アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール
【あいどるほっとらいん なかやまみほのときめきはいすくーる】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売元
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任天堂
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開発元
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スクウェアBチーム 任天堂開発第一部
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発売日 ()は書換開始日
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1987年12月1日(1987年12月14日)
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プレイ人数
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1人
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定価
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3,500円
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判定
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良作
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ポイント
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電話で中山美穂からメッセージが聞けた タレントゲーの中では数少ない名作 恋愛シミュレーションの草分け的存在 難易度は結構なもの
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ディスクファクスイベントシリーズ
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概要
『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』に続く任天堂テキストアドベンチャー第2弾。
同時に『ディスクファックス』イベント用の青ディスクカードソフト第4弾でもある。
当該イベントは第1弾『ゴルフJAPANコース』第2弾『ゴルフUSコース』第3弾『ファミコングランプリ F1レース』といったスコアを競うものだったが、それらとは全く違った趣向という点も真新しかった。
学園生活のドタバタの中で、中山美穂と出会い、彼女との愛を育てるというラブストーリー。
アドベンチャーだが「恋愛シミュレーション」とも呼ばれている。
ストーリー
私立高校『トキメキ学園』に転校してきた少年(主人公)。転校初日の放課後、早速できた友達の山村貞吉と教室を出ると、メガネの女の子とぶつかってしまった。
彼女は隣のクラスの高山みずほという少女。ぶつかった拍子に、彼女はうさぎのマスコットのようなものを落としてしまったが気付かず去ってしまう。
返してあげようと思っていた主人公の前に、清水エリカ、辻正臣といった学園の有名人たちが現れる。
彼らとの絡みで一時的に忘れてしまっていたが間もなく、みずほにマスコットを返しに行くことを思い出した主人公。
近くで女の子の声がする教室を覗くと他の女の子たちが着替え中で、意図せず「のぞき」をする格好になってしまった。
そこに間が悪く、みずほが戻ってきて誤解されそうになったが、マスコットを返してあげると笑顔でお礼を言われて、誤解も解ける。この時、主人公は彼女が中山美穂に似ていると気付く。
家に帰ると彼女から電話があった。好感を持たれていると感じた主人公。
その翌日学校でアタックしようと考えていたが彼女は学校を休んでいた。
ガッカリ気分で帰宅すると、兄(職業はフリーカメラマン)がその日撮影した中山美穂の写真を見つける。
写真の美穂がその手に持っているのは、見覚えのあるうさぎのマスコット。
そう、彼女こそ中山美穂その人だったのだ。
ここに、アイドルとそのファンという垣根を越えたラブストーリーが始まろうとしていた。
特徴
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ストーリー自体はだいぶ短めになっている。前後編2枚の容量を活かした『新鬼ヶ島』に比べると顕著。
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大まかな流れはコマンド選択式のオーソドックスなスタイルだが、要所要所で電話番号が表示され、その番号に電話すると中山美穂本人の声でヒントが聞ける(1988年5月31日で終了)。
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台詞表示部分の6通り(「真顔」「笑顔」「しかめ面」「困った顔」「驚いた顔」「ニヤけた顔」)の表情のアイコン。
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美穂と二人きりの場面では彼女の顔がアップになり、彼女の心情を察しながら台詞(会話)を選ぶポイントがあり、このゲームの要となる部分である。
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また、このポイントでは上記の顔も選択することもあり、どんな顔で話すかということも重要となる。
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この時の反応が美穂の表情や、BGMの変化から感じ取れる。
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『新鬼ヶ島』のように、選択を間違えるとバッドエンドとなる。このポイントが特に美穂と二人きりの会話で多い。
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ディスクファクスでは「サービスデータ」も受けられた。
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その時の進行状況に応じたメッセージの更新されるというもので、ゲームのヒントのみならず、中山美穂本人のイベントやレコードのリリースなどの情報も含まれていた。
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これ自体は当該イベントで共通だが、これまでタイムアタック、スコアアタックというスタイルだったため、それらのものともまるで異なる本作独自のものになっている。
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エンディングはマルチエンディング方式で「ハッピーエンド」と「準ハッピーエンド」の2通りがある。
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前者に行きつくと、タイトル後のメニュー画面に赤いプレゼントボックスが、後者なら青いプレゼントボックスが表示される。
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それぞれの状態でイベントの応募できるコースが異なり、前者なら特製ビデオテープ(VHSのみ)、後者ならサイン入りテレホンカードがそれぞれ8000名に貰える(1988年2月29日で終了)。
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準ハッピーエンドでクリア後、リトライしてハッピーエンドに辿り着いた場合、上書きされる。
評価点
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バッドエンドとなる分岐の大部分は上記の美穂との会話に集約されており、それ以外の部分は特に詰まるポイントが少なく進めやすい。
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それ以外でもあるといえばあるが、あからさまにやってはいけない行動と察しが付くので気にならない。
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わかりにくいポイントでも、電話のヒントでほとんど詰まることなく進める。
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中にはアドベンチャー自体を好まなかったり、ゲームに疎遠だった者でも、中山美穂のファンだからという理由でアドベンチャー(又はゲームそのもの)を初プレイすることも考えられたので、そういう意味でも初心者に優しい仕様は望ましい。
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主人公の表情の変化がアイコンで表示されており、主人公自身の心情がよくわかる。
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このようなアドベンチャーゲームの場合、大抵は主人公目線の構図なので、主人公の心情がわからないこともままあるので、それが解消されている。
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中山美穂のグラフィックもマンガっぽくアレンジされているが、よく似ている。
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美穂が全て喜んでくれれば正解とは限らず、中には一瞬気を損ねるようなことを介す必要があるパターンも。
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紛らわしい部分ではあるが、そもそも恋愛というものは一筋縄でいかないものなので、ある意味リアルな恋愛要素が出せている。
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全体的にBGMの出来もよく、様々な場面で雰囲気がよく出せている。
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特に美穂との会話に場面では、この曲調が美穂の感情をよく表現できている。
問題点
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ストーリーはよくできているが、かなり短かすぎる感じが否めない。また登場人物も少なく、行動範囲もかなり限られる。
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ディスクの容量自体当時はカセットに比べて劣る上に前後編でもないので致し方ないが、イベントを抜きにして純粋にアドベンチャーとして楽しむ分にはボリューム的に多少物足りないところがある。
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上記の美穂との会話で、顔を選ぶポイントでは「どんなふーに?」と聞かれる。
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基本的にまじめに答える場面なので、このようなちょっとふざけ気味の言い回しは合わない。普通に「どんなふうに?」でよかったのではないだろうか?
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電話料金がバカにならなかった。
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ゲーム中に出てくる電話番号が札幌や大阪など、広範囲に散らばっており、大抵は遠距離通話を強いられるため自ずと電話料金が高くかかってしまう。
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当時は現在と違って遠距離通話となると100円で1分も話せないことが多く、クリアまでメッセージを聞いていると相当な高額になった。
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すべて大阪、などいった形式だと地域によって不公平が出るため、分散させたのかもしれないが。結果、どこに住んでいようと高額な遠距離通話が要求される形になってしまった。
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電話絡みでは任天堂自身も懸念していたことだが、実際にかけ間違いが多発してしまった。
賛否両論点
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上記の顔選択のポイントが大体「真顔」でいい。
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簡単でわかりやすい反面、ゲームとして物足りなさもある。
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ただし最後の会話イベントでは正解の選択肢+表情の組み合わせを5~6回連続で選ばねばならず、ひとつ間違えただけでもゲームオーバーになる(どこで間違えたかは明示されない)ため、この場面の難易度は高い。
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ゲームオーバーなら、まだセーブしたポイントからのリトライが可能だがハッピーエンドを目指していて準ハッピーエンドになった場合、そこで強制セーブされてしまい最初からのやり直しとなるのは痛い。
総評
ストーリーは短いものの、それ自体は非常によくできており、恋愛シミュレーションという別名に恥じず、一筋縄ではいかない展開も、ただのアドベンチャーにとどまらない奥深さがある。
登場人物も少ないながら、いずれも個性がよく出ており、またゲーム内の中山美穂からも豊かな感情が感じられる。
それに伴い、電話でゲームとリンクした声が聞けるというのもファンにはたまらない趣向だろう。ボリューム的な物足りなさはあれども、短編物語のような感覚で充分楽しめる。
俗に言うタレントゲーの類はクソゲーになる傾向が強いが、本作はそんな悪しき常識を見事に覆したと言えるだろう。
その後の展開
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ディスクファックスのイベントは翌1988年4月14日発売の第5弾『ファミコングランプリII 3Dホットラリー』で再びタイムアタックという元通りのスタイルに戻ったため、本作のようなスタイルは継承されなかった。
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これに関しても上述のディスクファックスのサービスデータで情報配信された。
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また、このイベントはこれを最後に1年半の歴史に幕を閉じた。
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実は本作は後に「名作」と呼ばれるタイトルを生み出すきっかけになっている。
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原作を担当した任天堂の坂本賀勇氏は本作の制作では「ディスクファクスイベントやアイドルが絡むことで、本来の理想としていたストーリーを構築できなかった」という大きな不満を残した。その不満から翌1988年に『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』を生み出すことになる。
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本作の開発には外部からアドバイザーとして糸井重里氏も招聘されており(参考)、この時同氏が以前から温存していた企画が『MOTHER』であり、これを機会に任天堂の宮本茂氏に見せたことで制作されることとなった(発売は1989年7月)。
余談
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これまでのディスクファックスイベント同様本作のチラシにはマリオやピーチ姫が登場している。
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特にマリオが「中山美穂のグッズが当たった!」と言いながら大喜びしている姿が現在ではネタにされている。
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上記の電話料金問題を考慮してか、本作の取説には通話料金割引について書かれている。
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元々はスクウェア側から「テレホンアドベンチャー」として任天堂に持ち込まれた企画だった。
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当時はのちの代表作となる『ファイナルファンタジー』がまだ存在せず(同じ月の18日に発売)、スクウェア単独では資金面に無理があったため、任天堂に持ち込まれたようだ。
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今作の音楽は本作発売の前年にスクウェアに入社したばかりであった植松伸夫氏が担当した。
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イベントとの兼ね合いもあって本作の攻略本が発売されたのはイベントの応募終了間近の2月中旬であった。ソフトの発売から実に2ヶ月以上経っており、これはかなり遅い時期である。
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だいぶ後の話になるが1988年8月25日に双葉社から本作のゲームブック版である『トキメキハイスクール 恋の学園祭大作戦』が発売された。
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中山美穂を起用することができなかったためタイトルから名前が削られており、ヒロインも架空の人物に変わっている。
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1988年6月にも立花理佐を起用したアイドル系タイアップのアドベンチャーゲーム『リサの妖精伝説』がコナミから発売。
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ディスクファクスイベントではないが青カード専用でテレフォンサービスによるゲームとリンクしたメッセージを聞くという本作のスタイルが踏襲されている。
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CMでも中山美穂本人が起用された。
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このCMでも間違い電話を懸念してか「ダイヤルは正確にネ…」というテロップがあった。
最終更新:2024年03月22日 23:33