1-2.月曜(夕方)
◇.01 不の悩み
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登場人物:不、綱生
朝起きたらベッドの隣に少年が居る状態で目覚めた不は軽い混乱状態に陥っていた。
正巳といい、学校内にも悪魔が多数入り込んでいる。何とか平常心を保ち、授業を終えた不だが、昼休みに綱生が訪れ撃沈する。
綱生まで悪魔を憑け、不とは正反対に大層お気楽に飛び込んで来たからだ。
ぐったりする不に、ユイファは自分が見える存在だとはしゃぐ。はしゃぐユイファを見て、不は完全に毒気を抜かれてしまった。
悪魔といっても全てが害を及ぼすものではないのかもしれない。そう感じた不は、悪魔について認識を改めるのだった。
◇.02 ちらばったピース
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登場人物:繭、愛熾
綱生が不のところへ行っている為、繭は愛熾と二人で昼食を摂る。
二人きりの場に、繭は己の抱える不安を愛熾に打ち明けた。
廉兄の不在。綱生の傍に居る何か。噛み合っていたはずの日常の歯車が、どこかズレてきている感覚。
愛熾は繭を不安にさせる者達に怒り、繭に提案する。廉兄はともかく、あのお気楽な馬鹿には直接聞いてみればいい。簡単に答えてくれるだろうから。
◇.03 フロアビス
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登場人物:綱生、繭
放課後、愛熾と別れ繭は綱生とともに帰り道を歩いていた。愛熾の言葉通り、繭が聞くと綱生はユイファのことを素直に教えてくれた。
だが、繭にはなんとなくユイファの存在を感じることはできてもはっきりと姿が見えるわけではない。不先生なら見えるっぽいんだけどな、と残念そうに言う綱生に、繭も心から残念だと思う。
道の途中、繭は花弁に蹲る傷ついた小鳥を見つける。小鳥を拾い、助けたいと望んだ繭は意図せず悪魔と契約してしまう。
悪魔の名はフロアビス。あどけない小鳥の悪魔だった。
悪魔と契約した繭は意識を失い倒れてしまう。綱生は慌てて繭を支え、気を失っていることが分かると優しい笑みを浮かべ、横抱きで繭を抱え帰り道を急いだ。
◇.04 その頃の愛熾
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登場人物:愛熾、梶
自分が居ては繭と綱生の話も進まないだろうと身を引いた愛熾は、仕方なく生徒会室で宗一郎に八つ当たる。
◇.05 堕ちた竜ガジュマル
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登場人物:梶
生徒会長はいないわ、関係ない愛熾にさんざんいじられるわ、散々な放課後を過ごした宗一郎。
ぶちぶちと一人愚痴を吐きながら自宅へと帰った宗一郎は、医院の拾い庭に倒れる大きな木製の竜と出逢う。
◇.06 導きの娘
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登場人物:緋夕、アリエラ、漣、不
不の家を出て街に向かった緋夕は公園で一人で遊ぶ小さな女の子に出逢う。
ブリジットは相手が悪いと身体の中に姿を隠し、緋夕は不思議に思いながらもアリエラに誘われ、漣を巻き込み一日を過ごす。
子供と付き合いながら、なんとなくツいてる一日を過ごした緋夕は、最後に再び源学園に導かれる。
頼りにできる大人としてアリエラは緋夕に不を紹介する。再会した二人は苦笑した。
◇.07 幸か、不幸か1
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登場人物:充正、正巳、遥、ミルヤム、仙一、千夏、かなえ
武道場の備品の用意をしていた充正の元に娘の正巳が手伝いに来る。
遥とミルヤム、千夏、かなえに連れられた仙一は現場を管理する充正に話をしようとするが、武道場には多くの野次馬が押し掛け充正の手が開かない状態だった。
用事があるならまず手伝え、と正巳に押し切られ、遥達は武道館の仕度を手伝うことになる。
◇.08 幸か、不幸か2
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登場人物:充正、正巳、遥、仙一、千夏、かなえ、不、緋夕、漣、アン
不に案内され、緋夕はとりあえずの寝場所として武道場に訪れる。
武道場の手伝いを通じて仲良くなった正巳と遥、そして集まった悪魔憑き達は二人を中心に情報交換を行うが、そこにアンが混じった時から話が逸れ、武道場は混乱に陥っていくのであった。
◇.09 放課後、健太の選択
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登場人物:健太、才、司馬、彼方
廉也を探し出し元に戻す為にも、手掛かりのありそうな者を頼るしかない。
放課後、司馬とともに健太は屋上に向かう。
「お前らはこういう状況になるって、わかってやったんだろ? …つまり、人間を利用したってわけだ。だから、俺もお前を利用させてもらう」
「俺先輩、お前は後輩。よろしくな、後輩!」
健太の不敵な物言いに天野はにこりともせず、「よろしくお願いします斎木先輩」と返した。
「…ところで、名前なんつったっけ? あー、なんか聞いたことある気ィすんだけど。ここ、ここまで出かかってんだけどなー」
流石に司馬が溜息を吐いた。
◇.10 修羅、時食みの屋敷に向かう
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登場人物:修羅、継理、仰人、ルカ
武道場が始動したのを見て、修羅は一旦学校を離れ神生の屋敷に向かった。
修羅の訪問を受ける継理達。今日、学校を休んでいたことを指摘された継理は昼に街を警戒歩哨していたことを告げる。
しかし、昼の街は特に変わった様子はなく、やはり学校に何かあることだけしか分からなかったと継理は言う。
学校を休んだ割りに情報収集のできていない継理を修羅は揶揄る。
仰人は継理を庇い、継理とルカが街の結界の所為で体力を消耗していることを打ち明けた。修羅はルカの為に結界の力を中和する御守りを渡すのだった。
◇.11 狙われた美少女
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登場人物:葵
町から出る事が適わないと知った葵は、放課後、泊まれる場所を探して繁華街へと向かう。
武道場に行くつもりはなかった。街の結界の所為で外に出れないのは悪魔憑きのみ。町から出れない者が集まる武道場に向かっては、わざわざ手の内を晒すようなものだった。
繁華街を歩く葵の背を狙う視線を感じ、葵は路地裏へと飛び込む。