このSSに登場するお兄さんは、駆除屋のお兄さんです。
俺設定まみれ注意。
特定のゆっくりが生き残る、と言うか贔屓されます。
それでもよければ、塩を掛けられて縮んでいくナメクジでも見る目でお読みください。
ある日、目が覚めて窓の外を見ると家の前の、今は使われていない農具入にあるものがあった。
ダンボール箱に汚い字で一方には「はくれーぢんぢゃ」。
もう一方には「もりやじんぢゃ」。
そう書いてあった。
「おい、なんだこれは」
俺はまだ寒い外に出て、ダンボール以外何もない木造の農具入の前に立った。
ふたつのダンボールは隣り合い、間にはベニヤ板の仕切りが張られている。
「ゆっ!ここはれいむのぢんぢゃだよ!ゆっくりおさいせんをいれていってね!」
右のダンボールの向こうには一匹のれいむが居た。
そして、左には、
「こっちもじんぢゃだよ!ゆっくりしんこうしていってね!」
結構な希少種である、ゆっくりさなえが居た。
どちらも、最近成体になったばかりなのか、普通の成体よりは一回りほど小さい。
「賽銭か…一応聞くが、いくらくらいだ?」
「ゆっ!さいていでもさんえんはいれてね!ぶつのうでもいいよ!」
3円だと…?俺の一回の仕事の報酬がだいたい平均で2円だ。
ふざけてるとしか思えないな。
さて、早速餡祭りに上げて…いや、抑えておこう。
俺はれいむを殺しそうなのを堪え、さなえの方に顔を向けた。
「たいせつなのはしんこうしんだよ!おさいせんはいくらでもいいよ!」
ほほぉ、饅頭にしては見上げたもんだ。
腐りきっても元が真面目な人だけあるな。
よし、きめた、最初は両方にやろうと思ったが、こっちにしよう。
「待ってろ、今野菜を持ってきてやる」
「ゆゆぅ!」
「ありがとうございます!」
俺が立ち上がると、れいむまで嬉しそうに目を輝かせている。
礼の一つもできないようなお前にはやらねーよ。
「ほら、これが賽銭代わりだ」
玄関においてあった袋からにんじんを一本取り出し、さなえのほうのダンボールに置いた。
れいむは驚いたようだった。
もらえると思っていたんだな。
馬鹿だな流石餡子脳、馬鹿だな。
「ゆがっ!なんでこっちにもくれないのおおお!!」
「だって、3円も取るような神社に誰が賽銭なんかやるかよ」
「ゆぅっ!!で、でも、くれたられいむが…れいむが…」
「れいむがなにをしてくれるんだよ?」
「れいむが…れいむがおじさんのおうちでゆっくりしていってあげるよ!」
「却下だ、ゴミクズ」
お前がゆっくりしてなんになるんだよ。
俺はれいむを持ち上げ、その口の中にさっき人参と一緒にとってきた小さな花火玉を突っ込んだ。
「ゆぅ?なにこれ?むーしゃむーしゃできないよ!おろしてね!」
れいむは口に入った異物を食べようとする。
どこまで意地汚いんだ、こいつ等は。
なんとか、俺が口に手を突っ込んでそれをさせない。
そして、マッチで導火線に火をつける。
「ゆ!ひをちかづけないでね!おろしてね!」
1秒を数え、2秒目で家とは反対の方向、林の方に向かってれいむを投げた。
我ながらいい投擲だ。
「ゆあああああああああ!!!ぼちゅん!」
高さがピークに達した頃、奇妙な声と共にれいむは爆散し、餡子の花火となった。
翌日。
朝起きると、はくれーぢんぢゃの方に新しいれいむがいた。
またふたつのダンボールの前にいくと、二匹は昨日と同じようなことを言ってきた。
「ゆっくりおさいせんをいれていってね!」
「ゆっくりしんこうしていってね!」
とりあえず、また同じことを聞いてみる。
「なあ、いくらくらい入れればいいんだ?」
さなえの答えは同じだったが、れいむの答えは変わっていた。
「いくらでもいいいよ!おにいさんがかみさまにあげたいだけあげてね!」
今度のは昨日のを見ていたのか、いくらか賢い答えをした。
昨日一日餡子を捻って考えたのだろう。
そこで、俺はもう一つ質問してみた。
「何の神様が居るんだ?」
と。
れいむは、全く予想していなかったのか、口を開けて固まっている。
「ここにはもりやさまとやさかさまがまつられています!ゆっくりしんこうしていってね!」
さなえのほうはしっかりと答えた。
さすが元になった人が信仰を必死に集めていただけある。
「じゃ、答えられなかったれいむはゆっくりしていってね。あの世で」
ゆっくりごときにあの世とかそんなのがあるかは知らんが、さなえに人参をやった後、昨日とおんなじ方法でれいむを花火にした。
いつ見ても汚い花火だ。
さらに翌日。
またしてもはくれーぢんぢゃにれいむが来ていた。
それも、今度はまりさを連れている。
「ゆ!おじさん!おさいせんをいれていってね!」
「まりさとれいむのゆっくりしたせいかつのためだよ!!」
「おにいさん!ゆっくりしんこうしていってね!」
3匹がほぼ同時にでかい声を出すから耳が痛い。
しかも、なんだ。
このまりさとれいむは番か?
「まりさ、お前はそこのれいむの番か?」
「そうだよ!とってもゆっくりしてるでしょ!」
そーなのかー。
つっても、ゆっくりしてるかどうかは知らんが。
「さて、今日も今日とてもりやじんぢゃにお賽銭を入れておくか」
ズボンのポケットから人参を取り出し、わざとれいむとまりさに見せ付けた。
2匹はあんぐりと口を開けて、涎を垂れ流している。
全く、汚い饅頭だな。
「おじさん!こっちにもおさいせんをちょうだいね!」
「ここはぢんぢゃなんだぜ!きたらおさいせんをいれるんだぜ!」
涎を撒き散らすなこの汚物どもが。
「何でお前等にまだやらなきゃなんねんだよ。俺が信仰してるのはこっちなの」
「ゆっ!そんなのしらないんだぜ!いいからゆっくりしないでこっちにおさいせんをいれるんだぜ!」
まりさが右脚に体当たりをしてくる。
ぽよんぽよん音がしてうざったらしい。
「ゆっへっへ、これいじょういたいめにあいたくなかったらおさいせんをいれるんだぜ!」
これ以上も何も、ダメージなど全くないわけだが。
「ゆゆぅ!まりさはつよいんだよ!わかったらさっさとおさいせんをいれてね!のろまはきらいだよ!」
れいむまでなんか調子に乗ってる。
そうかそうか、それほどまでに殺されたいのか。
「まりさ?火と水どっちが怖い?」
体当たりを続けるまりさに、できる限りにこやかに質問した。
「うるさいんだぜ!ばかなどれいはだまってるんだぜ!」
誰がいつ奴隷になった。
こんな状況で、もはや従えた気でいる。
本当にこいつ等の餡子脳がどうなっているのか知りたい。
いや、スカスカの餡子なのは重々承知しているが。
そんな餡子脳でこれ以上喋られてもこっちが腹が立つだけで、もう二度と喋れなくなってもらおう。
「黙るのはお前だ」
俺は以前、隣人からゆっくりのツボについて教えてもらったことがある。
それで確か、左目の端に口が聞けなくなるツボがあった。
まりさのそこを突いてみると、それで会っていたのか、ピタリとまりさは喋らなくなった。
「ゆっ!おじさんまりさになにしたの!」
れいむはまりさの異変に気がついたようだった。
「なにもしてないさ。ほら、痛がってもないだろう?」
まりさを示してやると、納得したようにれいむは表情を緩めた。
しかし、まりさの方は声を出そうと必死だった。
「一つ聞くが、ここに来ようって言ったのはお前じゃないよな?おれは最初に言った奴を懲らしめようと思うんだが」
「ゆっ!?そ、そうだよ!さいしょにいったのはまりさだよ!れいむじゃないよ!だからおさいせんをいれてね!」
あっさりと番を売りやがった。
しかもなんだ、賽銭を入れろとまだ言うか。
どこまでもふてぶてしい饅頭だな、おい。
「さて、まりさ、お前が犯人みたいだが?」
まりさのほうを向くと、まりさは全身を振って何かを訴えていた。
大方、「まりさじゃないよ!れいむがいいだしたんだよ!」とでも言いたいのだろう。
「何も言わないあたり、そうみたいだな」
まりさはさらに体を激しく揺らし、否定しようと試みる。
が、声に出していないので却下だ。
「じゃ、悪いまりさにはお仕置きをして、かわいいれいむにはあまあまをやろう」
うん、なんだ、我ながらこんなことよく言えたもんだ。
「ゆぅ!はやくしてね!」
れいむはダンボールに飛び乗ると、嬉しそうに目を輝かせ、さっき以上に涎を垂れ流している。
犬でももっとキリッとした顔で待ってるもんだぞ。
「じゃあ、目をつぶって口を開けろ」
「わかったよ!あーん」
れいむの口が奥まで見えるくらいに開かれる。
俺は地面から棒切れを拾い、まりさを持ち上げ、うねうねと動く底面に先端を当てた。
まりさはじたばたと動いているが、逃げれるわけなどない。
「じゃ、れいむ、いくぞ」
手に持った棒を思い切りまりさに突き刺した。
まりさは悲鳴を上げようとしているのか、れいむよりも口を開けて暴れる。
だが、まりさの悲鳴など一切聞こえない。
まりさの底面の穴が開いたところをれいむの口の真ん中になるようにもって行き、手に力をこめた。
汚い音を立てながら、まりさの命の素がれいむの口の中にと流れてゆく。
「むーしゃむーしゃ!ししししししししあわせー!!!」
れいむは番の状況を知ることもなく、至福のときを堪能していた。
まりさを絞りきり、皮と帽子だけになったので、俺はそれをれいむの死角になるダンボールのすぐ下に置いた。
「ゆゆっ!もうおわりなの!?」
「ああ、そうだぞ」
れいむは心底残念そうにダンボールから飛び降りた。
「ゆぅ!まりさがいないよ!どこにいったの!?」
飛び降りた拍子で番の存在を思い出したようだ。
「まりさ?何言ってるんだ?」
「れいむのすてきなまりさだよ!おじさんはどこにいったかしってるでしょ!おしえてね!」
「まりさ?ああ、ひょっとしてこれか?」
俺は元まりさを拾い上げ、れいむに顔が見えるように見せ付けた。
「………ゆ?」
れいむには何がなんだか理解できないようだ。
まあ、餡子脳に理解なんて求めても無駄だろうが。
「ま…ま…ま…まりさ…?」
「そうだよ」
俺は笑顔で答えた。
さっきよりも自然だと思う。
なんせ、心の底からの笑顔だからな。
「ばりざあああああ!!どおじでえええ!!だんでえええ!?」
れいむは全身から砂糖水を撒き散らしながら元まりさに飛びついた。
「なんでって、お前が食べたんじゃないか」
「へんだごどいわだいでねえええ!!」
「さっき食べたあまあまがあるだろ?あれがまりさの中身さ」
途端に、れいむは喚くのを止め、固まった。
「わらぴこれええ!!ゆっぴゃあ!ゆっぴゃあ!」
れいむはダンボールの上で飛び跳ね始めた。
白目をむき、口からは意味不明な言葉だけが聞こえてくる。
4回ほど跳ねたあたりで、元まりさが農具入れの中にべちゃりと音を立てて落ちた。
れいむはその後、底面がちぎれて絶命するまで、半刻ほど飛び跳ね続けた。
そのすぐ横では、そんな虐待風景を一切気にすることなく、さなえが寝息を立てていた。
~俺設定の垂れ流し~
ゆっくりさなえ:ゆっくりかなこやゆっくりケロちゃんと一緒にいることの多いゆっくり。
中身はフルーツのジャム。
「しんこう」を集めることを自信の生き甲斐だと思っているが、それがいったいどういったものなのかは、実はよく理解していない。
最終更新:2022年05月19日 12:30