あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《辻世充希 VS レベル壱(ワン)》
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aioricharabattle
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《辻世充希 VS レベル壱(ワン)》
何もない、ただ風が通り抜けるだけの平原。
だがその場所には、まるで異なる次元から現れたかのような異質な存在が二つ、対をなすように佇んでいた。
だがその場所には、まるで異なる次元から現れたかのような異質な存在が二つ、対をなすように佇んでいた。
「レベル壱……今この時を、俺のすべてで迎え撃つ!」
辻世充希は深紅のジャケットを風になびかせ、背中に背負った全長二メートルにも及ぶ戦斧『桜牙』を肩に担いだ。
その瞳は獣のような鋭さを宿し、ただ一点、目の前の敵を見据えていた。
彼の内からは、静かだが燃え盛る闘志が熱を帯びて溢れ出していた。
「……お前の魂、現在に刻んでやるよ。」
レベル壱は長刀を背に、淡々とした足取りで前へと進み出す。
その笑顔には少年の無垢さすらあるが、その奥にあるのは氷のように冷たい無慈悲さ。
感情をそぎ落とした刃のような静けさが、彼の一挙手一投足に宿っていた。
ズゥンッ。
一歩が地面を震わせる。
草が風に逆らってたなびき、平原の空気がわずかに震えた。
ズゥンッ。
二歩目と共に、時空に細かな歪みが生じる。
まるで空間が彼の歩みに従って形を変えるように、重力さえわずかに乱れていた。
「斬撃《留》――」
スパァアアアンッ!!
空を軽く払っただけのレベル壱の右手。その直後、辻世の前に閃光のような激痛が走った。
「ぐっ……なに……?!」
彼には何も見えなかった。だが、それは確かに“斬られていた”。
視界の外、時の外。過去に振るわれ、未来に起こるはずだった一撃が、今この瞬間、彼の肉体に刻まれたのだ。
世界が紙のように裂けるかのような、異音が耳を貫く。
その音は風でも斬撃でもない。時間そのものが断末魔の悲鳴を上げたような錯覚だった。
「お前は、俺が留めた未来を踏んだ。これが、現在に起きた結果だ。」
無感情な声が、平原の空に鋭く響く。その声音には怒りも勝利の悦びもなかった。あるのは、ただ冷厳な真理。
レベル壱の力――それは未来の現象を現在に封じ、敵がそれに触れた瞬間に発動させる異能。
それは予兆も視覚も、気配すら与えない、完全な不可視の罠。
それは予兆も視覚も、気配すら与えない、完全な不可視の罠。
バキィッ!!
破砕音と共に、辻世の左肩が爆ぜるように弾けた。
鎧ごと肉が裂け、鮮烈な血飛沫が空中に朱の弧を描く。その痛みは即座に神経を駆け抜け、脳髄を激しく揺さぶる。
「くっ……っ!」
歯を食いしばる間もなく、彼は戦斧『桜牙』を強く握り直し、空中に跳躍。その動きはまさに鍛え抜かれた肉体の証であり、脊髄反射に近い判断。
だが視界の中に映るのは、ただ一人の敵――レベル壱のみ。罠の正体も、斬撃の出処も、どこにも見えない。
「……なるほどな、この力、たしかに厄介だ。」
ドオォンッ!!
戦斧がうなりを上げて大地を穿つ。膨大な力を込めて振り下ろされたその一撃で、地面は縦横に裂け、石と土が空高く吹き飛ぶ。
怒涛の衝撃波が周囲を薙ぎ払い、土煙が巨大な竜巻のように巻き起こる。その中心にレベル壱の姿が見えた。
……しかし、それもまた幻想。視覚に投影された未来の残像。
「……踏んだな。」
ギャァアアアンッ!!
続けざま、今度は胸元から斬撃の衝撃が走る。深々と肉を割る感覚と共に、呼吸が一瞬止まり、肺から血混じりの息がこぼれ落ちた。
視界が一瞬だけ暗転。色も音も消えた無の中に、意識が吸い込まれていく感覚。時間感覚が断ち切られたかのように、数秒分の意識が綺麗に欠落していた。
辻世の脳裏には、ただ空白だけが広がっていた。
「でも……!」
ゴゴゴゴゴゴ……
彼の胸元に宿る淡い桜色の光。それは絶望という暗黒の淵に沈んだ世界でなお、ひとつの灯として揺らめき続ける、決して消えぬ希望だった。
折れかけた心を支えた仲間との約束。未来を託して散っていった者たちの想い。
血塗れの戦場で、己の代わりに命を落とした無数の声と影。
それらすべてが、彼の魂に絶対の火を灯していた。
「俺は……希望を捨てないッ!!」
バチィィッ!!
咆哮と共に、彼の肉体から爆発的な光が放たれる。それはまるで星が砕け、宇宙の始まりが再演されるかのような、あらゆる理を巻き込む輝きだった。
地面が悲鳴を上げて軋み、虚空が共鳴するように震える。
桜色の輝きが波のように彼の肉体を覆い、辻世充希という存在は人間という器の限界を打ち破り、ひとつ上の存在領域――神話の階梯へと足を踏み入れた。
「『希望の器』――覚醒ッ!!」
その背後、眩い光に照らされて浮かび上がる幻影。
かつて旅路を共にした仲間たち。戦場に散った魂、交わされた誓い、交錯する記憶と記録が鮮明に顕現し、彼の背中を支える翼と化した。
かつて旅路を共にした仲間たち。戦場に散った魂、交わされた誓い、交錯する記憶と記録が鮮明に顕現し、彼の背中を支える翼と化した。
彼は、その全てを胸に抱いている。重みではなく、力として。
「いくぞ、レベル壱!」
爆音と共に地を蹴る。赤く染まった地平線に、まるで夜明けのような閃光が走った。彼の一歩一歩に、信念の炎と、消えぬ希望の意志が宿っていた。
「『奇跡一閃・天破衝斧』!!」
それは、単なる一撃とは呼べなかった。無数の可能性と時間の網を断ち切り、過去・現在・未来を問答無用に押し潰すほどの、絶対的な一閃だった。
未来を封じるレベル壱の能力――『斬撃《留》』。それですら、この一撃には抗えなかった。あらゆる時間軸を飛び越え、干渉不能の次元へ至ったその破壊力に、彼の力は追いつけなかったのだ。
「なっ……」
言葉を発するよりも早く、世界が絶叫を上げる。
グワァアアアアンッ!!!!
天が引き裂かれ、雷鳴すら追いつけぬ振動が走る。地表は割れ、巨大な断層が走り、地脈が暴れ狂うように咆哮する。空、海、大気、重力、全ての自然法則が一瞬だけ凍結し、逆巻き、膨張する。あらゆる理を超越した、まさに『奇跡』そのもの。
その中心にいたレベル壱の身体が、音もなく沈むように膝をついた。
……数秒後、世界が再び静寂に包まれる。そこには、長刀を手放し、肩で息をするレベル壱の姿。その瞳からは、初めて戸惑いと驚きが滲んでいた。
「……やるじゃねぇか……」
その声には、敗北の痛みと共に、不思議な満足感が混ざっていた。敗者の悔しさではなく、ようやく辿り着けたという解放のような響き。
「これが……希望の力だ。」
辻世充希はゆっくりと斧を下ろす。その姿は、闘争を終えた戦士の静かな威厳に満ちていた。
「勝者――辻世充希。」