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9.人より十倍の譜虚心を持て
恵果 そこで人生において必要なことを、いま一つ、つけ加えておきたいことは、九割五分自分の方が正しいと思っても、五分、自分の方に非がある。或はもしかしたら万一、私の方に間違いがあるかも知れないという懸念が五分でもあるときには、イーブンと考えなさい。イーブンというのは――対等だと考えなさい。それだけ厳しいんです。十割の自信が持てない場合、九割五分正しくとも、しかしもしかしたら五分向うが正しいかも分らない、そういうことかあると思うのです。そういうときには、あなた方は優位な立場にあるんですから五分五分の話をしていると思ってあげなさい。絶対ということはないんです。九割五分正しいと思っても、少しでも、もしかしたら違うかも知れない、自分の判断が違うかも知れないという思いがあるうちは、譲るこころを忘れてはいけません。争ってはいけません。そういうときには、自分としてはこう思うんだ、もしかしたら向うの方が正しいかも知れないという、自分自身に対する言い聴かせ、これは持たなければいけません。それが五分五分、現実世界には五分五分であっても、あなた方の世界においては九分九厘、自分が正しいと思っても、後一厘の残りが向うが正しい場合は、五分五分という判断をしてあげなさい。それが赦しであり、寛容さてはないでしょうか――。
善川 それでは恵果先生、本日はまことに長時間ありがとうございました――。