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初期アイデア2の原案
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advtukuro
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せっかく書いたのでこちらの原案も掲載します
消極少女のサイコロジカル
原案
■1
2005年、1月。
冬休みの宿題は片付けた。ただ一つ、【未来の自分へ】というテーマの作文を残して。
雪華は自分の将来を想像できなかった。20歳になっても、今のまま、背丈だけが伸びて、相変わらずこの家で平凡に暮らしている姿しか思い描けない。どんな進路を歩んでも、劇的な変化が訪れるとは思えなかった。
2005年、1月。
冬休みの宿題は片付けた。ただ一つ、【未来の自分へ】というテーマの作文を残して。
雪華は自分の将来を想像できなかった。20歳になっても、今のまま、背丈だけが伸びて、相変わらずこの家で平凡に暮らしている姿しか思い描けない。どんな進路を歩んでも、劇的な変化が訪れるとは思えなかった。
しかし、現実は想像を超えてくるもので、ある日、雪華を困惑させる出来事があった。
お年玉を握りしめて本屋へ行く途中、黒人の子どもを見かけた。この辺鄙な地に黒人がいるなんて珍しい、と雪華は思った。
雪華は、小学生にとっては高価な本…世界の絶景写真集を求めて本屋を訪れた。写真を見るのが好きで、特に世界の絶景たちには心惹かれていた。
しかし、目当ての本は品切れだった。牢名主のごとく、永い間、棚に居座ってたあの本が。
悲しみに暮れていると、大人の女性に声をかけられた。その女性はお茶に誘ってきて、雪華はケーキ屋に連れて行かれた。
雪華は一冊の本を渡される。それは雪華が買おうとしていた写真集だった。
その女性は、姉は元気にしているか、など雪華に怪しい質問をたくさん投げかけてきた。不審者だが、教えても差し障りのないことばかり聞かれたので素直に答えた。
そのうち、黒人の親子が二人の元にやってきた。女性の夫と息子だという。女性とその家族はケーキ屋を後にした。
雪華は、受け取った本に、封筒が挟まっているのに気づいた。
【あの頃の私へ】と書かれている。
中には手紙が数枚入っていた。一枚目は日本語で、あとは英語で綴られている。
「ビックリしたでしょう。実は私は、大人になったあなたです。ニューデリーでエンジニアやってます。ニューデリーはインドにある都市です。未来の世界では、インドはすごく発展しているんですよ」
自己紹介の後半には「この手紙を英語学習のきっかけにしてください。英語力は今のあなたが思ってるより、重要な能力になります。あなたの年齢に合わせて、どんどん言い回しを複雑にしています。刺激的な場面もありますからね…とにかく言えることは、あなたは重要な局面に差し掛かっているということです。この手紙に、あなたの人生のすべてがあります。役立ててください」とあった。
お年玉を握りしめて本屋へ行く途中、黒人の子どもを見かけた。この辺鄙な地に黒人がいるなんて珍しい、と雪華は思った。
雪華は、小学生にとっては高価な本…世界の絶景写真集を求めて本屋を訪れた。写真を見るのが好きで、特に世界の絶景たちには心惹かれていた。
しかし、目当ての本は品切れだった。牢名主のごとく、永い間、棚に居座ってたあの本が。
悲しみに暮れていると、大人の女性に声をかけられた。その女性はお茶に誘ってきて、雪華はケーキ屋に連れて行かれた。
雪華は一冊の本を渡される。それは雪華が買おうとしていた写真集だった。
その女性は、姉は元気にしているか、など雪華に怪しい質問をたくさん投げかけてきた。不審者だが、教えても差し障りのないことばかり聞かれたので素直に答えた。
そのうち、黒人の親子が二人の元にやってきた。女性の夫と息子だという。女性とその家族はケーキ屋を後にした。
雪華は、受け取った本に、封筒が挟まっているのに気づいた。
【あの頃の私へ】と書かれている。
中には手紙が数枚入っていた。一枚目は日本語で、あとは英語で綴られている。
「ビックリしたでしょう。実は私は、大人になったあなたです。ニューデリーでエンジニアやってます。ニューデリーはインドにある都市です。未来の世界では、インドはすごく発展しているんですよ」
自己紹介の後半には「この手紙を英語学習のきっかけにしてください。英語力は今のあなたが思ってるより、重要な能力になります。あなたの年齢に合わせて、どんどん言い回しを複雑にしています。刺激的な場面もありますからね…とにかく言えることは、あなたは重要な局面に差し掛かっているということです。この手紙に、あなたの人生のすべてがあります。役立ててください」とあった。
手紙には、雪華の一生が綴られている。雪華は、自分の将来を知るため、その日から解読に取り掛かった。不思議と、謎の女性が未来の自分だと疑う気になれなかった。性格も見た目も面影がないのに。
■2
雪華は高校生の姉・秋奈と大の仲良しだ。ふだんは大人しくてクールな雰囲気を漂わせているが、秋奈の前では素の自分をさらけ出す。
秋奈は明朗快活で、友達が多く、誰からも愛される存在。雪華とは真逆のタイプの人間だ。
雪華は高校生の姉・秋奈と大の仲良しだ。ふだんは大人しくてクールな雰囲気を漂わせているが、秋奈の前では素の自分をさらけ出す。
秋奈は明朗快活で、友達が多く、誰からも愛される存在。雪華とは真逆のタイプの人間だ。
ある日の夜遅く、秋奈が進路のことで親と話しているのを聞いてしまう。高校を卒業したら、他県の美術系の大学へ進学したいらしい。元々、地元の大学を志望していたので急な話だ。他県へ進学するということは、秋奈はこの家を出ていくということ。雪華は絶望した。
雪華は未来の自分が秋奈をやたら気にかけていたことを思い出す。大人になっても、自分はお姉ちゃん子のようだ。
秋奈には親に内緒で付き合っている彼氏がいる。雪華にとってこの世で最も嫌いな人間だ。そいつと同じ大学へ進学したいんだろうと察して、怒りが沸いた。秋奈は恋煩いによって間違った選択をしようとしている。
秋奈に説得を試みるが、当然折れない。
雪華は未来の自分が秋奈をやたら気にかけていたことを思い出す。大人になっても、自分はお姉ちゃん子のようだ。
秋奈には親に内緒で付き合っている彼氏がいる。雪華にとってこの世で最も嫌いな人間だ。そいつと同じ大学へ進学したいんだろうと察して、怒りが沸いた。秋奈は恋煩いによって間違った選択をしようとしている。
秋奈に説得を試みるが、当然折れない。
文房具を買いに本屋へ行くと、クラスメイトの男子・蓮と遭遇する。彼は目当ての本が無いとガッカリしていた。その本は、雪華も買い逃し、大人の自分からプレゼントされたあの写真集だった。あの本に興味を抱く人間が自分以外にもいて、なんだか嬉しくなり、借してあげる約束をした。
蓮は、雪華と同じく、作文の宿題に悩んでるようだった。ただ、雪華と違い、彼には明確に思い描ける未来があるのだが、文章にするのが恥ずかしいのだという。雪華は聞かせてとせがむが、「また今度ね」と避けられてしまう。
今まで、蓮のことは意識したことなかったが、新しい友だちができた気がして雪華は嬉しかった。それに、蓮にはなんだか大人びた魅力を感じた。
蓮は、雪華と同じく、作文の宿題に悩んでるようだった。ただ、雪華と違い、彼には明確に思い描ける未来があるのだが、文章にするのが恥ずかしいのだという。雪華は聞かせてとせがむが、「また今度ね」と避けられてしまう。
今まで、蓮のことは意識したことなかったが、新しい友だちができた気がして雪華は嬉しかった。それに、蓮にはなんだか大人びた魅力を感じた。
後日、例の本はまだ読んでいる途中だったが、蓮に借してやった。一緒に作文の宿題も終わらせ、雪華は蓮の未来予想図を最初に知った人物になった。それは、男子とは思えない、かわいらしくてファンシーな内容だった。
雪華は蓮と過ごす時間に甘さを感じ、初恋の予感もしたが、蓮には中学生の彼女がいることがわかり、幻想は崩れ去った。
雪華は、手紙を解読していて、いくつか世界に降りかかる出来事を知る。
世界規模の金融危機、歴史的な大地震、原発事故、未知のウイルスによる大混乱……。
ろくでもないオカルト地味た内容に疲弊してきて、だんだん手紙を開くことがなくなっていった。
それに、「同じ趣味の男子と意気が合い、付き合う」と書いてあったが、ハズレている。未来からの自分のメッセージだとやや信じてた頃はロマンを感じていたが、今では気味が悪く感じる。
捨てるのももったいなく感じて、手紙は押入れの奥に封印された。
世界規模の金融危機、歴史的な大地震、原発事故、未知のウイルスによる大混乱……。
ろくでもないオカルト地味た内容に疲弊してきて、だんだん手紙を開くことがなくなっていった。
それに、「同じ趣味の男子と意気が合い、付き合う」と書いてあったが、ハズレている。未来からの自分のメッセージだとやや信じてた頃はロマンを感じていたが、今では気味が悪く感じる。
捨てるのももったいなく感じて、手紙は押入れの奥に封印された。
■3
2006年。
中学1年までは問題なかった。しかし中2になると、転機が訪れた。
雪華は未だ自分の身体が女性的な成長を迎える気配を感じず、悩んでいた。
それどころかニキビやソバカスだらけになり、成長というより劣化に苦しんだ。
2006年。
中学1年までは問題なかった。しかし中2になると、転機が訪れた。
雪華は未だ自分の身体が女性的な成長を迎える気配を感じず、悩んでいた。
それどころかニキビやソバカスだらけになり、成長というより劣化に苦しんだ。
反抗期なのか、親との衝突が増える。姉が男と一緒に県外へ進学してから、心が荒れていった。
塾に通うようになり、思うように成績も伸びず、ストレスが蓄積していく。
容姿が悪化し、クラスメイトから目をつけられるようになる。気づけば、いじめられっ子になっていた。
塾に通うようになり、思うように成績も伸びず、ストレスが蓄積していく。
容姿が悪化し、クラスメイトから目をつけられるようになる。気づけば、いじめられっ子になっていた。
間違いなく人生最悪の期間だ。雪華はあらゆるものすべてが暗く、世界に光はないと感じた。。
だが、違う学校に通う蓮と再会し、救われることとなった。
久々に会った蓮はより洗練された男になっていた。彼に勉強を教えてもらうと、塾で教わるよりも効果があった。
学校でいじめられていることを打ち明けた時、蓮は怒り、もう学校には行くなと助言してきたが、そういう訳にもいかず。考えたら、苦しむとわかっていて登校するのもおかしな話だが、雪華は通い続けた。
雪華は蓮と身体の関係を持つようになる。まだ女らしい成長が見られないが、蓮はよく愛してくれた。蓮はイケメンで、女子の憧れの的。彼と一緒にいる間だけ、周囲と差をつけた気分になり、喜びを感じた。
久々に会った蓮はより洗練された男になっていた。彼に勉強を教えてもらうと、塾で教わるよりも効果があった。
学校でいじめられていることを打ち明けた時、蓮は怒り、もう学校には行くなと助言してきたが、そういう訳にもいかず。考えたら、苦しむとわかっていて登校するのもおかしな話だが、雪華は通い続けた。
雪華は蓮と身体の関係を持つようになる。まだ女らしい成長が見られないが、蓮はよく愛してくれた。蓮はイケメンで、女子の憧れの的。彼と一緒にいる間だけ、周囲と差をつけた気分になり、喜びを感じた。
とうとう雪華の身体が発達を始めると、蓮の雪華に対する情熱は冷めていく。
そして蓮は白状する。彼には同性愛の気があった。それも、少年のような身体に惹かれるのであった。雪華を愛せたのは、見ようでは幼い少年のような身体に見えたからだ。彼にとって女らしさを得た雪華は魅力が下がった。
それに加え、蓮は女装に興味を持つようになっていた。小学生の頃交際していた年上の彼女に着せられたのがきっかけだった。
そして蓮は白状する。彼には同性愛の気があった。それも、少年のような身体に惹かれるのであった。雪華を愛せたのは、見ようでは幼い少年のような身体に見えたからだ。彼にとって女らしさを得た雪華は魅力が下がった。
それに加え、蓮は女装に興味を持つようになっていた。小学生の頃交際していた年上の彼女に着せられたのがきっかけだった。
雪華は、蓮の悩みを理解し、これからは友達でやっていこうと提案する。二人は恋人同士から友達になったのだが、だんだんと疎遠になっていくのだった。
■4
2009年。
雪華は高校2年生になり、自分を苦しめていたニキビだとかは消え、どんどん色気づいていった。進学したことでいじめからも解放され、生活は平穏を取り戻していた。
遠くにいる姉・秋奈は大学を出てすぐに結婚し、子どもを身籠った。雪華は子どもの名前のアイデアを考えて欲しいと頼まれる。
秋奈はどんどん遠くへ行ってしまう。自分は最悪の時期を出たはいいが特に進化した部分は無い…。進路について本格的に考え始めなければいけないこの頃、雪華は将来について悩み始める。
過去に不審な人物からもらった手紙を思い出して、数年ぶりに解読を進める。
2009年。
雪華は高校2年生になり、自分を苦しめていたニキビだとかは消え、どんどん色気づいていった。進学したことでいじめからも解放され、生活は平穏を取り戻していた。
遠くにいる姉・秋奈は大学を出てすぐに結婚し、子どもを身籠った。雪華は子どもの名前のアイデアを考えて欲しいと頼まれる。
秋奈はどんどん遠くへ行ってしまう。自分は最悪の時期を出たはいいが特に進化した部分は無い…。進路について本格的に考え始めなければいけないこの頃、雪華は将来について悩み始める。
過去に不審な人物からもらった手紙を思い出して、数年ぶりに解読を進める。
手紙によると、秋奈は出産の際に命を落としてしまうらしい。初めて経験する身内の死は雪華に大きなショックを与え、死ぬまで尾を引き続ける。
雪華にとって秋奈は誰よりも尊敬できる人であり、秋奈のような人間になりたいという思いが雪華の消極的な性格に変革をもたらし、グローバルに活躍する大人へと育つのだという。
雪華が40歳を過ぎた頃、時間を移動する技術が確立され、雪華はタイムマシンの開発に携わる。大人雪華は死んだ秋奈に会いに行こうとするが、タイムマシン技術はまだまだ黎明期、特定の条件を満たした時間にしか移動できない。その条件を満たした時間というのが、小6の子ども雪華と出会った時間。そしてもう一つ、雪華が80歳で亡くなる一ヶ月前の時間だ。
大人雪華はまず老婆雪華と会い、いくつかインタビューした。老婆雪華は人生で一番悲しかった出来事に、姉の死を挙げた。老婆雪華はボケが入っており、秋奈の名前を思い出せなかったが、秋奈の死の悲しみだけは忘れていなかった。いっぱいやりたいことがあったのに、何一つ成し遂げられなかった…とも語っていた。老婆雪華は数十年分の後悔とともに余生を過ごしていた。
続いて子ども雪華に会いに行くが、秋奈の顔を見ることはどうしても叶わない。もう一度だけ、生きた秋奈を見たい。言葉を交わしたい…その願いは、時間移動できるようになっても叶うことはなかった。
手紙は「悔いのない人生を」と締めくくられていた。
雪華にとって秋奈は誰よりも尊敬できる人であり、秋奈のような人間になりたいという思いが雪華の消極的な性格に変革をもたらし、グローバルに活躍する大人へと育つのだという。
雪華が40歳を過ぎた頃、時間を移動する技術が確立され、雪華はタイムマシンの開発に携わる。大人雪華は死んだ秋奈に会いに行こうとするが、タイムマシン技術はまだまだ黎明期、特定の条件を満たした時間にしか移動できない。その条件を満たした時間というのが、小6の子ども雪華と出会った時間。そしてもう一つ、雪華が80歳で亡くなる一ヶ月前の時間だ。
大人雪華はまず老婆雪華と会い、いくつかインタビューした。老婆雪華は人生で一番悲しかった出来事に、姉の死を挙げた。老婆雪華はボケが入っており、秋奈の名前を思い出せなかったが、秋奈の死の悲しみだけは忘れていなかった。いっぱいやりたいことがあったのに、何一つ成し遂げられなかった…とも語っていた。老婆雪華は数十年分の後悔とともに余生を過ごしていた。
続いて子ども雪華に会いに行くが、秋奈の顔を見ることはどうしても叶わない。もう一度だけ、生きた秋奈を見たい。言葉を交わしたい…その願いは、時間移動できるようになっても叶うことはなかった。
手紙は「悔いのない人生を」と締めくくられていた。
■5
手紙を最後まで読んだ雪華は、お腹を大きくした秋奈が家に来た日、あの日が今生の別れだと気付いて、秋奈に会いに行くことを決意する。
すっかり女装コスプレイヤーと化していた蓮と偶然再会。彼は他県のコスプレイベントに参加する気らしい。これまた偶然、秋奈が暮らしている場所とほど近い。二人は、ともに他県へ飛んだ。
1日目にイベントに参加し、2日目に秋奈に会いに行く日程。なぜか雪華もレイヤーとして参加することに…。
蓮がネット上で知り合ったというレイヤー仲間によって無理矢理セクシーなコスプレをさせられ、鼻息の荒いカメラ小僧に囲まれて恐怖を覚える。カメラ小僧の集団には見覚えのある顔が。雪華がこの世で最も憎い人物、姉の夫・タカシだ。
なんだか気になり、こっそり追跡を始める。タカシは、蓮を何枚も激写したのち、ナンパし始めた。
モザイク有で、Hなものを撮らないか。報酬は弾む……。悪趣味な提案に雪華がブチギレる。タカシをド突き、コスプレ用のカツラを取って正体をさらす。
その後、タカシの奢りで雪華と蓮は食事する。タカシによると、秋奈は今、機嫌が悪いから一人にした方がいいとのこと。姉は同人漫画の制作で忙しく、締切が迫っており荒れ狂っているらしい。マタニティブルーなども合わさって今は特に酷い状態だという。雪華の知らない一面だ。同人活動をしていたとは……。
話してみるとタカシは根は悪いヤツじゃなさそうだったが、雪華はやはり気に入らない。自分の知らない秋奈を知ってるというのが気に食わない。
手紙を最後まで読んだ雪華は、お腹を大きくした秋奈が家に来た日、あの日が今生の別れだと気付いて、秋奈に会いに行くことを決意する。
すっかり女装コスプレイヤーと化していた蓮と偶然再会。彼は他県のコスプレイベントに参加する気らしい。これまた偶然、秋奈が暮らしている場所とほど近い。二人は、ともに他県へ飛んだ。
1日目にイベントに参加し、2日目に秋奈に会いに行く日程。なぜか雪華もレイヤーとして参加することに…。
蓮がネット上で知り合ったというレイヤー仲間によって無理矢理セクシーなコスプレをさせられ、鼻息の荒いカメラ小僧に囲まれて恐怖を覚える。カメラ小僧の集団には見覚えのある顔が。雪華がこの世で最も憎い人物、姉の夫・タカシだ。
なんだか気になり、こっそり追跡を始める。タカシは、蓮を何枚も激写したのち、ナンパし始めた。
モザイク有で、Hなものを撮らないか。報酬は弾む……。悪趣味な提案に雪華がブチギレる。タカシをド突き、コスプレ用のカツラを取って正体をさらす。
その後、タカシの奢りで雪華と蓮は食事する。タカシによると、秋奈は今、機嫌が悪いから一人にした方がいいとのこと。姉は同人漫画の制作で忙しく、締切が迫っており荒れ狂っているらしい。マタニティブルーなども合わさって今は特に酷い状態だという。雪華の知らない一面だ。同人活動をしていたとは……。
話してみるとタカシは根は悪いヤツじゃなさそうだったが、雪華はやはり気に入らない。自分の知らない秋奈を知ってるというのが気に食わない。
2日目、蓮とタカシは引き続きイベントに参加し、雪華だけ秋奈の自宅を訪れた。
秋奈はAmazonからの配達だと勘違いしてハンコを片手に出迎え、雪華を見た瞬間驚愕した。
秋奈は身重でありながら徹夜で原稿を描いていた。これが最後の作品になるので、多少無理してでも完成させたいのだという。
秋奈はなんと自分の死期を知っていた。大人雪華がよこしてきた手紙を、秋奈も読んでいたのだ。
それだけじゃない、秋奈の元を死神が訪れたのだという。
それは数十年後の未来からやってきた秋奈の息子・タカナオンで、これから生まれてくる自分にマトモな名前をつけて欲しいと懇願しに来たのだ。タカナオンとの会話で、秋奈はもうじき自分が死ぬことを改めて知ったのだった。そして、この珍妙な名前の名付け親はタカシであった。
未来を変えるのは簡単、タカシをボコってマトモな名前をつけさせりゃいいのよ、と秋奈は笑った。
私は死ぬから、タカシをボコる役は任せた、と雪華は肩を叩かれる。
今日が今生の別れとなる。雪華と秋奈は思い思いに過ごし、タカシと蓮が帰ってきた時、雪華は「何がタカナオンじゃー!」と突然ぶん殴った。
この日から、雪華の性格から消極さが失われていった。だんだん快活さを得ていき、雪華は自分に、かつて出会った大人雪華の予兆を感じた。
秋奈はAmazonからの配達だと勘違いしてハンコを片手に出迎え、雪華を見た瞬間驚愕した。
秋奈は身重でありながら徹夜で原稿を描いていた。これが最後の作品になるので、多少無理してでも完成させたいのだという。
秋奈はなんと自分の死期を知っていた。大人雪華がよこしてきた手紙を、秋奈も読んでいたのだ。
それだけじゃない、秋奈の元を死神が訪れたのだという。
それは数十年後の未来からやってきた秋奈の息子・タカナオンで、これから生まれてくる自分にマトモな名前をつけて欲しいと懇願しに来たのだ。タカナオンとの会話で、秋奈はもうじき自分が死ぬことを改めて知ったのだった。そして、この珍妙な名前の名付け親はタカシであった。
未来を変えるのは簡単、タカシをボコってマトモな名前をつけさせりゃいいのよ、と秋奈は笑った。
私は死ぬから、タカシをボコる役は任せた、と雪華は肩を叩かれる。
今日が今生の別れとなる。雪華と秋奈は思い思いに過ごし、タカシと蓮が帰ってきた時、雪華は「何がタカナオンじゃー!」と突然ぶん殴った。
この日から、雪華の性格から消極さが失われていった。だんだん快活さを得ていき、雪華は自分に、かつて出会った大人雪華の予兆を感じた。
■6
20??年
空港で、秋奈が幼い息子と一緒に誰かを待っている。
黒人の青年と一緒に雪華がやってくる。雪華は旅人になり、世界中を巡っていた。
雪華は小学生の頃、写真集で見た絶景の数々を訪れ、まだ人に知られていない景色も多く目にした。
「蓮くんは?」と秋奈に聞かれ、雪華は遠くの国で居場所を見つけた蓮を思い出した。蓮とともに旅立ち、旅の途中で別れた。そして気の合う黒人の青年を見つけ、家族に紹介するために彼を連れて帰ってきたのだ。
実家で、久しぶりにあの手紙を拝む。姉と一緒に。
秋奈は、未来から来たタカナオンから「毎秒、いくつもの平行世界が生まれている」と教えられたと語った。どんなタイミングで分岐するかはまだ明らかになっていないが、そういう事実がある。自分が経験した過去はどうやっても変えられないが、未来を自由に選択できる日がそのうち来るかもしれない、と……。
雪華は、未来に行ってみたいと思うようになっていた。80歳の自分は、過去をどう振り返るのだろうか。今度は、もう悲観していないだろう…。
いや、駄目だ、このままではいかん、と雪華は気付く。
夜空を見上げ、雪華は思った。今の自分にもう世界は狭い。次は宇宙へ行きたいが、叶うとは思えない。
あの頃の私へ、手紙を書く時が来たら、宇宙を目指せと助言しよう。雪華はそう決意した。
20??年
空港で、秋奈が幼い息子と一緒に誰かを待っている。
黒人の青年と一緒に雪華がやってくる。雪華は旅人になり、世界中を巡っていた。
雪華は小学生の頃、写真集で見た絶景の数々を訪れ、まだ人に知られていない景色も多く目にした。
「蓮くんは?」と秋奈に聞かれ、雪華は遠くの国で居場所を見つけた蓮を思い出した。蓮とともに旅立ち、旅の途中で別れた。そして気の合う黒人の青年を見つけ、家族に紹介するために彼を連れて帰ってきたのだ。
実家で、久しぶりにあの手紙を拝む。姉と一緒に。
秋奈は、未来から来たタカナオンから「毎秒、いくつもの平行世界が生まれている」と教えられたと語った。どんなタイミングで分岐するかはまだ明らかになっていないが、そういう事実がある。自分が経験した過去はどうやっても変えられないが、未来を自由に選択できる日がそのうち来るかもしれない、と……。
雪華は、未来に行ってみたいと思うようになっていた。80歳の自分は、過去をどう振り返るのだろうか。今度は、もう悲観していないだろう…。
いや、駄目だ、このままではいかん、と雪華は気付く。
夜空を見上げ、雪華は思った。今の自分にもう世界は狭い。次は宇宙へ行きたいが、叶うとは思えない。
あの頃の私へ、手紙を書く時が来たら、宇宙を目指せと助言しよう。雪華はそう決意した。
完