※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。
※オリ設定満載です。
※ぬる虐めです。そして割と愛で気味です。
fuku2278の続きですが、読まなくても問題はありません。


















数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。

人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。

が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。

そしてまりさはそんな不思議に満ちた生命体そのものだけど、自分たちが不思議だとは思ったことが無い。



「ゆっへっへ・・・まりさはこのもりでいちばんゆっくりはやくはしれるんだぜ!」

さっき、かけっこで今まで一度も勝ったことの無かったゆっくりちぇんに勝った。

ちぇんは凄く巧みに尻尾を使うから普通のまりさ達の3倍以上の速さで走ることができる。

でも、まりさはそのちぇんに勝った。ゆっくり頑張ったおかげでまりさはこの森でいちばん速いゆっくりになった。

「ゆっくりしていってね!」

「ゆっくりしていってね!」

「すごいよまりさ!ちぇんにかっちゃったよ!」

そういってまりさを褒め称えるのはこの森でいちばん可愛いれいむ。まりさの恋人だぜ。

「ゆゆっ!でもまりさはもっとうえをめざすんだぜ!」

「ゆぅ?でも、まりさよりはやいこなんてこのもりにはいないよ?」

「だからにんげんとしょうぶするんだぜ!」

「ゆゆっ!?まりさ、にんげんはこわいよ!!」

「ゆっ!だいじょうぶだぜ!にんげんがまりさのあしにかなうわけがないんだぜ?」

まりさを必死に引きとめようととするれいむ。可愛いやつだぜ。

でも、今のまりさは誰にも止められないんだぜ?

「でも、でもぉ・・・」

「れいむ、まりさをしんじてほしいんだぜ!」

そういって半ば強引にれいむにちゅっちゅして口を塞ぐ。

「ゆ、ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅう・・・」

すると、れいむは恥ずかしさで顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

「れいむ、かえってきたら・・・いっしょにすっきりしようぜ!」

「まりさ・・・!うん、れいむゆっくりまってるよ!」



それからまりさは2日ほどかけて、人間の町に到着した。

「ゆ!ここがにんげんのまちなんだね!」

まりさがきょろきょろと町の様子を見ていると、後ろからいきなり話しかけられた。

「ねえ、そこのゆっくりまりさ。こんな朝早くに何してるんだ?」

「れいむたちもこんなあさはやくだよ〜!」

「ゆっくりはやおき〜!」

「「「「「「ゆっきゅり〜!」」」」」」

「・・・あんたらは黙ってなさい。ねえ、あんた、飼われ?それとも野良?」

「ゆ!まりさはまりさだよ!」

振り返ると、猫車(と言うらしい)にたくさんのゆっくりを乗せて、服の中にも2匹のゆっくりを隠している変なおねーさんが立っていた。

「いや、そんなトートロジーはいいから。じゃあ、どこから来たんだ?」

「まりさはもりからきたんだよ!それでね、いままちについたの!」

おねーさんはいつの間にかまりさの目の前にしゃがみこんでいた。

胸が邪魔で表情は良く見えないけど、酷いことをする人間ではなさそうだ。

「ふーん。で、何しに来たんだ?」

「ゆ?ゆゆっ!そうだ、おねーさん!」

「んあ?」

「まりさとかけっこでしょうぶしてね!」

「・・・なんで?」

おねーさんは首をかしげている。けれど猫車に乗っているゆっくり達は事情を察してくれた。

「ゆ!まりさはすごくはやいんだね!」

「ゆっくりはやいゆっくりなんだね!」

「・・・何のこっちゃ」

それでもやっぱりおねーさんは事情を飲み込めない。仕方ないからまりさがゆっくり説明してあげることにした。

「まりさはね!もりでいちばんはやいゆっくりなんだよ!」

「・・・ゆっくりにとって速いのは名誉なのか?」

「ゆん!そんなことどーでもいいんだよ!」

おねーさんがいちいち話の腰を折るからほほを膨らませつつ注意してあげた。

「ああ、ごめんごめん。で、その速いまりさが何しに町に来たんだ?」

「にんげんとしょうぶしにきたんだよ!」

「そうかそうか、勝負か、それは良かった、きっとどこかの気前のいい愛好家が日が暮れるまで付き合ってくれるよ。

そんな訳であと3時間もしたら大学で忙しく寝なければならない私はとっととどこかに消えるわ、それじゃさよなら」

首をかしげるのを止めたおねーさんはまくしたてるそれだけ言い切ると猫車を押して歩いていこうとする。

「ゆ!ゆっくりまってね!!」

立ち去ろうとするおねーさんをまりさは必死で追いかける。けど、おねーさんは速すぎてぜんぜん追いつけない。

どんなに急いで跳ねてもどんどんおねーさんとの距離は広がっていく。

「おねーさん、はやいよ〜」

「すぃ〜」

「「「「「「ゆっきゅりー!」」」」」」

そして、猫車に乗っているゆっくり一家もそれが当然と言った様子で楽しそうにしている。

まりさは一心不乱におねーさんを追いかける。途中、どこからかカーンカーンと甲高い音が聞こえてきたけど、気にせずまりさは跳ね続けた。

「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」

疲れたから少し休んで呼吸を整える。足を止めておねーさんの方を見てみるとさっきより少しだけ距離が縮まっていた。

「ゆっ!まりさがんばるよ!」

まりさが少しずつ距離をつめていく間もおねーさんは黄色と黒色の縞々の棒の前でじっとしている。

「ゆっ!・・・ゆっ!・・・ゆっ!・・・ゆっ!・・・ゆっ!」

あと3歩・・・あと2歩・・・あと1歩・・・追いついた!

そして、まりさがおねーさんを追い抜こうとしたとき、頭上からチョップが飛んできた。

「ゆぎぃ!?」

「待て待て待て待てっ」

チョップを仕掛けてきたのはおねーさん。きっとまりさに抜かれるのが悔しくて邪魔したんだろう。

でも、それはルール違反だから、おねーさんにゆっくり注意してあげようとしたとき・・・

ものすごい速さで、信じられないほど大きな緑色の何かがまりさの目の前を通り過ぎた。

「な、なな、なななななな・・・なにあれえええええええええええ!!?」

「あれはね、でんしゃだよ〜♪」

まりさの質問に答えてくれたのは猫車の上のれいむ。

「おねーさんがとめてくれなかったらゆっくりしんでたん・・・!」

猫車の上のまりさが喋っている最中に、またものすごく大きな何かがまりさの前を通り過ぎた

それは白色で、さっきのよりもずっと速かった。

「ゆぎゅうううううううううううううう!!?」

そのでたらめな速さを目の当たりにしたまりさは何だか気持ち悪くなってきた。

エレエレエレエレエレエレエレ・・・・・・

そして、気がついたらあんこを吐き出していた。

「うおっ、こいつ餡子はいてるぞ?」

「だいじょうぶだよ!そのこはゆっくりできないものをみてきぶんがわるくなっただけだよ!」

さっきのゆっくり一家とおねーさんの声だろうか?どこか遠くの方から声が聞こえてくる。

「でも、アンタらは大丈夫だよね?」

「れいむたちはなれっこだからだよ!」

「ああ、なるほど。・・・で、こいつどうしよう?」

「おねーさん、ゆっくりたすけてあげてね!」

「やだ!」

「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!!」」

「「「「「「ゆーっ!!」」」」」」

「・・・・・・はぁ、わかったよ。でも、飼ってやるつもりは微塵も無いからな?」

「「ありがとう、おねーさん!」」

「「「「「「ゆっきゅりー!」」」」」」



目を覚ますと、見慣れない場所にいた。辺りを見回すとさっきのゆっくり一家とおねーさんがまりさを囲んでいる。

「・・・・・・ゆう〜?」

何があったんだっけ?よく思い出せないなぁ・・・。

「お〜い、何ぼけっとしてるんだ?」

そういって心配そうにまりさの顔を覗き込んだおねーさんは目の前で手のひらを思いっきり左右に振った。

「ゆぎぃいいいいいいいいい!?」

エレエレエレエレエレエレエレエレ・・・

また、意識が遠のいた。

「またかよ・・・」

「おねーさん!なにやってるの!?」

「何って、無事を確認しようと・・・」

「そんなゆっくりしていないてをみせられたらゆっくりできないよ!」

「アンタら・・・本当に難儀な生き物だね」

「「「「「「ゆーっ!」」」」」」

「あとでゆっくりあやまってね!」

「はいはい、わかったよ。それより、そろそろご飯食べないか?」

「ゆっ!おねーさん、はなしをそらさないでね!れいむはたくあんがたべたいよ!」

「文句言うか、素直に話を逸らすかどっちかにしろ」

「まりさはさけかすがほしいよ!」

「「「「「「ゆっきゅりー!」」」」」」

そこでまりさの意識は途絶えた。






「清く正しく」

「きめぇ丸です」

何度目になるかわからないけど、またまた目を覚ますとまりさの周りを2匹のきめえ丸と呼ばれるゆっくりがぐるぐる回っていた。

エレエレエレエレエレ・・・

また、意識が遠のいていく。

「あなたもゆっくり飼っていらっしゃるなんて意外だわ」

「んー、まあちょっとした成り行きで」

「でも、ゆっくりは飼い主に似ると言う言葉通り、貴女の胸同様締りの無い面構えですわ」

「あー、はいはい、そうだねぇ」

「人の話を聞き流さないで下さらないかしら?」

「おねーさん、まりさがきめぇまるにいじめられてるよ」

「苛めは良くないなぁ・・・で、ゆっくりと飼い主がなんだっけ?」

「・・・な、なんでもありませんわッ!?」

おねーさんのお友達はちょっと高飛車な感じだな、と思った。

そして、またまた意識を失った。



またまたまたまた目を覚ますと今度は知らないおにーさんが目の前にいて、おもむろに手を左右に振り始めた。

エレエレエレエレ・・・

もう何度目だろうか。またまたまたまた意識が遠のいていく。

「なるほど・・・これは非ゆっくり過敏症だね」

「何すか、それ?」

「文字通り、ゆっくりしていないものを見ると気絶するゆっくりの性質が過剰に出てしまう症状だよ」

「で、それに何か不都合でも?」

「さっきの俺の手の動きがゆっくりしていないように見えたかい?」

「いや、遅すぎるくらいだったような・・・」

「そう、さっきのは時速3km程度。でも、この子にとっては自分より速いから非ゆっくりなんだよ」

「へぇ・・・でも、今朝は私が歩いているのを見ても平気でしたよ?」

「話を聞く限りだと・・・自分より圧倒的に速いものを立て続けに目の当たりにしたことで自尊心を打ち砕かれたのが原因だろうね」

「ふぅん・・・無力と貧弱を体現したような饅頭の癖に難儀なやつ・・・」

「おねーさん、このこかわいそうだよ!なんとかしてあげてね!」

「で、どうすれば治るんです?」

「人間のそばにいて定期的にカウンセリングを受けさせるしかないね」

「えーっと・・・先生!私からの気持ちです、受け取ってください!」

「いらん」

「ゆぅ・・・おねーさぁん・・・・・・」

「・・・はぁ、はいはい。わかったよ・・・」

こうしてまりさのゆっくり出来ない人里生活が始まった。


−−−あとがき−−−

雪辱は晴らすものではありません。
何と言うかね、ひたすらゆっくり出来ないものを見たまりさがエレエレするだけ。
斬新というか横着以外の何者でもない。これは酷い。

オリキャラは叩かれ易いという話がチル裏であったけど、オリキャラ(というか固有名詞持ち)って便利なんだよなぁ・・・。
(東方キャラで良いじゃないかって人もいるが、東方キャラだとそのキャラのイメージを変に気にするから書きづらくなる)
スゥさんちのメアリーが色々アレでナニだけど、名前があると文章を書くときに色々便利だし。
特に自分みたいにキャラを使いまわす人はつけれるものなら名前をつけたいんじゃなかろうか?
そんな訳でおねーさんの名前を考えていたら、思いついた名前が戸須磨 理沙(どすま りさ)。
だめだこりゃ。

byゆっくりボールマン




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最終更新:2022年04月15日 23:37