注意書き
虐待お兄さんが行方不明になります
ゆっくりが普通のゆっくりとは違います
以上
日が沈みかけ、薄暗くなってきた山の中にゆっくり達の悲鳴が木霊していた。
「もうやだよおおおおおおおおおおおおおお!!!!だずげでえええええええええええええええええええええ!!!!」
「おねがいだがらもうやべでくだざいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
叫び声をあげるゆっくり達の中には一人の男が居た。
麓の村に住んでいた男だが、男は己のことを『虐待お兄さん』と名乗っていた。
趣味はゆっくりを虐待し、殺すこと。
だから男は今この上ない幸福を感じていた。
何故なら、ゆっくりを己の手で痛めつけて殺しているからだ。
無様に喚き、悲鳴を上げ、何もできずに死んでいくゆっくりが男は好きだった。
正確には、ゆっくりを殺す事が男は好きだった。
右腕で殴り、左腕で投げ、右足で踏み、左足で蹴る。
己の四肢を振るうだけでゆっくりは死んでいく。そんなにもゆっくりは脆かった。
中にはもちろん抵抗するゆっくりも居たが、人間に敵うわけがなく男に殺されていった。
「おちびちゃんたちはいそいで逃げてね!! まりさが囮になるからね!!」
「まりさごめんね…… 急いで口の中に入ってね!! ゆっくりしないで逃げるよ!!」
「みゃみゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
家族を逃すため囮になろうとしたまりさは掴まれ、逃げようとしたれいむにぶつけられた。
口の中に居た子ゆっくりは潰れ、親のまりさとれいむももう動かなかった。
「人間なんかれいむ達の敵じゃないよ!!!! ゆっくり死んでね!!!!!」
「「「「「「「ゆっくりしんでね!!!!」」」」」」」
仲間と一緒に体当たりを仕掛けてきたゆっくりは、一匹残らず殺された。
ただ潰されたゆっくりは幸せだっただろう。数匹のゆっくりは底面の皮を破くだけで男は済ました。
動けば中身がこぼれて死ぬ。動かなくても徐々に中身がこぼれていって死んでしまう。
迫り来る死という恐怖に泣き叫ぶゆっくりの姿は相変わらず滑稽で、男の顔は笑っていた。
普通の人間であるならば、これだけの悲鳴を聞いていれば発狂するだろう。
しかし、男は『虐待お兄さん』である。今この場で感じているのは愉悦だけだ。
逃げるゆっくりも立ち向かうゆっくりも、どんどん男に殺されていく。
そして、最後に残った一匹のゆっくり。成体のゆっくりれいむが震えていた。
逃げようとしても、立ち向かっても男に殺されるのはもう分かりきっているのだろう。
どんな風に虐待しようか『虐待お兄さん』の男が考えていると、ある事を思いついた。
やわらかいゆっくりの体を持ち上げて、両手でゆっくりの頭頂部を男は掴む。
「な、なにするの!! ゆっくり離してね!!」
喚くゆっくりを無視して男は手に力を込め、真っ二つに引き千切ろうとした。
「おにいざんやべでね!! 痛いからはなじでね!!」
男がゆっくりの願いなど叶えてやるわけがなく、弾力のある皮はどんどん伸びていく。
「やだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! じにだぐないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
そんな風に叫びながら、れいむは千切られた。
男の手にはちょうど半分に分かれたれいむがあり、片方は投げ捨てもう一つは持ち帰る事にした。家へ帰ってから食べるつもりである。
周囲を見渡してもゆっくりはもういないようなので、男は山を降りる事にした。
ゆっくりを追いかけてどんどん奥まできてしまい、帰るのが面倒だと男は思った。
男が去ってから少し経つと、一匹のゆっくりの残骸が震え始めた。
いや、一匹だけではない。見ればどのゆっくりの残骸も震えていた。
やがて一匹のまりさの残骸から腕が生え出して、徐々に元の丸い形に戻り始めた。
何秒も待たずにまりさは元の姿に戻り、辺りを見回してから息を吐いた。
「さて、今日もお疲れ様なんだぜ」
「お疲れ〜」
「一人だけだったね」
「でもこんなことよくやるよ」
「他の人間さんは忙しそうなのにねぇ」
まりさの声に反応して元の姿に戻ったゆっくり達は好き勝手に話を始めたが、男に残骸を撒き散らされてしまったゆっくりはまだ戻れていなかった。
「じゃ、いつもみたく先に元の姿に戻れたやつはまだ戻れてない奴の手助けをしてほしいんだぜ。戻れてない奴はどんどん助けを近くの奴に求めるんだぜ」
手を叩きながらまりさは指示を飛ばす。どのゆっくりも文句の一つも言わず指示通り動き始めた。
「あと数合わせで分裂した奴もちゃんと元に戻すんだぜ」
「しょうだよ!! もどらなかったらみんなこんな風に自我をもっちゃうよ!!」
まりさの言葉に続くように一匹の小さなれいむがまりさの隣でふよふよ浮きながら言った。
「お前さんも手伝ってくるんだぜ」
「みゅ〜… 面倒だよぉ…」
「そんな事は通用しないんだぜ」
「わかってりゅよ!!」
小さなれいむはふよふよと飛んでいく。その姿を見送ってからまりさもふよふよ浮き始める。
元の姿に戻ろうとしている仲間の残骸を集める作業に入るのだ。
残骸を集めるのは実に大変である。
ある程度の距離ならば勝手に残骸と残骸が勝手にくっ付いて元の姿に戻ろうとするのだが、撒き散らされてしまってはくっ付くことはできない。
放っておいても一番多く集まった残骸が中途半端に復元され、時間を置けば徐々に修復される。
しかし、この群れはもうあの『虐待お兄さん』に潰されてしまった群れなのだ。
それなのにこの場に留まっていてしまっては、流石に人間にだって怪しまれてしまう。
ゆっくりはあくまで『愚鈍で馬鹿で意地汚い動く饅頭』でなければならない。この秘密を人間に知られない為にも、今は一刻も早くこの山から離れなければならないのだ。
「困りました……」
まりさが仲間の残骸を集めていると、半分だけのれいむが俯いて浮いていた。
『虐待お兄さん』に最後真っ二つにされ、片方を持っていかれてしまったれいむだ。
「まあ、お前さんは仕方ないんだぜ。どうせ少ししたら元に戻れんだから人間に見られないように移動するしかないんだぜ」
食べられたりすれば適当に復活できるゆっくりではあるが、流石に中途半端に食べられてはそれも無理である。
このれいむは自然に修復されるまで待つしかないのだろう。
だが、れいむの返事は違った。
「いえ、別に元の姿に戻れないの事で困ってるんじゃないんです」
「? どういうことなんだぜ?」
「実は……」
山を順調に下っていた男は一つの違和感に気づいた。
最初は気のせいだと思っていたのだが、どうやら気のせいではないらしい。
右手に持っていたゆっくりれいむの半身がもぞもぞ動き出していたのだ。
不思議に思いながらゆっくりを顔の前まで持ってくると、断面から餡子がこぼれなくなっていた。
断面の方を見てみると餡子がこぼれない理由が分かった。餡子が消えていたのだ。
ゆっくりの中身である筈の餡子は見事に無くなり、断面には何もない空間が広がっていた。。
最初は餡子がこぼれて皮だけになったと思ったのだが、どうやら違うようである。
男が手を突っ込んでみると、男の腕はそのまま入ってしまったからだ。
いくら成体のゆっくりとは半分に切り取ったゆっくりの体はそこまで大きくない。
恐る恐る男は己の顔をゆっくりの断面に入れてみる。すると、男はゆっくりの中に吸い込まれていくのが分かった。
慌てて顔を皮から出そうにも既に手遅れで、男は顔から下も全て吸いこまれてしまった。
後には何も残らず、残ったゆっくりの皮はふよふよ浮いて男が下っていた山道を再び登り始めた。
「つまり、引き千切られた半分の方も復活してしまいどうやらあの男を飲み込んでしまったみたいなんです……」
「はぁ……」
れいむの説明を聞いていたまりさは溜息を吐いた。
今の話はおそらく本当の事で、間違いなく先ほどの『虐待お兄さん』は吸い込まれてしまったのだろう。
「全く、運の悪い人間さんだぜ……」
そう言いながらまりさは頭の裏を掻く。
人がいなくなったと分かれば人間は間違いなく山狩りをするだろう、そう考えてまりさは再び指示を出す。。
「れいむの半身がこっちに来たら出発するんだぜ。その前に各自修復するんだぜ!!」
ゆっくり達は再び作業を再開する。
今優先することは急いでこの場を離れ移動することだ。下手したら人間に見つかってまた潰されるかもしれないからだ。
流石に二日連続で潰されるのは嫌だからか、修復速度もどんどん上がってきている。
まりさも仲間の残骸を集め始めてから、再び溜息を吐いた。
「人間さんがゆっくりって名付けた癖に、ゆっくりがゆっくりできる日は来るのかだぜ……」
ま、ここじゃ無理かとまりさは思った。
終
by大貫さん
↓は後書きと
感想フォームへの返事です。読みたくない方はこのまま戻ってください
こんな駄文を最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!!
本当は膿と膿以降人間を酷い目にあわす話は書くつもりはありませんでした。
ただ、あるれいむのAAを見て
(これ、誰か吸い込まれたら面白そうだなぁ…)って思ったので書いてみました。
感想フォームに感想下さった方、本当にありがとうございます。
- (名無しさん) 2008-11-10 15:16:03
後書きに対してのご忠告、本当にありがとうございます。
自分が作者様をおちょくるつもりはありませんでした。ただ、一言断っておいた方がいいかも…… と思っただけなのです。
本当にすいませんでした。
- (名無しさん) 2008-11-19 13:43:03
読んで下さりありがとうございます。
タイトルを見れば分かるように、ゆっくりの中の膿と人間の中の膿を比較するために書いた作品です。
ですが、この作中に出てきた虐待お兄さんも他の人が書かれれば立派殺される事もなかったと思います。
- (名無しさん) 2008-12-05 17:30:26
確かに原作の靈夢と魔理沙ならばふぅ〜んとかへぇ〜で済ましそうですね…… 反省です。
本当は最初は霖之助の視点で書くつもりだったんですが、霖之助というキャラは本当に扱い難いキャラだったので諦めさせてもらいました。申し訳ありません。
あと、最後に色々書いてくださいと言ってくださり本当にありがとうございます。
虐待スレという場で、ぬるいじめでも良いと言ってくださり本当に嬉しかったです。ありがとうございます。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。お目汚し失礼!!
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最終更新:2022年05月18日 22:44