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《ドライX VS 鮮血纏兎【スノウ】》
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aioricharabattle
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《ドライX VS 鮮血纏兎【スノウ】》
龍の谷——古の竜が眠り、今なおその威厳を漂わせる神秘的な場所。荒々しい岩肌と鋭く突き出た崖が連なる中、霧が立ち込める谷底で、二つの異形が対峙していた。
片や人型ロボット「ドライX」。無機質な銀色の装甲が、かすかな霧に濡れて鈍く光る。その右手にはグロック19、左腰にはアーミーナイフ、そして腰の両脇には無骨な手りゅう弾が二つずつ揺れている。体内には4つの電池が格納され、爆弾としても使用可能——それが最後の切り札だ。彼のセンサーは正確に戦闘力を測定していた。
「対象確認。コードネーム——鮮血纏兎、スノウ。危険度:Sクラス。」
静かに響く電子音の報告。しかし、その機械的な宣告に、目の前の兎は何一つ動じない。
スノウ——全身が漆黒の体毛に覆われた魔獣。身体には濃い鮮血が飛び散り、名の通り血の纏いを身に纏う。目は紅く光り、その奥に潜む知性がギラついていた。兎の姿をしているが、その動きは猛禽類を思わせる鋭さがある。
「……開始する。」
ドライXがそう呟くと同時に、グロック19が鋭い銃声を響かせた。鋼の弾丸が空を裂き、一直線にスノウへと向かう——しかし。
「——ッ!」
スノウの姿がかき消えた。
ドライXのセンサーが高速で追跡する。次の瞬間、右側から突如現れたスノウが疾風のような体当たりを見舞う。衝撃がドライXの装甲を軋ませ、巨木がへし折れるような音が谷間にこだました。
「装甲耐久度:3%減少。」
ドライXは冷静にデータを読み上げるが、その直後、スノウの脚がドライXの胸部に炸裂する。跳躍力は尋常ではなく、助走なしで繰り出された蹴りは岩肌を砕くほどだ。
「迎撃開始。」
グロック19を素早く連射。だがスノウは岩を蹴り、空中をジグザグに駆け抜ける。弾丸はすべて空を切り、ドライXの照準がわずかに追いつかない。
「戦闘力評価、再計測。対象の敏捷性——規格外。」
ドライXは素早く手りゅう弾を抜き、スノウの動線に向けて投擲する。爆発音が谷間に響き、岩の破片が飛び散る。
しかし、爆煙の向こう側から飛び出してきたのは無傷のスノウだった。
「回避成功確認。」
スノウは鋭い爪を振り上げ、ドライXの右肩を引き裂く。装甲が切り裂かれ、内部の電子機器がむき出しになる。
「装甲耐久度:18%減少。カウンター攻撃開始。」
ドライXは左手のアーミーナイフを高速で振るい、スノウの横腹を狙う。しかし、兎は信じられない速度で後方へ跳躍し、あっという間に岩陰へと姿を消した。
「敵、潜伏状態。」
だが、ドライXは動じない。次の瞬間、腰に備えた電池を引き抜き、それを爆弾モードに切り替えた。残り3個——。
「爆破モード、起動。」
爆弾をスノウの隠れた岩陰に投げ込み、轟音とともに巨大な爆風が辺りを飲み込む。砂煙が渦巻き、谷全体が震える。
その隙にドライXは電池をもう1個起動させ、再び戦闘態勢に入った。
「……適性存在のスペックを把握、今より戦法を変更します。」
砂煙の向こう——血飛沫が舞う。
スノウの身体は爆風で傷つき、返り血をさらに纏っていた。だが、目は依然として冷静で、何かを企むようにドライXを睨んでいる。
「傷の自己修復開始、確認。」
スノウは自身の血を操り、傷口を塞いでいく。その様子をドライXは冷静に分析したが——その瞬間、スノウが異常な跳躍を見せた。
「……!!」
ドライXの目の前に、一瞬でスノウが現れる。
「対象の危険度をSSランクに変更。これより——掃討モードに変化します。」
ドライXは残りの2本の電池を同時に起動し、出力を200%向上させる。
「バッテリー消費速度上昇。あと5分で予備バッテリーに移行します。」
ドライXの体から凄まじい熱気とバッテリーの電力がスパークし、近づいてきたスノウを吹き飛ばす。
——次の瞬間。
ドゴンッ!!
ドライXは吹き飛ぶスノウよりも早く背後に回り、全力で殴り飛ばす。
「対象の動きを封じます。」
またしても殴り飛ばしたスノウの背後まで一瞬で移動し、もう一度殴り飛ばす。
これがドライXが発案した最良の討伐方法、「動く余裕すら持たせずに超スピードで殴りまくる」という作戦だ。
「グギャー!!」
何度も何度も殴り飛ばされたことでスノウの体はボロボロになり、どこからどうみても瀕死である。
「これでフィニッシュです。」
ドライXはトドメとばかりにスノウを全力で谷底へと叩き落とす。
「対象の生命反応が著しく低下。まもなく消滅すると考えられます。」
………だが、そうはならなかった。
「ガギガ!」
全快のスノウが谷底から凄まじいスピードで這い上がってきたのだ。
「……理解不能。」
ドライXは一瞬フリーズし、情報を処理し始める。しかし、スノウはその隙にドライXへと近づき、その右腕を牙で噛み千切る。
「装甲耐久度:43%減少。まもなく予備電源に切り替わります。」
ドライXは大ダメージによって使用していた電池が損傷し、やむを得なく予備電源へと切り替える。だが、スノウは待ってくれない。
「ウギャビャ!!」
この獣は死に瀕したことで自らが蓄えていた血を代償に復活したのだ。故に、その体は快調そのもので、先ほど以上のスピードでドライXを襲う。
バキンッ!!
今度はドライXの左足が嚙み切られる。このままではほかの部位が噛み千切られるのも時間の問題だ。
「装甲耐久度:64%減少。爆破モードを再起動します。」
ドライXは勝率が低いことを瞬時に分析し、一か八かの賭けに出る。
「特例につき、予備電源の98%を爆破します。」
機械の体が一瞬輝き、谷全体に轟音が響き渡る。
爆煙の中、動かなくなったのは——ドライXの方だった。
胸元で爆弾を起動する寸前、スノウの蹴りがドライXの予備電源の一部を谷底に吹き飛ばしていたのだ。
「活動限界確認。」
ドライXは予備電源が完全に切れる前に、緊急シャットダウンを選択した。膝をつき、そのまま機能を停止する。
………その瞬間!
突如地響きが鳴り、地中から龍が現れた。
「我が眠りを妨げたのはおぬしらか。」
どうやら戦いの余波によって太古よりこの地に宿っていた龍が目覚めたようである。
「ギギギ!」
スノウは新たな生命体の出現に歓喜し、その生き血を啜らんと襲い掛かる。
「身の程知らずが、よほど死にたいと見える。」
龍が唸ると周囲には雷が落ち、無数の竜巻が現れる。古代より生きる龍はその力さえもその他の存在とは桁違いなのだ。
「この地の糧となれ!」
龍は口から業火を放ち、スノウを灰燼にせんとする。だが、すんでのところで龍の強さを理解したスノウは、文字通り脱兎のごとく逃げ出した。
”この世には戦ってはいけない相手もいる”
スノウは頭ではなく本能でそう理解したのだ。
勝者——鮮血纏兎スノウ。