令嬢モノ:神の定めし理を超えて

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海。それは遥か広大たる水の世界。

多くの人間が海の果てを夢見て目指したが誰一人成功したものは居ない。

殆どの人間が死体となって海岸に戻り、船は残骸となり戻される。

僅かながらに生き残った人間は巨大な海竜を見たというものもいるし、嵐によって難破したものもいた。

たが口をそろえて言うのは神としか思えないようなモノの怒りの声を聞いたということだった。

大海の神が人間如きが我の上を通ることなど許さないといっているかのようだと。

この世界に外海を渡った【人間】は今だかつて居ない。

人間は海を越えて別世界へ行くことはできない。それが神が定めし理。

その理に挑む女性がいた。

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エロル大陸学園の一室。

漆黒のドレスを纏い、黄金に光る髪を靡かせ、燃えるような紅い瞳を持つ美しい女性が憂いた表情を浮かべていた。

女性の名前は、セリカ・ハートハート。

ハートハート公爵家の長女であり、第二王子の婚約者候補。

人生の勝利者とも言える彼女だが対外的には魔力を殆ど持たない上に魔力の色が忌避されている黒と診断された。
貴族は魔力が多いほどよいとさている。
貴族として使えるのは家柄と子宮ぐらいだと揶揄されている。

セリカが憂いた表情を浮かべているのはそんなくだらないことが原因ではない。
勿論そのことで突っかかってくる馬鹿な令嬢達のことでもないし、なかなか婚約を破棄してくれない第二王子のことでもない。

セリカは別のことを悩んでいた。

「海がダメなら空というのは安直すぎたかしらね」

対外的には彼女は魔力がないと言われているが実は魔力はこの世界の誰よりも多い。
それは彼女が使う闇魔法によるものだ。
彼女は努力によって闇魔法の本質は吸収であることを突き止め、、人から魔力を吸収する術を生み出した。
そして、彼女がいるのは魔力の多い貴族が通う学園である。
侯爵家の彼女を内心で見下している貴族たちは、セリカにとってはただの魔力畑になっていることすら気付いていない。

そうやって手に入れた膨大な魔力を持つ彼女にとっては空を飛ぶことは造作もない。

エロル大陸やコシマ大陸、そしてその中間に点在する島やならば何の問題もなく飛び回れる。

だがその外。大海にでて一定の距離から猛烈な逆風にあうこと数回無理やりに突破してみれば大空を舞う美しいドラゴンが彼女の行く手を阻む。
ドラゴンを見て一目散に勝てぬと判断した。アレは人間が敵うものではない。
恐らく、大空神の化身だ。セリカはそれこそ全速力で撤退した。
死を意識した瞬間はいつかと聞かれたら、セリカは必ずこのときを答える。

それならばと違う方向へと飛んでみれば今度は逆風は対して受けることなく進めたが、雲の影からドラゴンが現れる。
当然、逃げた。全力で逃げた。

しかしセリカは諦めることなく大空を舞うのがダメならばと、海面を飛べば嵐が前方から迫る。
それをみて、方向転換をすれば大津波、それを上空へ避ければ、空と同じくドラゴンが彼女の前に現れる。

ドラゴンがまたお前?というような眼でみていたのは忘れられない。
セリカは完全に撤退した。


「御姉さま、それはどういうことですか?」

「あら、アーリカ、人の言葉を盗み聞きするなんて
 それにここはハートハート公爵家の人間か、招待したものしか入ってはいけないサロンよ?」

「御姉さま、御姉さまを姉のようにしたっているクライさんと違って
 私は御姉さまの実の妹ですっ」

「ちょっとした冗談よ、冗談。そんなに顔を膨らませてすねないでアーリカ」

「御姉さまが言うと冗談に聞こえません、それに話をそらそうとしても無駄です。先ほどの言葉はどういうことですか」

「……誤魔化せなかった?」

「ええ、誤魔化せません。御姉さまにはもう何度も私をからかって誤魔化されましたからね!」

「はぁ・・仕方がないわね。ちょっと今やってることが行き詰ってるだけよ」

「それで『海がダメなら空というのは安直すぎたかしらね』とは何をしているんですか?
 奇行を数多く行ってきた御姉さまですが、まさか外海を越えようとしているとかそういうわけじゃないですわよね?」

セリカは年子の妹は自分のことを良くわかってるし、頭が良く廻るなと感心する。
疑問系で聞いているがアーリカのなかでは既に確信しているというのが顔を見て解かった。

「外海に出るのは何者にも不可能。神の加護(ギフト)を持った人間ですら不可能だったんですよ!
 御姉さまは自分がハートハート公爵家の長女で―――」

「私は平民になるっていってるでしょ、貴族としての価値もないし魔力がないんだから」

「んんん!!御姉さまが魔力がなかったら誰があるんですか?今の魔力量はいくらですか」

「全然ないわよ。アーリカに比べたら私はたったの20よ。20。」

一般の平民が1000といわれている。それと比べれば確かに少ない。
少ないが呆れた様子をしながらアーリカはセリカに尋ねた、桁はいくらですかと

「………アーリカ。私は悲しいわ。妹の貴女が全てを疑うように成長してしまって」
「それは御姉さまのせいです。それで桁は?千ですか?万ですか?」
「惜しいわね、100万よ」

セリカは微笑を浮かべながらいった。見るものが見ればとんだ悪女の顔だというが
妹であるアーリカには姉が拗ねているということがわかった。

「はぁ、桁は100万ですか。そうですか、つまり2000万ですか。王族を除くと歴代のなかでかなり高いといわれる私の200倍ですね」
「そうね」
「そうねじゃありません。御姉さまその力をどうして人のタメに使わないんですか」
「貴女も知ってるでしょう。私本物の魔王だからよ魔法の色がそういっているわ」
「でも御姉さまはあの魔王キヤミザとは違いますっ。だって御姉さまは誰も傷つけてはいないではないですか」
「それはアーリカ。貴女やお母様、お父様。使用人の皆が私に優しくしてくれたからに過ぎないわ」
「うう・・御姉さま・・・」

何度も家で繰り返されたているのでセリカが折れるともアーリカは思っていない。
だが繰り返さずにはいられない。
このセリカは令嬢としては奇行が多すぎるのだ。
男爵家の使用人になったことがある侯爵家の令嬢などセリカ以外に古今東西探してもいない。

「はぁ、この話はおしまいにしましょう。
 でも聞いてしまったもは仕方がないからアーリカ。貴女も知恵を貸してくれないかしら」

「うう、止め欲しいですけど御姉さまはいくら言っても聞きませんものね
 それで空を飛んで外海を越えようとしたけど無理だったんですよね、なにがあったんですか?」

「何度かは逆風で無理になったんだけど、違う方向にいったらドラゴンが出てきたわ。たぶん、あのドラゴンだけど天空神ファニエルの化身ね」
「えっ!?ドラゴンってあの?」
「ええ、あのでかいドラゴンよ。ちなみに海面スレスレで飛んでいったら伝承の通り嵐がきたり、津波がきたりしたわ
 よけたらやっぱり、ドラゴンが出てきたわ。
 またお前かっって眼で見られた」

「御姉さま・・それはもう神様が海を渡るなと言っているのではないですか?
 海の果てには神様おわしまします国があるといわれているではないですか、人間がそこにたどり着くのはおこがましいということなのでは」

「でもドラゴンと出合った場所はまったく違う方向よ、1回目はコシマ大陸を北西に進んでいたとき
 2回目はエロル大陸を南に進んでいたとき、3回目は東よ?
 仮に海の外がすべて神がいる大陸だとしても、3回とも同じドラゴンが出てきたのは説明がつかないわよ
 距離が離れすぎてるわ」

「ファニエル様にとってはそのぐらいたいした距離ではないということでは?」

「それだと風で阻む必要性がないわ、嵐とか津波もそうよ。
 あのドラゴンがでたら私ですら無理って思ったから普通の人だとそれこそ見るだけで心が折れるわ
 現に大海に挑んで海竜を見たって生き残っていた人は、廃人になったとかじゃなかったかしら」
「信仰に目覚めてる人もいますわ、同じクラスにいるコウエ様の御先祖がそうですわね」
「コウエ?そんなヤツいたかしら?」
「御姉さま、ハートハート公爵家の長女なのですから覚えていてください。本流はコシマ大陸の貴族ですが嘗てはエロル大陸にも嫁がれている方がいらっしゃるんですよ」
「いやコシマ大陸の貴族でしょ?流石に名前までは覚えていないわ、王妃教育が大変なのによくできてるわ、さすが私の妹ね」
「え、えへへ。ありがとうございます」

急に褒められててれるアーリカが顔を赤らめる。
セリカはその様子を見てまったくこの子は姉離れが全然出来ていない。
これさえなければと思うがそれは口に出さない。

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「………そのドラゴンは実際は神の化身ではないのかもしれませんね」
「は?」

アーリカの言葉にセリカは即座に反論する。

「いやいや、アーリカ。それはありえないわ。
 あのドラゴンは実際に攻撃はしてこなかったけど、はっきり言って存在の格が違うのが見ただけで解かったわ」
「御姉さまは、ファニエル様の化身と思われるドラゴンに会っていますから大きく見えているのではないですか?」
「それは、どういう意味かしら?」

アーリカの言葉にほんの少しだけ怒りを覚える。
あのドラゴンはそれほどまでに偉大で強大で、まさに神の化身だった。
それを馬鹿にするような言い方はいくら愛しい妹であるアーリカでも許せるものではない。

「御姉さま、すごまないでください。それと魔力が漏れています冷静になってください。」
「んっっ………ごめんなさい、アーリカ。でももう一度聞くわ。どういうことかしら?」

「私が思うにそのドラゴンはファニエル様の化身ではなく、
 ファニエル様のギフトを戴いているドラゴンなのではないでしょうか?」

「ド、ドラゴンがギフトを!?人間以外に加護が貰えるなんて聞いたことがないわよ」

「そうでしょうか?獣人の方や吸血鬼と呼ばれる方にも加護を戴いている方はいらしゃいます。
 リーノ様も夜陰の神の加護を受けていると仰られてました。
 たしかにファニエル様の化身ならばいくら御姉さまでも敵うはずがありません。
 ですがドラゴンが加護を受けているなら別です。神でなければ御姉さまなら勝てます」

「言ってくれるじゃない、アーリカ」
 セリカは知らず知らずのうちに、神の化身と見まごうドラゴンに心が折られかけていたのに気付いた。
 気高い孤高であろうとする彼女ならば、どうにかして一人でドラゴンの眼を欺くか、倒す方法を考えていたはずだ。
 セリカがいると知れば必ずアーリカが訪れるハートハート侯爵家のサロンで弱音なんて吐くことなどない。

 かつてフリマ王子に婚約破棄を言い出されたときを思い出す。
 あのとき、気高くいれたのもセリカ一人だけではなくクライ・レイナール嬢が居たおかげだ。
 セリカが彼女にいった言葉、それはただの見栄をはっているだけの言葉だったが
 それがなければ恥じも外聞もなく泣き付いてフリマ王子の婚約者にしがみついていたかもしれない。

「やっぱり私は一人だとダメね」
「そんなことありません、御姉さまはいつも気高く、高みにおられております。
 たまには休んで降りてきてくださるのです」
「褒めちぎりすぎよアーリカ。でも、ありがとう」

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いま解かることをまとめましょう。
そういってセリカがそういうとアーリカも頷く。

「まず船を使って外海を渡ろうとすると、嵐や津波が襲ってくる。
 そしてそれがなければドラゴンが現れて船を破壊する。
 誰一人超えたという記録もないし船が難破しても船の藻屑も人間も戻ってきている。
 生きてるか死んでいるかは問わずにね。
 だからこそ空を飛んでいったら、鳥すら引き返すぐらいに進めない風があったわ
 それを無理やり突破しても神の化身かと見まごうドラゴンがあらわれた」

「まさに神様が人間を外海に出さないようにしているとしか思えないです」

「そうねアーリカ。
 でも大海神ミズウィと大空神ファニエルは仲が悪いとされているわ。
 だからこそ空を飛んでいったのだけれども妨害された。
 その二人が協力しているのだから創造神アルテイル様が決めていることかもしれないわね。
 それは推測に過ぎないけど、わかっていることといえばこれぐらいなのかしらね?」

「いえ御姉さま。まだ解かっていることがあります」
「はて、なにかしら?」
「3回の挑戦でドラゴンに3度あったというのは間違いないですがその時間はどうでしょうか」
「時間?全部、昼ね。夜に飛ぶのは寒すぎて無理だったわ」
「そちらも気になりますが、ドラゴンが現れるまでに掛かった時間です
 1度目は風を突破して出会った、2度目は逆風が吹いていない箇所で雲から出てきて出合った、3度目は嵐と津波を避けた後ですよね」

「ええ、結局全部会って逃げ帰ったけど。あ、そういえば今のところ逃げれば何もしてこないというのも解かってる事かしら」

「陸地からどのぐらいの距離で出会ったんですか?」
「んーー・・・そうね1回目は陸地からだと・・・200km、いえ150かしら突風が強かったから対して距離はでてないと思うわ。
 2回目は突風はあったけどすぐになくなって、そのあと割りとすぐだったわね。50kmぐらいかしら、
 3回目は嵐の回避とかがあったから、100kmといったところかしら」

「2回目だけはすぐに出合ったということですね・・・」

そういうとアーリカは考え込む。

セリカのうーんと唸って考えるがまったく何も思いつかない。
実は考えるのが苦手なのかもしれないなと今さらながらに気付いた。
自分では考えているつもりだったが、その実膨大な努力が根底にあり考えて効率よくやるより全ての選択肢をやりつくす方が早いからだ。


「御姉さま、鳥も引き返すっていいましたよね?」
「ええ、横で風煽られて引き返していたのを見たわ」

慌てて戻ってて結構面白かったなぁと思い出す。

「渡り鳥なのにですか?」
「外海からくる渡り鳥は居ないわね、発見されてないだけかもしれないけど居ないと見ていいわ。
 いわゆる渡り鳥は、エロル大陸とコシマ大陸を渡っていたり、季節によって南にいったり北にするだけよ」

セリカは即答するが膨大な努力の結果の知識からくるもので効率がいいわけではないわね。
鳥の専門家に聞くのが本当の効率のいいやり方かしら?
そんなことを考えていたらアーリカはさすが御姉さまです。何でも知っていますねと返してくる

「それで何か思いついたの?」
「はい、その強い風は渡り鳥を外海に出さないためにあるんじゃないでしょうか」
「・・・続けてくれる?」

「はい、神様が人間を外海に出したくないと思っているのは間違いないと思います
 ただそれは人間だけなのでしょうか?
 人間を出したくないとお考えなら、船の残骸が殆ど漂着しているのはおかしくないでしょうか?
 つまりこの大陸から何も外海に出したくないと考えれば渡り鳥が戻る風も同じではないでしょうか
 伝書鳥のように、渡り鳥になにか手紙でもくくりつけていたら、他の大陸があるとわかれば人間はどうするでしょうか?」

「発見して仮にあれば、そこに国があって弱ければ支配しようとするわね
 それが国力上昇につながるなら人間は割りと何でもやるわ
 私たちの賢王は足るを知っているけどそうでない国もるからね」

歴史がそれを物語っている。直近の話ならば歴史あるエルフィニアはダーム帝国に滅ぼされている。
国同士なら弱いければ滅んで占領支配される運命である。

「恐らく、外海にはなにかしらの大陸があると私は思います。
 そして神はその大陸間での交流どころか存在すら考えさせたくないのかと思います
 だからこそ人間や動物、モノにいたるまで大陸から外に出そうとしない」
 そして御姉さま、恐らく御姉さまの存在は神様、いえドラゴンにとっても予想外だと思います」


「予想外?まあ確かに私は規格外の人だとは思っているけど」

「御姉さま、いいですが。人間は空を飛べません」
「飛べるでしょアーリカだって空を飛べるでしょう?虹色の7大属性なんだから風属性もっているから」

「浮けますが飛ぶなんておこがましいことは出来ません」

「御姉さま、私は歩く速度よりちょっと速いふよふよと浮くのが限界です一般的に風魔法の空を飛ぶというのはそういうレベルです
 ビュンビュンと鳥よりも早く飛ぶなんていうことはできません。
 御姉さまの空を飛ぶを見て以来私は空を浮くことしかできないって言ってるんですよ?ん、それは置いておいて
 つまり、ドラゴンは何らかの探知魔法に近いもので外海を渡ろうとするモノを監視している。
 そして最初は気合が入った渡り鳥かなにかと勘違いしていたと思うんです」

「気合がはいった渡り鳥」
「ええ、だからちょっと脅かすか、最悪殺そうと思ったらびっくり人間だった」
「たしかに上空2500mを飛んでいたからびっくりされたかもしれないわね」
「2500!?風魔法使いは地上から20mも飛べば天才だといわれているのにっ」
「そのあたりに雲が少なかったのよ、続きを聞かせて」

はぁと御姉さまの奇行は相変らずですとつぶやいて、アーリカは自分の考えをさらに話していく。

「2回目にドラゴンとの遭遇が早かったのは、こいつ気合の入った渡り鳥じゃなくてあのときの人間だなと
 判断されたからだとおもうんです。気合の入った渡り鳥すら戻る風を突破しているわけですからね」

「なるほどね、確かに2回目は風はすぐ収まったし、ドラゴンと出会うのが早かったわ
 でも3度目は?嵐や津波が結構あったわよ」

「3度目は海面スレスレを飛んでいた、だから管轄が異なったっていたからではないでしょうか
 海面スレスレだから最初は大海神のギフトを戴いているドラゴン、海竜が外海を超えないようと妨害していた
 海竜も驚いたでしょうね、とんでもなく速い小型船を人間は開発したのかと、しかも嵐は避ける小型船ならばと波を出してもびくともしない
 何か海の魔物をけしかけようとしても速くて手が出せない
 自分が出るかどうするかと津波を起こしてみたら、空高く逃げてしまった、そう。御姉さま、3度目にドラゴンにあったのは」

「津波がきたから空に飛んで避けた後っ・・!」

「海面スレスレだからこそ海の管轄。上空に飛んで避けたからこと空の管轄に変わった、だからこそドラゴンが現れて
 御姉さまは仰っていましたよね、またお前かって眼で見られたと
 まさにまたお前か、やっぱりお前かという眼だったのではないでしょうか」

「なるほど・・・なるほどね
 そういわれ見れば呆れていたような眼だったのはたしかに納得がいくわ」

「大海神と天空神は仲が悪いとさていますからきっとそのギフトを持った竜たちも仲はあまりよろしくないと思います
 なのでその領域をふらふらと跨ぎながら移動して、二匹のドラゴンが仲たがいした隙をついて飛んでいけば突破できると思います」

アーリカは自信をもって宣言した。

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ウル・ラクエムは創造神アルテイルの加護を持つ人間だ。

その加護を持っているため人と違っていろいろなことが解かっているし知っている。
人の心を読むことだった出来るし記憶を探ることすら出来る。
このエレクシアン大陸が人間の神たちが自分たちを崇めるために作り出した大陸だということも知っている。


そんな彼ですらエレクシアン王立学園に入学してから驚きが連続する毎日が続いていた。
エレクシアン大陸では神が自分たちを崇めさせるために作り出した大陸であるため人間は加護を持つのが当たり前だ。
加護を持たない人間なんて居ないといっていい。

なのにこの学園には何人かその加護を持たない人間が居る。
神々を打倒しうるのは神の加護を持たない人間だけだ。この大陸には存在してはいけない人間だ。
驚いた。凄く驚いた。一人見放されて加護を失った人間が居るのは知っていたがそれ以外にいたのに驚いた。

この大陸では失われている神たち。
いや貶められている6大神の朝陽、夜陰、太陽、大海、天空、大地の6大神の加護を持つ人間がいた。
驚いた。凄く驚いた。彼らが人間に加護を与えることなどないと思っていたしもっと強大な生物、
ドラゴンやベヒモス、クラーケンなど人間ごとき捻り潰せる生物に加護を与えている
驚いた、凄く驚いた。


他にも創造神の加護をもつ彼だからこそ、嫌う世界の異物。
異世界からの転生者。それが以外にいるのに驚いた。それが自分の婚約者もそうだというのがやってられない。
しかも、自分の何気ない一言で覚醒させてしまった。
あの一言がなかったらと思うと、唯一彼が嫌いになれない転生者だ。


創造神アルテイルからお告げがあったときも驚いた。
神のお告げというものは、死の直前にあるとされているから、しかしそれが隣世界の創造神が遊びにくるからちょっと観光の案内をよろしくといわれた。
なんだそれと思っ他半面、まだ死ぬわけじゃないのかと安堵した。
だが加護をしてもらっている神のお告げを無視するわけでもなくどうすればいいのかと思っていたら
普通に学園にいて挨拶してきた。しかも名前が、カミ・トナリノ。
舐めてるのかと思った。だれも疑問に思わないのは何故なんだと思うがそれは隣とはいえ創造神の力なのだろう。
神様だから仕方がないのだろうが、一歩引いた立場から俺たちの行動をみて楽しんでいる。
それをいうとトナリノは君も似たようなところあるよといった心外な。
俺は楽しんでるわけじゃない、興味がないだけだ。


そんな驚きもひと段落した。
あれだけ驚きがあったのだから臨海学習として生徒が海の傍で数日間暮らすという行事でもなにか驚くことがあるかもしれないなと思った。
思った以上に驚いた。一番驚いたかもしれない


「あら、第一現地人発見でいいかしら?」

漆黒のドレスを纏い、黄金に光る髪を靡かせ、燃えるような紅い瞳を持つ美しい女性が笑顔で言った。
最終更新:2019年11月04日 22:39