩れてしまうので慎重に行う。

「ばいいいいいいいぐうううううういいいいいいいおおおおおごごごごごばばばばばだあああだああああああああががががががあああああああーーーーーーーーーっ」

すさまじい声量の悲鳴が部屋に充満する。

「ゆううううううううう!!!あゆううううううううううう!!うううううううううーーーーーーーっ!!!!」

子まりさ共も自分がされる前からひっきりなしに悲鳴をあげている。

研究者によれば、外見と同じくゆっくりの体のはたらきは人間と酷似しており、
歯茎の中にも、神経と同じ作用をする餡子が詰まっているらしい。
一見崩れた餡子の塊にしか見えないが、
ぐしゃぐしゃの歯茎の中で、神経となる餡子がむき出しになって外気に晒されるわけだ。
俺も昔歯医者の世話になったことがあるが、その苦痛は俺の体験の万倍にもなるだろう。

「あがああああああああごおおおおおおおおおおーーーーーーー」

すべての歯の神経をかき回されむき出しにされたまりさ共は、
俺がドリルを抜いたあとも叫び続けていた。
神経が外気に触れるだけでもすさまじい苦痛を呼び込むようだ。

「じゃあ、食事にしようか」

俺の言葉にもまりさ共は反応せず、忙しく叫び続けている。
仕方がないので勝手にやらせてもらうことにした。

連絡して、スチロールの箱を大量に運び込んでもらう。
スチロールの箱の中に、ドライアイスで冷凍保存された袋詰めのかき氷が大量に詰められていた。
それらをかたっぱしから大きなボールに開けると、
ボールをそのまま親まりさの前に持っていく。

親まりさは歯茎の痛みに暴れまわっていたが、
視界の端で俺のやっていることを捉え、さらに涙の量を増やした。
もはやスプリンクラーのように涙が飛び散っている。

溢れるほど口いっぱいに氷をつめこみ、急いで蓋をする。
白目を向いていた親まりさの目がいっぱいに見開かれた。

氷の冷気が、歯茎の神経を通って餡子の髄まで貫いたようだ。
ぐるぐると瞳を回転させ、親まりさはすさまじい勢いで暴れまわった。
振り子のように前後に顎をぶんぶん振っている。

全員にかき氷を食わせて観察する。
しばらくの間まりさ共は暴れていたが、やがて意外な反応を見せはじめた。
目をぎゅっと閉じて体を縦にめいっぱい伸ばしている。
どうやら、せめて上顎の歯茎に氷を当てないようにしたいらしい。

限界まで大口を開けさせたうえで満杯に氷を詰め込んだのだから、
そんな事をしても顎はそれ以上開きも閉じもしないのだが、
縦長に体を伸ばしているまりさはそれなりに珍しい見ものだった。
もっとも、今後はもっともっと珍しい状態を見せてもらうのだが。


氷は数時間で片付いた。
食べるというより飲み込むだけなのでさすがに早い。
その日のうちに、俺は次の食事を出した。

「それじゃ、後は野菜をやろう」

まりさ共の目が開き、恐怖8、媚びが2程度の感情を湛えた。

「安心しろ。腐ってない、新鮮な野菜だ」

ここまでされても期待を捨てられないのが餡子脳たるゆえんだ。
それゆえにタフなゆっくりを、完全な絶望と後悔に染めるには骨が折れそうだ。
もっとも、絶望を味わわせる試みはまだ始まってもいない。
じっくり腰を据えてかかろう。

最後に俺が持ってきたのはサボテンだった。

口いっぱいにサボテンを詰め込まれ、
ぐじゅぐじゅに潰された歯茎を含めた口中を針で刺し貫かれながらまりさ共は苦痛に身をよじる。

これを食わせるにあたって、まりさ共をフックから取り外し床に置いてやった。
苦痛にのたうちまわるほどに、まりさ共の口内のサボテンは床に押されてますます針を深く突き立てる。

一応は有機物なのだからいつかは消化されるだろうが、
サボテンの固い表皮が餡子に変換されるにはまた相当かかるだろう。

しばらくは、これらのものをローテーションさせながら不眠不休で食べてもらうことになる。
回復力の強いゆっくりだから、歯茎はすぐに回復する。
そのたびに電気ドリルで神経をむき出しにすることで、
食事による苦痛は数倍になるだろう。
歯がなく咀嚼できないため、頼りは体液による消化のみだ。時間もかかる。

まりさ共については、ひとまず今のところはこんなものか。



まりさ共と並行して、れいむ共とありす共にも処置を行っていた。

初日、れいむ種の四匹は、
目覚める前にそれぞれ個室に入れた。
およそ1~2m程度の、ピンク色の不透明な箱だ。

親れいむが目覚めると、周囲は狭いピンク色の空間だった。

「ゆゆっ!?」

状況がつかめず、うろたえて周囲を見渡す親れいむ。
見慣れない場所。家族の姿も見えない。

「ゆっ!くそどれいはかわいいれいむをさっさとここからだしてね!!」

れいむは叫んだが、それに対する返答はなく、
代わりに挨拶が返ってきた。

「ゆっくりしていってね!!」

背中から聞こえてきた声に振り向くと、そこには知らないまりさがいた。
自分とほぼ同サイズのそのまりさの姿に、れいむは息をのんだ。

絹のようにさらさらで輝くばかりの光沢をもつ金髪、
ビロードのようなてかりを放つ黒い帽子、
ふっくらもちもちの、極上の血色もとい餡色を帯びた肌。
今まで見てきたゆっくりなど問題にならないほどの極上の美まりさだった。

「ゆっ!ゆっくりしていってねぇぇ!!」

息も荒く、れいむは言い放った。

「まりさのいえにいらっしゃい!ゆっくりおともだちになろうね!!」

美まりさが返してくる。
そのころころした美しい声に、親れいむはまためろめろになるのだった。
家族たちが不安ではあったが、
甘やかされきった彼女には、心配ごとはすべて奴隷が片付けるものであったから、
外に向かって命令すればすぐに会えると思い、
今は目の前のまりさとゆっくりすることに集中することにした。

やや緊張しながらも、他愛のない話を交わす。
美まりさは性格もよく、いろんなことを知っていて、話していて楽しかった。

すっきりしたい、という欲望が頭をもたげるのにそう時間はかからなかった。
夫のまりさに対する操が一瞬頭をよぎったが、
妾を堂々と連れてくるあのまりさに対し、あてつけでこちらも存分にすっきりしてやろうと思った。

どういうきっかけを作ってすっきりしようか逡巡しているうちに、
ピンク色の室内に、なにやら香が漂ってきた。
無味無臭のその香りに気づかぬまま、れいむとまりさはそれを嗅ぎ、
嗅いでいるうちに表皮がほんのりと湿り気を帯びてきた。

「ゆふぅ……ゆふぅ……まっ、まりさぁぁ……」

催淫剤の香だった。
発情に頬を紅潮させ、れいむは辛抱たまらずまりさにすり寄った。
まりさも抵抗せず、れいむのすりすりにリズムを合わせてうごめきだした。

しばらく摩擦で気分を盛り上げたあと、
美まりさはれいむに向かって、いきり立ったぺにぺにを見せつけた。

「ゆふぅぅ~……すっきりしたいよ……!」
「ま、まりさにならいいよ……!」

れいむはまむまむを突き出し、迎え入れる姿勢を取った。


美まりさ共には躾を施してあった。
すっきりは、ぺにぺにを相手のまむまむに刺すやり方でなければいけない。
全身を擦り合わせる方法ではすっきりできない。
そのように刷り込んであった。

擦り合わせる交尾では、植物型にんっしんっとなり、
ぺにまむ型では、胎生型にんっしんっとなる。

胎生型の出産をしたゆっくりは、
植物型による出産よりも、子供への愛情が強い傾向にある。
個体数が少ないことと、出産時の苦労からくるものとされている。
この特性を、今回は活用することにする。


たちまちのうちにすっきりを終え、れいむは胎生型にんっしんっを果たした。
早くもぷっくり膨らんだ顎を見下ろし、ゆふゆふ満足げな声を漏らしている。

そうしていると、今度は白いガスが吹き込まれてきた。
これには強力な睡眠剤、そして成長促進剤が含まれている。
親れいむの意識はすぐに落ちていった。

以上の手順は、三匹の子れいむ共にもそれぞれ全く同じように施されていた。


翌日、四匹のれいむ共はひとつの部屋に集められていた。
四匹とも、部屋の中心に供えられたおよそ2m四方の大きなガラス箱の中だ。

子を体内に宿したゆっくりれいむ共は
親子四匹とも、もとから下膨れの輪郭が下方向にたっぷりと膨らみ、
目と口が上方にめいっぱい偏った洋梨のような無様な姿になっている。

成長促進剤によって出産を早められたれいむ共は、
四匹とも今日が出産予定日だ。
ゆっくり達が出産に集中できるよう、この部屋に人間はいないが、
備え付けのカメラで出産の様子は別室から逐一確認できるようになっている。
俺は今、監視室でそれを見届けていた。

「ゆっ!!」
「ゆゆ!れいむどうしたの?」
「う……う……うばれるうう!!」

一匹が産気づいたようだ。
一匹の子れいむの顎の下に小さな穴が空き、外側に盛り上がりながらひくついている。
顔を真っ赤にしていきむ子れいむを、他のれいむ共が応援する。

「ゆううぅぅ!!ゆううぅぅ!!」
「ゆっくりうまれていってね!!ゆっくりがんばってね!!」

ゆっくりの出産は激痛を伴う。
生涯最大級の痛みは、痛みに弱いゆっくりにとってこの上ない苦しみだが、
ひとえに赤ゆっくりへの愛情のため、この時ばかりは文句ひとつ言わずに堪える。

「うばれるうう!!ゆっぐり!ゆっぐうううううう!!」
「がんばってね!!がんばってね!!おおきくいきをすってはいてね!!」
「おねえちゃんがんばって!!ゆっくりしたあかちゃんをみせてね!!」
「がんばづうう!!でいぶがんばづううう!!ゆっぐりいいいい!!」
「ゆっゆっゆー!!ゆっゆっゆー!!」

歯茎をむき出して全力でいきむれいむ。
腹の火山のような盛り上がりはますます大きくなり、
中心部の穴、産道が少しずつ広がっていった。

「ゆゆっ!!あかちゃんのおかおがみえてきたよ!!」
「いだいいいい!!あがぢゃん!あがぢゃあああああん!!」
「おちついていきんでね!!だいじょうぶだからね!!」

産み方を指示しているのは親れいむだ。

「かわいいあかちゃんだよ!!がんばってね!!」
「ゆぐっ、ゆぐっ、ゆぐぐぐぐぐぐぐぐうううう」

涙を流し、歯を食いしばりながらいきんだ末に、
れいむはついに赤ゆっくりを生みだした。
ぽん、と勢いよく飛び出して床に着地したれいむ種の赤ゆっくりは、
ぎこちない動きで母親に向きなおると、笑顔で叫んだ。

「ゆっきゅちちていっちぇね!!」

それを見届け、れいむ達の視線が産んだれいむに向けられる。
赤ゆっくりの生まれてはじめての挨拶。
出産の苦痛があとを引く中で、産んだれいむはそれでも満面の笑みを浮かべて叫んだ。

「ゆっくりしていってねええ!!」
「おきゃあしゃん!!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!
ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」

飛び跳ねながら母親のもとに駆け寄る赤ゆっくり。

「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!!」
「とってもゆっくりしたあかちゃんだよお!!」
「れいむがんばったね!!えらかったねええ!!」

周りのれいむ達も口々に祝福の言葉を贈る。
幸福感に満ちた表情ですりすりをするできたての親子を眺めながら、
一様にたるんだ笑みを浮かべていた。

「ゆぐっ!!」

程なくして、別の子れいむがうめき声をあげた。
こちらも産気づいたようだ。

「ゆゆっ!!こっちのれいむもうまれるよ!!」
「がんばってね!!がんばってね!!」


数時間後、四匹の子れいむは全員が出産を終え、
箱の中では合計九匹の赤ゆっくりが動きまわっていた。
一度に数匹生んだれいむもいたため、この数になった。
赤ゆっくりの内訳は、れいむ種が六匹、まりさ種が三匹だ。
胎生型にんっしんっのため、どれも赤ゆっくりとしては大きめのみかんサイズだ。

「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!!」
「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!!」
「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!!」
「とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだね!!」
「れいむのあかちゃんたちとってもかわいいよおお!!」

れいむ共は飽きることなく「ゆっくりしていってね!!」を繰り返し、
それぞれ自分の産んだ赤ゆっくりを側に置いて頬ずりをしている。

「さあ、おちびちゃんたち!おかあさんとすーりすーりしようね!」
「ゆっ!おきゃあしゃんとしゅーりしゅーりしゅるよ!」
「しゅーり♪しゅーり♪」
「すーり♪すーり♪」
「あかちゃんたちかわいいねええ!」
「ゆっくりしてるよおお、ほっぺたもちもちねええ!」
「ゆっくりできるおうたをうたおうね!
ゆ~、ゆ~ゆ~、ゆゆゆ~~♪」

幸福に満ちたゆっくりの群れ。
俺は立ち上がり、部屋に向かった。


「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょ?」

部屋の中に入ってきた俺に向かって、赤れいむの一匹が話しかけてきた。
俺は答えない。

「ゆゆっ!!ごみくずがやってきたよ!!」
「なにかってにみてるのおお!?」
「ごみくずにはれいむたちのゆっくりしたあかちゃんをみるけんりなんてないんだよお!!
なにかんちがいしてるの?ばかなの!?あまあまをおいてさっさとでていってね!!」

不思議がる赤ゆっくり達に向かって、親れいむ共は教えた。

「あれはごみくずだよ!おにいさんなんてよばなくていいからね!!」
「やくにたたないくせにからだだけおおきいばかなんだよ!」
「みんな、あんなふうになっちゃだめだよ!!」
「わきゃっちゃよ、りぇいみゅはあんにゃふうににゃらにゃいよ!」
「ごみくじゅ!ごみくじゅ!」
「きゃわいいりぇいむをみにゃいでね!ごみくじゅ!!」

親に気に入られたいがために、赤ゆっくり共は俺に罵声を浴びせてきた。

「ゆゆっ、おちびちゃんたちはとってもものわかりがいいね!!」
「もっといってあげてね!!」
「くそどれいはなにしてるの?ばかなの?
こんなかわいいあかちゃん、ごみくずにはもったいないよ!ゆっくりりかいしてね!!」
「こえだけならきかせてあげてもいいよ!うしろをむいててね!!」

しばらくの間好きに言わせたあと、俺は始めることにした。
箱の中に手を突っ込み、赤ゆっくりを一匹手に取る。

「ゆゆっ?おしょりゃをちょんでりゅみちゃい~♪」

赤ゆっくりを箱の外に運び出し、床に置いたところで、
呆然として見ていた親れいむ共が弾かれたように喚き始めた。

「なにやってるのおおおおおお!?」
「ごみくずうううう!!おちびちゃんにさわるなああああああ!!」
「かえせえええええええ!!れいむのおちびちゃんかえせえええええ!!」

構わず、二匹目を運び出しにかかる。
箱の中に突っ込まれた俺の手に向かって、
殺意に満ちたれいむ共の体当たりや噛みつきが襲ってきた。
まるで痛くもない。
俺はわざとゆっくり、一匹ずつ大仰に運び出していった。

「ゆがああああああ!!かえせええええええ!!」
「きたないてでおちびちゃんにさわるなあああ!!」
「ばか!?ばか!?ばかなのおおおお!?ほんもののばかなのねええ!?
ばかはばかなりにみのほどをわきまえてねええええ!!」

何匹か運び出したところで、箱の隅に固まっている二匹のれいむが見えた。
角のほうにぴったりと身を寄せ、顔をぱんぱんに膨らませて俺を睨んでいる。
ほとんど運び出し、赤ゆっくりが目につかなくなったところで、
俺はわざととぼけてみせた。

「赤ゆっくりはこれで全部かな?」
「かえせえええええ!!!」
「まだ残っていたような気がするがな?」

箱の中を見回してみせると、隅のれいむ共がますます膨らんだ。
そちらに視線を止める。
他のれいむ共が口々に叫んだ。

「あかちゃんたちはごみくずがぜんぶはこびだしたよ!!」
「そんなところみてももういないよ!!ごみくずはばかだね!!」
「ゆっくりあきらめておちびちゃんをかえしてね!!」
「いないのか?」
「いないよ!!ゆっくりあきらめてしんでね!!」
「ここをまだ見てないぞ?」
「そんなところみなくていいよおおお!!いないよおお!!」
「そうか、いないのか。残念だな」
「ゆ!わかったらさっさとかえしてね!!ばーか!!」
「でも念のためだしな。一応見てみようか」

隅のほうに手を伸ばす。
ゆっくり共が絶叫しはじめた。

「いないよ!いないよおおお!!みなくていいいい!!」
「ばかなのおおお?しぬのおおお!?」
「ぷっくうううううううう!!!!」

膨らむれいむを転がすと、ぶるぶる震えている赤ゆっくりが三匹見えた。
面倒なので全部一度に持ち出す。

「ゆああああああああ!!やめろごみくずううう!!!」


九匹の赤ゆっくりは、
今や全てが箱の外で、透明な壁ごしに親ゆっくり共を見つめている。

「おきゃあしゃん、きょきょあけちぇね?」
「しゅーりしゅーりしちゃいよ?」
「かべさんゆっくりどいてね!」

親の元に駆け寄ろうとするが、ガラスの壁に遮られて進めない。
体当たりをしても跳ね返され、ついには泣きだした。

「ゆわああぁぁん!!かべさんどうしていじわるするのおぉぉ!!」
「しゅーりしゅーりしちゃいいいぃぃぃ!!」
「おきゃあしゃあああん!!あけちぇよおぉぉ!!」

親れいむ達も同じように泣き喚いている。

「おちびちゃんん!おちびちゃあああんんん!!」
「かえせごみくずうううう!!なにしてるうううう!!」
「なにだまってるのおおおお!?ふざけるなああ!!」

しばらく観察したあとで、俺は爪楊枝を取りだした。
赤ゆっくり相手に、たいした道具もいらない。
壁にへばりついている赤ゆっくり達に、爪楊枝の先端をつきつける。

「ゆぎゃっ!?」
「いぢゃいぃ!?」

ちくちくと肌を突かれ、生まれて初めての痛みに声をあげる赤ゆっくり。

「やめちぇ!やめちぇぇ!!」
「いぢゃいい!!おきゃあしゃああんん!!」
「なにしてるのおおおおお!!?やめろおおおお!!」

親れいむ共が喚き、箱の外壁に体当たりをするが、
部屋の床にしっかりと固定された箱は揺らぎもしない。

「おきゃあしゃああああん!!」
「ゆえええぇぇん!!」

爪楊枝から逃れようとちりぢりに逃げようとする赤ゆっくり共。
しかし、その鼻先に爪楊枝を突きつけ、追い返す。
元から移動速度の遅いゆっくりの幼児のこと、悲しいほどに遅く、
九匹もいるとはいえ、座ったままで充分に全員を操作できた。
今や赤ゆっくりは互いに身をよせあって一か所に固まり、
四方から迫りくる爪楊枝に、ただ泣き喚き、母に助けを求めている。

「たしゅけちぇええ!!たしゅけちぇえええ!!!」
「ゆびゃっ!!」「いぢゃあっ!!」
「もういやぁぁぁぁ!!」
「おきゃあしゃああああんなんでえええええ!?」
「おちびちゃん!!おちびちゃああああん!!!」

固まってぶるぶる震える赤ゆっくり共。
俺はそこで道具を持ち変え、バーナーを手にした。
一匹の赤まりさを手にとり、底面を上に持つ。

「ゆっ?はなちてにぇ!はなちてにぇ!!」

もぞもぞと抗う赤まりさの底面を炎が焼き焦がす。

「ゆぴいいいいいいいいいいいいいい!!!??」

笛吹きヤカンのような悲鳴が響き渡る。

「おちびちゃんんん!!」
「やめなさいいいい!!いたがってるでしょおおおおおお!?」
「くそじじいいいいいいますぐはなせええええええええ!!!」

低出力のバーナーで、ゆっくりと丹念に赤まりさの足は焼かれてゆく。

「びびびびびいいいいああああああぢゅいいいいいいいいいいぎぎぎぎぎぎぃいあぢゅああああおぢゃあしゃあああああああーーーーっああーーーーーーーっづづづづづづづうううううぐうううういやぢゃああああああぐぎいいいいいいいーーーーーー」

泡を吹き、悶え、痙攣する赤ゆっくりの底面は、
やがて真っ黒に焼け焦げた。
恐らくは中の餡子まで焦げ付いているだろうが、ともかく生きている。
それを床に置くと、泣く元気もなくぐったりとうなだれた。

「ゆわああぁぁ……あんよがあぁぁ……」
「おぢびぢゃんのがわいいあんよがあああ……」

俺に悪態をつくことさえ忘れ、
赤ゆっくり以上に涙を流し、壁面にへばりついて親れいむ共は嘆いている。
赤まりさの足がもはや用をなさないことは誰の目にも明らかだった。

固まっている残りの赤ゆっくり共は、あまりのことに硬直して、
ただ事のなりゆきを凝視していた。
次は赤れいむを手にとる。

「いやぢゃあああああああ!!!」

何をされるかを理解した赤れいむは、ここを先途と絶叫する。

「だじゅげぢぇええええおぎゃあじゃああああん!!
でいぶあんよやぎゃれぢゃぎゅにゃいいいいいいいいいいい!!!」
「ごみぐずううううううううううう!!!」
「いばずぐばなぜええええええぐぞじじいいい!!」
「頭に来るな」

俺は答えてやった。

「ゴミクズだの糞奴隷だの、さんざんに言ってくれるな。
俺はすごく気分が悪い。頭に来てる」
「じるがああああ!!ごみぐずごみぐずごみぐずううう!!」
「だまれだまれだまれえええ!!じじいはざっざどがえじでじねえええ!!」
「頭に来るから、こいつも焼く」

そこで親れいむ共の様子が変わった。
罵倒を中止して黙り込み、赤れいむに近づけられるバーナーを見つめている
懇切丁寧に解説してやった甲斐があり、今の状況がようやく把握できたようだ。

「おにいさん!!やめてね!ゆっくりやめてね!!」
「ごめんなさい!!ごみくずっていってごめんなさい!!ね!!」
「もうやめてあげるからね!!おにいさんもやめてね!!」

「ゆばがぎゃああああああああああああ!!!」

「なんでえええええええええええ!!?」

赤れいむの底面が丹念に焼かれる間、親れいむ共は懇願し続けた。

「やめてくだざい!!やめでえええええええ」
「おでがいじばず!!おでがいじばず!!」
「おにいざあああああんもうばがにじまぜえええええええん!!」
「ゆっくりざぜであげてええええええええええ!!!」
「でいぶをやいでぐだざいいい!!おぢびぢゃんはだずげでえええ!!」

一人が身代わりを申し出たのを皮切りに、
親れいむ共全員が競うようにして自らを差し出した。

「でいぶをやいでえええ!!おでがいでずううううう!!」
「でいぶはどうなっでもいいでずううううううう!!
おぢびぢゃんは!!おぢびぢゃんだげはああああああああ」
「どっでもゆっぐりじだあがぢゃんなんでずうううううう!!
でいぶになら!!でいぶにならなにをじでもいいでずがら!!あがぢゃんだずげでええええ!!!」

ゆっくりの中でも、れいむ種は特別母性が強い。
自分の子供を溺愛することにかけては他の種とは比べものにならず、
今やっているように、拷問の身代りになることさえ厭わない。

やはり思ったとおりだ。
れいむ種にとって最大の苦痛は、子供を傷めつけられることなのだ。
方針は決まった。




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最終更新:2019年12月08日 11:43