1-1.月曜(昼)
◇.01 巳紗の受難
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登場人物:巳紗、充正、修羅
円満な夫婦は今日も二人で出勤する。ただ、歩く足取りは重い。街で起きた事件について、朝から職員会議が開かれる予定だった。
用務員の夫と別れ、職員室に向かう巳紗は、理事長室へとローラーブーツで向かう生徒を見つける。問題児の起こす行動に不安を感じた巳紗は追いかけるが。
◇.02 武道場、開放1
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登場人物:修羅
日曜、真貴子を送っていった後に修羅は街を覆う結界の存在を調べに行った。家に帰った修羅は文献を漁る。
アンに惑わされている父を家に軟禁し、父の代わりに理事長の椅子に座る。理事長代行として、各学部校長に命じ、今日より各学部で欠席したり様子のおかしな生徒がいたら必ず教職員に報告させ、それを理事長室に連絡するよう伝える。また、町の有力者に町から出られないなどの路頭に迷うものがいたら学園に来るよう根回しを行う。
そして、理事長室から全校へと放送を掛ける。
◇.03 遥、仙一を訪ねる
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登場人物:遥、仙一、かなえ、千夏
ミルヤムから話を聞いても、現状の打開には至らない。
昼休み、少ない伝手を頼って、遥は以前事故に遭って助けてもらった時から懐いている仙一に相談に行くことにする。
遥は同じように悪魔に憑かれた仙一に驚き、事情を話す。傍にいたかなえ、千夏も悪魔憑きと判明するが、その宿主と悪魔の気質からか、騒がしくも穏やかに昼食会と相成ったのだった。
◇.04 武道場、開放2
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登場人物:修羅、遥、仙一、かなえ、千夏
教室から離れてそれぞれの弁当(今日の仙一の弁当は千夏製)を広げた遥たち。
しかし、和やかな彼らの上に、普段は騒がしい昼の放送が全く空気を違えて開始した。
「近隣で事件が発生しています、不審人物に心当たりのある生徒は速やかに教職員に連絡して下さい」
「我が校、我が街を己のもののように揉躙する犯人がこの街から退去し、生徒諸君が一日も早く元の日常に戻れるよう、我々も全力で対応したいと思います。この学園と街は、そこに暮らす人間のものです。そこに介入してくるものは、相応の抵抗を覚悟すべきだと私は考えます」
「また、この件で交通が乱れているとの情報があります。自宅に帰れない者がいる場合、学内の武道場を宿泊施設として解放しますので、入り口に設けた受付で手続きを済ませてから利用して下さい。こちらは学内関係者のみならず広く解放したいと思いますので、事件解決までご理解ご協力をお願いします」
女性が告げる不穏な言葉に、ざわめきが周囲から起きる。
仙一はその声が知っている者だと気付くが、何故修羅が、とは思いつつも彼には現状と彼女の行動が結びつかない。
遥は放送の中の『自宅に帰れない者』の言葉に、結界の存在に気付く者がいることを感じ取り、放課後に武道場へ行きませんかと仙一達を誘う。
◇.05 君は僕の大切な友人だから
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登場人物:数弥、薫、晶
夢のような日曜の出来事、銀眼に吹き込まれた晶の様子が気になり、登校してすぐに晶を問い詰めようとするが、その日に限って晶は遅く、来た時にはHRの始まる時間だった。真面目な晶が授業中の私語を許すはずもなく、休み時間に話しかけようとすれば授業が終わった途端教室を出て行ってしまう。毎回トイレでもあるまいし。薫に愚痴るも、薫は晶の別の点を気にしているようだ。
薫に日曜にしていた事を聞かれ、銀眼に遭ったことを告げると、それ以上の何もなかった事に安堵された。正気さえ疑われず、話を理解されたことに薫が何か事情を知ることを悟った数弥は薫を問い詰める。
しかし、薫は数弥をはぐらかし、日野西家の事件を挙げ、危険だから不用意に街を歩かないよう注意する。
「君は僕の大切な友人だから、危険な目に遭って欲しくないんだ」
そんな薫の態度に、数弥は煮え切らない思いを抱くのだった。
◇.06 君は僕の大切な友人だから2
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登場人物:数弥、文則
昼も晶が掴まらず、薫の態度にも反感を覚えた数弥は昼食に文則を誘う。
誘った文則の顔は蒼白で、口数が少ない。不審を覚えつつ、昼食中愚痴を零していた数弥に、文則がふと悪魔の存在を漏らす。
悪魔に襲われていることを告げる文則に、数弥は焦った。
「そういうコトは早く言えよ!」
親友の危機に、数弥は何かできないか考えるが、特に思い浮かばない。
晶も薫も気になるが、目の前の無力な幼馴染みを救うことが先決に思え、傍にいることを決意する。
「でも、数弥を危険な目に遭わせる訳にはいかないよ、数弥はぼくの大切な友人だから」
文則の言葉は数弥の忸怩たる思いに火を付ける。
「お前はおれが護ってやるからな」
数弥の宣言に文則は嬉しそうに笑った。
◇.07 手に入れた力
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登場人物:数弥、銀眼
『もし、自分だけでは駄目だと思ったらまたおいで』
悪魔、なんて非科学的なものだと思っていた。だが、ダチが皆、ソレに関わっているらしい。
晶がおかしいのも、薫が何か隠してるくさいのも。何より、文則が苦しんでる。
悪魔が憑いてなければ、数弥には何が起こってるのかも分からないと文則は言った。
悪魔を手に入れる為、数弥は銀眼を探す。初めに行ったのは遭った場所。だが、まばらだが人通りのある廊下にそれらしき影は見当たらなかった。
銀眼を探して走り回り、再び特別教室棟二階に戻った時。授業中の為か、人通りが無くなったその廊下に、佇む銀眼の影があった。
そして、ニコナイを手に入れる。
◇.08 胸に秘める想い、重ならない心の欠片
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登場人物:晶、文則
文則を訪ね、3-Bを訪ねる晶。
忍様の味方になるのであれば、どんな駒でも構わない。
悪魔憑きが生き残り天使の結界を破るには忍様の下に集うのが一番である、と晶は文則に説く。
しかし、文則にはそれ程晶の言葉に信用を置けずに迷う。文則には付いて行くメリットすらない。
デリテスの言葉に晶が怯むのを見て、文則は条件をつけ味方になってもいいと告げる。
その条件とは、『握手をすること』。
信頼する為にと差し出された手を見つめれば、トロアドが見せるのか文則の手を跳ね除ける自分の未来が晶の眼に重なる。
忍様の味方を得る為の条件を、手駒に指名したトロアドが否定する。晶は反発し、文則の手を握った。
◇.09 蛇の肌
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登場人物:文則、晶
文則は握った手から流れてきた情報に目を細めた。
脳をまさぐられる感覚に、晶は驚き手を振り解く。心を読み取るデリテスの力に、秘める想いを抱く晶は警戒心を抱いた。
晶は放課後、生徒会室へ来るよう文則へ言い、逃げるようにして3-Aと逆の道を駆け出していく。
晶の背に向かい文則は嘲笑を浮かべ、大したことのない情報だと言い捨てた。