「な、なんちゅう野郎だ」
鼻水を垂らしながら
ポップは驚きを露にした。何とシンは魔法を使わずに、腕だけで極大真空呪文(バギクロス)を発して、森の木々を裁断していっているのだ。そのデタラメな行為に思わずツッコミを入れたくなるが、シンの殺意に支配された冷たい目が、それを許さない。ポップは大人しく逃げることを選択した。
さて、一体どこへ逃げるべきか。つい先ほどはトベルーラで森へ誘い込み、シンの動きを止めようとしたが、結果は先の通りだ。ならば、今度は海へ逃げるべきか、と思案を巡らす。しかし、それでは仲間との合流も先送りとなってしまう。それでは意味がない。
そこでふと思い出しのが、大地を抉り、海の彼方へと飛んでいった闘気の固まりだ。あれほどの威力を体現できる存在を、幸か不幸かポップは知っている。即ち、ヒュンケルと
バランだ。前者はこの場にいないから、必然あの攻撃を放ったのは後者となる。
まだそれほど時間が経っていないから、破壊の痕を辿っていけば、バランに会うことが出来るだろう。そして彼ならば、シンに勝つことが出来るだろう。だけど、そこでポップは頭(かぶり)を振った。あの冷徹たるバランを味方につけるだけの言葉が思い浮かばなかったのだ。それに一度バランに殺された身として、彼の前に立つのは恐い。ポップはその案も情けなく蹴り飛ばした。
結局、ろくな考えも思い浮かばないまま、ポップはトベルーラで海へと出た。海といっても、そこはかつて大地があったところを、バランによって無理矢理変えられた場所だ。そこまでは深くはないが、十分にシンの足を遅延することはできるだろう。地形を見てからの、突発的な策だったが、十分に効果を見込めるものだ。しかし悲しいかな、それも僅か一瞬で打ち砕かれることとなった。
「デ、デタラメにも程があるだろ! あ、あいつ、水の上を走ってやがる!」
そう。シンが文字通り水の上を走っているのだ。右足が沈む前に左足を前に出し、それが沈む前に今度は右足を前に出す。南斗聖拳の修練の成果をここぞとばかりに発揮して、シンはポップを追いかける。額、脇、背中を冷や汗でびっしょり濡らしながら、ポップはとうとう愚痴を吐き捨てるに至った。
「ちくしょー!! ルーラで逃げたのに、何で俺の居場所が分かんだよー!!?」
「逃さぬ!! 逃さぬぞ、小僧!! 貴様は生きていてはいかんのだああ!!」
懐にある支給品を手に押さえ、シンは激高した。目の前から忽然と消えたポップを探し出せた手段。それはシンに支給品として配られた妖気計であった。本来は妖怪を探知するものとして使われるものだが、この妖気計は人間も感知できるように改造されていたのだ。そしてそれを使ってシンは物の見事にポップを標的として捉えることが出来たというわけだ。
「くそ!! 魔法力の残りがやべえ!! 早くあいつを何とかしないと!!」
シンを眼下に、ポップは自らの状況の危うさを、より一層強く感じていた。
【一日目 早朝】
【現在地 D-8】
【ポップ@DRAGON QUEST-ダイの大冒険】
【状態】疲労(中)、魔法力消費(大)
【装備】ブラックロッド@DRAGON QUEST-ダイの大冒険
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
基本 禁呪の解呪
1. シンから逃げる
【備考】
※博物館の展示品は全て把握しました
【シン@北斗の拳】
【状態】健康
【装備】妖気計@幽遊白書
【道具】武器支給品、支給品一式
【思考】
基本
ユリアを最後の一人にする
1. 急いでポップを探して殺す
2. 人を見つけ次第殺す
【支給品説明】
霊界探偵七つ道具の一つ。妖怪が近くにいるとその方向と距離を示す。探している特定の妖怪の一部(髪や爪など)を入れれば、その妖怪だけ指し示す事ができる。尚、本ロワでは、妖怪以外も探すことが可能となっている。
最終更新:2012年08月17日 22:15