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状況は目まぐるしく変化した。暗黒武術大会に呼ばれ、その決勝戦の前に弟子である浦飯幽助に霊光波動拳の奥義である霊光玉を渡そうとしたら、いきなり場面は転換。そこでジジイによる暗黒武術大会以上の下らないゲームへの強制参加と来て、また場所が移動。そして今は目の前で超然と佇む大きなピラミッドがあるだけだ。それら全てを目の当たりにした幻海は、口から大きな溜息をこぼさずにはいられなかった。


「やれやれ、老人はもっと労るもんなんだがね。アンタもそう思わないかい?」


ピラミッドから目を外して、後ろにある林の奥を睨む。幻海は体躯は小さいし、年も随分と取った老人だ。それは弱者と判断されても仕方のないものだ。だけどそこにある眼光は、獅子をであっても、なお怯みかねない鋭さがあった。その瞳に照らされて、隠れることは無駄だと判断したのだろう。木の陰から、幻海ともバーンとも異なるもう一人の老人が現れた。


「これはまた随分な挨拶じゃな。ただのバーさんが、そんな目つきをしとるか、普通?」


頭に被ったソフト帽をいじりながらジョセフ・ジョースターは口を開いた。その男も老人には似つかわしくない隆々とした筋肉を身につけており、またこの場に合ってなお飄々と仕草を崩さないことからも、戦いの年期が窺えた。その様子に幻海は少なからずの感心を覚えたが、そんなことで一々自らの態度を変えることはない。


「ふん、この目つきは生まれつきだよ」

「そーかい。そいつは悪かったのお」


そのまま二人は視線を合わせ、お互いの出方を窺う。どちらも現在の状況を把握しきれずにいる故に、下手な行動は打てない。しかし、元来がせっかちな性格なのであろう。やがて痺れを切らしたジョセフが幻海に話しかけた。


「バーさん、お前さんはスタンド使い…………というわけではないようじゃのう」

「いきなり何を言っているんだい?」

「なに、こっちの話じゃよ」


そう言ってジョセフは自らのスタンド――ハーミットパープルを解除した。宿敵DIOの館に入った途端に、この殺し合いだ。故に当初はDIOの手下によるスタンド攻撃とジョセフは当たりをつけてみた。が、名簿を見れば物の見事にDIOもこの騒動に巻き込まれている。幾ら何でも自分たちを殺すために、主であるDIOを巻き込むことはないだろう。そう考えたジョセフは、DIO一味による犯行の可能性をバッサリと切り捨てた。とはいえ、DIO以外にも奴の仲間がここにいないとは限らない。そのためにスタンドを展開しての質問だったが、相手の目が一向にハーミット・パープルに向かない。そのことからジョセフは幻海がスタンド使いでない、またDIOの手下でない、と判断した。


「いや、まあ、何じゃ。信じられないかもしれないが、ここにはスタンドという超能力みたいのを使う奴がいるんでな。ひょっとしたら、バーさんもそいつの仲間じゃないかと思ってしまったんじゃが……いや、すまんのお」

「そうかい。それじゃあ用が済んだなら、あたしゃ行くよ」


僅かな言葉を残して、幻海は何の未練もなくその場を後にした。その行動と台詞の内容からして、幻海は殺し合いに乗っていないことは容易に判断できる。故に事態の打開のために友好の手を結ぶべきなのだろう。そう判断したジョセフは幻海の極めて淡白な様に驚きつつも、彼女を急いで追いかけて、呼び止めた。


「ええーい、待たんかい、バーさん! 一人じゃ、危険じゃろうが! 少しは考えて行動せんかい!」

「うるさいクソジジイだね。悪いけど、あたしゃボケ老人の介護をしている暇なんてないよ」

「誰がボケ老人じゃ! これでもワシは近所の人たちに、年の割にはお若いですわね、とチヤホヤされているんじゃぞ!」

「そうかい。それならナンパは他所でするんだね」

「なっ、鏡を見て言え、クソババア! 誰がお前さんみたいなババアを好き好んでナンパをするか! するなら、もっと若くてプリチーな女性を狙うわい!」


そう叫びながら、ジョセフは身振り手振りを交えて、大げさに振舞う。その様子からは、とてもこの場が殺し合いの場とは思えない。とはいえ、幻海にはその行動も透けて見えていた。要はこちらを心配させまいと、わざとおちゃらけているのだろう。だが、相手の実力を知らずして心を配るのは、笑いを通り越して呆れかえる。余りに無様なものだ。幻海は容赦なくジョセフを愚鈍な人間と断じた。だから、幻海はジョセフが続いて発した言葉に誰よりも驚くことになった。


「次にお前さんは、さっさと失せな、クソジジイ、と言う」

「さっさと失せな、クソジジイ! ……ハッ」


前を見れば、ニヤリと口元を和らげるジョセフがいた。


「バーさん、お前さんが只者じゃないというのは分かる。じゃが、この問題は一人で解決できるというものでもあるまい。バーンとやらを倒すまででいい。その間、ちと協力せんか?」


成る程、ジョセフは先程感じたような愚か者ではない。相手を見抜く鋭い観察力と状況に左右されない冷静な判断力を持っているようだ。しかし、幻海がこの場でやろうとしていることといえば、浦飯幽助に奥義を伝授し、因縁の相手である戸愚呂と雌雄を決することだけだ。どこをどう見ても、目の前の老人を必要としている場面は浮かんでこない。


「やれやれ。言葉にしなきゃ分からないかい? あたしゃ、あんたが邪魔だと言っているんだよ」

「ほー、そいつはこれを見ても言えることかな、バーさん?」


そう言って、ジョセフはハーミットパープルを再び発動。瞬く間にこの島の地図が地面に出来上がる。そしてその上には53個の小石が散りばめられ、参加者の現在位置までも表していた。


「これは……」

「念写というやつじゃな。これがワシの能力。そしてこれを使えば、探したい人物の居場所もバッチリというわけじゃ。どうじゃ、バーさん? ワシに協力すれば、探し人の発見を手伝ってやれるんじゃがのお」


ジョセフは顎鬚をさすりながら、口元を歪め、幻海を見下ろす。その得意げな様に幻海は思わず反感を覚えてしまったが、ジョセフが見せた能力は確かに有用なものだ。それを使えば無駄な道を歩むことなく、速やかに目的の人物の下へ辿り着ける。それを理解した幻海は喉下まで出掛かった苛立ちの言葉を何とか飲み込み、新たに別の台詞を吐き出した。


「いいだろう。ついてきな。だけど、あたしゃ、ジジイのケツを拭く真似なんか、ごめんだよ」

「抜かせい、ババアが。ワシだってバーさんの尻拭いなんか、ごめんだわい」


年寄りの冷や水。
さて、その言葉を思い浮かべたのは、一体どちらだったか……。



【一日目 深夜】
【現在地 D-8 聖帝十字稜】
【幻海@幽遊白書】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 浦飯幽助に奥義を伝授し、戸愚呂弟と闘う
 1. 浦飯幽助を探す
 2. 戸愚呂弟を探す


【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 DIOとバーンを倒す
 1. 幻海と協力しつつ、仲間を集める



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ジョセフ 45:Hello, Good Bye
幻海 45:Hello, Good Bye



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最終更新:2012年03月10日 23:40